イタリア料理ほんやく三昧: 2015

2015年12月24日木曜日

オイルで十字

マレンマ風アックアコッタの話、続けます。

昔のブッテリたちが作るアックアコッタを再現したリチェタ。
 ↓


カウボーイが広大な土地を馬や牛を追いながら持ち運べる食材と、野原に生えているものから作る、野生児の料理。
あまりに質素なせいか、プロの料理人でこの料理の動画をアップしようという人は、滅多にいない模様。
その代わり、豪華にアレンジしようと思えばどうにでもなりそう。

アレンジ版のリチェッタ。
 ↓



興味深いのが、この地方のパンのスープにオリーブオイルをかける時の儀式。
スープの上に十字を切るようにかけるのだそうです。
日本人がいただきますと言いながら手を合わせるように、神聖なものへの感謝の気持ちをこうして表したんですね。
さらに、ブッテリたちにとってエキストラバージンオイルは貴重品。
牧童頭が持っていて、途中で無くならないように、量を管理していました。
だから、料理の仕上げに各皿にオイルを十字の形にかけるのはリーダーの仕事でした。

家畜を飼育する仕事は減っても、カウボーイや強固な仲間の絆へのあこがれからか、ブッテリの人気は衰えず。




アルタ・マレンマ・ブッテリ協会というのがあって(HPはこちら)、所属する全カウボーイ、カウガールを紹介しています。
カッコイイ!!


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“マレンマ風アックアコッタ”の記事とリチェッタの日本語訳は「総合解説」13/14年3月号に載っています。
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2015年12月21日月曜日

マレンマとアックアコッタ

今日のお題は“マレンマ風アックアコッタ”です。

この料理は、個性的なスープが多いトスカーナ料理の、代表的なスープ料理の一つ。
トスカーナ各地で作られている農民料理ですが、正確なルーツは不明で、地方ごとに違ったアックアコッタがあります。
ちなみに、トスカーナ料理のお勧め本、『イル・グランデ・リーブロ・デッラ・ヴェーラ・クチーナ・トスカーナ』には、4種類のアックアコッタが載っています。
アックアコッタの中でももっともよく知られたマレンマ風は、珍しく、そのルーツがはっきりしている料理です。

今月の「総合解説」でも取り上げた『ア・ターヴォラ』の記事の中で、一番印象的だった一文は、

「マレンマのアックアコッタのことをマレンマについて知らない人に話すのは難しい」

というもの。

トスカーナ料理にかかわる人なら、マレンマ地方というのはかなりお馴染みのはずですよね。
トスカーナのティレニア海側の、州の1/4を占める広大な地方です。
質素な地の食材を駆使して、濃い味の料理を作るという、イタリア人が尊敬してやまない料理哲学で料理を作り出してきた地方で、最近では美味しいワインの産地としても有名になりました。
昔は湿地帯でマラリアの発生源で、生きるのも大変な地方だったというのが、一般的なイメージ。

かつては、ダンテの『煉獄』にも、マレンマが悲劇の舞台として登場するほどで、昔から、苦しみや悲しみがつきものの土地でした。
でも、トスカーナ民謡、“マレンマ・アマーラ”に歌われるマレンマは、意外なことに、そこに住む住民にとっては、みんなが嫌うマレンマでも愛してやまず、ここに戻れなくなるのが怖い、という、故郷への愛情に満ちたもの。
さらに、マレンマ風アックアコッタとは、トスカーナ版カウボーイで、マレンマ種の馬を飼育する牧童、ブッテリと呼ばれる人々の料理だったことが知られています。

マレンマ・アマーラ
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ヨーロッパ最後のカウボーイ、ブッテリ。
 ↓



19世紀前半に干拓が始まり、現在では一部は国立公園となり、豊かな自然に満ちたアグリトゥーリズモのメッカとして人気の地となりました。






干拓と共に、マレンマ牛を飼育する牧童たちの仕事はなくなり、今は観光客相手のアトラクションなどをしています。
でも、マレンマ風アックアコッタは、彼らが作り出したものなので、そのリチェッタの中にはブッテーリの伝統が残っています。
マレンマのことを知らないと理解できない料理でも、少しでも知るととても面白い料理です。

アマレンマ風アックアコッタの話、次回へ続く・・・。


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“マレンマ風アックアコッタ”の記事とリチェッタの日本語訳は「総合解説」13/14年3月号に載っています。
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2015年12月17日木曜日

カーチョ・エ・ペペ

もうすぐ発売の「総合解説」13/14年3月号から取り上げる次の地方料理は、カーチョ・エ・ぺぺ。

Spaghettoni Al Cacio E Pepe @ Trattoria Epiro

カーチョ・エ・ぺぺのことを何も知らない時の私は、この料理は、ゆでたスパゲッティをおろしたチーズとこしょうであえる、超お手軽簡単な料理だと思っていました。
ところが、イタリアの料理書にかなり度々取り上げられる記事を読むうちに、どうやらこの料理は、もっと奥の深い重要なものであることに気がつきました。
言うならば、ローマ系パスタ(カルボナーラ、アッラッビアータ、アーリオ・オーリオといったイタリア料理の代表的なパスタ)のルーツではないのか、ひょっとしたら、カーチョ・エ・ペペを知らずしてパスタは、少なくともローマ料理は語れないのでは、と思うまでになりました。

でも、シンプルな料理のわりに、リチェッタが驚くほどバリエーション豊かなのがローマのパスタ。
カーチョ・エ・ぺぺも例外ではありません。
単純にゆでたパスタをチーズとこしょうであえるものから、今回の「総合解説」で紹介しているようにチーズ、こしょう、水をハンドミキサーで攪拌するものまで、かなり様々で、これが正当派だと言える根拠を探すのはかなり大変そう。

ローマ料理の本として信頼されているリヴィオ・ジャンナットーニの『ラ・クチーナ・ロマーナ・エ・デル・ラツィオ』によると、

「この料理は、初めて作るときは必ず失敗する。
酒が飲みたくなる料理なので、最近では深夜の料理として再流行している」
のだそうです。
かなりこしょうが利いてそうですが、彼が本物のロマーノだと認める人物は、この料理に使うこしょうのブランドや、買う店まできっちり決めているそうです。
ジャンナットーニのリチェッタは、ボールに水気をざっと切ったパスタを入れてチーズとこしょうであえるもの。

南イタリアの有名店のパスタを集めた本、『パスタ ; サポーリ・エ・プロフーミ・ダル・スッド』には、ローマのリストランテ・アガタ・エ・ロメオのカーチョ・エ・ぺぺが載っています。
アガタのリチェッタは、オリーブオイルとバターでサフランを溶き、これでまずパスタをあえてからチーズとこしょうを加えます。
こしょうはナイフで粗く潰します。
ちなみにこしょうは花椒を使用。
ペコリーノは、ペコリーノ・ロマーノと、珍しいエンナ産サフランと粒こしょう入りのペコリーノ・ピアチェンティーノのミックス。

カルロ・クラッコシェフは、その著書、『カルロ・クラッコの地方料理』で、こう書いています。

「カーチョ・エ・ぺぺはとても美しくて重要なリチェッタだ。夜や深夜に何か食べたくなったら、カーチョ・エ・ペペこそぴったりな料理だ。
この料理のことを考えると、親友のパオロ・ロプリオーレシェフが作ったカーチョ・エ・ぺぺのことが思い浮かぶ。
自分で作ってみたとき、最初は失敗ばかりで、気に入った味にならなかったが、違うタイプのペコリーノを混ぜるという秘訣をパオロが教えてくれて以来、美味しいものができるようになった」

クラッコのカーチョ・エ・ぺぺは3種類のペコリーノとこしょうでパスタをあえたら生クリームでつなぎます。
ちなみに彼が世界最高の一つと考えているこしょうは、カメルーンのペンジャの黒こしょうです。

“リチェッテ・ディ・オステリーエ・ディ・イタリア”シリーズの『パスタ』にはローマのエノテカ・ヴィーノ・エ・カミーノのトンナレッリ・カーチョ・エ・ぺぺのリチェッタが紹介されています。
それによると、オリジナルのリチェッタではオイルは使わず、最近ではパスタはトンナレッリ、または他の手打ちパスタ、あるいは細すぎない乾麺のパスタがよく使われるそうです。
このリチェッタでは、オリーブオイルでにんにくとこしょうを熱し、パスタとゆで汁を入れて水気がなくなるまで熱し、火から下ろしてチーズを加えます。

すべてのリチェッタが見事に違います。

どのシェフも、自分なりのうんちくを熱く語ってますねー。









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“チコーリア入りカーチョ・エ・ペペ”の記事とリチェッタの日本語訳は「総合解説」13/14年3月号に載っています。
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2015年12月14日月曜日

カリアリの若手シェフ

フレーグラの話のおまけ。
『サーレ・エ・ぺぺ』の記事では、お勧めのレストランも紹介しています。
その中の一つ、カリアリのリストランテ・ダル・コルサーロが登場する動画があったので、サルデーニャにフレーグラを食べに行こうと考えている人のご参考までにどうぞ。

2010年に開かれたブロデット・フェスティバルで優勝したのが、この店のシェフ、当時28歳でした。



店のHPはこちら

記事によると、子ヤギの凝乳酵素のマンテカートのフレーグラとか、とても興味深げなものを出していますよー。
サルデーニャの若手の注目株のようですね。
現在はカリアリに2件目の店、FORKというビストロも出して絶好調のようです。


彼を含むカリアリの注目シェフ4人。
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“フレーグラ”の記事の日本語訳は「総合解説」13/14年3月号に載っています。
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2015年12月10日木曜日

フレーグラ

今日から「総合解説」13/14年3月号の話題です(発売は来週ですが)。
最初の記事は、サルデーニャ料理のフレーグラ。

ブログでも以前に取り上げたことがあるのですが、セモリナ粉が粒々になっていく過程は見ていて楽しいので(記事によると、誰もがそう思うので、フレーグラ作りの実演が収穫祭の目玉になることはよくあるそう)、また貼っておきます。

用意するのはテラコッタの口の広いボウル。
フレーグラはラテン語で“こする”という意味のficareが語源。
ひたすらこすります。




粒は大小さまざまな大きさになるので、完成したらふるって同じ大きさの粒を集めます。
小さい粒、フレグエッダはブロードの浮き身用です。

休ませた後、仕上げに低温のオーブンで乾燥させます。
または昔ながらにパンを焼いた後の薪のかまどに入れると一段と美味しそう。
下の写真はゆでる前のフレーグラ。

uncooked

不揃いの形や大きさ、焼き色がこのパスタの魅力。
他のパスタと違ってでんぷんが溶けださないので味や歯ごたえも違います。

ズッパ・ディ・ペッシェや魚介のスープに入れてもOK。





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“2フレーグラ”の記事とリチェッタは「総合解説」13/14年3月号に載っています。
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2015年12月7日月曜日

カンティネッタにそろえるワイン

「総合解説」13/14年3月号は来週発売のめどがついてきたので、2月号の話題はそろそろ終了。
締めはワインの話です。
恒例の、イタリアソムリエ協会の会長、ジュゼッペ・ヴァッカリーニさんが『ラ・クチーナ・イタリアーナ』誌に連載したコラムから。

今回は、自宅にワインセラーを作るなら、どんなワインをそろえるか。
イタリアワインで時間によって質が上がるワインは、ずばり、バローロ、バルバレスコ、ガッティナーラ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、サッシカイアなど、よく知られた有名どころ。
記事ではさらに、バローロからプリミティーヴォ・ディ・マンドゥリアにいたる各種高級ワインのブオノとエッチェッレンテのヴィンテージまで表にしてあります。

それにしても、バローロは、ブオノとエッチェッレンテなアンナータばかりで悪い年がない。どの年を買ってもだいたい大丈夫。
しかし、マイナーなヴィンテージでもできの良いクリュを探し出すのがワイン通だそうで。
グランヴィンテージを短期間で飲むなら、この手のワインがお勧めだそうです。
なるほど。

バローロくらいのワインになると、カンティーナでヴィンテージごとの出来を発表しているものなんですね。
一例はこちら

ワイン通も目を見張るラ・チャウ・デル・トルナヴェント(クーネオ/hpはこちら)のカンティーナ。
 ↓


下の動画は、カンティーナの中でワインを飲んでいるような気分になる、フィレンツェのワインが主役のレストラン、ピアッツァ・デル・ヴィーノ(hpはこちら)。





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“カンティネッタの品ぞろえ”の記事の日本語訳は「総合解説」13/14年2月号に載っています。
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2015年12月3日木曜日

ミラノのレストラン

今月の「総合解説」で、訳していて一番違和感が残った文章が、ミラノのあるレストランの話。
今年は食がテーマのエキスポで、日本でも何度か話題になったミラノですが、その後、この街はどうなっているのでしょうか。
問題の記事はエキスポ開催前の、景気高揚への期待に満ちた時期の話でした。
それはこんな内容です。
「ワールド・ジョイント・センター20階には、イタリアで一番高い場所にあるリストランテができた」

ミラノ在住の方なら知っているのでしょうか。
ワールド・ジョイント・センター(hpはこちら)。
始めて聞きました。
それと、20階がイタリアで一番高い場所だという情報、イタリア在住の方なら違和感ないんでしょうか。
店のhpによると(こちら)、イタリアどころか、ヨーロッパで一番高い場所についたミシュランの星なんだそうですよ。

軽いカルチャーショックです。



店の名前はウニコ(unico/唯一という意味)。
ちょっと痛く感じるのは私だけでしょうか。

モダンな高層ビルより興味を引いたのは、ポルタ・ロマーナ地区の18世紀の農家再建プロジェクト(hpはこちら)。
カッシーナ・クッカーニャ。
ミラノの中心部に農家の集落を作ろうという画期的な試み。





ミラノの名物料理を出すセルフサービスのレストランや市場もあって、道の駅の雰囲気。
出している料理もモンデギーリ、イワシのイン・サオール、野菜のミネストローネ、ほほ肉のポレンタ添えなど。

