イタリア料理ほんやく三昧: 8月 2012

2012年8月30日木曜日

ポーリッシュとパスタ・ドゥーラ

パン1つからでも、イタリアの地方料理の特徴が見えてくるもんですねえ。
次はロンバルディアです。

ロンバルデイアの代表として『IL LIBRO DEL PANE』が選んだのは、“パーネ・ディ・コモpane di Como”(コモのパン)、です。
 ↓
Pane di Como - aufgeschnitten


このパンは、とてもベーシックで、そのせいか、パーネ・フランチェーゼとか、パーネ・カゼレッチョとか、色々な別名があるようです。
パーネ・ディ・コモという名前は、なぜかアメリカでは有名なようですが、イタリアでは、ロンバルディアの代表というわりにはそうでもないような・・・。

このパンの特徴は、ポーリッシュ法(液種法)。
一説によると、この製法はポーランドで生まれてオートリアに伝わり、さらにフランスに伝わったんだとか。
19世紀半ばにフランスで流行した製法だったので、イタリアで、パーネ・フランチェーゼと呼ばれたんだそうです。
イタリア語でも、ポーリッシュpoolishと言います。

ポーリッシュ法はパン作りの基本的な知識だと思いますが、一応、動画もどうぞ。
 ↓



次は、ポーリッシュとは対照的な姿の生地から作るパン。

パーネ・ディ・マントヴァーノpane di Mantovano(マントヴァのパン)です。
このパンの特徴は、パスタ・ドゥーラpasta duraと呼ばれる製法。
直訳すると、「硬い生地法」。
ぐてーっとしたポーリッシュとは正反対で、腰のある生地にして、くるくる巻いて成形します。
この製法のパンはイタリア各地にありますが、特にエミリア・ロマーニャのパンの特徴として知られています。

パーネ・ディ・マントヴァーノ。
   ↓



パスタ・ドゥーラ。
 ↓



パスタ・ドゥーラのパンの中で一番有名で、かつ個性的なのが、フェッラーラのコッピア・フェッラレーゼcoppia ferrarese igp。
フェッラーラのパン屋さんのフェッラレーゼ。
   ↓

コッピア・フェッラレーゼの歌?
イタリアって、ちょいちょいこういう歌あるよねー。
  ↓





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2012年8月27日月曜日

フリウリのパンとチッチョリ


イタリアのパンの話、アルト・アディジェの次は、フリウリ=ヴエネチア・ジューリアです。

地方料理の分野では、話題が少なく、なじみの薄~いフリウリ地方。
しかも、そのパンとなると、ぜーんぜん聞いたことないですよねえ。
でも、やっぱり名物パンがあります

Pan de frizze(パン・デ・フリッゼ)と言います。

“フリッゼ”とは、脂身からラードを取った後のくず肉のこと。
標準語では、チッチョりciccioliと言います。
さすがは豚は何も残さず食べる国で、地方料理のレシピにはちょいちょい登場する食材です。
地方によって名前もさまざまです。
モデナの有名老舗サルメリーア・ジュスティのチッチョリ。
  ↓
Ciccioli frolli


↓この動画によると、今の若い人はチッチョリなんて知らないけど、昔の農民は、パンとチッチョリとワインを持って畑に行き、仕事の合間に食べたんだそうです。
一見すると脂肪分が多そうですが、実際には、脂身を落とした後なので、とてもヘルシー。



チッチョリには豚肉と鴨肉がありますが、フリッゼは豚のチッチョリのこと。
農村では、11月に豚をさばいてラードを取り、そのラードをクリスマスのドルチェに使い、チッチョリはパンやサラミにしました。
つまり、典型的な冬のパンでした。
さらに、ラルドも、年に一度しか作れないとなると、貴重な油脂だったんですね。
だからクリスマス用の特別なドルチェに使ったのか。
したがって、ラードを使うドルチェがたくさんある地方、カンパーニア、エミニア、ラツィオなどには、チッチョリを使った名物料理もあるのでした。
ということは、フリウリにもラードを使ったクリスマスのドルチェがあるに違いない。
誰か知ってたら教えてー。

