イタリア料理ほんやく三昧: 8月 2014

2014年8月28日木曜日

サルトゥ・ディ・リーゾ

アブルツッォのクレープのティンバロに続いて、今度はナポリのティンバロの話。
そうそう、イタリアにはもう1つ、有名なティンバロがありますよね。
シチリアのティンバロ。
ヴィスコンティの映画『山猫』でも有名になりました。

『山猫』のティンバロを再現するのは、レストランの人気イベントの一つ。
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リッチなパスタを詰めたパイのような料理。

ナポリのティンバロはチキンライスのようなお米のティンバロ。
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アブルツッォのティンバロはクレープのラザーニャ。
写真

これらどれにも共通しているのが、ルーツが上流階級の料理ということ。

庶民の食文化のメッカのようなナポリ料理で、上流階級の料理というのはちょっと異色ですが、ナポリには、貴族と庶民の2つの食文化が育ったことの、明確な証拠の一品でもあります。

貴族料理という特徴から見ても分るように、どの料理にもフランスが絡んでいます。

ナポリのお米のティンバロは、サルトゥ・ディ・リーゾsatrù di risoと言います。
なんとなく、お米のソテーという意味かなあ、ぐらいに思っていたのですが、サルトゥはフランス語の
surtoutのナポリ訛りでした。
surtoutは、イタリア語に訳すと、sopra a tuttoという意味だそうです。
すべての上にあるもの、「至高」といったところでしようか。
そう思ってサルトゥ・ディ・リーゾという名前を改めて見直すと、何とも、謎を秘めた名前であることに気がつきます。

まず、「総合解説」にも紹介したとおり、『ヴィエ・デル・クスト』誌では具の上をお米ですっぽり包むからと解釈しています。
ナポリには、お米料理のイメージがあまりありませんが、米はスペインから伝わりました。
当然、お米料理もありました。

えー、そうなのーと思って、ナポリ料理の集大成、『マッケローニ』を見てみると、“アマルフィレモンのリゾット”とか、“ブローヴォラ入りバターライス”とか“トマトライス”とか、美味しそうなお米料理が一杯載ってますよー。
サルトゥだけでも、3種類あります。

ところが、パスタの人気とは反比例して米はあまり広まらず、高級品になってしまいました。
薬のように万能な貴重品として扱われていたようです。

そこに登場するのがフランス人の支配階級です。
ご存じのとおり、ナポリの歴史はやたら複雑で、アンジュー家やらスペインブルボン家やらフランスブルボン家やらオーストリアハブスブルグ家やらと、いつも他国に支配されていました。
スペインが力を持った時代に伝わったお米を使って、その後、ナポリ料理に絶大な影響を与えたフランス人のお抱え料理人が考え出した料理、それがお米のサルトゥだったのです。

ラ・グランデ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ”シリーズ「カンバーニア」では、“サルトゥ”とは、料理の中で至高の一品、つまり、最高にリッチな料理という意味と解釈しています。

この料理が生まれた経緯を考えると、貴重で最高の食材をたっぷり使ったご馳走、という意味も納得です。

アブルツォのクレープのティンバロはクリスマスや新年に食べるご馳走でした。
シチリアのティンバロは貴族の優雅な晩餐会に登場する料理。
ナポリのお米のティンバロは、スペイン・フランス・イタリアの洗練された食文化の融合。

お米のサルトゥ
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おまけの動画
じゃがいものガットー

ガットーはフランス語のガトーのナポリ訛り。
サルトゥと同じような経緯で生み出された料理。


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“サルトゥ・ディ・リーゾ”を含むナポリ料理のリチェタは、「総合解説」2012年5月号に載っています。
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2014年8月25日月曜日

スクリッペッレ

今日はクレープの話。

「総合解説」2012年5月号の最初の記事は、“スクリッペッレのティンバロ”というアブルッツォ料理です。
この料理は、アブルッツォのテーラモ地方で生まれて今はアブルツォ一帯に広まり、クリスマスや新年の定番料理となっています。
スクリッペッレとは、テーラモ地方の方言でクレープという意味。
卵、水、小麦粉を混ぜたシンプルな生地を平たいフライパンに薄く広げて焼くその料理は、確かにクレープ。

スクリッペッレ
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フランスのクレープをアブルッツォ人がコピーして作ったという説があるのは、なんとなく納得ですが、なぜかアブルッツォ人がフランス人に作り方を教えた、という、超強気なアブルッツォ本家説まであります。
アブルッツォはナポレオンの支配下におかれた時代もあったため、長い間、フランス軍が駐留していたんですねー。

