イタリア料理ほんやく三昧: 12月 2011

2011年12月29日木曜日

サルデーニャのパスタ;ロリギッタス

サルデーニャのパスタの話の続きです。

パスタの形は想像力次第で無限に広がるもの。

オリスターノ県モルゴンジョーリという村の伝統パスタ、ロリギッタスlorighittasは、硬質小麦粉と水の麺を細長く伸ばし、指に巻きつけてリング状にし、さらにねじる、という手間暇かけたパスタ。
地元の人でも1kg作るのに4~5時間かかるそうです。
これをさらに数日乾燥させます。

伝統的には11月1日の諸聖人の日に食べるパスタですが、クリスマスや新年の料理にもピッタリです。

サルデーニャの言葉でリングという意味の“ロリガloriga”が語源。


こんな形


↓ロリギッタス作り





↓地鶏のトマト煮のロリギッタス





↓ヤリイカ、アサリ、ズッキーニ、ボッタルガのロリギッタス





ブオン・アッペティート!

というわけで、2011年はサルデーニャのパスタでしめくくり。
今年も一年、ありがとうございました。
また来年も、よろしくお願いします!



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関連誌;『ガンベロ・ロッソ』2009年6月号
“サルデーニャのパスタ”の解説は、「総合解説」'08&'09年6月号に載っています。

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2011年12月26日月曜日

サルデーニャのパスタ、フレーグラ、etc.

サルデーニャのパスタの話の続きです。

サルデーニャで、マッロレッドゥスの次に有名なのは、フレーグラfregula(またはフレーゴラfregola)あたりでしょうか。

uncooked
フレーグラ

フレーグラは硬質小麦粉に水(卵やサフランを加える場合もあります)を吸わせながら掌で混ぜて小さな粒状にし、仕上げにトーストしたもの。
その形からクスクスの一種とも言われますが、クスクスよりは大粒です。

フレーグラの語源は、ラテン語で「こする」という意味の“フリカーレfricare”だと考えられています。
この言葉、魚が産卵の時に、砂利に腹をこすり付けながら卵を産む姿も意味します。
つまり、そうやって産み落とされる魚の卵と、粉と水をこすり合わせながら作られるパスタの粒がそっくりで、こう呼ばれるようになったというわけです。


↓フレーグラ作り





サルデーニャには、個性的なパスタがまだまだたくさんあります。


↓アンダリノス。
成形してから数日乾燥させます。





次の動画には、フレーグラ、詰め物入りパスタのマッカロッネスmaccarrones、鳩の形のカオンバザcaombasa(復活祭の時期に、子供たちのために作られるパスタ)などが登場。
いずれも芸術的に美しいものばかり。





『ガンベロ・ロッソ』で紹介している本、『Sardegna. Le paste della tradizione』では、この他にもまだまだ美しいパスタが紹介されています。


こんな内容の本です。




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関連誌;『ガンベロ・ロッソ』2009年6月号
“サルデーニャのパスタ”の解説は、「総合解説」'08&'09年6月号に載っています。

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2011年12月22日木曜日

ひっかくパスタ、パスタ・ストラッシナータ

マッロレッドゥスの話の続きです。

マッロレッドゥスは、通称“ニョッケッティ・サルディgnocchetti sardi”。
サルデーニャの小さなニョッキ、という意味ですね。

ニョッキと言えば、ゆでて潰したじゃがいもと軟質小麦粉をこねた生地の、“ニョッキ・ディ・パターテgnocchi di patate”が一般的。

Gnocchi, una domenica mattina
じゃがいものニョッキ



ニョッキの語源は、くるみや結び目のような小さくてころんとしたものを意味するランゴパルド族の言葉、knohh、という説が有力です。

ニョッキとは、粉をこねて小さな団子状にしてゆでた物のこと。
じゃがいもがヨーロッパに伝わったのは18世紀半ば以降で、それ以前のニョッキは、穀物の粉と水だけをこねた生地でした。
もっとも原始的なパスタの一つです。

じゃがいもが伝わって、粉(主に小麦粉)の生地にじゃがいもが加わるようになると、ニョッキはそれまでよりずっと軽く、食べやすくなり、やがてこちらのほうが主流になりました。