↓パルマのチッチョラータcicciolata。
地元以外ではお目にかからない貴重なサラミ。
まさに、豚の肉でも内臓でもない部位を使う、匠の技がさく裂。




チッチョラータは豚の頭をまるごとゆでて造る豪快なサラミだったんですね。
豚の脂身を食べる技は、イタリア料理ではかなり高度な次元に昇華されてますよねー。


パン・デ・フリッゼは、00タイプの軟質小麦粉で作る場合と、ライ麦粉入り、とうもろこし粉と砂糖入りの甘いバージョンがあります。

ベーコンやサラミ入りバージョン

他にも、ラツィオのトルタ・ディ・フリッゾリなど、紹介したいチッチョリ料理があるのですが、イタリア料理の豚肉の話も、パンの話と同じくらい奥が深い。
はまると簡単には抜け出せなくなりそうなので、この辺で。



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2012年8月23日木曜日

アルト・アディジェのパン


さて今回は、地方料理のパンの話。

イタリアで一番有名な地方料理のパンと言えば、ピッツァ。

他に有名なのは、トスカーナのパーネ・ショッコとか、ロンバルディアのミケッタ、トリノのグリッシーニ、シチリアのごまつきパン、プーリアのパーネ・ディ・アルタムーラなど硬質小麦粉のパン、フェッラーラの奇妙な形のパン、北イタリアのライ麦パン、リグーリアのフォカッチャ、などなど。
まだ無数にあります。

偶然ですが、「総合解説」の次号には、「アルト・アディジェ料理」の記事が載ります。
パンはアルト・アディジェの名物の一つなので、その料理にも、パンを使ったものが欠かせません。
その中に、名前がチョー読めないパンが登場。

そうでなくても、アルト・アディジェの料理名や地名は、ドイツ語系で???なのに、
今回は、schüttelbrotと、 Vinschger Paarl。
チョー読めない。
で、ぐぐったら、なんと、このブログでも4年前にschüttelbrotを紹介していたことを発見。
schüttelbrotの記事
 ↓
http://prezzemolo-creapasso.blogspot.jp/2008/06/blog-post_13.html
シュッテルブロートでした。

Vinschger Paarlはヴィンシュガー・パール?
こんなパンです。

この写真をのせたブログによると、ヴィンシュガーはヴァル・ヴェノスタという地名のこと、パールとはペアーという意味で、丸いライ麦パンが2つくっついた形のパン。
ちなみに、ブログ主さんはアルト・アディジェの観光ガイドさんのようです。

アルト・アディジェには、あまりイタリアらしくはないけれど、もっと言いやすくて有名なパンがあります。

brezel(プレッッェル)です。


常識的にはドイツやスイスの名物パンとされますが、正確には、ドイツ、スイス、アルト・アディジェの名物パンだったんですねー。

『IL LIBRO DEL PANE』によると、アルト・アディジェのプレツェルにはこんな伝説があるそうです。

昔々、王様が、太陽の光より3倍輝くものを作れ、という命令をパン屋に下しました。そこで天才パン職人が考え出したのは、黒パンに岩塩を散らすという方法でした。

プレッツェルは今はビアホールの定番のつまみですが、かつては修道院でも作られていました。
プレッツェルの形は、修道士たちがお祈りの間腕を組んでいる姿を模したものだそうです。

メラーノ(アルト・アディジェ)を訪れたイタリア人観光ア客が食べているのは、ソーセージ、プレツェル、ザワークラウト、クネーデル、ビール。
この動画はイタリアの食文化の多国籍ぶりを伝えていて面白く、以前にも紹介しています。
   ↓


そういえば、イケアに行ったらチャバタというパンをセルフサービスレストランで売っていました。
マクドナルドにも、期間限定メニューで、チャバタというパンを使ったハンバーガーが登場してましたよね。
最近時々見かけるようになって気になっていたチャバタですが、イタリアではチャバッタciabattaです。


夏バテしたみたいな、ぐたっとした生地なんですね。

とても一般的でサンドイッチやパニーニに最適のパンですが、どこでいつ生まれたパンかというのは、はっきりしていないようで、諸説ありますが、どれもこれといった証拠は示されていません。
とりあえず、チャバッタというのはイタリア語でスリッパという意味の言葉なので、イタリアで生まれたパンという可能性は大です。
歴史が浅いからか、地方料理としての痕跡はあまり残っていません。
ということは、生まれてすぐに急速に世界中に広まったようです。
『IL LIBRO DEL PANE』には、
「北イタリア全域に広まっているパン。
外側はカリッとしているが多孔質、中はふんわりしているので、味が濃い料理やソースのある料理、つまり北部の料理と相性が良い。
時間と力をかけてこねた生地を、スリッパ型のサンダルのような形に伸ばすところから、この名がついた」
と紹介されています。
上の動画は、確かに生地をスリッパみたいな形に成形してましたねえ。
アルト・アディジェのチャバッタはライ麦とクミン入りです。