当時の料理の誕生秘話として紹介されているのが、スクリッペッレ・ンブッセscrippelle 'mbusseという料理。
これはクレープのスープで、ティンバロに匹敵するアブルツッォの代表的な一品です。
この料理の誕生秘話は、典型的なイタリア料理の誕生物語。
つまり、見習い料理人がドジをして偶然できちゃった、というもの。

あれ、つい最近こんな話があったような・・・。
そうです、トルタ・カプレーゼも、見習い料理人が、チョコレートケーキにたまたま小麦粉を入れ忘れてできたんでした。

今回のスクリツペッレ・ンブッセは、見習い料理人が(なぜかこの種の話では、必ずドジをした張本人の氏名がやけに詳しく伝わっています。今回も例外ではありません。エンリコ・カストラーニくんです!)
彼が、フランス軍将校のクレープを運んでいる時、よりによって、ブロードの鍋にクレープを落としてしまいました。
ところが、素晴らしい発想力で、びしょびしょのクレープを皿に並べて、ブロードをかけてスープにしてしまったのです。
ドジは見事に隠蔽されました。
しかも美味しい料理だったというわけです。

ンブッセとティンバロ。
 ↓




クレープのスープといっても、タリアテッレのように切るのではなく、くるくる巻いてどーんと皿に入れるんですね。
これはクレープの新しい食べ方かも。
ティンバロは、型に入れて固めるのでなく、ラザーニャのように重ねます。
ラザーニャより軽そう。

中に散らすチーズがアブルッツォ産ペコリーノで、バターではなくラルドや生ハムの脂身をフライパンに塗れば、クレープも立派にイタリアのクチーナ・レジョナーレですね。



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“スクリッペッレのティンバロ”のリチェッタと記事の日本語訳は「総合解説」2012年5月号に載っています。
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2014年8月21日木曜日

ヴィンサント

今日はヴィン・サントの話。

『ラ・クチーナ・イタリアーナ』のウィン・サントの記事を訳していて、ぶとヴを干す光景に圧倒されました。
そういえば、最近飲んでないなあ。

カントゥッチを添えたヴインサントは、絵になるなあ。




ヴィン・サントは、ヴィーノ・パッシートと呼ばれるワインの一種。
ぶどうを収穫後、復活祭の頃まで干すのが伝統的。
聖週間(セッティマーナ・サンタ)と呼ばれる収穫祭の前の一週間は、世界中のキリスト教徒がキリストの復活を祝って祈りをささげている期間です。
この間干したぶどうは、糖分が凝縮されるだけでなく、ありがたい神的なご利益まで加わって、癒しパワーが倍増、とキリスト教徒は感じるらしいです。
キリスト教徒じゃなくても、ヴィンサントを飲むとHPとMPが多少は回復する気がするはず。
一説によると、ミサにこのワインを使用したら効果てきめんだったので、次第に“聖なるワイン”という呼び方が定着したのだそうです。
あくまでも一説ですが。

パツシートワインなら、パッシート・ディ・パンテッレリーアといった美味しいのもありますが、ヴィンサントとの最大の違いは、ご利益感かもしれません。
そういえば、ヴィン・サントは、地区によってはぶどうを干す期間は3月31日までと定められています。
今年の復活祭は4月20日だったので、ご利益薄いかもー。

パッシートのロック。
あー、生き返りそう。




トスカーナのヴィンサントのベースとなるぶどうは、トレッビアーノ、マルヴァジーア、カナイオーロなど。
干す方法は、天井からつるすか、棚に広げるか、枝につけたまま干すかの3通り。
わざわざ収穫してから今度は天井から吊るして干すなんて、どんだけ手間がかかっているのでしょう。
ヴィンサント用ぶどう
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スペースを節約するスパイラルラック。



こうやって干したぶとうを絞ってから最低3年間発酵、熟成させます。

復活祭にぶどうを絞る。
これはご利益ありそー。
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ヴィンサントができるまで

ハイテクは一切使わず、親子二人だけで造り上げるモンテプルチャーノの“聖なるワイン”。
これは飲んでみたい。


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“ヴィンサント”の記事の日本語訳は「総合解説」2011年4月号に載っています。