でも、サルデーニャのニョッキことマッロレッドゥスには、じゃがいもは入りません。
硬質小麦粉と水をこねた生地です。

軟質小麦の産地である北イタリアにはじゃがいもと軟質小麦粉のニョッキが広まって、硬質小麦の産地の南イタリアでは硬質小麦粉と水のニョッキが広まったというわけですね。


Malloreddus
マッロレッドゥス


サルデーニャのマッロレッドゥスは乾麺として全国的に流通しているので、ニョッケッティ・サルディという標準語の名前も広まりました。

でも、硬質小麦粉と水をこねた生地を小さな粒状にしてくぼませたパスタは、南イタリア各地にあります。
特にプーリアは、この種のパスタの宝庫。

たとえば、カヴァテッリcavatelli。

cavatelli
カヴァテッリ


マッロレッドゥスもカヴァテッリも、硬質小麦粉と水の生地を棒状に伸ばして短く切るところまではまったく一緒。
違いは、その後カールさせる時に、筋をつけるかつけないかぐらいです。


マッロレッドゥスやカヴァテッリは、“パスタ・ストラッシナータpasta strascinata”と呼ばれるパスタです。
ストラッシナータとは、引きずるというような意味。
つまり、指やナイフでひっかいてくぼませるパスタのことです。
よく知られているのはオレッキエッテ。


↓カヴァテッリ





このタイプのパスタは南イタリア各地にあって、カヴァティェッリcavatielliやカヴァティエッダcavatieddaなど、呼び方も様々です。

↓シチリアやカラブリアでは、ナイフではなく指でひっかくのが一般的だったりもします。





↓そしてマッロレッドゥス。
日曜や祝日はサフラン入りの生地にします。






↓おまけの動画。
マッロレッドゥスメーカー。





サルデーニャのパスタの話、次回に続きます。



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関連誌;『ガンベロ・ロッソ』2009年6月号
“サルデーニャのパスタ”の解説は、「総合解説」'08&'09年6月号に載っています。

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2011年12月19日月曜日

サルデーニャのパスタ;マッロレッドゥス

今日はサルデーニャのパスタの話。
『ガンベロ・ロッソ』の記事の解説です。

サルデーニャのパスタと言えば、もっとも代表的なのは、ニョッケッティ・サルディgnochetti sardiことマッロレッドゥスmalloreddus。


Malloreddus
ニョッキ型の小さなパスタ、マッロレッドゥス


これは巻きすを使ったマッロレッドゥス。

Malloreddus


Malloreddus



巻きすでも立派にマッロレッドゥスになるものなんですねえ。

普通は筋付きの板を使いますが、元々は、チュリーリciuliriと呼ばれる細いイグサを編んだざるを使っていました。
イグサとは、畳やござに使われるあれです。

チュリーリ


↓筋付き板を使ったマッロレッドゥス作り(音声なし)





マッロレッドゥスとは、サルデーニャの方言で小さな子牛という意味。
なんでも、マッロレッドゥスのおなかがほっこり膨らんでコロコロした姿が、まるで子牛のように見えたところからこの名前がついた、と言われているようです。

えー、そうかなあ、と思ったけど、見てみたら、なるほど子牛のおなかに似てますよ!
ぷっくり膨らんでいて、しかもあばらの筋なんか見えたらマッロレッドゥスにそっくり。

E tu cosa vuoi?



マッロレッドゥスの話、次回に続きます。


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関連誌;『ガンベロ・ロッソ』2009年6月号
“サルデーニャのパスタ”の解説は、「総合解説」'08&'09年6月号に載っています。

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2011年12月15日木曜日

クリスマスのドルチェ

前回のウエディングケーキからの流れで、今回はクリスマスのドルチェ。


↓まずは恒例、バウリのバンドーロのCMでクリスマス気分に。
BGMはイタリアの定番クリスマスソング、A Natale puoi。





↓こっちも負けてません。





↓定番、パンドーロのクリスマスツリー。





↓ジェノヴァではパンドルチェpandolceが伝統的。





↓カンバーニアではストゥルッフォリstruffoli。





↓プーリアはカルテッラーテcartellate。






Putizza Triestina
フリウリのグバーナgubana


アルト・アディジェのツェルテンzelten。


まだまだたくさんありますが、今回はこのへんで。


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2011年12月12日月曜日

ウエディングケーキ

今日はウエディングケーキの話。

『サーレ・エ・ペペ』の“小さな披露宴”の記事に載っていた小さなウエディングケーキがあまりにも可愛かったので、イタリアのウエディングケーキをもっと見てみたくなりました。