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関連誌;『サーレ・エ・ペペ』2011年5月号、“アルト・アディジェの味”の記事は近日発売の「総合解説」2011年5月号に載ってます。
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2012年8月20日月曜日

パンと地方料理

パンの粉や発酵について書いてきましたが、基本的なパンの製法は、こねる、
発酵、焼成の3段階。
おそらく、それは日本とイタリアで大した違いはないと思われるので、詳しいことは省略します。
その次は、パンと料理の関係。

つまり、パンの味は、作られる場所の食文化と密接に関係している、というテーマです。

『IL LIBRO DEL PANE』には、なかなか興味深い分析が載っています。

生ハムを多用するなど塩気が効いて力強いトスカーナ料理には、いわゆる“パーネ・ショッコ”(塩気がないパン)が一番よく合う。
南部の料理は、スパイスをたっぷり入れるので、セーモラ(硬質小麦粉)の甘さがよく合う。
ロンバルディアやピエモンテのように重いソースをかけるリッチな料理には、クラムがたっぷりあるパンが必要だ。

魚がベースのコース料理には、オリーブやオリーブオイル入りパン、
サラミや生ハム類にはエミリア地方の伝統的パンのような生地の硬いパン、
フォアグラにはフランスのブリオッシュ・パン、
チーズはナッツ入りの熱いパン、

といった具合です。

そういえば、プーリアの港で漁師さんが売っているウニを立ち喰いで食べた時、一緒に分厚くスライスしたパンを、ほいっと渡されたっけなあ。
プーリアのパンですから、セーモラの、とても香ばしい、クラムのたっぷりある素朴でボリューミーなパンでしたが、小粒のウニの海の香りや塩気と、柔らかい歯ごたえ、それと地中海の港で立ち食いという雰囲気にぴったり合って、白ワインにも会いそうで、まさに素敵な組み合わせした。

アルゲーロ(サルデーニャ)の港でのイベント。
長さ50mにウニ10kgをのせたフォカッチャを作ろうとしている。
意外そうでも、サルデーニャの港で食べれば美味しいに違いない。
     ↓



オリーブオイル、またはオリーブ入りのパンpane all'olioは、代表的な地中海風パンの代名詞
Panini all'olio
       ↓
 


トッピングは、白ごま、ポピーシード、平らに潰したフォカッチーネは粗塩。



次はパンのサービスの仕方。
まず、サービスする前にスライスして、直径10cm以下の小皿に盛り付けます。
パン皿を置く位置は左上。
食べる時は手でちぎります。
テーブルでパンを切ったり噛みちぎったりするのはマナー違反。
グリッシーニでもです。
パンを足すのはホステス(ホストがお父さんならお母さん)の役目。
クロスを敷いたかごか銀のトレーに入れて、トングでつまんで移します。
デザートが運ばれる前にパンくずを掃除するのも、ホステスの役目。

次回はイタリア各地のパンについてです。


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2012年8月16日木曜日

発酵

前回はイタリアの小麦粉の00タイプや0タイプなどについて簡単に説明しましたが、
これらはfarina(ファリーナ)、つまり、軟質小麦粉です。
一方、硬質小麦粉の場合はsemola(セーモラ)と言うのが一般的です。

次は酵母(lievito)。
これにはnaturale(またはmadre)、birra(またはartificiarle)、そしてchimicoの3種類があります。
つまり天然(中種)、ビール酵母(人工酵母)、ドライイースト。
主流はnaturaleかmadre。

