2013年4月25日木曜日

ムール貝のティエッラ

今日はティエッラの話。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の解説です。

ティッエッラは、オレッキエッテに次ぐぐらい有名なプーリアはバリの名物料理。

ムール貝のティエッラ
 ↓
Tiella di cozze


『ラ・クチーナ・イタリアーナ』で紹介しているこの料理は、目から鱗ってくらいめちゃ簡単。
オーブン皿に玉ねぎ、じゃがいも、ムール貝、トマトを重ねてペコリーノと油をかけ、生のお米を散らしてじゃがいもで覆い、水をかけてオーブンで焼くだけ。
2行で説明できました。

こんな簡単な料理だっけと思って動画を探したら、みんなもっと大変そう。
つまり、究極に簡単なリチェッタですよ、これ。

で、作ってみようと思ったんだけど、残念、美味しそうなムール貝がない。
都会のスーパーで売ってるムール貝は、美味しいエキスをぜーんぶ絞り出した後の残骸かなにかのように悲惨。

こりゃあ、新鮮なムール貝が手に入る地方にお住いの皆様には、ぜひお試しいただきたい一品ですなあ。
しかも、記事の解説によると、昔はムール貝の数が多いか少ないかで、金持ちか貧乏かが分っちゃったというんだから、貧乏人は悔しーわー。
一番貧乏なバージョンはムール貝なしだとまで言ってくれちゃって、悲し~い。
イタリアのジョークきついわ~。

これもかなり簡単なバージョン。
 ↓



ムール貝にアサリを加えるバージョンや、ムール貝の代わりにアサリとイカを加えたシーフードのティエッラなどのバージョンもあります。
ズッキーニやなすを加えれば野菜のティエッラ。
スローフード出版の“リチェッテ・ディ・オステリーア・ディイタリア”の『クチーナ・レジョナーレ』には、
米の代わりに硬質小麦の粒を加えるリチェッタが載っています。
さすがはイタリアの穀倉地帯。

ちなみに、これはアンドリアのトラットリア・アンティキ・サポーリtrattoria antichi saporiのリチェッタです。

この料理センスやネット上の評価から推測すると、かなりいい店に違いない。
広大な畑を所有しています。
グラノ・アルソのフォカッチャなんてのも出してますよ。
ますます行きたくなったー。

グラノ・アルソはプーリア名物の黒ずんだ小麦で、いわゆる落穂です。
収穫が終わって畑を焼いた後の、鳥すら食べない小麦のことです。
それを拾い集めると言う、ミレーの名画『落穂拾い』で知られるこの行為は、極貧の農民の象徴。
私は、今でも誰かが落穂拾いしてるんだ、う、可哀そうに・・・、と思ってましたが、さすがに21世紀にそんなことはしないようで、なんと、普通の小麦をわざわざトーストして、人工的に作っているんだそうです。
つまり、単なるトースト小麦。
私の涙を返せー!

グラノ・アルソのオレッキエッテ
 ↓




硬質小麦のティエッラは激しく食べてみたいですが、だしが出る魚介とお米の組み合わせって、鉄板ですよねえ。
え、それ知ってる?
パエリア?
た、確かに。

でも、パエリアはフライパン(パエリア)で作るのに対して、ティエッラは丸くて小さな取っ手が4つついたテラコッタのオーブン皿(ティエッラ、最初の動画を見て~)で作ります。
使った道具の名前が料理の名前という理論で言えば、パエリアだってオーブン皿で作ればティエッラでっせー。

それでは、アンティキ・サポーリの硬質小麦のティエッラのリチェッタをどうぞ。

硬質小麦、じゃがいも、ムール貝のティエッラTiella di grano patate e cozze
材料:4人分
 硬質小麦・・100g
 ムール貝・・500g
 じゃがいも・・300g
   トマト・・2個
 ズッキーニ・・1本
 玉ねぎ・・1個
 EVオリーブオイル
パン粉;
   パンのクラム・・50g
   おろしたペコリーノ・カネストラート・・30g
 
 にんにく・・1かけ
 イタリアンパセリ・・1房
 塩、こしょう
・小麦を1時間水に浸す。
・パン、ペコリーノ、にんにくとイタリアンパセリのみじん切り、塩、こしょうを混ぜる。
・じゃがいもは皮をむいて輪切り、トマト、ズッキーニ、玉ねぎも輪切りにする。ムール貝は開けて片側の殻を取り除く。
・深さ10㎝のテラコッタのオーブン皿にパン粉の一部を散らして油をかける。その上にじゃがいも、ズッキーニ、トマトの順で重ねる。・
ムール貝をのせて水気を切った小麦を散らし、再びじゃがいも、トマト、ズッキーニ、玉ねぎを重ねる。
・パン粉を散らして油をかけ、水を材料が全部かぶるまで加える。
・180度のオーブンで水気がほぼなくなるまで(45分)焼く。
 



この店、こちらのニュースによると、東京進出を企てていたみたいですけど、どうなったんでしょう。



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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2011年9月号、“ティエッラ”のリチェッタは「総合解説」2011年9月号に載っています。

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2 件のコメント:

くるり さんのコメント...

私はこの魚介のだしご飯て、ポルトガルで食べたアロース・デ・マリースコスを思い出しました。パエリアとのちがいはよくわからないのですが、私はこちらの方が好みでした。

ティエッラにはあまり興味がなかったのですが、魚介系なら食べてみたいです

prezzemolo さんのコメント...

くるりさん

ティエッラにあまり興味がないって、プーリア人全員を敵に回しましたよー(笑)

バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

(CIR12月号)によると、ヴィチェンツァでは、この料理はCが1つなんだそうです。普通はバッカラはbaccalàでも、ヴィツェンツァでは、Cがひとつのバカラ。んなばかな、と思ったけど、地元のこの料理の専門家たちは、C一つで呼んでました。会の名前の刺繍もC一つ。リチェッタはP.11...