イタリア料理ほんやく三昧: シェフとレモン

2015年9月3日木曜日

シェフとレモン


アマルフィのレモンの話をしていたら、無性に読みたくなった本がありました。

アマルフィ海岸の町、ミノーリで親の経営するバールを世界的なパスティッチェリーアにしたパスティッチェーレ、サルヴァトーレ・デ・リーゾの自伝的リチェッタ集、『ドルチ・デル・ソーレ』です。








現在はビジネスを世界中に広げているようです。




若い頃のお母さんの水着姿から、店の全スタッフとの集合写真まで、彼が愛するもののすべてを凝縮したこの本の主役は、アマルフィのレモンなんです。
読んでいると、アマルフィで食べたレモンのデリツィアの、うっとりと甘くて、まぶしい白さが蘇ってくるようです。

この本にも、アマルフィのレモンについての解説があります。
それによると、実も汁も皮もすべて利用するアマルフィのレモンは、地元のドルチェに欠かせない食材であるだけでなく、地元の大切な収入源となり、さらに海に面した絶壁の上にあるその段々畑は、アマルフィ海岸の景観を作り上げて多くの観光客を惹きつけています。
地形的要因から機械化ができず、シチリアのレモンのように大量生産されてはいないので、値段は高いし生産量も少ないのですが、なぜかイタリアのレモンい言えば、カンパーニアのレモンというイメージがあります。

この本には、レモンクリームのプロフィトロール、レモンのデリツィア、レモンのティラミスと、レモン味の美しいパスティッチェリーアのドルチェが次々登場します。
中でも気になったのが、1999年に考案された“カロリーナのババ”というオリジナルのドルチェです。

ババはご存知の通りナポリの名物ドルチェ。
酔っぱらうほどたっぷりとリキュールをしみこませたサヴァランです。
そのリキュールにリモンチェッロを使い、レモンクリームのジェラートを添えた1品。
カロリーナとは、モナコのカロリーヌ公女のこと。
彼女にささげられたドルチェなんですね。

もちろんリモンチェッロのリチェッタもあります。
ハロウィーンのケーキなんてのもありますねえ。
子供たちのために作ったんだろうなあ。

ついでに、食材についての造詣が深いカルロ・クラッコシェフは、レモンのことをどう考えているのかと思って、彼の本でレモンについて書いていないか探してみました。
すると、地方料理の本『A QUALCUNO PIACE CRACCO』に、ありました。
カンパーニア州の料理の最初の一品が、意外なことに、ソレント産レモンのカンディートでした。
彼によると、
「カンパーニアでは、イタリアで一番有名なレモンから一番美味しいレモンまで、様々なレモンが栽培されている。
たとえば、アマルフィのスフザートやソレントのオヴァーレなどだ。
カンパーニアはグランデ・パスティチェリーアの地で、レモンは様々な方法で用いられている。
一般的にはレモンは汁を使うが、最高の部位は皮だ。
なるべく新鮮なものがよく、ほろ苦さと適度な酸味、精油とあらゆる香りを含んでいる。
それは典型的なリストランテの味を作り出す香りでもある。
レモンのカンディートは時間があるときに必要に応じて作っておく基本の一つで、ドルチェ、料理の詰め物や付け合わせ、ブラザートの調味などに使う。
真空で数か月間保存もできる。

ちなみに、彼のレモンのカンディートはレモンを丸ごとシロップ煮にするので、作るのは一日がかりです。
さらに追加で、レモンの皮の黄色い部分を切り取った後の白い部分を使って作るマヨネーズのリチッタまで紹介しています。

レモンのカンディートの次に取り上げたカンパーニア料理はババです。
ババは彼の大好きなドルチェで、他のイタリアのドルチェ同様、夏によく合うと言っています。

ソレントのレモン
 ↓



アマルフィとはほんの少ししか離れていませんが、ずいぶん特徴の違うレモンができるんですね。
果汁はアマルフィのものよりやや酸味が強く、皮に精油がたっぷり含まれるので香りが強いのが特徴。
なので、リモンチェッロに一番多く使われているレモンはこの品種。



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“アマルフィのレモン”の記事の日本語訳は「総合解説」13/14年1月号に載っています。
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