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2014年8月18日月曜日

リグーリアの塩漬けアンチョビ

今日は塩漬けアンチョビの話。
リグーリア産のアンチョビを使ったIGP製品の話です。

これは、リグーリアの海で水揚げされたヨーロッツパカタクチイワシを使った製品ですが、その名を有名にしたのは、リグーリア料理というより、バーニャ・カウダやヴィテッロ・トンナートといったピエモンテ料理。
ピエモンテでは、アンチョビは海のパンpan do maと呼ばれるほどよく食べられていました。

ピエモンテ南部のリグーリア州と接している県、クーネオ県には、かつて塩漬けアンチョビ作りで知られた地方がありました。
ヴァッレ・マリア地方です。

こんな地方です。
 ↓



海やアンチョビとは縁もゆかりもなさそうな渓谷地帯です。
山を超えた向こう側がリグーリアという地形を生かして、主にユダヤ系の人々が、冬の間の収入源として、リグーリアで仕入れたアンチョビを塩漬けにしてピエモンテの山間部やポー河沿いの地方を行商して回ったのです。
その結果、アンチョビは海のないピエモンテ中に広まりました。

山の中で暮らす人にとって、塩は命に関わる大切なものでしたが、イタリアでは塩は1974年まで専売制だったので、買わなければ手に入らなかったのです。
そのため、考え出されたのが、塩漬けアンチョビの樽にまぎれこませて塩を密輸する方法です。
つまり、アンチョビの行商人には、金持ちに塩を売るという裏稼業があったのです。

塩漬けアンチョビの行商人

リグーリアの塩漬けアンチョビ作り





ヴィテッロ・トンナート



アンチョビとの組み合わせで思い浮かぶのが、ローマのプンタレッレのサラダ

「総合解説」では、リグーリア料理としてビエトラのアンチョビ風味を紹介しています。
アンチョビのソースは、色んな野菜に合いそうですね。

おまけの動画。
ローマの大人気ピッツァ職人、ガブリエレ・ボンチ氏
ボンチのブッラータ、アンチョビ、プンタレッレのピツツァ

すごく面白そうな組み合わせ。
食べてみたーい。



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関連雑誌;『サーレ・エ・ぺぺ』2012年4月号、“塩漬けアンチョビ”の記事と“ビエトラのアンチョビ風味”のリチェッタの日本語訳は、「総合解説」2012年4月号に載っています。

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2014年8月14日木曜日

サンブーカ


それでは、イタリア便り「サンブーコ」編の続きをどうぞ。

 
 
 
ところで先日、友人宅でBBQをおよばれした時のこと。

お腹いっぱい食べた後のカフェタイムに、『私のカフェにはサンブーカ(sambuca)入れてー』ってリクエストした友人がいました。

サンブーカ!!

カフェに数滴垂らしたり、オサレ~にコーヒー豆を浮かべたりして飲む食後酒サンブーカ、これってサンブーコと何か関係あり?

 (オサレ~な写真をネットから拝借)


 

イタリア語には男性名詞と女性名詞があり、例えば、オレンジの実はaranciaで女性名詞ですが、オレンジの木は男性名詞でarancio。
オリーブの実はolivaですが、木はolivo となるんです。
店頭に並んでいるサンブーカの原材料を見てみましたが、アニスのアロマ、または大ざっぱにナチュラルなアロマという表示のみで、サンブーコの文字はなし。
サンブーカはアニス酒に似たリキュールで、起源をたどればエトルリア時代までさかのぼるとか。
19世紀の終わり頃、ラツィオ州のチヴィタヴェッキアという町で商業化に成功したそうで、ラツィオ州産のお酒として知られています。
サンブーコのお花エキスが含まれているという説もありますが、よく見かける大手メーカーMolinari社のHPでは、うちのサンブーカはサンブーコとは全く関係ないよってきっぱり断言。
こういうのってコカコーラみたいに材料は極秘なことが多いだろうから・・・うーん、謎です。
で、よく考えたら私、アニスは苦手で、何度か飲んだことのあるサンブーカ、あまり好きじゃなかったんでした。
次回BBQのおもたせは、サンブーカとサンブーコのシロップにして、食前酒はHugoにしてもらおうかなー。





segnalibroさんのイタリア便りはここまでです。
いつもGrazie!
日本人は、サンブーコという植物には全く馴染みがありませんが、サンブーカというリキュールなら、イタリア料理にかかわる人ならよく知ってますよね。
それに、赤毛のアン(だったかなあ)とか、欧米の民話には、ニワトコという言葉は度々登場するので、見たこともない不思議な植物を想像していた子供の頃の感覚とリンクして、この名前に懐かしい響きを感じる人もいるのでは。

