2011年5月16日月曜日

カルネ・クルーダ

今日は生肉の話。

それにしても、厚生労働省の「生食用牛肉」の基準をクリアした肉が出荷された実績がないなんて、知りませんでした。
知らないですよねえ、普通。
そもそも、生食用の牛肉という発想があることすら知らなんだ~。
レバ刺しや牡蠣と一緒で、運が悪ければあたるかも、と覚悟して、お店を信頼して食べるもんだと思ってましたよー。

イタリアにも生肉料理はありますが、生の牛肉の扱いは、日本と同じで特に法律で規制されているものでもないようですね。
生肉は食べない、という人もたくさんいます。


イタリアの生肉料理と言えば、ピエモンテのカルネ・クルーダ・バットゥータ・アル・コルテッロcarne cruda battuta al cortello(いわゆるタルタルステーキ)やカルパッチョ。

Carne cruda battuta
カルネ・クルーダ・バットゥータ



↓イタリアの肉屋さんでカルネ・クルーダ・バットゥータを買うと・・・。




ヒレ肉が欲しいというパオローネに、まず肉屋さんは、人数、必要な量、予算を聞いています。
人数は5人、量は1人150gぐらい、予算は25ユーロ程度と答えると、肉屋さんの返事は、部位は任せてくれ、22ユーロに収めるから。
そして出してきたのは、胸肉の赤身の部分。

その後ウンチクが続きますが、ポイントは、肉は新鮮であること。
ミンサーで挽くと肉が加熱されてしまうので、必ず包丁で刻んで熱が加わらないようにすること。
光によっても加熱されるので、店から家に運ぶなど時間が開くときは、光をさえぎるアルミホイルで包むこと。
さらにこれを真空パックして空気にも触れさせないようにすること。
だそうです。
この店なら信頼できそうですねえ。

このように生肉をひたすら包丁で叩き続けるのが、カルネ・クルーダ・バットゥータ。
バットゥータとは「叩いた」という意味ですが、「打ちのめす」という意味もあります。
ただ叩くのではなく、とことん叩く、というニュアンスですかね。
ただし、肉(カルネ)は女性だから、女性を扱うように、とも言っています。



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2 件のコメント:

畠山 さんのコメント...

結局、お店で料理されるまでの管理が重要なんです。食中毒を起こす病原菌は外から感染すると言うよりは元々牛の腸にいたものが他の部位に付着したものですから。

なので枝肉から外すときは包丁、まな板を何回もとり換えないといけないのだそうです。

日本の食肉業界の体質的なものもありますが職人がフェアな扱いをされていればこういうことは起こらないような気がします。

prezzemolo さんのコメント...

畠山さん
肉のことを何も知らないなあとあらためて思う今日この頃です。
菌が腸から付着するとは知りませんでした。

肉の部位の呼び方を調べるために解体の様子の写真を時々見るのですが、筋肉があまりにも複雑で、素人にはさっぱり理解できません。
牛1頭の解体には、かなりの知識と技術が必要なんでしょうねえ。
その割にはあまり表に出ることのない仕事なんですね。

よもぎはドイツ語ではベアムート。かっこよくてお餅につける名前じゃないよね。トリノでパティシエが白ワインとよもぎから作りだしたのがベルモット。

今日のお題は、メイド・イン・イタリーの食材です。(CIR2022年1月号P.37の記事) その食材は、ベルモット。ピエモンテ州トリノで誕生したフレーバード・ワインです。 白ワインにスパイスとハーブを加えて香りをつけたもの。 ところで、ベルモットはドイツ語の“ヨモギWermut”が...