イタリア料理ほんやく三昧: ポレンタ・タラーニャといなずけ

2015年11月9日月曜日

ポレンタ・タラーニャといなずけ


今日のお題はポレンタ・タラーニャ。
ヴァルテリッリーナ名物の、そば粉入りのポレンタ。




タラーニャというのは、タラなんちゃら地方の料理という意味かなあ、なんて漠然と思っていたら、全然違いました。
ポレンタをかき混ぜる木の棒のことを、地元の方言でタライとかタレッロと呼んだからなんだそうです。
ポレンタのかき混ぜ方は外から内側に向かってかき混ぜるんだそうです。
バターはよく溶かすけど、チーズは溶かしすぎないとか、テクニックが色々あるのですねえ。

ポレンタ・タラーニャは北イタリアの冬の代表的料理の一つなので、いろんなところで語り尽くされた感がありますが、今回の「総合解説」では、『サーレ・エ・ペペ』誌が見つけた新しい情報を紹介しています。

それは、文学で描写された最初のそば粉のポレンタについて。

料理の話の時、よく引き合いに出される文学は、ランペドゥーサの『山猫』、ダンテの『神曲』、ボッカチオの『デカメロン』、カミッレーリの『モンタルバノ警部』シリーズあたり、そしてたまーに登場するのが、イタリア近代小説の最高峰、マンゾーニの『いいなずけ』です。

ぶっちゃけ、モンタルバノ警部以外は手に取ろう思ったこともありませんが、やっぱりイタリア人は読んでるんですねえ。
さらっと、高尚な話題が出てきます。
『いいなずけ』をこれから読む人は、第6章にそば粉のポレンタが出て来るらしいので、お忘れなく。

ちなみに、「・・・曲がった木べらで灰色のそば粉の小さなポレンタを練り混ぜた」
という描写で、イタリア人や料理人なら、これはポレンタ・タラーニャを作っているんだとわかるでしょう。
さらに
「ブナの木の皿にあけたポレンタは、大きな湯気に包まれた小さな月のようだった」
と言われて、その姿が思い浮かぶ人は、湯気のたったポレンタを見たことのある人ですよねえ。
さらにさらに、
この時代は食糧難で、人々は飢えていた、という重要な時代背景もあります。
そば粉はこんな時代に手に入る貴重な食料だったんですね。
つまり、ヒロインはこの月のようなポレンタを待ちわびていたのですが、それでも少なすぎたんだそうです。
ポレンタの陰に、そんな話が隠されていたなんて。

そばは17世紀末にヴァルテッリーナに伝わり、高地でも容易に育ち、他の穀物より早く熟したのですぐに広まりますが、19世紀後半以降、窒素肥料の登場により劇的に生産量が減ります。
イタリアにそば粉のパスタが普及しなかったのは、そのあたりに原因がありそう。

そばの受粉には大量の蜂が必要。
そこで、ヴァルテッリーナではそば栽培と養蜂がセットで行われています。
白いそばの花がきれいですねー。
 ↓



ヴァルテッリーナは蜂蜜でも有名。
特にそばの蜂蜜は、かすかにこしょうやシナモンの香りがして薬効もある上級品。
でも、そばの栽培の減少と共に蜂蜜の生産量も減って、幻の食材になりつつあります。



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“ポレンタ・タラーニャ”の記事とリチェッタの日本語訳は、「総合解説」13/14年2月号に載っています。
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