イタリア料理ほんやく三昧: 7月 2015

2015年7月30日木曜日

トリノの老舗カフェ

さて、トリノの歴史的カフェですが、詳細は「総合解説」をご覧いただくとして、まずはその中の一軒、ムラッサーノ。
店のwebページはこちら

この店の名物は、チョコレートではなく、サンドイッチ。
しかも、サンドイッチ発祥の店として有名なんだそうです。
あれ、サンドイッチは、イギリスのサンドイッチ伯爵が、カードしながら食べられるように考え出したんじゃなかたっけ、と思ってwiki見たら、なんとサンドイッチ伯爵が発明したわけではない、なんて書いてあるー。
ちょっとした噂話に尾ひれがついて、いかにもそれらしい話になってしまたのですね。
すっりその話を信じこんでましたよー。
だからイタリア語のサンドイッチは、サンドイッチじゃなくて、トラメッツィーニtramezziniにという名前なんですね。
HPによると、店の女主人がアペリティーヴォに添えるつまみとして考え出したんだそうです。
そもそも、サンドイッチ伯爵なんて知られてなかった。
それどころか、トラメッツィーニという言葉を考え出したのは、イタリアの食文化の話題にはちょくちょく登場する作家のダヌンツィオなんだそうで、イタリアではこの話が知れ渡っています。
国が変われば食べ物の常識も変わるんですねー。

ムラッサーノのトラメッツィーニの動画を探したんですが、唯一見つかったのが下の動画。
ムラッサーノが出てくるのは4:30頃から。



トリュフとマスカルボーネのトラメッツィーニ。
一言も美味しいと言いませんでしたねー。
どんな味なんでしょう。

さて、お次はチョコレートです。
しかも、ロンドンのアカデミー・オブ・チョコレートが世界一美味しいプラリネと評した店だそうですよ。
アカデミー・オブ・チョコレートって初めて聞いたけど、なんか権威がありそうなので、きっとすごーく美味しいんだろうなあ。

その店は、グイド・ゴビーノです。
店のwebページはこちら
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そういえば、トリノには、ガンベロ・ロッソがナンバー1ヘーゼルナッツ入りチョコレートクリームに選んだグイド・カスターニャの店もありましたねー。
ほかにも、バラッティ&ミラノやプファティッシュなど、まだまだあります。
そうそう、コーン入りジェラート発祥の店もありましたね。
このお店の話は次号の「総合解説」に載っています。

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“トリノ”のグルメガイドは「総合解説」2012年12月号に載っています。
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2015年7月27日月曜日

王の街トリノ

先日、トリノの世界遺産を紹介するテレビ番組を見て以来、トリノ行きたい症候群を発症しています。
特に、ゴージャスなインテリアや芸術品に囲まれたパラッツォ・レアーレは、死ぬまでに一度は行くぞーと思いたくなる素晴らしさ。
それにしても、イタリアにはいくつパラッツォ・レアーレがあるんだ?
パラッツォ・レアーレとは、王宮という意味。
ちょっと探しただけでも、ナポリやジェノヴァに有名なのがありますねー。
でも、これらの王宮の王様は、みんな違う王家。
なので、どれも独特の個性があります。
トリノの王宮は、ご存じ、サヴォイア家のもの。
イタリア王国の母体となった一族だけに、王族感が半端ない。
ちなみにナポリはブルボン家。
同じカンパーニアのカゼルタの宮殿も世界遺産で素晴らしいですよね。
ジェノヴァは共和国の元首の一族バルビ家が建てたもの。
カゼルタの王宮と比べるとミニサイズですが、ここも世界遺産。

個人的に大好きなのはカゼルタの宮殿。
ここの広大な庭園の奥には、この世のものとは思えない美しくて幻想的な世界が広がっています。




トリノのパラッツォ・レアーレ。
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トリノ観光に行ったら王宮のほかに忘れちゃいれないものがありますよねー。
そう、カフェ巡り。
こんなゴージャスな王宮のある街には、歴史的なカフェがよく似合います。