それにしても
サンブーカはにわとこのリキュールだと、何の疑いもなく思ってましたよ。
ところが、ベースはアニスだったんですねー。
ペルノーの仲間だったんですね。
これにサンブーコの花の香りを加えたのが、サンブーカ。
ちなみに、サンブーコには“ビアンカ”と“ニグラ”の2種類があります。
後者はコーヒーやチョコレート風味。
“モスカ”と呼ばれるコーヒーの粒を入れたグラスにサンブーカを注いで飲むのはビアンコ(透明)。




コーヒー豆は3粒入れるんですね。


モリナーリのCMで涼しくなってください。




おまけの動画。
暑い季節はカンパリが美味しい。
キューバとイタリアの融合。
カンパリ・モヒートの作り方。
 ↓


いやー、カクテルが飲みたくなる。


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2014年8月11日月曜日

サンブーコ

今日はsegnalibroさんのイタリア便りです。
ではどうぞ。



ランチを頂いたレストランで、帰り際になってから、美味しそうなクロスタータがあることに気がつきました。



あぁ、食べなかったことをちょっと後悔。
後から来た見知らぬシニョーラは、迷わずこれをチョイス。
美味しいわ、ですってー。
くぅ、なんだか敗北感。
これ、サンブーコ(Sambuco)のジャムを使ったクロスタータだそうです。
ん?サンブーコって何??

辞書を引くと、日本語では西洋ニワトコという木。
英語ではElder、ドイツ語ではHolunderと言い、ヨーロッパではハーブとしてよく使われる植物のようです。
私、知らなかったわ・・・と思っていたら、スーパーでジャムを発見。
シチリアのカターニアにある会社が作っているもの。思わず購入してしまいました。




サンブーコの実は、山椒の実を連想させる連なり方をしていて、1つ1つ切り離してジャムにするのは大変そう…なんて思いながら、いっただっきまーす。
英語ではこの実をElderberryと言うそうで、このジャムは野イチゴみたいな甘酸っぱい味がします。
口当たりが気にならない程度の種が混じっていますが、野生っぽくて気に入りましたよ。

イタリアでのサンブーコのレシピを調べてみると、実はジャムに、お花はフリットにして食べたり、レモンと一緒にシロップにつけて飲み物にしたりするようです。
また、お花をアルコールにつけてお酒にするというレシピもありました。
あれっ、そういえば私、サンブーコのお花を近所で見てるかも。
6月頃、とってもいい匂いのする可愛いお花が咲いたので、誰かに名前を教えてもらおうと写真を撮っておいたんです。




解決!これ、サンブーコのお花でした。
シチリアのエンナ県トロイーナという村には、サンブーコのお花を使ったvastedda cu sammucu というフォカッチャがあるそうです。
生地にお花とチーズ、サラミ類をはさんで焼いたもので、5~6月にかけて行われる守護聖人サンシルベストロのお祭りには欠かせない一品なんだとか。
素敵な香りのするパンなのかしら。食べてみたいー。
ネットから拝借。お花を散らすとかわいい。



切ったらこんな感じ。




実はザブザブ洗えばよいけれど、お花はそうはいかないでしょうから、この村はきっと空気の澄んだ素敵な所なんだろうなぁって思います。
さて、清涼飲料水でおなじみのサンペレグリノ社から、この夏、こんなドリンクが新発売になりました。




グレープフルーツとサンブーコのお花の爽やかなジュース。
HPによると、サンブーコのお花のジュースは北イタリア、トレント地方の伝統的な飲み物なんだそうです。
日本の夏の飲み物といえば、麦茶とカルピス(笑)。
夏になると殊のほか恋しくなる、私の大好きなカルピスはイタリアにはありませんが、代わりにいろんな味のシロップがあります。
様々なメーカーが作っていますが、多分有名なのはFABBRI社のもの。
水や炭酸水で薄めて飲んだり、凍らして氷菓子にしたり、アイスクリームにかけたりして使います。




ここでも新発売は、サンブーコのお花のシロップ。
もしかして、イタリアにサンブーコのプチブーム到来中?
説明書きによると、このシロップをアルコールで割って飲むのもお勧めなんだとか。
トレンティーノ・アルトアディジェ州のボルツァーノでは、プロセッコとサンブーコのお花のシロップを炭酸水で割ってミントを添えて飲む、Hugoというアペリティーボがあるそうです。
夏にぴったりかも。
試してみようっと。

ところで先日、友人宅でBBQをおよばれした時のこと。
お腹いっぱい食べた後のカフェタイムに、『私のカフェにはサンブーカ(sambuca)入れてー』ってリクエストした友人がいました。
サンブーカ!!