sposi sulla vespa
ベスパのカップルのケーキトッパー



la torta nuziale
パヴィアの新婚さんの初めての共同作業。



↓おされでゴージャスな披露宴。





↓そしてケーキカット。






↓ケーキデザイナー、フィオレッラさんのウエディングケーキ






↓ミラノのパスティッチェリーア、パン・ディ・ズッケロのウエディングケーキ






↓10月にボローニャで行われた“ケーキショー2011”。
イタリア初のシュガーアートとケーキデザインがテーマの展示会。





大盛況だったようです。

それにしても、あきらかに日本とはデコレーションの傾向が違いますねえ。
イタリアでは、シュガーペーストでケーキを覆うイギリス系のウエディングケーキが主流。



↓おまけの動画。
サレルノの結婚式で。






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関連誌;『サーレ・エ・ペペ』2008年5月号
“ウエディングケーキ”のリチェッタは、「リチェッタ・ダイジェスト」2008年5月号に載っています。

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2011年12月8日木曜日

樽の製法

樽の話を続けます。

樽はどうやってできるのか。

まっすぐな板を組み合わせて、おなかがふっくらと膨らんだ形を作り出すのは、よく考えてみれば不思議。

Barriques in the sun
ランゲ地方のバリツク



樽を造るには、まず、木材を調達することから始めます。
というか、樽造りでもっとも大切なのは、木材。
だから、木を選ぶ目が重要です。

しかも、その木材となる木(バリックの場合は主にフランス産オーク)が生える土壌の違いによって、肌理の細かさやタンニンの量などが違ってきます。
だから、どこの森の木材か、ということも重要です。

しかもその木材、切ってすぐ使えるわけではありません。
樽にする前に熟成させる必要があります。

熟成中の木材

熟成具合によって色が違います。
灰色になったらバリックに使用可能。


イタリアを代表するバリックメーカー、ファッブリカ・ボッティ・ガンバによると、ワインメーカーが、このワインにはバリックを使おう、と決めると、まず、希望するワインに仕上げるためには、どんな特徴の木材が必要かを考えるのだそうです。

ワインとは、なんとも手間暇かけて造られるものなんですねえ。


木材が適切な熟成具合になったら、樽材用に細くカットします。
この時、中央はやや太く、両端は細くなるように削ります。

さらに、樽材を組み合わせて枠にはめたら、木材選びと同じくらい重要な過程、イタリア語でトスタトゥーラと呼ばれる焼き入れです。

火によって温められた樽材は、柔らかくなってカーブさせることができるようになります。
さらに、バニラの香りを始めとする様々なアロマが、この過程によって生まれます。


↓フランスのセガン・モロー社のワインの樽の焼き入れ




焼き入れは、樽メーカー各社が独自の方法を考え出して、工夫を凝らしています。


樽を使うのはワインだけではありません。
たとえば、バルサミコ酢は、さまざまな木材の大きさの違う樽を使います。
↓サレルノの樽メーカー、レンツィの職人たちを紹介する動画。




きついし、タンニンなどで汚れる仕事だけれど、自らの手で何かを作り出す仕事に満足している、と話しています。



↓一方、こちらはオートメーション化された樽工場の、ウイスキー用の樽の製造工程。




なんだか、職人の仕事とはかなり印象が違いますねえ。


ワインから樽の香りがしたら、白いポロシャツを着たレンツィの若い樽職人たちのことを思い出すかも・・・。


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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』
“イタリア製バリック”の記事は、「総合解説」'08&'09年5月号に載っています。

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2011年12月5日月曜日

イタリア製樽

今日は樽の話。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の解説です。

ワインの樽と言えば、イタリアでも、フランス産がもっとも優れている、というのが定説。

そんな中で、ガヤやブルーノ・ジャコーザ、バンフィ、フロリオなど、有名ワインメーカーがこぞって使っているイタリア産の樽があります。
正確に言えば、木材はフランス産で、加工をイタリアで行っている樽。

その樽を作っているのが、ファッブリカ・ボッティ・ガンバ。
イタリア産バリックの先駆者です。

ガンバのバリック

ガンバは、イタリアを代表するワインの産地の一つ、モンフェッラート(ピエモンテ)にある老舗の樽メーカー。

バリックを造るようになったのは、1979年に、アンジェロ・ガヤが、フランスではなくイタリアで、しかも彼のワイナリーの近くで、質の良いバリックを造れるメーカーはないかと探していたのがそもそものきっかけなんだそうです。