『IL LIBRO DEL PANE』によると、リエヴィト・ナトゥラーレの作り方はいくつかありますが、例えば・・・

小麦粉200g(理想的なのは無農薬の全粒粉)、水(塩素を含まないオリゴミルラル)90g、油大さじ1、微生物の餌となる蜂蜜大さじ1(または糖蜜、牛乳の乳清、ヨーグルト、ビール、じゃがいも、バナナ、トマトの汁、ぶどうの汁、果汁)を混ぜます。
これをボールに入れて皿で覆い、室温で2日間発酵させます。
生地に変化がなく、あるいは悪臭がしてきたら捨てて新たに作ります。
もしラッキーにも活動している様子が見られたら、汚れた部分をたっぷり取り除きながら中心部を取り出して重さを計り、生地100gにつき小麦100gと水45gを加えて(これをリンフレスコrinfrescoと呼びます)酵母の活動力を増やします。
2日たって皿を持ち上げるくらい膨らんだら同様に汚れを取り除き、毎日生地と同じ重さの小麦粉とその45%の水を加えてリンフレスコを1週間行う。
1週間たったら2日ごとにリンフレスコ。
20℃を保っていたら5日ごと。
冷蔵庫に入れる場合は密閉容器に入れる。

長くて複雑で緻密で化学的な作業。
ひたすら尊敬。

ヨーグルトを使ったリエヴィト・ナトゥラーレPart1
  ↓


Part2



パスタ・マードレのリンフレスコ 
  ↓

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2012年8月13日月曜日

小麦粉

イタリア料理の視点で見る、パンの話。
今日もアレッサンドラ・メルドレージ著『IL LIBRO DEL PANE』から、パンの話あれこれです。

ガストン・バシュラールというフランスの哲学者をご存知ですか。
パンの業界では、たびたび引用される人らしいですね。
私は全く聞いたとありませんでした。
この人が、こう書いているそうです。

「発酵生地は3つの物質からできている。土、水、空気だ。そして4つめが火。(中略)つまりパンは完璧な食品なのだ。」

フランスの哲学者って、素敵なこと考えるんですねえ。
具体的には、パンは、小麦粉la farina 、酵母il lievito、水l'acqua 、塩il saleでできてますよね。
これらの材料は土と水(イタリア語にすると、la terra,とl'acqua)に属するのかな。
それに、空気と火の要素、( l'aria, ilfuoco、つまり発酵と焼成?)、を加えると、確かにパンになる。
でも実は、大部分の食べ物が、この4つのエレメントからできているんですよね。
パンとと同じ材料から作るパスタ(乾麺 )も同じエレメントですが、興味深いことに、空気の果たす役割が、パンと乾麺のパスタとでは違うんですねえ。
土、水、空気、火を制した者のみが、パンやパスタのマエストロになれる。

それでは、まず最初に攻略するのは、小麦粉です。

小麦は、軟質小麦triticum aestivumと、硬質小麦tririum durumの2種類に分類されます。
この2種類の小麦はどう違うんでしょうか。

まず、その名の通り、硬さが違います。
そして硬質小麦のほうが軟質小麦よりタンパク質を多く含んでいます。。
本によると、世界で最初に硬質小麦を栽培したの場所はイタリアなんだとか。
イタリアでも、硬質小麦は南の食文化に属するもの。
スパゲッティなど乾麺のパスタは硬質小麦から作るし、南イタリアには、パーネ・ディ・アルタムーラに代表される硬質小麦粉の美味しいパンがあります。
やはり、イタリア料理の話をする時は、主に硬質小麦の話をすることになります。


小麦は、外側を包む外皮、ふすまや繊維、脂質やでんぷんが豊富な胚芽の3つの部分からできています。
小麦を粉にするには、一度挽いてmacinare(マチナーレ)、再び挽きrimacinatura(リマチナトゥーラ)、ふるいにかけるsetacciatura(セタッチャトゥーラ)という作業を行います。

残ったふすまの量で、00(灰分0.55%以下)、0(~0.65%)、1(~0.8%)、2(~0.95%)、全粒粉(0.95%以上)に分類されます。

さらに、たんぱく質の量でも分類されます。
北アメリカの小麦に代表されるように量が多い場合(~13%)は、“フォルツァforza”と呼ばれ、パンやパネットーネに使われます。
タンパク質が10%以内のものは“デーボレdebole”で、主に発酵させないパスタやパスティッチェリーアに使われます。

