イタリア料理ほんやく三昧: パナーダス

2015年10月15日木曜日

パナーダス


今日から2月号の「総合解説」の解説です。
まず最初は、地方料理の記事から。
サルデーニャのパナーダスです。
HPの「総合解説」のページに写真と記事のサンプルをUPしてあります。

写真を見る限り、特に何の変哲もない、地味な田舎風のタルトですが、記事を読むと、このタルトにサルデーニャの食文化が詰まっていることが分かります。

まず、サルデーニャ料理を語るときに欠かせないのが、サルデーニャの食文化の柱の一つが、小麦だということ。
その小麦から、サルデーニャ独特のパスタ、パン、ドルチェが生まれてきました。
パナーダスはドルチェではありません。
小麦粉とラードをこねた生地で、発酵もさせませんが、イタリアでは、これをパンの一種とみなすようです。

また、サルデーニャは島とはいえ、漁業より放牧と農業を中心として発展してきました。
海辺は、海賊の侵略やマラリアの危険があったために、内陸で生活をしていたのです。
そのため、サルデーニャの伝統料理は魚より肉料理がベースにあります。
パナーダスも肉を使った料理ですが、なんとそもそもは、放牧中も肉を持ち運べるようにと、保存食として考え出された料理でした。
そういえば、寿司もそもそもは魚の保存食だったなあ。
もちろん、現在ではサルデーニャのビーチが観光客に大人気で、魚料理が島の名物になりつつります。
観光客に人気なのは、アルゲーロの伊勢エビ、カリアリのフレーグラ、ヌーオロの子羊、ガッルーラのヴェルメンティーノといった具合。

集落は内陸にできましたが、島だけあって、昔から様々な侵略を受けてきました。
イタリアの各州の料理をコンパクトにまとめた本、“ラ・グランデ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ”シリーズの『サルデーニャ』によると、フェニキア人に始まって、カルタゴ、ローマ、ヴァンダル、東ローマ、ピサ、ジェノヴァ、アラゴン、カタルーニャ、ピエモンテと、イタリア内外から、侵略され放題です。
そして、パナーダスは、その名前からもわかる通り、スペインの影響でできた食べ物です。
島のどの時期がスペイン支配の時代かというと、だいたい中世からイタリア統一まで。
長い!
パナーダスとはスペイン語で包むという意味のエンパナダスが語源なのですが、エンパナダスで検索するとそっくりの南米の料理ばかり見つかる結果に。
むしろこれは、パナーダスは南米の料理によく似ていると言うべきなのか。

包むという名前のパナーダスは、美しい閉じ方も料理のポイントです。
その閉じ方は“縫う”と呼ばれています。

そのようなことを踏まえて、パナーダス作りの動画をどうぞ。



民族衣装が似合う食べ物ですねー。




確かに、縫物してるようです。


各国のエンパナーダスの動画を見ましたが、やっぱり別物。
サルデーニャのパナーダスは、形がとても美しいです。

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“パナーダス”の記事とリチェッタの翻訳は「総合解説」13/14年2月号に載っています。
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