最後は、この街のエネルギーを感じる若手の店の料理。
ナイトライフの中心地、ナヴィッリ地区にあってミシュランの星付き。

パニーノ・プッタネスカ
 ↓



ミラノエキスポ前は、街中に勢いがありました。
宴の後、ミラノの現在、そして未来が楽しみです。


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“ミラノ”の記事の日本語訳は「総合解説」13/14年2月号に載っています。
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2015年11月30日月曜日

チュッピンとチョッピーノとムケッカ・バイアーナ

今日はリグーリアのズッパ・ディ・ペッシェ、チュッピンの話。
「総合解説」にもあったように、この料理はサンフランシスコに伝わって、チョッピーノと名を変えて、この海辺の町の名物料理に生まれ変わりました。 (別の説もあり)
動画を探しても、チョッピーノばかりでチュッピンの動画は貴重。
 ↓


記事の元である『ア・ターヴォラ』によると、チュッピンはパンを“浸す”という意味のpuciareが語源だとか。

チョッピーノ
 ↓



この料理、リグーリアとサンフランシスコという港と深い関係のある場所に定着しただけあって、様々な民族の食文化が入り乱れて、その歴史を調べるのは、超やっかい。
調べ始めた現時点で、もうスペイン、アルゼンチン、ウルグアイが登場して、かなり面倒なことになってます。

とにかく、ご本人たちに言わせると、リグーリア料理と南米の料理は似ているものが多いらしい。
言われるまで全然気が付かなかったけど。

そこで『ア・ターヴォラ』が企画したのがリグーリア対ブラジルの料理対決。
「総合解説」ではブラジル料理はカットしました。
ciupppinに似ているブラジル料理はmoqueca baiana だそうです。

moquecaとは、新大陸発見直後の支配者ポルトガル人と、彼らによってアフリカからブラジルに連れていかれた奴隷の食文化が融合して生まれた料理なんだそうです。

ムケッカ・バイアーナ
 ↓



ポルトガル語の食材名、意外とわかるなあ。

そのうち、イタリア料理と日本料理が融合したズッパ・ディ・ペッシェなんてできるかも。


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りグーリア料理のリチェッタは「総合解説」13/14年2月号に載っています。
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2015年11月26日木曜日

スクロッカフージ

今日はマルケのカーニバルのドルチェの話。
マルケ料理なんて、需要あるかなあと思いながらも、訳して今月の「総合解説」に載せました。

というのも、その名前がおもしろかったからです。
名前はスクロッカフージscroccafusi。

いったいどんな意味。
辞書で引いても出てきません。
『ア・ターヴォラ』の記事には、その由来が書いてありました。
scroccafusiの通称は、spaccadentiスパッカデンティ。
歯が欠ける、というような意味です。
つまり、それほど硬い、あるいはかんだ時に歯が欠けたような音がするのだそうです。

そんな硬いお菓子なんて、ますます需要ないなあ。
でも、動画を探してみると、これが意外とあるんです。
マルケの人たちに愛されているお菓子のようです。




素朴な農家的なドルチェで、リチェッタもバリエーションゆたかです。
総合解説に載せたリチェッタは、ゆでてからオーブンで焼くタイプ。

カーニバルのドルチェは、キアッキェレのように州ごとに名前が違う、ということがあります。
チェンチ、フラッペ、ブジーエ、クロストリなど、全部キアッキェレのことです。

このスクロッカフージは、エミリア・ロマーニャのカスタニョーレによく似ています。
今月の「総合解説」にはカーニバルのドルチェのリチェッタも載せています。
13ページにカスタニョーレの写真があるので、6ページのスクロッカフージの写真と見比べてください。

カスタニョーレ

Castagnole: un classico del Carnevale!


さて、ここですぐ思い浮かぶのが、マルケという州とロマーニャ地方の歴史的、地理的関係。
マルケはロマーニャ、トスカーナ、ウンブリア、アブルッツオに囲まれていますが、それぞれ隣接する地方の食の影響を大きく受けています。

余談ですが、マルケmarcheというのは、マルカmarcaの複数形です。
マルカとは、神聖ローマ帝国の領土のことで、各マルカは、マルケーゼmarcheseによって収められていました。
それが、中世になって州全体をマルカの集合体としてマルケと呼ぶようになったのだそうです。

ロマーニャ地方の影響が多かったマルケ北部でロマーニャ地方から伝わったカスタニョーレがスクロッカフージと名前を変えて広まったのかも。
明白な証拠はないけど、それも一考。



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“スクロッカフージ”と“カーニバルのドルチェ”の記事とリチェッタは「総合解説」12/14年2月号に載っています。
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2015年11月24日火曜日

イタリア語講座

今日はイタリア便りです。
では、segnalibroさん、お願いします。

今年も、市が主催する外国人の為のイタリア語講座に通い始めました。
授業は数年前まで使っていた小学校の旧校舎で行われ、生徒のレベルに応じてクラス分けがあります。

scuola

今夏、私が住む市は、市が管理する建物を開放して、成人男性の難民40-50人を受け入れました。
県内でこういう建物がオープンするのは3か所目です。
イタリア語をゼロから始める彼らと同じクラスになったモロッコ女子達が、たくさんの男性に交じって授業を受けるのは嫌だと私達のクラスにちょこんと座っていた為、クラスメートの半数はモロッコ女子という構成になりました。
小学校を2年しか行かなかったからアルファベットが読めないという女子もいて、先生はとても大変そう。
相変わらずカオスです。

前回の授業は事件の後だったので、当然パリの話になりました。
彼女たちに聞いてみたいと思うことはたくさんありますが、デリケートな話題ですし、なにより嫌な気分にはさせたくありません。
ちゃんとした教育を受けて育ったと思われるモロッコ女子が1人いるのですが、彼女自らこの話題を口にして、彼女の口から直接思っていることが聞けて、私の心の中のモヤモヤが少しだけ解消しました。
わかったのは、この事件についてみんな心を痛め、苦しんでいるんだということです。

そして今年から、しっかり出席を取るようになりました。
今年の3月、チュニジアの首都チュニスでバルドー博物館襲撃事件が起こりましたが、別の市のイタリア語講座に通う学生が、共犯の疑いがあるとして警察に連れて行かれたそうです。
結局、その学生は全く関係のないことが判明して釈放されたのですが、彼のアリバイを証明した1つが学校の出席簿だったというのが、出席を取るようになった理由です。

先生のそんな話を聞いていたら、突然誰かの携帯が鳴り、コーランが教室内に響き渡りました。
びっくりしていたら、1日5回あるお祈りの時間を知らせるアザーンなのだそうで、今はそんな携帯のアプリがあると教えてくれました。
今まで地下鉄やバス車内で誰かの携帯からコーランが鳴っていたのは、着信音ではなく、お祈りのお知らせ音だったんですね。
初めて知りました。なるほど。

その夜、イタリアのニュースで、ジャーナリストがパリのレプッブリカ広場で男の子にインタビューする映像が流れました。
「ピストルを持った悪い奴らが来て怖いから、ボクはお家を引っ越したい」と言う男の子に、パパが話しかけた言葉がとっても素敵です。



ピストルには、お花で対抗するんだよ、と言って、供えられたお花やロウソクを指し示すパパ。
こんな事件が起こらないように、私にもできる小さなことは何か、ふとした時に考える日々です。


grazie segnalibroさん。


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2015年11月19日木曜日

冬のトマト

今日のお題はトマトです。
今月の「総合解説」の“冬のトマト”の記事は、
「トマトほど豊かな第二の人生を送っている野菜はない」という文章で始まります。

Pomodori #4

夏の間は畑の王様。
キッチンでは、裏漉し、ホール、ペースト、ドライ、オイル漬けなどに姿を変えて、チューブ、缶、ビンの中で一年中活躍の時を待っています。

鮮やかな赤い色、ふっくらとした丸い形、太陽を閉じ込めたかのような芳醇な果肉。

そういえば、イギリスの有名な動物学者が、人間が「かわいい」と思う条件は、赤ちゃんのように小さくて無力で、柔らかくて、暖かく、顔も体も丸っこくて目が大きいことだと発表したそうですが、トマトもこの条件になんとなくあっているような。
ひょっとしたら、トマトは、人間行動学的に愛される野菜の条件を満たしているのかも。

こんな愛され野菜ですから、一年中食べたいと思うのも当然。
アメリカ大陸からヨーロッパに伝わった当初は、毒があると思われてなかなか広まらなかったものの、18世紀末以降は機械化の波に乗り、移民たちと一緒に船に乗って世界中に広まって行きます。

イタリアでは、トマトは最も消費量の多い野菜で、家庭では年間30㎏のトマトを購入するそうです。
トマトの加工品で一番売れているのはパッサータ。

記事の中で、自家製瓶詰めに最適と考えられている品種として紹介されているトマトは、カンバーニアのピエンノロ(ペンドゥーリ)種の房付きトマト。
完熟前に収穫して、風通しの良い場所に吊るしてじっくり、クリスマスごろまで熟成させます。
炎の大地と優しい海の香りを感じる味わいだそうですよ!




こうやって積み重ねていくんですね。
お見事。

ピエンノロのリングイーネ
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“冬のトマト”の記事とリチェッタの日本語訳は「総合解説」13/14年2月号に載っています。
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2015年11月16日月曜日

アルバ・ペゾーネの『ピッツァ』

ナポリの飲食業界に持つ太いこねを最大限に生かしてプロが作る素晴らしいナポリ料理の本を出しているアルバ・ペゾーネさん。
『パスタ』に続いて 次の本は、『ピッツァ』です。

 
ホームページには近々載せる予定ですが、ついでなので先にこちらで紹介いたします。

この本では、アルバさんが選んだナポリのピッツァイオーロ3人のピッツァを、徹底的に紹介しています。
特に、ピッツァリア・ラ・ノティッツィアのピッツァイオーロ、エンツォ・コッチャ氏は、念入りに取材しています。
ちなみに、裏表紙の印象的な2枚の写真のショートヘアの女性がアルバさん。

ラ・ノティッツィアとエンツォ・コッチャ
 ↓


「ピッツァイオーロは生地を作れりゃいいってわけじゃないよ」と語る、職人気質のおやじさんて感じのエンゾさん。
薪のかまどはどう焼けるかやトマトの品種も知らないでピッツァは作れないよ。
オイルをかけすぎたピッツァはピッツァじゃない、ボッツァpozza“水たまり”だ。
モッツァレッラを切る時は繊維に沿わせんだ、
てな調子です。
こんな人物紹介から始まって、あとは延々とピッツァの写真とリチェッタが続きます。
これが3人分ですから、すごいボリュームです。

個人的に、その中で一番気になったのは、ピッツェリーア・フォルトゥーナのチーロ・コッチャ氏のシラスのピッツァ(P.226)。

彼はエンツォの弟です。
二人のキャリアのスタートは、おばあちゃんがナポリの駅の近くでやっていた店、フォルトゥーナでした。
エンツォは独立して、チーロがおばあちゃんの店とリチェッタを受け継いだんですね。

彼のシラスのピッツァは、生地を厚みを感じさせないほど薄く伸ばし、そこにシラスを生地が見えないほどびっしりと平らに敷き詰めています。
全体的な印象は、3Dじゃなく2D。
立体感が全くない。
生地は焼き色が薄めで、主張しすぎない。
見たとたんにパンではなく、シラスの塩気が伝わってきて、じわっと唾液が出てきます。
余計なものはいらない、シラスを味わってほしい、ていう感じです。
シラスのデリケートさを味わってほしいので塩はしないのだそうです。
調味はオリーブオイル、若いバジリコ、イタリアンパセリのみじん切りのみ。
よほどシラスに自信があるんですね。

こうやってピッツァのアップの写真を100枚以上見ると、各店の個性がよーく見えてます。
生地が薄めの店、焼き色が濃い店、うーん、食べ歩きしたくなる。

3人めのエンツォ・ピッチリッロは揚げビッッァの概念を変える店、アンティカ・フリッジトリア・マサルドーナのピッツァイオーロ。
マサルドーナは、彼のおばあちゃんで店の創業者のニックネイム。

マサルドーナはピッツァ・フリッタ専門店。
 ↓


ヌテッラのバッティロッキオもあったー。
ピッツァ・フリッタは2枚の生地で具をはさみますが、バッティロッキオbattilocchioは生地は1枚で作ります。

ピッツァ・フリッタとバッティロッキオ
 ↓



揚げピッツァの食べ方、勉強になりました。



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2015年11月12日木曜日

アルバ・ペゾーネの『パスタ』

今日はお勧め書籍の紹介です。

タイトルは、ずばり『パスタ』。

http://creapasso.com/books.html

初入荷はだいぶ前のことですが、最近偶然見直したところ、とても興味深い内容で、お気に入りの1冊になりました。

副題に『南イタリアの味と香り」とあるように、南イタリアの有名シェフたちの乾麺のパスタのリチェッタ集です。
カンパーニアのシェフの“黒豚のラグーのパッケリ”に始まって、ローマの“パッケリのアマトリチャーナ”で締める料理の選び方も面白いし、シェフたちに密着した写真も面白い。
料理はどれも美味しそうだし、カッコいい。
本場のプライドがにじみ出てます。

著者は、・・・ん??
アルバ・ペゾーネですと??