弱い小麦粉でも、とても強い粉とブレンドさせればパンを作ることができます。
この強さは、“W”という単位で表され、alveografo di Chopinという機械で生地の気圧を測ることによって測定されます。
美味しいパンを作るには、最低150W必要で、カナダの小麦“マニトバ”は、400W以上という高い値です。
このほかに、同じ機械で“P”(伸縮性 )と“L”(拡張性)も計ります。

粉の粒子が荒いものはパスタに向き、細かい物はパンに向きます。

小麦粉の話は制限なく専門的になっていって奥が深すぎる~。
イタリアと日本では基準とするものも全く違うのでこのままだと深みにはまって抜け出せなくなりそう。
とりあえず、今日はこの辺で。


シチリアの硬質小麦
  ↓



パーネ・ディ・アルタムーラ
 ↓





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2012年8月9日木曜日

パンの歴史

前回では、ピッツァイオーロは、北の若手の旗手も、南の老舗の顔役も、みんな発酵生地のマエストロだということ、お分かりいただけたでしょうか。
どちらも、ピッツァドゥに対しては、すごい自信とプライドを持ってますよー。

で、発酵生地と言えばやっぱりパン。
『ガンベロ・ロッソ』2011年5月号で紹介されているパン職人は、エウジェニオ・ポル氏。
彼は、半分化学者で、半分シェフなんだそうですよ。
やっぱりパン職人は理系&学者系なんですねえ。

このポルさん、その風貌は、哲学者のような人でした。
パンを語らせたら熱い。



パンは、人を哲学者にしてしまうほど深いものなんでしょうねえ。

アレッサンドラ・メルドレージ著『Il Libro del pane』によると、パン作りは、紀元前6000年ごろ、エジプトあたりで発明されたんだそうです。
この本から、パンの歴史についての話を簡単にご紹介すると、

最初のパンはポレンタ状のものでした。
当然、まず最初に小麦など穀物があって、これを栽培する技術が確立されます。
この時点で、日本は米の道を歩んだわけですね。

さらに穀物を粉にする石臼ができて、
次に粉に水を加えて煮ることができる鍋ができて、
この時点でようやくポレンタ登場ですね。

ここで革命が訪れます。
ポレンタを竈や熱した陶板で焼くと美味しくなることが発見されたのです。

そしてようやく、発酵が加わります。
紀元前3000~20000年のことだそうです。

そのきっかけは、おそらく、エジプトのどこかの主婦が単に、ポレンタを作りっぱなしにして忘れてしまったこと。
考えてみれば、世界中の発酵食品のほとんどは、ズボラな主婦や職人のおかげで誕生したのかもしれませんねー。

パンは農業が同じように発達した文明に広まっていきました。
ギリシャ人もパンが大好きでした。
ギリシャ神話では、羊飼いや狩人の守護神パンが、人間にパンの作り方を教えたとされています。
彼の名前をとってパンと言う名前が付けられました。
羊飼いがパンという名前とは、地中海やイタリアの食文化を象徴しているようですねえ。
パンは女好きでちょっとお人よしの、ある意味、ラテン系の神様なんですよねえ。
当時の地中海の食文化のベースは、小麦、ぶどう、オリーブ。
北からイタリアに侵入してきた移民族たちは、肉と乳製品の食文化をイタリアにもたらしました。
ここらあたりの空気は、映画『グラディエーター』が、よーくかもしだしてます。

Pan

神話のパンにはヤギのような角と後ろ足があり、フルートを吹き、とても好色。

古代ローマ人もパンは大好きでした。
パスタと違って、パンの痕跡は古代ローマ時代のものも発見されています。
初代皇帝アウグストゥスの時代には、ローマには129軒のパン屋があったそうですよ。
でも、当時のパンは、ほとんどがポレン状のplus。
焼いたパンは一部の人しか食べることができない特別なものでした。

その後、キリスト教の世界では、パンはキリストの体の象徴となりました。

でも、私たちが現在食べているようなパンが一般的になるのは、まだ先のことです。
精製した白い小麦粉を使ったパンは、都会の富裕層のための特別なものでした。
農民は、トウモロコシやライムギ、小麦の全粒粉、さらに丘陵の農民は主に栗の粉のパンを食べていました。