はい、今日はここまで。
サンブーコとの出会いがちょっとしたカルチャーショックだったんでしょうねえ。
ジャムから始まって、花、フォカッチャ、シロップと、どんどん話が広がっていきました。
庭に一本植わっていたら、色々楽しめそうな木ですねー

サンブーコは、日本語ではにわとこ。
ハリー・ポツターには、にわとこの杖っつーのが登場しますよねー。
なんと枝は魔法の杖になる。

日本のにわとこは、花の形や色がちょっと違うかなー。
 ↓


それにしても、サンブーコは、こんなに可愛い花が咲くんですねえ。
イタリアでは晩春に咲くんだそうです。

花が終わったら、次は実。
見るからにおいしそう。
ぶどうとベリーの中間のような・・・

実をいっぱいつけるにわとこの木とハシバミの木がある藪が近所に欲しいなあ。

それにしても、サンブーコの使い道はすごくたくさんありますよー。
まずはジャム作りの動画です。





作ってるところを見ると食べたくなりますねー。


サンブーコの花のフリット
 ↓



サンブーコの花のシロップの作り方の動画はこちら

実をいっぱいつけるにわとこの木とハシバミの木がある藪が近所に欲しいなあ。

シチリアのサンブーコの花のフォカッチャ、vastedda cu sammucuの動画はこちら

と言うわけで、次回はサンブーカの話です。


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2014年8月7日木曜日

パスティエーラ

今日は、トルタ・カプレーゼに続いてカンバーニアのドルチェの話。

トルタ・カプレーゼの誕生の裏には、マフィアに頼まれてケーキを作ったのに小麦粉を入れ忘れてしまったというカプリのドシなパスティッチェーレの話が有名ですが、あまりによくできた話なので、多分、創作された都市伝説でしょう。
この他にも、カプリに滞在していたオーストリア系の人が作っていたケーキをカプリの人が真似して作ったという説もありますが、確かにこれだとまったく面白くない。
料理誕生のいきさつは、ドラマチックなものほど広まる傾向があるような。

カンバーニアの別の有名なドルチェにも、壮大な誕生秘話がありました。
それはパスティエーラです。

ナポリのパスクアの定番ドルチェ。
この時期には家庭でも手作りしますが、ナポリのパスティッチェリーアには一年中あります。
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パスティエーラはパスタ・フロッラにリコッタがベースの詰め物をしたタルトですが、その名前にはパスタ・ディ・イエーリ(昨日のパスタ)という意味があります。
その名の通り、作った翌日にもっと美味しくなるので、食べる最低2日前に作ります。
主役は柔らかくした硬質小麦の粒。
確かに、この存在感のあるぷちぷちの小麦は、一度食べると病みつき。
もう、小麦の粒なしのパスティェーラなんて食べる気になりません。
昔は復活祭の時期になると、ナポリではパスティエーラ用の小麦を売る行商人が登場したんだそうです。
今では瓶詰の小麦をスーパーでも売っています。
それに、硬質小麦の一種、ファッロでも代用できますが、戻すだけでなく、さらにバター、牛乳、香料で10~15分煮ます。
パスティエーラ用の小麦はこの状態で売っています。

このドルチェのもう一つの特徴が、オレンジフラワーウオーター。
「総合解説」にも書いてありますが、ナポリの復活祭には、オレンジフラワーウオーターの香りがつきものだそうです。
花特有の青みがある香りです。
この香りが加わると、普通のタルトが一気に南イタリアの地方料理のタルトに変身しますよねー。