ははーん、納得です。
どこかで聞いた名前だと思ったら、この人、『ピッツァ』というこれもまたとても興味深い本も出しているんですよ。
まだホームページには載せてませんが、チラシでぼつぼつ紹介を始めているので、ご存じの方もいるかも。
今気がついたなんて、トホホ。

『ピッツァ』は、その名の通り、ナポリの有名ピッツェリアの料理集です。
著者のペゾーネさんはナポリで生まれてパリでイタリア料理を教えている料理研究家でジャーナリスト。
とにかく地元のこねを活かしまくって精力的に取材し、地元ならではの面白い食材を使って、かゆいところに手が届く、いたれりつくせりの本です。

『パスタ』では最初に、パスタの名前の由来を紹介しているのですが、そういえば、ジーティの名前の由来なんて、知らなかったなあ。

辞書で調べると、男のいいなずけだって。
なんだこりゃあ。

ジーティ
 ↓
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本によると、ジーティは南イタリア独特の穴あきのロングパスタですが、太くて大型のため、乾燥させるのにとても時間がかかるパスタでした。
冬場だと30日かかったそうです。
そのため、結婚披露宴など特別な機会にだけ食べるご馳走でした。
ナポリの方言では、zitoとはfidanzatoという意味なんだそうです。

日常的で身近なものの名前をつけることが多いパスタの名前の中では変わってますね。
ちなみに本で取り上げたジーティのリチェッタは、イスキア島のシェフの“ヒメジ、レーズン、松の実のメッゼ・ジーティ”と、ドン・アルフォンソの“”イカとミニトマトのジーティ。

どちらもとても洗練されていて全然田舎っぽくなく、適度に南を感じさせるパスタです。
特にアルフォンソのパスタはトッピング用のイカに隠し包丁を入れてあぶったのかな。
トマトであえていないので幾何学模様のイカの白い色とトマトソースの赤い色の対比が美しい一品。
メッゼ・ジーティも穴あきパスタ、レーズン、松の実と、こてこての南の食材の組み合わせですが、この強い味にはスパゲッティよりジーティの歯ごたえが合いそうです。

次回は『ピッツァ』の紹介です。



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2015年11月9日月曜日

ポレンタ・タラーニャといなずけ


今日のお題はポレンタ・タラーニャ。
ヴァルテリッリーナ名物の、そば粉入りのポレンタ。




タラーニャというのは、タラなんちゃら地方の料理という意味かなあ、なんて漠然と思っていたら、全然違いました。
ポレンタをかき混ぜる木の棒のことを、地元の方言でタライとかタレッロと呼んだからなんだそうです。
ポレンタのかき混ぜ方は外から内側に向かってかき混ぜるんだそうです。
バターはよく溶かすけど、チーズは溶かしすぎないとか、テクニックが色々あるのですねえ。

ポレンタ・タラーニャは北イタリアの冬の代表的料理の一つなので、いろんなところで語り尽くされた感がありますが、今回の「総合解説」では、『サーレ・エ・ペペ』誌が見つけた新しい情報を紹介しています。

それは、文学で描写された最初のそば粉のポレンタについて。

料理の話の時、よく引き合いに出される文学は、ランペドゥーサの『山猫』、ダンテの『神曲』、ボッカチオの『デカメロン』、カミッレーリの『モンタルバノ警部』シリーズあたり、そしてたまーに登場するのが、イタリア近代小説の最高峰、マンゾーニの『いいなずけ』です。

ぶっちゃけ、モンタルバノ警部以外は手に取ろう思ったこともありませんが、やっぱりイタリア人は読んでるんですねえ。
さらっと、高尚な話題が出てきます。
『いいなずけ』をこれから読む人は、第6章にそば粉のポレンタが出て来るらしいので、お忘れなく。

ちなみに、「・・・曲がった木べらで灰色のそば粉の小さなポレンタを練り混ぜた」
という描写で、イタリア人や料理人なら、これはポレンタ・タラーニャを作っているんだとわかるでしょう。
さらに
「ブナの木の皿にあけたポレンタは、大きな湯気に包まれた小さな月のようだった」
と言われて、その姿が思い浮かぶ人は、湯気のたったポレンタを見たことのある人ですよねえ。
さらにさらに、
この時代は食糧難で、人々は飢えていた、という重要な時代背景もあります。
そば粉はこんな時代に手に入る貴重な食料だったんですね。
つまり、ヒロインはこの月のようなポレンタを待ちわびていたのですが、それでも少なすぎたんだそうです。
ポレンタの陰に、そんな話が隠されていたなんて。

そばは17世紀末にヴァルテッリーナに伝わり、高地でも容易に育ち、他の穀物より早く熟したのですぐに広まりますが、19世紀後半以降、窒素肥料の登場により劇的に生産量が減ります。
イタリアにそば粉のパスタが普及しなかったのは、そのあたりに原因がありそう。

そばの受粉には大量の蜂が必要。
そこで、ヴァルテッリーナではそば栽培と養蜂がセットで行われています。
白いそばの花がきれいですねー。
 ↓



ヴァルテッリーナは蜂蜜でも有名。
特にそばの蜂蜜は、かすかにこしょうやシナモンの香りがして薬効もある上級品。
でも、そばの栽培の減少と共に蜂蜜の生産量も減って、幻の食材になりつつあります。



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“ポレンタ・タラーニャ”の記事とリチェッタの日本語訳は、「総合解説」13/14年2月号に載っています。
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2015年11月5日木曜日

カルチョーフォ・ロマネスコとイル・ポスティーノ

今日のお題は、カルチョーフォ・ロマネスコ。

このブログでは以前にも取り上げて詳しく解説していました。
(こちら)

今回の「総合解説」では、メイド・イン・イタリーの食材として、つまりイタリアを代表する国民的食材として紹介しています。
アーティチョークの中でも、ロマネスコは、アグロ・ロマーノと呼ばれるローマ郊外で栽培される、独特のまん丸い形をした棘のないアーティチョーク。
IGP製品は直径10㎝以上と決められている大型の美しい野菜です。

gastronomia romana

代表的な料理はユダヤ風とローマ風。
そのリチェッタも昔のブログで詳しく訳しています。

前回は、映画『星降る夜のリストランテ』の話題を出して、ユダヤ風とローマ風のエピソードを説明したりしてました。

偶然ですが、今回の記事でも、映画の話が引用されています。
今回の映画は、『イル・ポスティーノ』(1994)です。
イギリスと日本で外国語作品賞を受賞した秀作。
主演の役者が重病をおして演じ続け、撮影終了直後に亡くなったことも衝撃的でした。

この映画のもう一人の主役は、パブロ・ネルーダという実在の詩人です。
この人は、ノーベル文学賞も受賞しているチリの国民的詩人だそうで、そんな詩人がイタリアに亡命していた間のことが、この映画では、美しく感動的に描かれています。

イル・ポスティーノは島の郵便配達人。
狭い世界に住む無垢な青年が、国民的詩人と触れ合って、芸術や生きる喜びに目覚めていくという淡々とした物語です。
ネルーダは、比喩が得意な詩人として知られていました。
そのあたりのシーンをどうぞ。
 ↓



私がこの映を観た時は、パブロ・ネルーダがどれほど世界に影響力を持つ人なのか知りもせず、
ましてメタファーの話なども事前知識は何もありませんでした。
つまり、この郵便配達人と同じ状態。
でも、何も知らないと、新品のスポンジのように、どんどん吸収して、受ける感動も大きいものですね。
小難しい芸術的な話も、なんとなく分かったような気がしたものです。

さて、ネルーダは、アーティチョークもメタファーで表現しました。
国民的詩人は、アーティチョークを何に例えたのでしょう。

ヒントは、アーティチョークの下ごしらえにあります。




答えは、柔らかい実を堅い鎧で包んだ戦士だそうです。
彼が亡命したのはカプリ島だったので、彼が知っていたアーティチョークはロマネスコではなくて、もっと棘々した品種だったはず。
ロマネスコは棘がないので非武装の鎧ばかり立派なボンボンみたいな太っちょ戦士ですね。
私の比喩の才能なんて、こんなもんです。




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“カルチョーフォ・ロマネスコ”の記事の日本語訳は「総合解説」13/14年2月号に載っています。
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2015年11月2日月曜日

エキストラバージンオイルのイタリアンパラドックス

ミラノエキスポ、終了しましたねー。
知り合いのご隠居、いつも、エキスポに行くと言っている割には、まだ人が多いらしいからと様子見をしていたのですが、終了間際になって、とうとう行ってきたそうです。
家に帰るなり興奮して電話してきて、日本の展示が一番よかったよー。5時間並んだけどねー。
だって。
結局、一番混んでいる時に行っちゃったかもねー。
日本は展示デザイン部門で金賞だそうで、かかわった皆さま、おめでとうございます。
お疲れさまでした。

グランフィナーレ
 ↓



ところで今日は、今月の「総合解説」で一番興味深かった記事、“エキストラバージンオイル”イタリアのオイル業界が抱える悩み、イタリアンパラドックスについて。
ガンベロ・ロッソの記事です。

記事によると、イタリアンパラドックスとは、
「イタリア由来のイタリアの文化にルーツを持つ製品で、イタリアの食文化の大黒柱となるようなものが、将来的に外国のものになってしまうということを意味する」
のだそうです。

その一例が、エキストラバージンオリーブオイル。

オイルの味の良さというのは、大手メーカーの大量生産品には感じることはできず、職人が作るアルティジャナーレの高価な製品のみがもつ特徴です。
ところが、そういった品質に特化した生産者は、その利益の大部分をイタリア国内ではなく国外で上げています。
素晴らしいオイルを作るのは難しい、でも、それをイタリアで売るのはもっと難しいのです。

しかし、アメリカのエキストラバージンオイルの市場の98%は低級品で、専門店で販売される上級品はわずか2%だそうです。
ところが、あるアメリカのインポーターが、イタリアの上質オイルメーカーに初の注文として試験的に出した注文数は、このメーカーの1年分の生産量に等しい2万本でした。
確かに、大手に有利な法律で固められた国内で売るより、簡単にもうかりますねー。
アメリカはジャンクフードへの危機感から健康的な食品への注目度が上がっているんだそうです。

でも、ここに落とし穴があります。
外国では、ポリフェノールの量、苦さ、辛さだけに興味を持たれる。
イタリア人は自国の伝統の食文化を広く伝えて価値を高める方法を知らない。
ミラノで食がテーマの万博やったのも、ここらへんのジレンマがあったのかも。
イタリアでは上質オイルが正しく評価されていない。
イタリアの素晴らしいオイルの作り手は、外国の市場がなければ生き延びれないだろう、というのが現状なのです。

で、ある上質オイルの作り手が今、一番注目している市場は、アジアなんだそうです。
特にシンガポール、香港、台湾は、上質オイルの小さなパラダイス。
中国は関心は膨大ですが、まだ知識は少なく、購買金額も低いそうで、まだ大流行とまではいっていないそうです。
日本に関しては、なんと、多くの点でアメリカより先を行っているそうですよ。
イタリアまで勉強に来て、入念に準備している姿が好意的に受け取られているようです。

でも、一番注目している国は、市場が急速に拡大中のノルウェー。
メーカーによっては、ドイツやイギリスを抜いてヨーロッパ最大の輸出国になったところもあるそうです。

メーカーにとっては、確かに一番多く買ってくれるお客が一番いいお客さん。
でも、それが自国ではなくて外国、というのは、結局、スパゲッティやピッツァやパルミジャーノや生ハム同様、エキトラバージンオイルも他国に持ってかれるという危険性をはらんでますねえ。

おまけの動画。
オリーブオイルについて知っておくべき3つのこと。
 ↓



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“エキストラバージンオイル”の記事の日本語訳は「総合解説」13/14年2月号に載っています。
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2015年10月29日木曜日

ハロウィンだけどカーニバルの話

今年もハロウィーンの季節がやってきましたねー。
今年は、例年になく、ご近所が浮足立ってます。
コスプレしてはしゃぐちびっこたちは可愛いのですが、
スクリームのお面に黒いマントの大人が家の前に立ってた時は、通報したくなりました。
大人がこの種の仮装をする時は、遊び心が必要ですねー。

日本のハロウィンは、大人も仮装してはっちゃけるので、気分的にはカーニバルに近いんじゃないでしょうか。
そういえば、今月の「総合解説」は、2月号ということもあり、カーニバル料理の記事が2つあります。
イタリアの伝統的なカーニバルの食べ物と言えば、揚げ菓子、特に、おしゃべりという名の揚げ菓子、キアッキエレが有名ですが、
カーニバルのドルチェとは別に、カーニバルにぴったりの遊び心のあるリチェッタも訳しています。
イタリアの伝統料理という縛りがなくなると、普段は敬遠しているアングロサクソンや永遠のライバルフランス料理も大いに取り入れて、楽しいコースメニューを考え出しています。
聞きなれない英語やフランス語の名前の料理もあったので、今回はこのメニューの簡単な解説です。

まずは、ウーピーパイ。
これはアメリカ版マカロンとう説明の通り、アメリカのお菓子です。
ウーピーパイ
 ↓
Whoopee Pies

ふつうは甘いクリームを挟みますが、そこはイタリア人、記事ではゴルゴンゾーラとマスカルボーネを混ぜたクリームをはさんでいます。
ちなみに、ウーピーは、やったー!という意味。

次はジャンボン・ペルシエ。
ジャンボンはフランス語でハムのこと。
そう、今度はフランス料理です。
豚肉とパセリのゼラチンよせのテリーヌですが、これをとてもカラフルな美しい一品に仕上げています。
きれいだったので、写真は「総合解説」のページにupしました。

ジャンボン・ペルシエ
 ↓



イタリア版は、ズッキーニやパプリカでカラフルに賑やかに仕上げています。
カーニバルには、カラフルな紙吹雪が欠かせませんが、それがモチーフになっています。

紙吹雪が舞うウーディネのカーニバル
 ↓
Carnival. From Inside.