ここから先は
パンが白く、柔らかくなっていく歴史です。

生イーストが使われるようになったのは、1650年ごろ。
パリのパン屋さんが世に出しました。

さらに時代は変わりました。
1891年には、イタリア人は一人当たり1日820gのパンを食べていたのですが、現在は200gに減っているそうです。

イタリア料理におけるパンの歴史を、超ざっと見てみました。
次は粉の話。


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関連誌;『ガンベロ・ロッソ』2011年5月号、“エウジェニオ・ポルのパン”の記事の解説は、「総合解説」2011年5月号(近日発売予定)に載っています。
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2012年8月6日月曜日

アーティスト系ピッツァ

ホームベーカリーのピッツァの次は、その対極、イタリアでも最先端のアーティスト系ピッツァ。
ヴェローナにあるイ・ティッリの、シモーネ・パドアンシェフのピッツァ。


天然酵母のピッツァドゥに、イタリア各地の貴重な伝統食材をトッピングして、ピッツァをご馳走に。
サリーナ島のケッパー、地中海のアンチョビ、プーリアのフィオル・ディ・ラッテ、サン・ダニエーレの18か月熟成の生ハム、パオロ・パリージのチンタ・セネーゼ。
よく知られていて手に入りにくそうな、微妙に特別感をくすぐるものを選んでますねえ。

店のwebページはこちら

シェフは伝統的なピッツェリーアの息子。
なるほど、ピッツァの本場ナポリから遠く離れたヴェローナで、革新気質に溢れたピッツァイオーロの二代目が、シェフ・ピッツァイオーロを目指すとこうなる、という典型的な成功例ですね。
パンの学校は色々通ったそうです。
トッピングだけでなく、そのベースにはパン作りの知識がしっかりあるんですねえ。

お店のインテリアもゴージャスな雰囲気。



最近は北イタリアのシェフの料理にもブッラータが多様されていますねえ。



ちなみに、ナポリの超有名店、ダ・ミケーレのピッツァはこう。
                ↓


どちらも食材、特に生地に関しては不動の自信を抱いてますねえ。
ある意味、革新的なピッツァをナポリで作るのは大冒険だろうなあ。
伝統のナポリと革新のヴェローナ、あなたはピッツァを食べるならどちらに行きますか?



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関連誌:『ア・ターヴォラ』2011年5月号、“シモーネ・パドアンのピッツァ”の記事は、近日中に発売予定の「総合解説2011年5月号」に載っています。

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2012年8月2日木曜日

ホームベーカリー


今日は家電の話。
『ガンベロ・ロッソ』の記事、「PANE, AMORE E TECNOLOGIA」のお話です。

わずか1ページの記事ですが、ちょっと気になりました。
この記事のタイトルは、直訳すれば、「パン、愛とテクノロジー」。
「ホームベーカリー」です。
あたりまえだけど、イタリア人もホームベーカリーでパン作るんだ。
イタリア人にとっては、ホームベーカリーってどんなスタンスなんでしょうねえ。
記事の素っ気なさとやる気のなさからは、なぜタイトルに「愛」をつけたのか、理解に苦しみますが。

製品紹介にラインナップされているのは4社。
ケンウッドBM450、180.00ユーロ。
美しくて、エレガントでコンパクトと、そのスタイリッシュなデザインがガンベロ・ロッソには大好評。

フィリップスは、99.00ユーロ。
3種類の硬さのパン作りだけに機能を絞ったお手頃価格品。

ドルチェ用とパン用の型があるエレクトロラックス、EBM8000、159.90ユーロ。
逸品と大絶賛。

数多くの種類のパンが作れるパナソニックSD-ZB2502、189.00ユーロ。


この中では、どうやらエレクトロラックスが高評価のよう。

なぜかイタリアのメーカーは取り上げてませんねえ。

デロンギの“スフォルナトゥット”。




ホームベーカリーかと思ったら、コンベクションオーブンでした。
発酵も生地の捏ね上げもできるけど、ピッツァを焼こうと思ったら、やっぱりオーブン。
イタリアのホームべーカリーではピッツァは外せないメニュー。



なんとアマゾンや楽天で3万円弱で売ってます。
安い~。
この値段からして、あまり高性能を期待してはいけませんねー。

ピッツァイオーリの学校では、薪のオーブンと電気のオーブン両方での焼き方を勉強するんですね。



あーピッツァ食べたくなってきた。
ホームベーカリーで、パネットーネも、ブリオッシュ・シチリアーノも、ピッツァ・ナポレターノのドウもできるんだって。








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