ナポリ・パスティッチェーリ協会の動画
 ↓



こちらは解説にも登場する有名パスティッチェーレ、サルヴァトーレ・デ・リーゾ氏のパティエーラ。
彼の料理書はこちら
  ↓



ついでですが、カンバーニアのドルチェの料理書なら、ナポリ商工会議所がスポンサーの力作シリーズの『ドルチェッツェ』もお勧めです。


さて、このパスティエーレですが、こんな都市伝説があるのだそうです。

その歌声でナポリ湾の船乗りを誘惑すると恐れられた海の妖精、セイレーンを鎮めるために、ナポリ市民にとってもっとも貴重な7つの食材を混ぜ合わせたものを捧げたというのです。
それは、小麦粉、リコッタ、卵、煮た小麦、オレンジフラワーウオーター、スパイス、砂糖でした。
これらを混ぜ合わせると、セイレーンの歌より甘くなったんだって(これがこの話のオチかあ)。



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「総合解説」の関連記事;2012年4月号、「パスティエーラ」

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2014年8月4日月曜日

トルタ・カプレーゼとマリトッツィ

今日はチョコレートケーキの話。
偶然ですが、「総合解説」2012年4月号には、チョコレートケーキのリチェッタが2つ載っています。そして、そのどちらもが、小麦粉が入らないチョコレートケーキです。
一つはローマのユダヤ料理で、過越祭(ユダヤ教の復活祭)の時に作る卵白のチョコレートケーキ。

もう1つはカンバーニアの名物ケーキ、トルタ・カプレーゼ。




カプリ島のケーキという名前なのは、単純にカプリで生まれたケーキだからだろうとはだれもが思いますよね。
さらに有名なのが、カプリのパスティッチェーレがたまたま小麦粉を入れ忘れて生まれた、という説。
ソレントの作家チェチーリア・コッポラの著書『ゼッボレ・ストゥルッフォリ・エ・シフォン・ロッソ』という本に書かれている話です。
アメリカ人マフィアが登場したりして、かなり面白いエピソードです。
この本のおかげでこの説はすっかり有名になりました。
トルタ・カプレーゼ以外にも、ソレントやアマルフィ方面の面白い食文化がたっぷり書かれている本のようです。
ご希望の方がいれば取り寄せますので、ご一報を。

トルタ・カプレーゼのリチェッタが載っているのは、『サーレ・エ・ペペ』の「トラットリアのドルチェ」という記事です。
パンナ・コッタやティラミス、ズッパ・イングレーゼといった、定番のドルチェばかりですが、地方料理の定番が、トラットリアのデザートになると、飾り気はないけど、お母さんから受け継ぎました的な、家庭的なドルチェになるから、素敵です。
素朴で純粋だけどスタイリッシュ、それがトラットリアのドルチェですよね。

ちなみに、トルタ・カプレーゼを、3つ星リストランテの息子が、お母さんから受け継いだドルチェとして作るとどうなるか、よくわかるのが、Maurizio Santin著『i dolci di casa mia』のトルタ・カプレーゼです。

これは素敵です。
見た目のインパクトがゴージャス!
カップケーキサイズのミニ・トルタ・カプレーゼなんですが、ダークチョコレート色の艶々したケーキの上に、クレーマ・シャンティーが、ケーキと同じくらいの大きさに絞り出されてどーんと載っています。
リチェッタを見ると、彼のクレーマ・シャンティーは生クリーム250gにクレーマ・パスティッチェーラ500gをミックスしたもの。

トルタ・カプレーゼのリチェッタはまさに人それぞれ。
ここではルーカ・モンテルシーノ氏のリチェッタをどうぞ。
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ローマの卵白のチョコレートケーキは、基本の作り方はトルタ・カプレーゼと一緒ですが、卵黄は加えず、卵白の量は倍です。

おまけの動画。
ローマのドルチェを調べていたら、ホイップクリーム好きにはたまらないドルチェを見つけました。
その名はマリトッツィ。



ローマでは朝食に食べるんだうです。
こんなに美味しそうなものがローマにあるのに今まで知らなかったなんて、激しく後悔。
マリトッツィより、間にはさむホイッププクリームに目が釘付け。

マリトッツィとは、マリート(夫)のローマ訛りだそうで、何やら意味ありげな名前。
3月の第一金曜日に、将来の夫が婚約者にプレゼントするドルチェなんだそうです。
このクリームの中に、指輪や小さな贈り物を隠すんだそうです。


リチェッタは、“ラ・グランデ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ”シリーズの『ラツィオ』にありました。
レーズン、松の実、オレンジピール入りのパンのようなドルチェです。




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「総合解説」の関連記事;2012年4月号、「ローマの復活祭の休日」、「トラットリアのドルチェ」

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