締めのドルチェの1つ、ポップタルトは、ケロッグの製品。
アメリカで大人気の朝食向けお菓子。
薄い長方形のパイにさまざまなクリームをはさんだもの。




どんな味なのか想像もつかないけど、おこちゃまは好きそうですねー。

という訳で、ジョークが利いているなら、なにをやってもOKなのが、カーニバルの料理のようです。
でも、そういう時こそセンスが問われるなー。




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“カーニバル”と“カーニバルのドルチェ”のリチェッタは、「総合解説」13/14年2月号に載っています。
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2015年10月26日月曜日

トラットリア風料理

今日は「総合解説」P.22の記事、“トラットリア風料理”の話。

都会に住むイタリア人がイメージするトラットリア風料理とは、どんなラインナップなんでしょうか。
まあ、だいたい想像がつくのが、気取った高級感よりも家庭的な暖かさ。
前菜からデザートまで、みごとに各地の地方料理のいいとこ取りをした料理が並びました。

前菜はミラノの揚げミートボール、プリーモはトリッパとラビオリ、そしてトスカーナのリボッリータ、メインはほほ肉の赤ワイン煮込み、ドルチェはピエモンテのボネのアレンジ。


前菜がミートボールというのは意外でしたねー。
正確にはモンデギーリという名前です。
この料理については、忘れてましたが、すでにブログで一度、取り上げていました。(こちら)

確かにミラノがスペインに支配されていた時代の名残の料理です。
つい最近も、サルデーニャがスペインに支配されていた時代の名残の料理の話をした記憶が・・・。
そうそう、パナーダスだす。

残り物を有効利用した究極に家庭料理な一品が、トラットリア風コースの前菜。
ミラノ人以外には理解されにくいこの偏愛ぶり。
この記事を考えた人、ミラノ人ですねー。





まあ、トラットリア風料理には、作る人の家庭料理や、過去の記憶への個人的な思い入れが反映される、ということでしょう。
それが醍醐味でもあるし。

でも、次のトリッパは、いかにも典型的なトラットリア料理というイメージ。
イタリア各地に名物トリッパがあるので、作った人がどこで修業したかは、トリッパで分かるかも。

リボッリータは黒キャベツが入っていて、かなり本格的なトスカーナ料理。
これは、珍しいイタリア野菜が手に入ったら、その産地の名物家庭料理にすると、いう鉄則を遵守していますねー。

メインはイタリアだけでなく、多分世界中のトラットリーアの定番中の定番、牛肉の煮込み。

ちなみに、今月の「総合解説」の料理の基礎リーズ、牛肉編のテーマは“ストゥファート”。
肩バラの煮込み、肩肉のブラザート、トマト入りオッソブーコのリチェッタも載せています。

そしてドルチェは、パンとチョコレートのトルタとアマレッティのブディーノの2品。
どちらにもパン粉が入っていますよ。
チョコレートやアマレットの高級そうなケーキも、パン粉が入るととたんに家庭的になるものだなあ。
それと、アマレッティのブディーノは、「総合解説」のページに写真も載せたのですが、
平べったいブディーノの上に、その厚さを上回る高さのホイップクリームが山盛りになっているという、食事の最後にふさわしい大トリ感。
この演出もトラットリア的。





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“トラットリア風料理”のリチェッタは、「総合解説」13/14年2月号に載っています。

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2015年10月22日木曜日

『ラ・クチーナ・ディ・ローマ・エ・デル・ラツィオ』


今日は今月のお勧め本、“イルストラーティ”シリーズ、『ラ・クチーナ・ディ・ローマ・エ・デル・ラツィオ』の紹介です。


本の表紙はローマ野菜の温製サラダですが、裏表紙はがらっと趣を変えて、子羊を見守るように集まっている羊の群れ。
羊の白い毛のフワフワ感と松並木の迫力が伝わって来る中世の絵のような写真です。
このローマやラツィオの地元感が、この料理書の特徴です。



















本は、「パン屋通り」という番地表示の写真から始まって、最初の料理はいちじくと生ハムのピッツァ・ビアンカ、そしてブルスケッタとそのバリエーション、スップリ、ズッキーニの花のフリット、ポルケッタ、ロッショーリのピッツァ・ロッサと続きます(他にも料理はあります)。
Merendeと名付けられたこの章は、ローマが世界に誇るスナックやストリートフードの章です。
早くもがっちり引き込まれますねえ。

続いてMinestraの章。
パスタ・エ・チェーチから始まって、アックアコッタ、エイひれのミネストラなど、家庭的なスープがずらっと続きます。
そしてpaste asciutte。
パスタは、やっぱりカーチョ・エ・ペペから。
カーチョ・エ・ペペの解説文は
「カーチョ・エ・ペペには1001通りのバージョンがあり、美味しく作る秘訣は1002個あると言われています」で始まります。
研究のしがいがあるパスタのようですね。
次はカルボナーラ。
普通、パスタの写真は、テーブルの上に置かれた皿に盛られたパスタがアップになっているものですが、この本は、なぜか、カメラマンの知り合いたちがそのパスタを食べている姿なんです。
カルボナーラは白いタンクトップを着たロングヘアの美女が、スパゲティをセクシーにフォークに巻きつけている姿。
その微笑に気を取られながらページをめくると、次は黒ぶち眼鏡をかけた中年男性が皿にかぶさるような前がみになってカメラ目線で大口を開けてトマトソースの赤いパスタを口の中に押し込んでいる写真がどーんと目に飛び込んできます。
アマトリチャーナです。
トマトソースが白いシャツに跳ねたらすぐに拭くぞ、とでもいうように、手にはナプキンを握りしめています。
はは、面白ーい、と思いながら次のページをめくると、今度は茶色のシャツを着た若者が茶色いナプキンを握りしめてグリーチャを食べています。
はっと気がついて最初の美女の写真まで戻ると、やっぱり。
白いナプキンを握りしめていました。
これは演出なのか、それとも、これがローマ人がパスタを食べる時の習慣なのか。
うーん気になる。
その後も、顔を真っ赤にしてオールドファッショングラスでワインを飲みながらブッタネスカを食べるのは胸毛もじゃもじゃのランニングシャツを着たおじさま、アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノは4コマ漫画風、アッラッビアータを奪い合いながら食べるのは思春期前の著者の二人の子供たち。
かと思えばパヤータのリガトーニや手打ちのフェットゥッチーネなどはプロの美しい手元をじっくり撮影。

もう大分引き込まれてますが、次の肉の章ですっかり夢中。
トリッパやアッバッキオなどの新鮮な食材は、美しいですねー。
でも、やっぱり大トリは野菜の章。
表紙の写真でもわかるように、料理がアートのよう。
というか、アーティチョーク、プンタレッレといったローマの野菜が絵になるのか。
ドルチェの章では、憧れのマリトッツィを発見して、ローマで食べたい、という思いを強くするのでした。


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2015年10月19日月曜日

カラブリア風ラザーニャ

今月の地方料理、2品目は、カラブリアの、サーニェ・キーネです。

カラブリア風ラザーニャとして紹介している動画。
特徴は小粒のミートボール入り。
 ↓



カラブリアでは主に復活祭の時やお祝いの時に食べるラザーニャだそうですが、どうりでゆで卵やアーティチョーク、グリーンピースといった、パスクアの食材がたっぷり入っています。
挽肉をミートボールにしてボリュームのある具にする家庭料理らしい工夫がみられる一方で、トマトソースと野菜のソースを長時間煮込む、パスタを打つ、豆粒大のポルペッティーネを大量に作るなど、主婦の労働量はかなりなもの。
時間もかかるので、この記事のように、朝6時に、ソースの匂いで目が覚めるという、素敵な体験も、あり得ますねー。
小さな子供が、思わずベッドから台所まで直行しちゃう匂いです。

でも、じゃあお婆ちゃんはいったい何時に起きて料理を始めたの?
だってこのソースは4時間も煮込むんだよ、と健気な女の子は思うわけですよ。
そんな思いからか、心優しい少女はお婆ちゃんを手伝って、ポルペッティーネを一緒に作ることにします。
ところが、お婆ちゃんみたいに上手にできない。
どうして?
と悩んで、結局、これは秘密があるのではなく、何度も繰り返さなくては上手くならないんだ、ということにまで気が付きます。
母から娘へ、こうして楽しい思い出と共に家庭料理が受け継がれていくんですね~。

記事の中にある、南部のおばあちゃんの典型的なエプロンというのが気になって画像を調べてみましたが、残念ながら見つからず。
その代わり、カラブリアのカラフルな民族衣装の写真がたくさんヒットしました。
どうやらこれは、15~17世紀にアルバニアからの移民が造った村のお祭りの写真でした。
ポッリーノにあるこの村では、いまだにアルバニア語が話されているそうです。
カラブリアは、まだまだ謎が多いなあ。

サン・パオロ・アルバネーゼのアルバニア風民族衣装。
南部のおばあちゃんのエプロンてこんなイメージ?
 ↓




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“サーニェ・キーネ”の記事とリチェッタの日本語訳は、「総合解説」13/14年2月号に載っています。
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2015年10月15日木曜日

パナーダス


今日から2月号の「総合解説」の解説です。
まず最初は、地方料理の記事から。
サルデーニャのパナーダスです。
HPの「総合解説」のページに写真と記事のサンプルをUPしてあります。

写真を見る限り、特に何の変哲もない、地味な田舎風のタルトですが、記事を読むと、このタルトにサルデーニャの食文化が詰まっていることが分かります。

まず、サルデーニャ料理を語るときに欠かせないのが、サルデーニャの食文化の柱の一つが、小麦だということ。
その小麦から、サルデーニャ独特のパスタ、パン、ドルチェが生まれてきました。
パナーダスはドルチェではありません。
小麦粉とラードをこねた生地で、発酵もさせませんが、イタリアでは、これをパンの一種とみなすようです。

また、サルデーニャは島とはいえ、漁業より放牧と農業を中心として発展してきました。
海辺は、海賊の侵略やマラリアの危険があったために、内陸で生活をしていたのです。
そのため、サルデーニャの伝統料理は魚より肉料理がベースにあります。
パナーダスも肉を使った料理ですが、なんとそもそもは、放牧中も肉を持ち運べるようにと、保存食として考え出された料理でした。
そういえば、寿司もそもそもは魚の保存食だったなあ。
もちろん、現在ではサルデーニャのビーチが観光客に大人気で、魚料理が島の名物になりつつります。
観光客に人気なのは、アルゲーロの伊勢エビ、カリアリのフレーグラ、ヌーオロの子羊、ガッルーラのヴェルメンティーノといった具合。

集落は内陸にできましたが、島だけあって、昔から様々な侵略を受けてきました。
イタリアの各州の料理をコンパクトにまとめた本、“ラ・グランデ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ”シリーズの『サルデーニャ』によると、フェニキア人に始まって、カルタゴ、ローマ、ヴァンダル、東ローマ、ピサ、ジェノヴァ、アラゴン、カタルーニャ、ピエモンテと、イタリア内外から、侵略され放題です。
そして、パナーダスは、その名前からもわかる通り、スペインの影響でできた食べ物です。
島のどの時期がスペイン支配の時代かというと、だいたい中世からイタリア統一まで。
長い!
パナーダスとはスペイン語で包むという意味のエンパナダスが語源なのですが、エンパナダスで検索するとそっくりの南米の料理ばかり見つかる結果に。
むしろこれは、パナーダスは南米の料理によく似ていると言うべきなのか。

包むという名前のパナーダスは、美しい閉じ方も料理のポイントです。
その閉じ方は“縫う”と呼ばれています。

そのようなことを踏まえて、パナーダス作りの動画をどうぞ。



民族衣装が似合う食べ物ですねー。




確かに、縫物してるようです。


各国のエンパナーダスの動画を見ましたが、やっぱり別物。
サルデーニャのパナーダスは、形がとても美しいです。

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“パナーダス”の記事とリチェッタの翻訳は「総合解説」13/14年2月号に載っています。
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2015年10月8日木曜日

牛肉をゆでる

前回、あまり深く考えずに提案してみた問題、bollitoとlessoを日本語に訳す、という件ですが、考えれば考えるほど奥が深い問題だったことが分かってきました。
さらに、クラッコシェフのsbianchireの提案は、この疑問をもっと深く掘り下げる結果に。
クラッコ氏によると、スビアンキーレとは、ゆですぎを防いで過熱を止めるために、ゆで上がった食材を氷水にさらす、というテク二ック。
どうやら、イタリア語のゆでる、lessareには、歯ごたえを残すようにゆでる、という概念がないようです。
しかし、日本料理は、歯ごたえをかなり重視する料理で、ゆでると言ったら、歯ごたえを残す程度に、というのは暗黙の了解になっているはず。

ところが、bollitoとlessoの違いを探すと、イタリア料理のlessareにはあって、日本料理のゆでるにはない概念があることが分かってきました。

具体的には、「総合解説」P.30の3つのリチェッタを見てください。

ボッリートは、「この方法だと肉は味を保つがブロードの風味は弱い」という一文が。
さらにレッソは、「この方法だと肉が香味野菜の香りを吸い込む」
ブロードは、「この方法だと美味しいブロードが取れるが、肉はタンパク質を失う」とあります。

この3種類のゆで方には、このような違いがあるのです。

そこで問題になるのが、日本語のゆでるというテクニックの意味。

和食では、食材の臭みや脂を取って柔らかくするためにゆでます。
そこには味の概念はありません。
むしろ、この後で味を入れるための準備のような意味合いがあります。
味を加えるとなると、煮る、というテクニックになります。

でも、ボッリートもレッソも、加熱しながら味を加える、あるいは、味をなくさないゆで方です。
でも、煮るとは微妙に違います。
ちなみにイタリア語で煮るはcuocereです。
ゆでながら食材に味を加える、というのは、食材本来の味を活かすことを大命題とする和食の概念とは、ちょっと違います。
でも、肉を食べてきた食文化で、肉を柔らかくしながらさらに美味しくする、そのために考え出されたのがボッリートとレッソというテクニックではないでしょうか。

どうやて肉をもっと美味しくするのか、その点に注目しながら、前述の3つのリチェッタを読んでみると、なかなか面白い発見があるはずです。

最後に、クラッコシェフがその料理テクニックを簡潔、かつ詳細にまとめた本、『Dire, fare, brasare』では、lessareの章で、bollitoとlessoの違いを説明しています。
大雑把にまとめると、

lessareにはlessare "A FREDDO"とlessare "A CALDO"の2種類があります。
そして前者がlesssoで後者がbollito。
前者の“フレッドでゆでる"の概念を説明するなら、ブロードが完璧な例になります。
野菜のブロードなら、5リットルの水に玉ねぎ、にんじん、セロリ、ローリエ、イタリアンパセリ、セロリの葉、粒こしょうなど全部の材料を入れて沸騰させます。
そして2時間ゆでます。