『王の街、トリノ』
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トリノのカフェで一番有名なのは、ビチェリン。
ここで注文するのはもちろんビチェリン。



でも、トリノの歴史的なカフェはビチェリンだけじゃない。
という訳で、次回はトリノのカフェの話。


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“トリノ”のグルメガイドの記事は「総合解説」2012年12月号に載っています。
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2015年7月23日木曜日

チーズプラトー

今日はチーズの話。
ロンバルディアのフォルマッジェリーア・アンティカ・カゼーラの提案するチーズプラトー“イタリアの味”の話です。
お店のfacebook
「総合解説」でチーズ専門店の記事を訳したのは多分初めてだと思います。
イタリアもチーズのブームが来てるのでしょうか?

さて、イタリアチーズで構成されたプラトーですが、(写真は「総合解説」のページに小さいのをupしました)
最初は牛乳と山羊乳のソフトチーズ。
干し草の香りの甘口チーズです。
それから徐々に熟成が進み、牛乳のセミハードチーズを経て最後はゴルゴンゾーラ・ピッカンテ。
ミルクは牛、ヤギ、羊、産地はロンバルディア、ヴェネト、トスカーナと、バリエーション豊か。
イタリアのチーズは、パルミジャーノとモッツァレッラだけじゃないなあと、改めて認識しました。

ちなみにこれは、プロヴァンスのビストロのチーズプラトー。
ワインが進みそう。
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The Plateau Provençal at Bistro Vendôme


イタリアのチーズで作るチーズプラトー。
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個性が違う様々なチーズを選んで食べる順番に並べ、野菜やフルーツ、ジャムを添えて彩りよく盛り付ける。
これがチーズ屋さんの仕事なんですね。

さらに詳しい盛り付け方の説明。
 ↓



こんなに数々のチーズを、芸術的なナイフさばきで切り分ける仕事、超楽しそう~。

サルーミ、チーズ、ソースの盛り合わせ。
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わー、パーネ・ディ・マテーラまで。
眼福じゃあ。
この動画を見ながらワイン飲めるなあ。
お気に入りに登録しそうになりました。


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“チーズプラトー”の記事の日本語訳は「総合解説」2012年12月号に載っています。
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2015年7月21日火曜日

キアニーナとピエモンテーゼ

イタリアの牛の話。
まず、イタリアでもっとも古い土着品種と言われている牛で、昔は労働用に飼育されていましたが、今では世界中にその背肉の美味しさが知られている牛、キアニーナ。
大型の牛で雄は1700kg、雌は1100kgにもなります。
毛皮は雄も雌も乳白色。
子牛のころは淡黄褐色。

Tuscan cows


古い牛という根拠になっているのが、古代ローマの詩人、ウェルギリウス(シーザーとほぼ同時代の人)がその素晴らしさを書き記している、ということ。
なので2000年前から優秀な牛として知られている、というわけです。
ちなみに、ウェルギリウスは、イタリアの食文化を語る時、度々登場する重要人物です。

肉の営養価はタンパク質が豊富でコレステロール値が低い、つまり脂肪分が少ない赤身肉で、その風味の良さが特徴。

ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ。
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イタリアを代表する牛をもう1つ。
イタリアで一番普及している品種、ピエモンテーゼです。
遥か昔、更新世にインドから伝わって、ラスコー洞窟にも描かれているオーロックス系牛が祖先。
アルプスなど自然の壁にさえぎられて、ピエモンテ北部に普及していたところ、3万年ほど前にパキスタンからやってきたコブウシとの交配が進み、現在のピエモンテ牛の特徴を備えた品種が誕生したそうです。
中型で白い毛皮。
ミルクは量が少なく、赤身で柔らかい肉が高評価。
15~18か月齢のヴィテッローネが中心。