ガンバのwebページはこちら


余談ですが、2011年の1月に、ランゲ、ロエーロ、モンフェッラート地区は、ワインの産地としてユネスコの世界遺産に立候補しました。
イタリアで、ワインの産地として世界遺産に登録されている場所はまだないと思いますが、果たしてどうなるでしょうか。


バリックに話を戻します。
そもそもバリックとは、ワインを発酵、熟成させるためにフランス人が考え出した木の小樽ですよね。
ボルドーは容量225リットルで、ブルゴーニュは228リットル。
大樽よりワインが酸素と触れ合う比率が多く、その分、ワインのアロマをより引き出すことができます。
また、トースト香、バニラやキャラメルの香りなど、木由来の香りをワインに加えます。


↓フランスの樽メーカーのバリック。





今ではイタリアでも、バリックを通したワインはすっかり定着しました。
ガンバでは、一日に60個のバリックを造り、そのうち1/3を輸出しているのだそうです。

ところが最近は、大分事情が変わりました。
今は、小樽より大樽が注目されています。
なんと、不況のせいかワインの消費量が減って、ワイナリーでワインを貯蔵するための大樽が必要になったというから皮肉なものです。

けれどこれは、樽メーカーにとっては、大きなチャンス。
ガンバでは、大手ワイナリー(バンフィ)のために、木とステンレスを組み合わせて、最大で容量17,500リットルというタンク型の樽、その名も“ホライズン”を開発しました。

有名樽メーカーがステンレスメーカーと組んだ画期的な製品です。
伝統とテクノロジーが融合したハイブリッドタンク、なんて呼ばれています。


↓ガンバと組んだステンレスメーカー、ディ・ツィーオ社のホライズンのPV。





ステンレスメーカーの視線で見ると、なんだかすごいハイテク製品ですねえ。

でも、樽造りは職人の技が命のローテク品。

次回はバリックの造り方の話です。



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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』
“イタリア製バリック”の記事は、「総合解説」'08&'09年5月号に載っています。

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2011年12月2日金曜日

ラ・ブーカ

クラテッロの話、続けます。

生ハムとクラテッロの違いがざっと分かったところで、もう少し詳しくクラテッロを見てみましょうか。

クラテッロは、クラテッロ・ディ・ジベッロCulatello di ZibelloというDOP製品でもあります。

ジベッロは、バッサ・パルメンセの町の1つ。
バッサ・パルメンセには12のコムーネがあり、そのうち西側の8つがクラテッロ・ディ・ジベッロDOPの産地です。

管理組合によると、現在、クラテッロ・ディ・ジベッロDOPの作り手は21軒。
原料となる豚のももは、エミリア・ロマーニャ州とロンバルディア州で飼育された豚のものだけを使用しています。
生産量は、年間約5万個。

ちなみに、パルマのDOP生ハムの作り手は約200軒で、豚のももは中~北部10州で飼育された豚のものを使用。
生産量は、年間約1000万本。


クラテッロは一見普通の生ハムのように見えるのに、食べるともっとしっとりしていて甘みがあります。
これは、ポー河沿岸特有の霧と湿気のおかげ。
ポー河から20km離れれば、もうクラテッロはできません。
さらに、豚の膀胱で包み、その上をカビが覆うという二重の防御で、しっとりさを保ちながらゆっくり熟成させていきます。


『ラ・クチーナ・イタリアーナ』で、ジベッロを代表するレストランとして紹介されているのが、トラットリーア・ラ・ブーカTrattoria La Buca。
店のwebページはこちら

100年前に開業して、5代にわたって母から娘へとすべて女性に受け継がれてきた店です。


↓下の動画、3:34あたりからラ・ブーカが登場します。




シェフのミリアムさんの若かりし頃の写真が、壁に飾ってあります。
昔はとっても美人だったんですねえ。


↓上の動画の続きです。




クラテッロには、ほのかに甘いランブルスコがぴったり。
サルーミが続々登場したの後は、名物のパスティッチョ・ディ・マッケローニ。
さらに、クラテッロのタリアテッレとカボチャのトルテッリ。
そしてコテキーノ、牛舌、トリッパ、エスカルゴ、鴨のもも。
54か月熟成のパルミジャーノ、洋梨のモスタルダ。
ドルチェ4種類。

ここら辺の人は野菜は食べないんでしょうかねえ。




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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2008年5月号
“バッサ・パルメンセ地方”の解説は、「総合解説」'08&'09年5月号に載っています。

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