“カルドでゆでる”の例としては、鶏のボッリートを挙げています。
この場合は、まず鍋にブロードとほぼ同じ香味野菜を入れて沸騰させます。
ここに鶏を入れて静かに沸騰させながら45分ゆでて取り出します。
そしてソースを添えて、または冷ましてサラダとしてサーブします。
ゆで汁は美味しくはないけれど、捨てずにリゾットやブラザートなどに使います。

フレッドの例としてブロードを挙げていますが、「総合解説」では、これをさらにレッソとブロードに分けています。
つまり、食材を美味しく食べるためのゆで方がボッリート、食材とゆで汁の両方を美味しくするのがレッソ、ゆで汁を美味しくするのがブロードのゆで方です。
中でも特徴的なのが、レッソのテクニック。
日本料理は素材の持ち味を活かす、というのなら、西洋料理はどうやって素材に味を加えるのだろう、という素朴な疑問を抱いていたのですが、つまりこいうことなのか、となんとなく納得しました。

そうそう大切なポイントがもうひとつ。
「総合解説」のレッソは、1㎏の牛の肩バラ肉を使っています。
ボッリートは1㎏の牛のブリスケ。
つまり、要は牛の塊肉を美味しく食べるためのテクニックですよね。

でも、牛肉の塊を調理する習慣のない日本では、代わりに薄~い切り身にしてしゃぶしゃぶする方法が考えだされたのでした。
イタリアでは、薄~い切り身なんて火を通すまでもなく、生で食べますわ。
肉食系なめんなよ、ですわ。

チプリアーニのカルパッチョ
 ↓
Carpaccio Cipriani





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“ボッリート/料理のシリーズ、牛肉編”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年1月号に載っています。

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2015年10月5日月曜日

ゆでる

今日は、今月の「総合解説」料理の基礎シリーズの記事から、“ボッリート”と“レッソ”について。

イタリア語だとbollitoとlesso。

イタリア料理用語の基礎中の基礎ですから、もちろん皆さま両者の違いは、よくご存じでしょう。
ところが、これを日本語にしようとすると、適切な言葉が見つからない。
どちらも“ゆでる”という意味ですが、そのゆでる目的と出来上がったものは、明確に違います。
つまり、イタリア語には、ゆでるという意味の言葉が少なくとも2つあるのです。
でも、イタリア人でも両者の違いがよく分かっていない人もいるようなので、ちょっとだけ専門的な話になります。

その答えは「総合解説」に書いてありますのでご覧ください。
で終わりでもいいのですが、一応、解説の解説です。

ボッリートという名前の料理はありますが、レッソという名前の料理は、あまり見たことないのでは?
これは大きなヒントです。

様々な部位の牛肉をゆでるピエモンテ風ボッリート
 ↓



一方、レッソは鶏肉や野菜によく使う調理方法です。


答えを簡単に言ってしまえば、ボッリートはゆでる食材の味を活かすゆで方で、レッソはゆで汁を美味しくするためのゆで方。
つまり、味を肉に閉じ込めて肉を食べるのと、味をゆで汁に溶け出させてブロードにする方法。

ここで問題です。
和食を代表する料理、しゃぶしゃぶは、ボッリートでしょうか、レッソでしょうか。

うーん、悩むなあ。

実は、以前にも書いたことがある気がするのですが、カルロ・クラッコシェフは、その著書、『ディーレ・ファーレ・ブラザーレ』の“LESSARE”の章で、レッソの調理方法について実に7ページに渡って詳細に分析しつつ、レッソの一つ、日本のしゃぶしゃぶについても深い洞察力で語っています。
彼の初しゃぶしゃぶは日本を訪れたマルケージ氏が驚いた調理方法として作ってくれたものを食べたのだそうです。
彼もかなり衝撃を受けたようで、信じられないテクニックだと書いています。
ボッリートとレッソのゆで方がしみこんでいる国の人からすれば、薄く切った牛肉(クラッコシェフはカルパッチョのようと説明しています)を、だし汁でさっとゆでるだけで、肉も美味しくいただけるし、だし汁も美味しくなるというのは、画期的な調理方法だったのでしょう。

ちなみに、彼の本では、ゆでる調理方法をもう一つ挙げています。
それはスビアンキーレsbianchireです。

クラッコ氏は、イタリアの家庭料理で野菜をゆでると言えば、熱湯に野菜を入れて完全に柔らかくなるまでゆでることだと説明します。
そうそう、これこそが、初めてイタリアでゆで野菜を食べたときに感じた別物感。
日本のゆでると、イタリアのゆでるは違う。
そこで料理人に必要なのが、スビアンキーレのテクニックだと、シェフは語ります。

つまり、沸騰した熱湯に野菜を入れてゆでたらすぐに取り出して氷水で冷やす。
この方法だと色と歯ごたえが活かせます。

考えてみれば、日本では、この方法はよく使いますよね。
野菜だけでなく、麺にまで。

こんな調子で、カルロ・クラッコ氏の本はとても興味深い内容がいっぱいです。
ついでですので、次回はlessareの章をもう少し訳してみます。



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“ボッリート/料理のシリーズ、牛肉編”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年1月号に載っています。
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2015年10月1日木曜日

カラブリアの黒豚


豚がドングリを食べて育つ、という話を初めて聞いたのは、多分、イベリコ豚が出回りだした頃。
それ以来、一般的な豚がどんなものを食べているかも知らずに、ドングリを食べて育った豚の肉は美味しい、という情報だけが刷り込まれてしまいました。

イベリコ豚
 ↓



要は、ブナの木の下で放牧した豚ということでしょか。
でも、それならスペインだけでなく、どこでもできそうですね。
それをインパクトの強いセールスポイントに仕立てた頭脳の勝利なのか。

「総合解説」の“黒豚の生ハムに合うワイン”の記事を訳していて、ちょっとした短い文章が印象に残りました。

それは、
「カラブリアの黒豚は、半野生状態で、どんぐり、栗、根、球根、野生の果実など自然のものを食べて育つ」
というもの。
ほお~、これはむしろ、どんぐりだけ食べている豚より、健全じゃないですか。

しかも
「小麦粉の餌を与えられた豚と違って、肉には多価不飽和脂肪酸が多く、グルテンは含まない。
36か月熟成のものは世界中の生ハムの中でオレイン酸含有量が最も多い」

だそうですよ。
こんな素晴らしい食材が、イタリアにもあるんじゃないですか。

イタリアの農産物がことごとくスペイン産に負けてしまうのは、スマートな宣伝方法を取らず、ひたすらプライド高く、昔ながらの職人技を強調しているだけだからなのかなあと、常日頃感じていたのですが、実は、この点をオリーブオイルで考察した興味深い記事が次回の「総合解説」にはあります。
その話は来月詳しく取り上げます。

カラブリアの黒豚
 ↓



トスカーナの山間部での豚の放牧
 ↓


さすがに豚の放牧は見たことないなあ。
森の濃度が違うというか、ヨーロッパの森は、豚が群れで通れるくらい、足元が広々してますね。

これだけの数の豚を放牧できるということは、どんぐりだけでなく、球根や果実などさまざな餌が豊富にあるということで、他の野生動物にとっても棲みやすい環境があるということ。
野生動物が里に下りてきちゃう環境では、無理だろうなあ。

なかなか貴重な豚のようですが、宣伝下手のカラブリアで、カラブリアの黒豚が、チンタ・セネージやネブローディのように、メジャーになる日は来るのでしょうか。

カラブリアの黒豚のサルーミ
 ↓




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“黒豚の生ハムに合うワイン”の記事の日本語訳は「総合解説」13/14年1月号に載っています。
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2015年9月28日月曜日

レンズ豆

前回ちらっと登場したコテキーノ。
今回は、その相棒、レンズ豆の話。
レンズ豆は12月31日の夜に食べると富と幸福をもたらすと言われています。
イタリア人がどれくらいこのジンクスを信じているかというと、その消費量から計算すると、10人中9人、つまりほぼ全国民が年末年始にレンズ豆を食べているそうですよ。
みんな小金を貯めて幸せになりたいんだなあ。

Untitled

イタリアのレンズ豆は、ウンブリアのカステッルッチョ・ディ・ノルチャ産が有名ですが、これはイタリア産レンズ豆の中で唯一のIGP製品。
他にも色々あります。

ちょっと変わったところでは、シチリアのレオンフォルテのレンズ豆。
レオンフォルテはシチリア中部の町。
生の時は真っ黒ですが、ゆでると茶色くなります。
こんな豆
イタリアでもこんな黒いレンズ豆は珍しいようです。
黒レンズ豆のズッパはお汁粉のよう。




レンズ豆は食物繊維、ミネラル、ビタミン、タンパク質が豊富で、古代には貧者の肉と考えられていました。
レンズ豆は人類が栽培した最古の豆だという説もあり、聖書にも登場します。
そんなレンズ豆ですが、このレオンフォルテのレンズ豆は、10~20年ほど前には消滅の危機にありました。
それが一部の生産農家の努力によって再生したのだそうです。
各地の生産者の努力が実って、国中で愛される豆が生まれているのですね。

「総合解説」では、シチリアのレンズ豆料理としてレンズ豆のポルペッテを紹介しているので、ここでは動画をどうぞ。
ポルペッテは応用がきくリチェッタなので、バリエーションは無数にあります。
ちなみに、ベジタリアンメニューのレンズ豆のバーガーもできます。




ちなみに、黒レンズ豆は、別名ベルーガ・レンズ豆と呼ばれます。
キャビアみたいなのでベルーガなんだそうです。
アメリカではちっょとしたブームのようです。
シチリアの黒レンズ豆に日の目が当たる日も近い。
ベルーガレンズ豆のブレイズ。


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“レンズ豆”の記事とリチェッタの日本語訳は「総合解説」13/14年1月号に載っています。
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2015年9月24日木曜日

山のホームパーティーメニュー

ポレンタの話ですが、以前にもこちらのページやこちらのページで、ポレンタは北イタリアだけのものではないこと、8列とうもろこしの粉で作るポレンタが美味しいらしい、というような話を紹介してきました。
今回の「総合解説」では、全粒粉、粗挽き粉、コーンフラワーなどの粉の種類に合わせて、銅鍋、圧力鍋、普通の鍋でのポレンタの作り方を紹介しています。
来月号では、そば粉入りのポレンタ・タラーニャなど、ポレンタのバリエーションを紹介しています。
ポレンタの入門編としてはかなり詳細な説明。
イタリア文学に登場した最初のそば粉のポレンタの話などという超マニアックな話題まであります。

ポレンタつながりで、今月の「総合解説」の“冬山のディナー”という記事は、素朴な山の料理で構成するパーティーメニューです。
山の食材で作るディナーとは、どんなメニューだと思いますか。
なかなか面白い料理が並びます。

まず、食事の始まりを告げる1品となるのは、木のトレーに並べられたポレンタのクロスティー二。
オーブンでクリルしたポレンタジャッラに、リコッタ、キノコのマリネ、ブレザーオラをのせた一品。
料理の写真はこちらのページ

ブレザーオラはロンバルディアはヴァルテッリーナ名物の牛の干し肉。
これが黄色いポレンタの上にのっているだけで、アルプスにいる気分です。

きのこはカルドンチェッリ。
プーリア料理によく使われるエリンギの一種ですが、ポレンタとブレザーオラに挟まれると、アルプス固有のきのこに見えてくるから不思議。

そして次の料理は、フィラッシェッタ。
聞きなれない名前ですが、ロンバルディアの伝統的フォカッチャ。
写真はこちら
トッピングは赤玉ねぎとバターのソッフリットと、タレッジョやトーマなど、名前の由来にもなっている“とろける(フィーラ)”チーズ、さらに砂糖もかけて焼きます。
これもヴァルテッリーナ料理で、ブレザーオラを添えたりします。

プリーモ・ピアットはそば粉のシュペッツレの玉ねぎのクリームとコテキーノがけ。
シュペッツレはドイツ料理でおなじみですね。
ということは、イタリアでは南ティロル地方、トレンティーノ=アルト・アディジェ州北部の料理ということです。
実は「総合解説」のリチェッタが他のものになっていたので(大変失礼しました)、ここに載せておきます。
材料は問題ありません。

❶ボールに2種類の粉を混ぜて卵を1個割り入れ、塩2つまみを加えて溶く。粉を少しずつ混ぜ込みながら水100mlを加え、均質の生地になったら布巾で覆って30分休ませる。
❷たっぷりの湯を沸かして塩を加える。シュペッツレの型を通して生地を少量ずつ湯に落とす。または鍋の上でポテトマッシャーに通しながら短く切る。1分ゆでて浮かび上がったらすくい取り、すぐに油をまぶす。
❸玉ねぎをみじん切りにして油大さじ2~3とセイボリー、クローブ、塩、こしょうでソッフリットにし、透き通ったら生クリームを加える。シュペッツレを加えてなじませ、小さく切った熱いコテキーノを添える。

コテキーノは、イタリアではレンズ豆を添えて新年に食べる料理として有名ですが、このメニューではコテキーノとレンズ豆をバラバラにして、コテキーノはプリーモ、レンズ豆はサラダにして、セコンド・ピアットに添えました。

セコンドは豚肉のローストのクランベリーのコンポート添え。
肉のローストにベリーを添えるのは北ヨーロッパの手法。

そしてドルチェは、北の山間部で冬の間手に入る唯一のフルーツ、りんごのトルタ。
マロングラッセを加えて素朴さの中にもゴージャス感を。

それでは最後に、イタリアの代表的山岳地の一つ、ヴァッレ・ダオスタのアルタ・クチーナの本のPVを。




山のイタリア料理は、地中海料理としてのイタリア料理とはまったく別の顔で、独自の進化を遂げていますが、アルティジャナーレを尊重するという根本は同じですねー。




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“冬山のディナー”のに日本語リチェッタは、「総合解説」13/14年1月号に載っています。
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2014年1月号の雑誌は一部在庫あります。詳しくはこちらで。