ピエモンテーゼの代表的料理はピエモンテ風ボッリート・ミスト。
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“イタリア産牛”の記事の日本語訳は「総合解説」2012年12月号に載っています。
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2015年7月16日木曜日

ポドリカ牛

肉の話、続けます。
今日は牛の話。
「総合解説」の“イタリア産牛”の記事の追加解説です。

まずは イタリアに定着した品種の中で、もっともオリジナルの性質を保っている、つまり、厳しい環境にも耐える丈夫さがあって、美味しいミルクを出す牛、ポドリカ。

モンゴルからウクライナのポドリア草原経由で、ローマ帝国崩壊後の紀元452年に、蛮族によってヴェネトのパダナ平野地方に伝わったという説が有力です。
ポドリアはポドリカ牛の原産地だと主張していますが、イタリアの土着品種という説もあります。
ギリシャから伝わったという説もあります。
毛皮は灰色で、雌は白みがかっています。
飼育は、地域によっては秋と春に草原から草原へと移動する移牧方式。
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日照りや高温にも強く、かつては主に労働用でした。

Maggio di Accettura

現在は主に南イタリアで飼育されていて、ミルクから良質のチーズができます。
カチョカヴァッロが有名ですが、ブッラータ用のミルクも、この牛のミルクです。
脂肪分は約4.5%。
さらに、分娩に人手は必要なく、ミルクが栄養豊富で子牛もよく育ち、病気にも強い。
新陳代謝がゆっくりなので餌の腹持ちが良く、少ない餌でも耐えた。
こんなに優秀な牛なのに、欠点はミルクや肉の量が少ない。
そのため、現在は減少の一途。

ポドリカを飼育してカチョカヴァッロを作っているプーリアの農家。 
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カチョカヴァッロ・ポドリコは、南イタリアのチーズの王様と呼ばれ、食後に食べるテーブルチーズ専用。
1~2年熟成させ、一番高価なチーズという人もいます。


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“イタリア産牛”の記事の日本語訳は「総合解説」2012年12月号に載っています。
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2015年7月13日月曜日

ネブロディの黒豚

肉屋さんの話、続けます。
というか、今回は豚の話。

まず、紹介する肉屋さんはシチリアのアゴスティーノ・ニノーネAgostino Ninoneさん。
webページ
ベスト・イン・シシリーというweb雑誌で、2013年のシチリアのベスト肉屋さんにも選出されています。
「総合解説」の記事で彼は、シチリア産の食材を使った肉料理を紹介、ということで、ネブロディの黒豚にブロンテのピスタチオやネブロディのプローヴォラ、黒豚の生ハム を詰めたのローストのリチェッタを紹介しています。

ネブロディの黒豚は、シチリアの土着品種。
ネブロディとは、エトナ山のある山脈地帯です。

ネブロディの黒豚
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ネブロディ豚は野生の状態で飼育されていて、まるで猪のようなのが特徴。
山野を駆け回り、食料が乏しくても過酷な気候や病気にも耐える丈夫な品種です。
ところが、森の減少と、生産性の高い品種の普及が進んで、飼育数は減少の一途。
その後再評価されて国も後押しし、現在では約2000頭が飼育されているそうでが、一種の絶滅危惧種です。
肥育農家はどこも小規模で、その肉は、残念ながら滅多に市場に出回りません。

ネブロディの黒豚の加工品。
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素晴らしい自然が残されたネブロディ州立公園。
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今回、ニノーネ氏は、ネブロディ豚のロースを使ったローストを紹介しています。
ネブロディ豚の肉はさしがあって風味がよく、一般的な豚と違ってロースはぶ厚い脂身に覆われています。
貴重なネブロディ豚ですが、ニノーネさんの店のwebページには、飼育方法から捌き方にいたるまで、詳細に説明されています。
販売は管理組合がしっかり管理しているようです。
管理組合のwebページはこちら



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“ロースト”のリチェッタは「総合解説」2012年12月号に載っています。
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2015年7月9日木曜日

