イタリア料理ほんやく三昧: フォークの歴史

2016年1月25日月曜日

フォークの歴史

今日は、今月の「総合解説」を訳していて、一番へえ~、と思った記事の話です。
それは“フォルケッタ”の話。

floating fork / spaghetti / red sauce

宙に浮かぶフォークとスパゲッティ。
この切っても切れない関係にも、実は意外な歴史がありました。

西洋で最初に普及した食事の道具はナイフとスプーン。
フォークは最後に伝わりました。
フォークが最初に普及していたのはビザンチウム(現イスタンブール)の宮廷。
そこから、フィレンツェ、ピサ、ヴェネチアといった富裕な市民や商人がいるイタリアの都市に伝わります。
11世紀に、ビザンツ帝国の王女がヴェネチアの大公の息子と結婚した時に、料理を手で触らずに、小さな二またの道具を使ったという記録が残っているそうです。

時は流れて、今度はフィレンツェのカテリーナ・デ・メディチがフランスに嫁いだ時、フランスにフォークが伝わったそうです。

まあ、ここらへんはそんなものかなあ、ぐらいなのですが、面白いのは、フォークを使って食事したビザンツのお姫様に対して、ドミニコ修道会が怒ったという話。

当時のイタリアの宮廷では、食事のマナーは、固形料理は皿から直接手で取るのが正しいとされていました。
手で食べることは洗練されている、と考えられていたのです。

ドミニコ会というのは、清貧を重んじて、ガリ勉の学者がたくさんいるような、ストイックな宗派でした。
その人たちが、料理を手で取らずに道具を使うとは、
“悪魔的な贅沢、貴族の弱さの証明だ、スキャンダルだ、手で堂々と食べろ!”
と猛然と抗議したのだそうです。

手で食べることが洗練されていると人々が頑なに信じている時代に、フォークを使うことは、行き過ぎたスノビズムと取られて、世間から白い目で見られたのですね。

うわー、こりゃ、初めてフォークを使ったイタリア人は、すごい勇敢な人だったということですね。
たかがフォークがこれほどまでにおおごとだったなんて。

ところが、一度普及すると、その便利さからスプーンやナイフよりも深く広まっていきました。
とはいっても現在のような4本歯になったのは18世紀後半のこと。
スパゲッティをフォークに巻きつけるようになったのは、それから。
考えてみれは、スパゲッティとフォークの結びつきも深いですよね。
フォークがなければ、スパゲッティは今ほど普及していなかったと思いませんか。



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“フォルケッタ”の記事の日本語訳は「総合解説」13/14年3月号に載っています。
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