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2015年9月17日木曜日

ポレンタの道具

今月と来月の「総合解説」、イタリア料理の基礎シリーズはポレンタです。

肉のシチューに添えられた黄色いポレンタは、存在感ありますよねー。
料理が2段階ぐらい美味しそうに見えます。

Polenta and cinghiale


北イタリアの代表的おふくろの味、ポレンタ。
種類は家の数だけあると言われています。
でも個人的には、銅鍋でひたすらかき混ぜ続けながらじ~っくり煮る手間のかかる料理というイメージ。

伝統的なポレンタの作り方。
 ↓



もっと伝統的なスタイルでは、取っ手のついたバケツのような銅鍋を暖炉に吊るして、小1時間木べらでかき混ぜながら煮ます。

Polenta

なぜ銅鍋なのか、なぜ長時間かき混ぜ続けるのか。
ポレンタの自動かき混ぜ機もあるくらいなので、取りあえず、かき混ぜ続けるのはポレンタを煮る時の宿命らしい。

まずはポレンタを作る道具の話から始めましょうか。
基本中の基本はパイオロと呼ばれる銅鍋。
ポレンタは煮ている間、すぐに鍋肌にくっついて薄い膜になります。
パイオロには、テフロン加工の鍋のように、ポレンタがくっつきにくいという効果があります。

現代の発明品ポレンタミキサーは、鍋の中央をかき混ぜるのではなく、鍋肌に固まったポレンタをこすり落とします。
ただゆっくり回るだけの動画。癒されるな~。
 ↓



つねにかき混ぜ続けないと、ポレンタが鍋肌にどんどん固まってしまうんですね。そうすると、部分的に硬さの違うポレンタになってしまいます。

次に必要なのはポレンタをかき混ぜる木べら。
特に特徴はなさそうですが、熱いポレンタをかき混ぜ続けるには、ポレンタから適度に離れるような長さが必要。

さらには煮上がったポレンタを鍋からあけて出すまな板のようなカッティングボード。
何にでも張り付くポレンタがくっつかないように、あらかじめぬらしておきます。
さらに、鍋にも張り付くので、あけるまえにパレットで鍋肌から切り離しておきます。

それからなかなか珍しいのが、下のポレンタを切る動画。
カットする時は綿糸を使います。
さらに、ポレンタの下に糸を通して上に向かって持ち上げます。
その逆、つまり上から下だと、ポレンタの表面が乾燥して膜が張っているので失敗します。




ポレンタをカットするのって、気持ちよさそう。
さらに、下の動画も快感。
煮上がったポレンタを広げるだけの動画。
 



カットしたポレンタをグリルしてこんがり焼き色の筋をつけると、また格別に美味しそう。
英語ではこれをポレンタケーキと呼びます。

Polenta Cake


これにチーズやトマトのコンカッセをのせると、前菜やアペリティーヴォになります。




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“イタリア料理の基礎シリーズ:ポレンタ1”の記事の日本語訳は「総合解説」13/14年1月号に載っています。
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2015年9月14日月曜日

アイスカフェ

ようやく天候も落ち着いてきた今日この頃ですが、皆さまお変わりありませんでしょうか。
被災された皆さまには謹んでお見舞い申し上げます。

このところ音沙汰なかったイタリアからも、久しぶりに便りがどきました。
それでは、イタリア便りです。
どうぞ、Segnalibroさん!



今年の夏は、とても暑かったです。
ミラノ市内ではみんながエアコンを使い過ぎるため電力オーバーしてしまい、1日に何度も停電しました。
2003年以来の猛暑だったそうです。
ローマに至っては、なんと136年ぶりの暑さだったのだとか。
イタリアの朝食には欠かせないカフェですが、こんなに暑いと、朝から温かいカフェを飲もうなんて思えません。
日本だったら、関西だったら、レーコーの一言でおいしいアイスコーヒーが飲めるのに。
コーヒーを飲んで、頭をしゃきっとしたいけれど、温かいのはNo Grazie。
そこで、コーヒーゼリーを作ってみたところ、イタリア人には大不評。
見た目も触感も気持ち悪いと言われてしまい、がっかりでした。
イタリアでアイスカフェを飲みたい場合、どうしたらよいのでしょう。
イタリア人のお友達は、暑いうちに砂糖を入れたエスプレッソを作り置きして、それを常温で飲んでいました。

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バールによっては、Caffè freddoカフェ フレッドと言う名前で、氷が入ったグラスに常温のエスプレッソを注いで出してくれるところもあります。
朝から注文する気分にはなりませんが、カフェ味のかき氷、Granita al Caffèグラニータ アル カフェも冷たいコーヒーと言えるでしょうか。
(以下、写真はお借りしています)

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エスプレッソに泡立てた生クリームを加えたCaffè con Pannaカフェ コン パンナも涼しげな感じがして、この夏、何度かやってみました。が、カロリーが気になります。

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それから、Caffè shakerato カフェ シェケラート。

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シェーカーに熱いエスプレッソ、お好みで砂糖やミルク、またはリキュールを注ぎ、氷と共にシェイクしたもの。
シェイクすることによって味がまろやかになるのか、普段コーヒーをたしなまない人でも飲みやすそうです。
夏のイタリアでは、マクドナルドでもメニューに載っているくらい、メジャーなカフェです。
ただマクドナルドの場合、手でシェイクするのではなく、自動でシェイクする機械にかけられます。
機械でシェイクするお店の方がお安いお値段ですが、手でシェイクしてくれるお店の方がもちろんおいしいです。
スペインのバレンシア地方では、エスプレッソと共に、氷とレモンが入ったグラスがサーブされるカフェがあります。
エスプレッソを自分でグラスに注いで飲むのだそうで、見た目が涼しげな上に、なんだかオサレ~。

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イタリアでも、もっと他にありそうだと思っていたら、プーリア州出身の人からcaffe alla Salentina サレント風カフェというものがあると聞きました。
長靴のかかとの部分に当たるサレント半島、一番大きな町はLecceレッチェです。
スペイン統治時代に飲まれていた、レモンと氷入りのカフェがサレント風に姿を変えたものだと言われていますが、スペインのようにレモンは入らず、かわりに南イタリアらしく、アーモンドミルクが注がれます。
レッチェの町の中心にある老舗パスティッチェリアAlvinoのサレント風カフェ。 

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氷を入れたデミタスカップにアーモンドミルクを注ぎ、エスプレッソを加えると、アーモンドミルクの比重が重いので、写真のようにミルクが沈んだままで二層にわかれます。

 
この層を見るのも楽しみの一つなので、透明なグラスを使い、かき混ぜ過ぎず、スプーンで軽く混ぜて飲むのだそうです。
底抜けに暑い、南イタリアのギラギラした太陽のもとでは、甘さがグーっと効いておいしく飲めそう!
カフェのお伴には、カスタードやカカオクリームがぎっしり入ったレッチェの伝統的なお菓子が欠かせないそうです。

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さて、このサレント風カフェ、家でも作ってみたいと思ったのですが、早速、壁にぶつかりました。
ネットで見たレシピによると、使うアーモンドミルクはペスト状、又はミルクかシロップ。
私の住む北イタリアでは、ミルクかシロップしか見たことがありませんが、どれを選んだらいいのでしょう?
何事も初めが肝心。失敗したら、二度と飲みたいとは思わなくなっちゃうかも。

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サレント風カフェでレシピを検索すると、凍らせたアーモンドミルクにエスプレッソを注ぐというアレンジメニューがありました。
LAVAZZAのホームページに掲載されているこのカフェ、来年試してみようかな。

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今年で120周年を迎えたLAVAZZAですが、最近、街中のお店でスペシャル版缶入りカフェが並んでいるのを見かけました。

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お揃いで、カップもあるんだそうです。

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と言う訳で、まだ試せていない、サレント風カフェ。 二層になったカフェを本場で飲んでみたいです。


Grazie Segnalibroさん。
冷たいコーヒー飲んで頭がスッキリした気分です。
残念ながら、カフェ・コン・パンナは飲んでも涼しくならないよー。



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2015年9月10日木曜日

カンティネッタ

今日はカンティネッタの話。

カンティネッタとは、小さなカンティーナのこと。
カンティーナとはワインセラーのこと。
つまり、カンティネッタは小さなワインセラーのこと。

ワインラックタイプのほんとに小さなものから、

Cantinetta


ため息がでる冷蔵庫タイプの本格的なものまで、




そもそも、人はなぜカンティネッタが欲しくなるのか。 イタリアソムリエ協会長のジュゼッペ・ヴァッカリーニ氏は、カンティネッタとは、安売りで大量買いしたワインや特別な機会や客のために買い集めたワインを保存して、美味しく飲むためのもの、と回答しています。 なるほど、おっしゃる通り。

ちなみにカンティーナと言えるのはこんな感じ。
 ↓



もしレストランにこんなカンティーナがあったら見学したくもなります。

でも、気温を10~15℃に保って、車などの振動もなく、湿度も低い場所なんて、猛暑と大雨で苦しんでいる日本では無理。
2~3段の棚じゃ、下が白で一番上が熟成赤ワインなんてことも言ってられない。
取りあえず最低限の条件は、ワインを横向きに並べられてコルクが乾かない程度に首が下がる木製の棚。

DIYのワインラック



お手製でカッコいいワインラックを作ったら、目立つところに置いておきたくなるのは、ごもっとも。
でも、カンティネッタは、暗くて静かな場所に置かないとね。
納戸とか。

ところで、立派な棚や冷蔵庫があっても、問題は、そこに並んでいるワイン。
特に、コレンションするにはどんなワインがふさわしいか、イタリアソムリエ協会長さんが作ったリストが、あります。
これは来月の「総合解説」に載せますので、お楽しみに。


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“カンティネッタ”の記事の日本語訳は「総合解説」12/13年1月号に載っています。
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2015年9月7日月曜日

トリノのジェラートと猫カフェ

トリノの老舗カフェの話の時、ちっょとだけ触れた店、カフェ・フィオリオ。
ここは、あるものの発祥の店として知られています。

行列ができているのはジェラート売場。

Caffè Fiorio


この店、噂によると、食べ歩きのためのコーン入りジェラートを発明した店、なんだそうです。
でも、どうやら、コーンの発明者は別の人のよう。
店のwebページ(こちら)によると、正確には、女性がコーンに盛られたジェラートを食べ歩くのははしたない、と思われていた1930年代に、そのタブーを破るきっかけになったのが、この店のジェラートだった、という話でした。

この歴史のある店は、昔から上流階級や文化人たちのたまり場で、文化を発信する土壌ができていたんですねー。

この店が作り出した流行がトリノ市民に受け入れられて、晴れてイタリアの女性はコーンのジェラートを自由に食べ歩きできるようになったわけです。

ちなみに、カフェ文化が成熟しているトリノは、2014年にイタリアで最初に猫カフェができた街です。
ほぼ同時にもう一軒オープンして、現在は2軒の猫カフェがあるそうです。




話をコーンに戻します。
コーンにジェラートを盛り付ける動画。
 ↓



おまけの動画。
コーンジェラートのキングだそうです。
 ↓


コーンのジェラートには職人の心に火をつける何かがあるらしい。

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トリノの有名老舗カフェを紹介した記事、“ビチェリンetc.”は、「総合解説」
13/14年1月号に載っています。
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2015年9月3日木曜日

シェフとレモン


アマルフィのレモンの話をしていたら、無性に読みたくなった本がありました。

アマルフィ海岸の町、ミノーリで親の経営するバールを世界的なパスティッチェリーアにしたパスティッチェーレ、サルヴァトーレ・デ・リーゾの自伝的リチェッタ集、『ドルチ・デル・ソーレ』です。








現在はビジネスを世界中に広げているようです。




若い頃のお母さんの水着姿から、店の全スタッフとの集合写真まで、彼が愛するもののすべてを凝縮したこの本の主役は、アマルフィのレモンなんです。
読んでいると、アマルフィで食べたレモンのデリツィアの、うっとりと甘くて、まぶしい白さが蘇ってくるようです。

この本にも、アマルフィのレモンについての解説があります。
それによると、実も汁も皮もすべて利用するアマルフィのレモンは、地元のドルチェに欠かせない食材であるだけでなく、地元の大切な収入源となり、さらに海に面した絶壁の上にあるその段々畑は、アマルフィ海岸の景観を作り上げて多くの観光客を惹きつけています。
地形的要因から機械化ができず、シチリアのレモンのように大量生産されてはいないので、値段は高いし生産量も少ないのですが、なぜかイタリアのレモンい言えば、カンパーニアのレモンというイメージがあります。

この本には、レモンクリームのプロフィトロール、レモンのデリツィア、レモンのティラミスと、レモン味の美しいパスティッチェリーアのドルチェが次々登場します。
中でも気になったのが、1999年に考案された“カロリーナのババ”というオリジナルのドルチェです。

ババはご存知の通りナポリの名物ドルチェ。
酔っぱらうほどたっぷりとリキュールをしみこませたサヴァランです。
そのリキュールにリモンチェッロを使い、レモンクリームのジェラートを添えた1品。
カロリーナとは、モナコのカロリーヌ公女のこと。
彼女にささげられたドルチェなんですね。

もちろんリモンチェッロのリチェッタもあります。
ハロウィーンのケーキなんてのもありますねえ。
子供たちのために作ったんだろうなあ。

ついでに、食材についての造詣が深いカルロ・クラッコシェフは、レモンのことをどう考えているのかと思って、彼の本でレモンについて書いていないか探してみました。
すると、地方料理の本『A QUALCUNO PIACE CRACCO』に、ありました。
カンパーニア州の料理の最初の一品が、意外なことに、ソレント産レモンのカンディートでした。
彼によると、
「カンパーニアでは、イタリアで一番有名なレモンから一番美味しいレモンまで、様々なレモンが栽培されている。
たとえば、アマルフィのスフザートやソレントのオヴァーレなどだ。
カンパーニアはグランデ・パスティチェリーアの地で、レモンは様々な方法で用いられている。
一般的にはレモンは汁を使うが、最高の部位は皮だ。
なるべく新鮮なものがよく、ほろ苦さと適度な酸味、精油とあらゆる香りを含んでいる。
それは典型的なリストランテの味を作り出す香りでもある。
レモンのカンディートは時間があるときに必要に応じて作っておく基本の一つで、ドルチェ、料理の詰め物や付け合わせ、ブラザートの調味などに使う。
真空で数か月間保存もできる。

ちなみに、彼のレモンのカンディートはレモンを丸ごとシロップ煮にするので、作るのは一日がかりです。
さらに追加で、レモンの皮の黄色い部分を切り取った後の白い部分を使って作るマヨネーズのリチッタまで紹介しています。

レモンのカンディートの次に取り上げたカンパーニア料理はババです。
ババは彼の大好きなドルチェで、他のイタリアのドルチェ同様、夏によく合うと言っています。

ソレントのレモン
 ↓



アマルフィとはほんの少ししか離れていませんが、ずいぶん特徴の違うレモンができるんですね。
果汁はアマルフィのものよりやや酸味が強く、皮に精油がたっぷり含まれるので香りが強いのが特徴。
なので、リモンチェッロに一番多く使われているレモンはこの品種。



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“アマルフィのレモン”の記事の日本語訳は「総合解説」13/14年1月号に載っています。
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2015年8月31日月曜日

イタリア産レモン

さて、今日はレモンの話です。

アマルフィの八百屋さん。
 ↓
Limones de Amalfi


イタリアのレモンと聞いて思い浮かぶのは、アマルフィ産、それともシチリア産?