アンティカ・マチェッレリーア・チェッキーニ

今日は肉の話。
じゃなくて肉屋さんの話。
「総合解説」の“ロースト”の記事は、イタリアの有名な肉屋さんが提供したリチェッタです。

最初のフィレンェ風ロースビーフは、“フィオレンティーナの魔術師と呼ばれている人、ダリオ・チェッキーニさんのリチェッタです。
彼のweb ページはこちら
代々続く肉屋の家系で、彼は8代目。
この貫禄で、まだ38歳。→ププ、やっちゃいました。
キャリア38年でした。
失礼しました。
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自らを肉屋で料理人と呼び、ほとばしる情熱を秘めた頑固職人。

彼の店はポンザノ・イン・キアンティのアンティカ・マチェッレリーア・ケッキーノ。
扱っている肉はブランドにはこだわらず、スペインの信頼できる業者から仕入ているそうです。
オッフィーチナ・デッラ・ビステッカなど3軒のレストランもやっています。


下の動画ではイタリアでナンバーワンの肉屋と紹介しています。



豚を解体(グロ注意)しながら肉屋の哲学を語るダリオ。
長いですが、言ってることはとても興味深いです。
英語の通訳付き。
 ↓



確か彼がこのブログに登場するのは2度目です。
イタリアの肉料理の話をするときには欠かせない人なんですね。

彼のフィレンツェ風ローストビーフの特徴は、プロフーモ・ディ・キアンティという地元のミックスハーブをオリジナルで作り、それを加えたオリーブオイルを焼き上がった肉にかけるということ。


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“ロースト”のリチェッタは「総合解説」2012年12月号に載っています。

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2015年7月6日月曜日

シチリアの新しい世界遺産

産業革命の遺産、紆余曲折あったみたいですが、世界遺産に決定でよかったですね。
ところで、イタリアでも新しい世界遺産が決まりました。
イタリアも、世界遺産の数が多すぎる、という問題があります。
新規に登録したいところは、じっくり長期戦でいこうという考えのようです。
1日遅れたぐらいでは動じない。

今回決まったのは、パレルモのアラブ・ノルマン時代の建築物、モンレアーレとチェファルーの大聖堂。


ミラノエキスポのためのシチリアのアラブ・ノルマン時代の建物を紹介する動画。
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モンレアーレはパレルモ郊外の山の上。
行くはのちょっと大変だけれど、金ぴかのドゥオモはさすがに素晴らしい。
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観光地化されているチェファルーは、パレルモからも行きやすく、バカンスの空気に満ちた町で、大聖堂以外も楽しい。
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シチリアは、ヨーロッパ、アフリカ、アラブが出会った場所なので、文化も食文化もとても複雑です。
ギリシャ人が植民して町を作り、ローマ帝国の一部になり、アラブ人がやってきて支配し、新しい農作物が様々伝わります。
柑橘果実、フィーキ・ディ・インディア、アーモンド、サフラン、ごま、クスクス、甘蔗糖、米、ドルチェ・サラートな味つけ、etc。
シチリア料理の個性的な部分は、ほとんどがこの時代の産物ですね。

アラブ人が約1世紀支配した次にやってきたのが北欧のノルマン人でした。
彼らの時代は、シチリアの発展期。
バッカラなどが普及しました。

その後は神聖ローマ帝国やフランス系、スペイン系、オーストリア系と支配者が入り乱れて、シチリアは没落の一途。
スペインの支配力が強まった時代には、新大陸の産物、トマト、ピーマン、カカオなどが入ってきて、シチリアの食文化は一段と鮮やかになります。
さらに、支配者同士が争う時代が長く続き、山猫のティンバッロに代表される貴族の料理というものが確立していきました。

アラブ・ノルマン時代は、シチリアがもっとも輝いていた時代なんですね。
シチリア料理の歴史の中でも、重要な時代です。



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