2016年6月30日木曜日

レッチェのパスティッチョット

今日はプーリアはレッチェのお菓子の話。
『ア・ターヴォラ』の記事です。

そのドルチェは、パスティッチョット。
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antonioquarta01


何のひねりもない、素朴なカスタードタルトです。
レモン風味のカスタードクリームが詰まったタルト。

でもこれが、「サレント半島で一番愛されているドルチェ」なんです。

私も初めてレッチェに行った時、この町の名物ドルチェはパスティッチョットだというこどたけは知っていたので、パスティッチェリーアに立ち寄った時、早速注文してみました。

ところが、店のショーケースには、華やかで美味しそうなパスティッチェリーアが一杯並んでいて、よりによって、茶色いタルト生地に覆われたパステッチョットは、その中では2番目に地味に見えました。
正直に言うと、期待していた分、テンションが少し下がりました。

ちなみに一番地味だったのはコトニャータです。
プーリアのホテルの朝食にもよく出てくる超甘~いマルメロのジャムです。
一般的に、この写真よりもっと黒ずんだ、羊羹のような色をしています。

fatta in casa





まあ、確かに素朴であったかいドルチェで、プーリア人気質にはぴったり合いそう、と思ったのですが、この地方の名物になるほどのものかなあという思いも片隅にはありました。
でも、『ア・ターヴォラ』の記事を読んで、その由来を知って、納得しました。

そもそもこのドルチェは、1745年6月29日に、レッチェ県のガラティーナという町のパスティッチェリーア・アスカローネという店で考え出されたのだそうです。
しかも、商品としてではなく、有名な聖人の祝日に、店にやってくる客や通行人に無料でふるまうために作ったのだそうです。
店はそんなに儲かっていなかったらしくて、ゴージャスな材料は使えません。
パスタ・フロッラの切れ端に残り物のクレーマ・パスティッチェリーアを詰めて小さな型で焼き、まだ熱いうちに配ったのだそうです。

焼き立ての温かい無料のパスティッチェリーアって、人の心に染みるのですね。
しかも、人一倍情に厚いプーリアの人たちになら、大歓迎されたことでしょう。
一番美味しいでも、一番人気でもなく、一番愛された、という形容詞がまさにぴったり。

パスティッチョットの考案者、ニコラ・アスカローネの店、パスティッチェリーア・アスカローネは、今もあります。
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271年前に考え出されたドルチェが、今では町の名物になって町の外から来た人の心にも、レッチェの思い出として染み込んでいっています。


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“レッチェのパスティッチョット”の記事とリチッタの日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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3 件のコメント:

vittorio さんのコメント...

レッチェのパスティチョットって歴史があるんですね、

ニコラ・アスカローネさんのパスティッチェリーア・アスカローネは人気があるんですね、そう言えば友人もリポーターの様に私のアパートに入る時Permessoと言ってたのを思い出しました、

構成はガトーバスクも似ていますね。

vittorio さんのコメント...
このコメントは投稿者によって削除されました。
prezzemolo さんのコメント...

Vittorioさん

ガトーバスク、初めて聞きました。
素朴で美味しそうなタルトですね。
私はなんとなくマカオのエッグタルトに似てるなあと思ってたんですが、今写真を検索して見たら、全然似てなくてビックリ。

よもぎはドイツ語ではベアムート。かっこよくてお餅につける名前じゃないよね。トリノでパティシエが白ワインとよもぎから作りだしたのがベルモット。

今日のお題は、メイド・イン・イタリーの食材です。(CIR2022年1月号P.37の記事) その食材は、ベルモット。ピエモンテ州トリノで誕生したフレーバード・ワインです。 白ワインにスパイスとハーブを加えて香りをつけたもの。 ところで、ベルモットはドイツ語の“ヨモギWermut”が...