世界的に知名度が高いコスタ・ダマルフィのレモンは、段々畑で栽培されています。




収穫は大変。





イタリア最大のレモンの産地はシチリア。

イタリアで、というかヨーロッパで、最初にレモンが栽培されたのはシチリアとスペインでした。
おそらくアラブ人が支配していた時代に伝わったのでしょう。
カンパーニアはかつてはシチリア王国の一部でした。
栽培の記録は11世紀、輸出の記録は14世紀から残っています。

アマルフィのレモンは船乗りたちの壊血病予防のために広まりました。
アマルフィは海洋共和国として栄え、そのレモンは北ヨーロッパを中心に交易品として世界中に運ばれました。
アマルフィのレモンの外見の特徴は、ぽってりとした下膨れのその形。
紡錘形という意味のスフザートというのが通称です。

シチリアのレモンの代表的産地はシラクーザ。
シラクーザで栽培されている品種はイタリアでもっとも一般的なレモンで、栽培面積はアマルフィの10倍以上。

シラクーザレモンの管理組合が作ったPV。




日本語版のPVもありました。



シラクーザレモンのソルベット。
盛り方が素敵。




広大な畑で栽培されているんですね。

それにしてもシラクーザレモンの管理組合は資金が豊富なのか、バンバンPVを作ってます。
アメリカとイギリスを中心に輸出量が増えて、今やヨーロッパ最大のレモンの産地となっているそうです。

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“アマルフィのレモン”の記事の日本語訳は「総合解説」13/14年1月号に載っています。
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2015年8月27日木曜日

ピッツァに最適のチーズは

さーて今日はモッツァレッラの話。

いまさらですが、ピッツァにのせるチーズと言えば、モッツァレッラですよねえ。
生まれた時から刷り込まれていたかのような常識ですが、では、なぜ?
と考えたことありますか?

Pizza Margherita

なぜ他のチーズではいけないのか。

このすごく根本的な疑問を科学的に解明しようという気になったのは、さすがにイタリア人ではなかったようです。
ニュージーランドのオークランド大学だって。
そう伝えているのは『フードサイエンスジャーナル』誌。
記事はこちら
web版タイムのこちらのページでもその記事を伝えています。

目の付け所が面白いですねー。
モッツァレッラ、チェダー、コルビー、エダム、エメンタール、グリュイエール、プロヴォローネ
を実際にピッツァにのせて焼いて、弾力、脂肪分、水分などを測ったのだそうです。
その結果の写真がこちら

焼き上がりの色が、まるで違うんですねえ。
ふつふつ沸騰してこんがり焼き色がついてカチカチにならずにとろーりと焼きあがるのはモッツァレッラだけ。
恐れ入りました~。

実験の結果を伝える動画。
 ↓



とても興味深いですねー。
それでは、本家はピッツァとモッツァレッラのことをどう考えているのか、vera pizza napoletanaの本
Farina acqua lievito sale passione』のモッツァレッラの章をちょっと読んでみました。

すると、ピッツァにモッツァレッラというのは、マルゲリータとマリナーラを区別する時に、“ピッツァ・コン・モッツァレッラ”、“ピッツァ・センツァ・モッツァレッラ”と呼んでいたことからも、ピッツァにはモッツァレッラというのが定着していたと説明しています。
ただし、水牛のモッツァレッラか牛乳のフィオル・ディ・ラッテのどちらがいいかについては、意見が分かれていたようです。
フィオル・ディ・ラッテのほうがドライでいい、という意見が多かったみたいですね。
ただ、少し前までピッツァイオーリはモッツァレッラとフィオル・ディ・ラッテを区別する習慣がなく、すべてのチーズをモッツァレッラと呼んでいたそうです。
ところが現在では、モッツァレッラ・ディ・ブファラ・カンパーナに匹敵するフィオル・ディ・ラッテはフィオル・ディ・ラッテ・アッペンニーノ・メリデイオナーレ(こんなチーズ)だという専門的な認識が出来上がっていました。

それというのも、食文化の情報を伝えるサイトのこちらのページによると、イタリア中南部で作られるフィオル・ディ・ラッテとそれ以外の場所で作られるフィオル・ディ・ラッテは別物なんだそうですよ。

さらにピッツァを薪で焼くときは、電気のオーブンより短時間で焼き上がるので、水分や脂肪分が少ないチーズのほうが仕上がりがきれいなんだそうです。

さらにさらに、焼いているうちに完全に溶けてしまわないように、フィオル・ディ・ラッテは厚さ2~3㎜に切り、モッツァレッラは5~6㎜に切るのだそうです。
そして切ってから少しおいて水気を切ります。

きっとピッツァイオーリさんたちには常識なんでしょうが、念のため。




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“なぜモッァレッラはピッツァに合うのか”の記事の日本語訳は「総合解説」13/14年1月号に載っています。
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2015年8月24日月曜日

ブッラータとパーレビ国王

今日の話は知られざるブッラータの世界。
ブッラータのことを書いていたら、初めてプーリアのアンドリアでブッラータを買った時のことが蘇ってきましたよ~。
(その時の話は昔のブログに書きました。こちらです。)
あの時は、ブッラータを1、2回食べたことがある程度で、どんなチーズかよくわかっていなかった。
だから、お店でも、ブッラータを指さしてこれを1個くださ~い。
と言えば、それですべて済むと無邪気に思ってました。
というか、何も考えてませんでした。

ところが、店のショーケースを見渡しても、ブッラータが見当たらないのです。
とにかくブッラータ1個くださいと言ったら、いきなり大きさは?と聞かれました。
うっ、この質問は想定外。
いろんな大きさのブッラータがあるのかと思っちゃいますよねえ。
でも、正解は、ブッラータの作り方を見るとわかります。

パスタ・フィラータのチーズで袋を作り、その中に、注文に応じた量のストラッチャテッラを詰めます。




その時は、なすすべもなく呆然と立ち尽くしていたら、店員さんが機転を利かせて何人で食べるのか、と問い直してくれました。
3人、と答えたら、店の奥に引っ込んで、すぐにとても小さなブッラータを持ってきました。
作り置きしないで、注文が入ってから、上の動画の作業をするんですね。
そして、さらに、今日中に食べろ、冷蔵庫には入れるな、と店員や他のお客さんからもきつーく念を押されまました。
店員さんはニコリともしないので、こちらはお説教されてる気分です。
アンドリアではブッラータを冷蔵庫に入れたら罪に問われるに違いない、くらいの気持ちで、小さなブッラータを抱えて、その日一日、プーリアを歩き回ったのでした。

でも、ようやくホテルに戻って味わったブッラータは、バターみたいに濃厚で、草原の草のようにフレッシュで、チーズってこんなに美味しいもんなんだーと、味覚の新しい世界を体験することができるくらいの衝撃でした。

それから8年後。
ブッラータの記事を訳していたら、ブッラータにまつわる驚きのエピソードを知りました。
なんと、イランのパーレビ国王が、ブッラータ大好きだった。

パーレビ国王って、今どきの若いもんは知ってるかなあ。
ホメイニ氏によって国外追放されたイランの最後の皇帝で、当時は大きく報道されていたので、普段馴染みのないイスラム圏の人でも、かなり注目されていました。
でも、その王様がブッラータが大好きで、有名なイラン建国2500年の祭典で、世界中から集まったVIPにブッラータを振舞ったと聞くと、なんだか親しみが持てるなあ。

イランの国威発揚の場の公式晩餐会で、唯一のイラン以外の国の産物がブッラータだったというのだから、王様がどれだけでブッラータが好きだったのか想像できるというものです。
しかも招待客は約600人。
アンドリアのチーズ業界も盛り上がったんだろうなあ。

イラン建国2500年祭典
 ↓




冷蔵庫には入れない、というのは、ブッラータとモッツァレッラ共通の、南イタリアの鉄の掟。
もし入れちゃたら、食べる前に湯煎にかけるんだそうです。

モッツァレッラクイ~ズ。
冷蔵保存するときの適温は?というひっかけ問題に、冷蔵庫に入れてはだめと答えたおじさんを大賞賛。
 ↓



その他の問題。
モッツァレッラ1㎏作るにはミルクが何リットル必要?
答えは4リットル。
なぜかみんな知っています。
モッツァレッラ1㎏と水1リットルはどっちが重い?
答えは、同じ。
みんな意外と冷静。



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“モッツァレッラとブッラータ”の記事の日本語訳は「総合解説」13/14年1月号に載っています。
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2015年8月20日木曜日

モッツァレッラとブッラータ

今日はブッラータとモッツァレッラの話。
「総合解説」で、ブッラータとモッツァレッラは似ているようで意外と違う、という記事を紹介していますが、なるほど、記事を読んでみると確かに違いました。

上がモッツァレッラで下がブッラータ。

Mozzarella Di Bufala e Pomodorini

burrata

白くてフレッシュそうだけど、外見は微妙に違う。
さらに、産地が違う。
モッツァレッラはカンパーニアで、ブッラータはプーリア。
しかもモッツァレッラは水牛のミルクから作るけど、ブッラータは牛乳が原料。
もちろん味も違う。
決定的に違うのは、モッツァレッラは中世から作られていたけど、ブッラータは1920年代に誕生。
まだ100年しか歴史がなかった。

この二つのチーズの共通点は、パスタ・フィラータというタイプのチーズ、ということ。
パスタ・フィラータはモッツァレッラに代表される南イタリアのチーズ独特のテクニック。
フィラータとは糸を紡ぐという意味。
お湯や熱いホエーにカードを漬けて水分を出してから練ると、カゼインが糸のようになり、長く伸び~る弾力のある生地になります。

パスタ・フィラータ作り
 ↓



このパスタ・フィラータを水牛のミルクから作ったのがモッツァレッラ。
牛乳から作ったものはフィオル・ディ・ラッテと呼んで区別します。
そしてブッラータは、フィオル・ディ・ラッテから作ります。

ブッラータの製造過程。
 ↓


牛乳のカードを刻んでお湯に漬けて練るとフィオル・ディ・ラッテになりますが、そのフィオル・ディ・ラッテをさらに刻んで生クリームに入れるとストラッシャテッラというものになります。
これをフィオル・ディ・ラッテで作った袋に詰めたものがブッラータです。

なんでそんなに手間暇かけるのかとも思いますが、
そもそも、フィオル・ディ・ラッテを作った残りのパスタ・フィラータを有効利用するために考えだされたのがブッラータなんだそうです。

ブッラータの話、次回に続きます。


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“モッツァレッラとブッラータ”の記事の日本語訳は「総合解説」13/14年1月号に載っています。
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2015年8月17日月曜日

ピッツァ・フリッタとナポリのストリート

今日はピッツァ・フリッタの話。
以前にこのブログでソフィア・ローレンがピッツァ・フリッタを作っている映画を紹介しましたっけ。
こちら

今回の「総合解説」では『ピッツァ・エ・コーレ』の記事を訳したわけですが、この記事でリチェタを提供している店「ピッツェリーア・ラ・フィーリア・デル・プレジデンテ」(HP)がピッツァ・フリッタの動画を上げていたのでどうぞ。





屋台で揚げる文字通りストリート・フードのピッツァ・フリッタ。



食べた~い。
今、食べた~い。

1970年代のナポリのストリート。




安全で小ぎれいな街になる前のナポリ。
すごいエネルギーが伝わってきます。
観光地巡りでは知ることのできないナポリの一面。

下は現在のナポリ(の観光名所)を紹介する動画。
BGMはナポリ生まれのシンガーソングライターでジャズ・ギタリスト、ピーノ・ダニエーレが1977年にリリースした『Napule E'』。
ナポリの厳しい現実を歌っていますが、大ヒットしてナポリの公式賛歌として定着しました。






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“ピッツァ・フリッタ”のリチェッタは「総合解説」13/14年1月号に載っています。
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2015年8月13日木曜日

ピエモンテ風フリット・ミスト

今日はピエモンテ風フリット・ミストの話。

日本料理のてんぷらは、西洋(ポルトガル)から伝わった揚げ物の、極東での進化系。
屋台があったりして、江戸時代には庶民の食べ物だったんですね。
一方、イタリアの揚げ物フリットは、フリット・ミストになって、宴席に登場する料理など、国民的なご馳走として定着しました。
そして、ピエモンテ、ナポリ、ローマなど、各地で名物料理として独特のリチェッタが誕生しました。

ピエモンテ風フリット・ミストは、北イタリアを代表するフリット・ミストです。




「総合解説」にもある通り、ピエモンテ風フリット・ミストは、もともとは質素な農民料理でした。
日持ちのしない部位の肉や、貴族の晩餐の残り物を有効利用した料理です。

現代人には、昔のリチェッタであればあるほど人気が高いようですが、昔のリチェッタとは、肺、睾丸、かえるのもも、豚足、脳みそなど、今では滅多に手に入らない内臓系の食材を使います。
個人的には鶏のとさかのフリットに興味あり。

