イタリア料理ほんやく三昧: トリュフ

2011年10月28日金曜日

トリュフ

今日はトリュフの話。
『V&S』の解説です。

秋が深まって、トリュフが恋しくなる人も出てくる季節ですねえ。

イタリアのトリュフと言えば、トリュフの王様、白トリュフ。


Alba white truffle
2010年12月のサンフランシスコの某店のセールでは、白トリュフは1オンス187ドル。
つまり1g6.6ドル!




Oregon white truffle and black winter truffle
え!左の白トリュフが1オンス18.75ドルで、右の黒トリュフが1オンス100ドル?
黒トリュフの1/5の値段の白トリュフ?



白トリュフはイタリア産だけ、と思っていると、失敗します。
上の写真、よく見ると、白トリュフは“オレゴン・ホワイト・トリュフ”と書いてあります。

オレゴン・ホワイト・トリュフって何?

さらによーく見ると、オレゴン・ホワイト・トリュフの下には“TUBER GIBBOSUM”と書いてあります。
これは、このトリュフの学名。

イタリアの白トリュフ、つまりトリュフの王様と呼ばれているものの学名は、TUBER MAGNATUM。

つまり、白トリュフと呼んでいても、実際にはまったく違う品種のトリュフなんです。

オレゴン・ホワイト・トリュフはアメリカ産のトリュフ。
Tuber magnatumが見つかっているのは、今のところ、イタリアと、イタリアの東の地続きのイストリア半島(スロベニアとクロアチア)のみ。



トリュフは、ヨーロッパだけでも30種類以上あるのだそうです。
イタリアでよく知られているのは、ざっと10種類。
中には、外見だけでは見分けがつかないものもあります。

トリュフを買う時は、白トリュフ、黒トリュフ、ウインタートリュフ、サマートリュフなどの略称だけでなく、学名をチェックすることが必要です。


イタリアの主なトリュフ

白トリュフ

・Tartufo bianco pregiato(タルトゥーフォ・ビアンコ・プレジャート)/Tuber magnatum(写真

・Tartufo bianchetto o Marzolino(タルトゥーフォ・ビアンケット、またはマルツォリーノ)/Tuber borchii(写真

タルトゥーフォ・ビアンコ・プレジャートが、いわゆるトリュフの王様の白トリュフ。

ビアンケットは外見はビアンコ・プレジャートとよく似ています。
特に若いうちは色が白く、ビアンコ・プレジャートと間違えやすいそうです。
でも、香りが全然違います。
ビアンコ・プレジャートのシーズンは10月~12月で、ビアンケットは2月~4月。


黒トリュフ

・Tartufo nero pregiato(タルトゥーフォ・ネーロ・プレジャート)/Tuber melanosporum(写真

・Tartufo nero invernale(タルトゥーフォ・ネーロ・インヴェルナーレ)/Tuber brumale(写真

・Tartufo moscato(タルトゥーフォ・モスカート)/ Tuber brumale var. moschatum(写真

・Tartufo nero estivo, Scorzone(タルトゥーフォ・ネーロ・エスティーヴォ、またはスコルゾーネ)/Tuber aestivum(写真

・Tartufo nero liscio(タルトゥーフォ・ネーロ・リッショ)/Tuber macrosporum(写真

タルトゥーフォ・ネーロ・プレジャートは、フランスのペリゴール産が有名な最上質の黒トリュフ。
中の白い筋は、空気に触れると赤っぽく変色します。
シーズンは11月~3月。

タルトゥーフォ・ネーロ・インヴェルナーレは、いわゆるウインタートリュフの一種。
プレジャートと比べて中の白い筋がやや太く、まばら。
プレジャートと違って、筋の色は空気に触れても変わりません。
シーズンは1月~4月。

タルトゥーフォ・モスカートもウインタートリュフの一種で、麝香の香りが特徴。
シーズンは12月~3月。

タルトゥーフォ・ネーロ・エスティーヴォは、いわゆるサマートリュフ。
外が黒くて中がハシバミ色、そして夏に熟すのが特徴。
シーズンは6月~9月。

タルトゥーフォ・ネーロ・リッショは、いわゆるスムースブラックトリュフ。
他の黒トリュフと比べて皮がなめらかなのが特徴。
シーズンは7月~12月。


上の写真の黒トリュフは、ヨーロッパ産のTuber melanosporumと書いてあります。
つまり、タルトゥーフォ・ネーロ・プレジャートです。
それなのに、商品名はウインタートリュフ(ネーロ・インヴェルナーレ)。
いったいどっちなんでしょうねえ。

これはおそらく、ネーロ・プレジャートをサマートリュフと区別するために、大雑把にウインタートリュフと呼んでいたことから生まれた混乱と思われます。
ネーロ・プレジャートとネーロ・インヴェルナーレが違う種類である以上、ウインタートリュフと表示する時は、Tuber melanosporumかTuber brumaleか、はっきりさせる必要がありますよね。


栽培できない白と違って、栽培ができる黒は値段も比較的手ごろ。
ただし、栽培と言っても椎茸のように原木に菌を植えて育てる訳ではありません。
むしろ、トリュフが育つ木を育てるのがトリュフの栽培方法です。
だから、トリュフ畑は林のような姿をしています。


↓トリュフ畑




この畑の木は、苗をトリュフ菌を混ぜた土に植えて育てたものです。
土はあらかじめ殺菌してあって、余分な菌を取り除いてあります。
こうすると、根にトリュフ菌が寄生した木が育ち、数年後にはトリュフができます。
その後、毎年トリュフができるようになります。



↓トリュフ栽培用の苗





イタリアでは、天然もののトリュフが減る一方で、トリュフの栽培は年々盛んになっています。
栽培されている品種は、ネーロ・プレジャートが約60%で、続いてサマートリュフが約26%。


トリュフの話、次回に続きます。


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関連誌;『V&S』2009年4月号
“タルトゥーフォ・ネーロ・プレジャート”の記事の解説は、「総合解説」'08&'09年4月号に載っています。

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