ただし量は、肉体労働が減った現代人向けに、かなりミニサイズ。
ちなみに、昔は約30種類の食材を使ったそうです。

昔も今も共通なのは、アマレッティなどの甘い食材のフリットが入ること。


ナポリ風フリット・ミスト
モッツァレッラ・イン・カロッツァや揚げピッツァ、フランスから伝わったクロッケッテ入り。
ストリートフードの要素が強い。




ボローニャ風はとにかくリッチ。




数種類の肉や旬の野菜が入るの各地に共通。
さらに、地元ならではの食材が加われば、ご土地フリット・ミストの完成。
料理書にお手本はあるけれど、料理人のアレンジの余地が残されている料理です。
特に甘いフリットは、バナナやジャム入りパヴェジーニなど、アイデア出し放題。




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“ピエモンテ風フリット・ミスト”のリチェッタは、「総合解説」13&14年1月号に載っています。
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2015年8月10日月曜日

エルバッツォーネ

今月の「総合解説」地方料理の2品目は、エミリア・ロマーニャのエルバッツォーネです。

旬の青菜を炒めてパルミジャーノで調味し、タルトの具にしたこの料理は、パルマとモデナの中間にある街、レッジョ・エミリアの農民料理がルーツで、この地方のソウルフードのようなもの。
地元の人からはこよなく愛されているようですが、地元から一歩外に出ると知名度はいまひとつ。
なので、エルバッツォーネを世界中の人に知ってもらいたいというのがレッジョ・エミリア人の悲願。


地元、レッジョ・エミリアの中学生が作ったお見事な動画。



センスいいですね。
なんだか、大阪の人が得意そうなイメージ。
使う青菜は、ビエトラ、ほうれん草、エルベッテが一般的。
名前からして、エルベッテを使う料理なんだろうなあ、と思ったら、なんと、地元ではこの料理
“scarpasòun”(スカルパソウン?)という、エルバッツォーネとは似ても似つかない名前です。

このスカルパというのは、なんとも悲しいことに、畑でとれたビエトラの柔らかい緑の部分ではなく、一番硬くて食べづらい白い部分のことなんだそうです。
だから、純粋に伝統的なスカルパッツォーネは、少々とっつきにくい食べ物なんですねー。
ピーマンを食べない子供になんとか食べさせようとお母さんが工夫するように、みんなが食べたがらないビエトラの硬い部分を、お母さんが工夫を重ねて美味しい料理に改良していったのが、現在のエルバッツォーネ、という訳です。
縁に近い部分と中央部分では歯ごたえが違うから、どこの部分が欲しいと指定できれば、通ですねえ。


ビエトラ(フダンソウ、スイスチャード)は、南ヨーロッパの地中海地方原産の優れた栄養価の野菜。



洗練されたアレンジ。
ビエトラとスカモルツァのキッシュ




最近ではスーパーでも見かけるようになったスイスチャード。
日本のお母さんは、どんな工夫をするんでしょうか。


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“エルバッツォーネ”のリチェッタは「総合解説」13&14年1月号に載っています。
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2015年8月6日木曜日

カルボナーラとカーチョ・エ・ぺぺ

さて、新しい「総合解説」ですが、今号から、2013年と2014年の合併号となっています。

まず最初の記事は、イタリア料理の定番中の定番、カルボナーラ。

この料理は、ルーツが謎に包まれているので、これが正解というリチェッタがない。
地方料理として手に入りにくい地元ならではの食材を使うのに、リチェッタはとてもシンプル。
なのでアレンジし放題。

という訳で、この料理のルーツやリチェッタや伝統を軽々しく語るのは無理、というのが大方の専門家たちの意見のような気がします。
一応、最も信頼されているリチェッタでは、ソースの材料は、グアンチャーレ、ペコリーノ、卵、こしょうのみで、これには大方異論がないよう。

木こりの料理、とする説では、この料理の原型はカーチョ・エ・ぺぺ(チーズとこしょう)と考えられています。
卵の入らないカルボナーラですね。
そう思って見るとなかなか興味深いです。
まずは素朴なカーチョ・エ・ペペ。



次はローマの有名店、ミシュラン1つ星の店、コンヴィヴィオのアンジェロ・トロイアーニシェフが作る洗練されたカーチ・エ・ペピ。




同じシェフのカルボナーラ。




今回の記事を訳していて、初めて、ナポリ料理がルーツという説を聞きました。
チーズと卵のソース、“カーチョ・エ・オーヴァという料理の存在がその根拠です。

カーチョ・エ・ウオヴァ



こうして見ると、日本のカルボナーラはナポリ料理に近いかもしれないなあ。
カルボナーラの謎は、そう簡単には解けそうにありません。



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2015年8月3日月曜日

チンクエ・スタジョーニ

ようやくですが、次号の「総合解説」の販売日は今週末です。
ちょっと面白そうな記事が『ピッツァ・エ・コーレ』、2015年1/2月号に載っていたので、ここでご紹介。
ちなみにこの雑誌は、イタリアのピッツァ業界の業界誌です。

その記事は、“レ・チンクエ・スタジョーニ”(webページ)というブランドのピッツァ用粉で有名な、モリーノ・アグジャーロという製粉会社の、創業家の一員で輸出部長のリッカルド・アグジャーロ氏へのインタビュー。

5 スタジョーニのPV
 ↓




コック服まで売ってるんですね。

インタビュー

御社は30年前にピッツェリーア専門の製粉業を始めて、いわばこの分野の開拓者ですが、このアイデアはどこから生まれたのですか?

 当時のアグジャーロ社の創始者は、このビジネスが今後成長するとを見抜いていました。
30年前、ピッツェリーアはパン用の粉を買っていましたが、配達の問題がありました。
そこで参入の余地があると考えたのです。
そしてそれ以来ずっと、ピッツァに最適な粉のことを研究、開発してきました。
結果的に、モリーノ・アグジャーロはピッツァ専用の粉を作って問屋を通して販売する最初の会社になりました。

御社とイタリアのピッツァイオーリとはどんな関係ですか?

 我が社の発展の基礎はピッツァイオーリです。
ピッツァイオーリ養成の学校を開いたおかげで、ピッツァイオーリが望む粉を作るための新しいアイデアや製品に対する無尽蔵のフィードバックを絶えず入手できるようになりました。

現在のイタリアのピッツァの平均的なレベルはどの程度なのですか?

最近になってようやく、ピッツァイオーリは適切な注目を受けるようになりましたが、イタリアを世界中に有名にした長い伝統のあるこの仕事は、ずっと前からもっと評価されるべきでしたね。
もちろん、食材の品質のよさがそれに貢献していることは明らかです。

国外に目を向けてみましょう。
外国へはいつから、どんな国へ輸出していますか?

 90年代末から、世界中に輸出するようになりましたが、量はわずかです。
小麦粉ような製品を輸出するのは難しいのです。
まだ主な顧客は移住したイタリア人ですね。

あなたの考えでは、どの国がイタリアのピッツァの文化にもっとも近く、敏感ですか?

絶対に日本ですね。
日本のシェフやピッツァイオーリは、頑なにイタリアの品質を求めています。


モリーノ・アグジャーロは、2003年に伝統的な製粉業者2社が合併してできたアグジャーロ・エ・フィーリアグループの一員です。
イタリアで最初のピッツァ用の粉と半加工品専門の会社となりました。
現在はパドヴァ、パルマ、ペルージャの3か所に工場があり、チンクエ・スタジョーニのラインはパドヴァにあります。
この工場では品質や技術の研究開発も行い、工場見学も受けつけています。


アグジャーロ社の古い水車小屋での粉ひき
 ↓



ピッツァ用の粉が30年の歴史しかないのは意外ですが、各メーカーがピッツァイオーリの要望を取り入れて作るのがピッツァ専用粉なわけで、ピッツァイオーリとの結びつきの強さが粉の人気に直結しそうですね。


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2015年7月30日木曜日

トリノの老舗カフェ

さて、トリノの歴史的カフェですが、詳細は「総合解説」をご覧いただくとして、まずはその中の一軒、ムラッサーノ。
店のwebページはこちら

この店の名物は、チョコレートではなく、サンドイッチ。
しかも、サンドイッチ発祥の店として有名なんだそうです。
あれ、サンドイッチは、イギリスのサンドイッチ伯爵が、カードしながら食べられるように考え出したんじゃなかたっけ、と思ってwiki見たら、なんとサンドイッチ伯爵が発明したわけではない、なんて書いてあるー。
ちょっとした噂話に尾ひれがついて、いかにもそれらしい話になってしまたのですね。
すっりその話を信じこんでましたよー。
だからイタリア語のサンドイッチは、サンドイッチじゃなくて、トラメッツィーニtramezziniにという名前なんですね。
HPによると、店の女主人がアペリティーヴォに添えるつまみとして考え出したんだそうです。
そもそも、サンドイッチ伯爵なんて知られてなかった。
それどころか、トラメッツィーニという言葉を考え出したのは、イタリアの食文化の話題にはちょくちょく登場する作家のダヌンツィオなんだそうで、イタリアではこの話が知れ渡っています。
国が変われば食べ物の常識も変わるんですねー。

ムラッサーノのトラメッツィーニの動画を探したんですが、唯一見つかったのが下の動画。
ムラッサーノが出てくるのは4:30頃から。



トリュフとマスカルボーネのトラメッツィーニ。
一言も美味しいと言いませんでしたねー。
どんな味なんでしょう。

さて、お次はチョコレートです。
しかも、ロンドンのアカデミー・オブ・チョコレートが世界一美味しいプラリネと評した店だそうですよ。
アカデミー・オブ・チョコレートって初めて聞いたけど、なんか権威がありそうなので、きっとすごーく美味しいんだろうなあ。

その店は、グイド・ゴビーノです。
店のwebページはこちら
 ↓


そういえば、トリノには、ガンベロ・ロッソがナンバー1ヘーゼルナッツ入りチョコレートクリームに選んだグイド・カスターニャの店もありましたねー。
ほかにも、バラッティ&ミラノやプファティッシュなど、まだまだあります。
そうそう、コーン入りジェラート発祥の店もありましたね。
このお店の話は次号の「総合解説」に載っています。

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“トリノ”のグルメガイドは「総合解説」2012年12月号に載っています。
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2015年7月27日月曜日

王の街トリノ

先日、トリノの世界遺産を紹介するテレビ番組を見て以来、トリノ行きたい症候群を発症しています。
特に、ゴージャスなインテリアや芸術品に囲まれたパラッツォ・レアーレは、死ぬまでに一度は行くぞーと思いたくなる素晴らしさ。
それにしても、イタリアにはいくつパラッツォ・レアーレがあるんだ?
パラッツォ・レアーレとは、王宮という意味。
ちょっと探しただけでも、ナポリやジェノヴァに有名なのがありますねー。
でも、これらの王宮の王様は、みんな違う王家。
なので、どれも独特の個性があります。
トリノの王宮は、ご存じ、サヴォイア家のもの。
イタリア王国の母体となった一族だけに、王族感が半端ない。
ちなみにナポリはブルボン家。
同じカンパーニアのカゼルタの宮殿も世界遺産で素晴らしいですよね。
ジェノヴァは共和国の元首の一族バルビ家が建てたもの。
カゼルタの王宮と比べるとミニサイズですが、ここも世界遺産。

個人的に大好きなのはカゼルタの宮殿。
ここの広大な庭園の奥には、この世のものとは思えない美しくて幻想的な世界が広がっています。




トリノのパラッツォ・レアーレ。
 ↓


トリノ観光に行ったら王宮のほかに忘れちゃいれないものがありますよねー。
そう、カフェ巡り。
こんなゴージャスな王宮のある街には、歴史的なカフェがよく似合います。

『王の街、トリノ』
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トリノのカフェで一番有名なのは、ビチェリン。
ここで注文するのはもちろんビチェリン。



でも、トリノの歴史的なカフェはビチェリンだけじゃない。
という訳で、次回はトリノのカフェの話。


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“トリノ”のグルメガイドの記事は「総合解説」2012年12月号に載っています。
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2015年7月23日木曜日

チーズプラトー

今日はチーズの話。
ロンバルディアのフォルマッジェリーア・アンティカ・カゼーラの提案するチーズプラトー“イタリアの味”の話です。
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「総合解説」でチーズ専門店の記事を訳したのは多分初めてだと思います。
イタリアもチーズのブームが来てるのでしょうか?

さて、イタリアチーズで構成されたプラトーですが、(写真は「総合解説」のページに小さいのをupしました)
最初は牛乳と山羊乳のソフトチーズ。
干し草の香りの甘口チーズです。
それから徐々に熟成が進み、牛乳のセミハードチーズを経て最後はゴルゴンゾーラ・ピッカンテ。
ミルクは牛、ヤギ、羊、産地はロンバルディア、ヴェネト、トスカーナと、バリエーション豊か。
イタリアのチーズは、パルミジャーノとモッツァレッラだけじゃないなあと、改めて認識しました。

ちなみにこれは、プロヴァンスのビストロのチーズプラトー。
ワインが進みそう。
 ↓
The Plateau Provençal at Bistro Vendôme


イタリアのチーズで作るチーズプラトー。
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個性が違う様々なチーズを選んで食べる順番に並べ、野菜やフルーツ、ジャムを添えて彩りよく盛り付ける。
これがチーズ屋さんの仕事なんですね。

さらに詳しい盛り付け方の説明。
 ↓



こんなに数々のチーズを、芸術的なナイフさばきで切り分ける仕事、超楽しそう~。

サルーミ、チーズ、ソースの盛り合わせ。
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わー、パーネ・ディ・マテーラまで。
眼福じゃあ。
この動画を見ながらワイン飲めるなあ。
お気に入りに登録しそうになりました。


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“チーズプラトー”の記事の日本語訳は「総合解説」2012年12月号に載っています。
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