2010年11月22日月曜日

きのこのマルサラ煮

きのう、何かの番組の再放送を見て、唖然としましたよー。
何と、クラテッロのことを「イベリコ豚の生ハム」と紹介してるじゃあーりませんか。
耳を疑うとはこのことだあ!
さらに、「乾燥パスタはグラニャーノで400年前に発明された」、と言い切ってますよー。
いったいどこの学会で発表されたんですかあ。

「ミートソースはイタリア語ではボロネーゼ」とか(ボロネーゼは日本語か英語だがね。イタリア語ならボロニェーゼだがね)、bucoを「ブッコ)」と言っている(ブーコですだよ)のは大目に見るとしても、こんなに超適当なことを、再放送までして日本中に広めているとは(日曜夜8時の番組だって!)、見ているこっちの方が恥ずかしくなってくるじゃないかあ。

ふう、これだけ書いたらちょっとすっきりしました。



それでは気を取り直して、元のお題に戻ります(汗)。
横道にそれまくったので、もう忘れ去られているかもしれませんが、きのこの話ですよ~。
今回も、南イタリアのきのこ料理の続きです。


シチリアのきのこ料理をもう1つ。
『IL DIAMANTE DELLA GRANDE CUCINA DI SICILIA』から。

シチリア人だったらきのこをどう料理するか・・・。

前回紹介したその答えの1つは、パン粉とアンチョビでしたね。
そしてもう1つは・・・。

なるほどそうきたか、マルサラです。


きのこのマルサラ・ヴェルジネ煮
Fungi cu Marsala/Funghi al Marsala vergine
・きのこを薄く切って陶器の鍋に入れ、バターとオリーブオイルで炒める。
・約5分炒めたらマルサラ・ヴェルジネ1/2カップをかけて30分煮る。
・小麦粉少々を少量のブロードで溶いて加える。
・火を止める直前に、もし水分が足りなくなっていたらマルサラを振りかける。




マルサラ・ヴェルジネですか。

ここで少し、マルサラの種類の話でも。

マルサラは、やたらと種類の多いワインですよねえ。

まず、色は3種類。
 オーロoro(白ぶどうを使用)
 アンブラambra(白ぶどう+モスト・コット)
 ルビーノrubino(黒ぶどう+白ぶどう)

(モスト・コットはぶどうの果汁を煮詰めたもの)


甘さ辛さも3種類。
 セッコsecco
 セミセッコsemisecco
 ドルチェdolce


熟成期間は5種類。
 フィーネFine(最低1年、アルコール度は最低17%)
 スーペリオーレSuperiore(最低2年、18%)
 スーペリオーレ・リゼルヴァSuperiore Riserva(最低4年、18%)
 ヴェルジネ、またはソレーラスVergine/Soleras(最低5年、18%)
 ヴェルジネ、またはソレーラス・ストラヴェッキオ、またはリゼルヴァVergine/Soleras Stravacchio/Riserva(最低10年、18%)


これを組み合わせて・・・
 フィーネ・オーロ
 フィーネ・ルビーノ
 フィーネ・セッコ
 フィーネ・セミセッコ
 スーペリオーレ・オーロ
 スーペリオーレ・アンブラ
 スーペリオーレ・リゼルヴァ・アンブラ
 スーペリオーレ・リゼルヴァ・セッコ
 ・・・
と、この調子で永遠に続きます。



20090330 Marsala di Florio
左はヴェルジネ、右はスーペリオーレ・リゼルヴァ・セミセッコ


マルサラ・ヴェルジネは、熱く乾いた味で、バランスが取れているのが特徴。
子牛のスカロッピーネや豚肉にも合います。


また話が脱線しましたねー。
きのこの話でしたねー。


次は、プーリアのきのこ料理の話です。



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関連誌;『サーレ・エ・ペペ』2007年9月号
関連記事「ポルチーニ」のリチェッタは「総合解説」'07&'08年9月号に載っています。

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4 件のコメント:

くるり さんのコメント...

わっはっは。プレッツェーモロさんにしては珍しく平常心を失っておられるようで、なんともほほえましい気分になりました。でも知らない人が見たら鵜呑みにしますよね(私も含めて)。怖い怖い。
いつも正しいのか間違っているのかもわからないので、おばかな質問をしていますが、どうか正してくださいね。間違ったまま覚える方が愚かなので。

脱線ついでにチーロのワイナリーで聞いたお話を。その時カラブレーゼを気に入って買ったのですが日本では見かけないという話をしたら、ネロ・ダーボラとほぼ同じだがシチリアはコマーシャルが上手いから知られているが、カラブリアはアピール不足で殆どが地元消費のみだと言っていました。

しかもカラブレーゼの方が本家なのにといっていましたが、日本でソムリエさんにきくと、どうもそうでもないみたい。現地の人でその道のプロが言っていたからといって、そう簡単に信じてはいけないようです(笑)

ワイナリーの方は英語が堪能で、英語での会話でしたが、連れが堪能ですので聞き間違いではないと思いますが。
ちなみに私の英語は小学生並みデスが(__;)

prezzemolo さんのコメント...

くるりさん
いや~テンション上がっちゃいました~(笑)
どこかの都市伝説を聞きかじって、番組に都合のいいように勝手に解釈して、純真無垢な視聴者の心にテキトーな情報を植え付けるなんて、ある意味、ネット上にあふれるデタラメ情報より怖いですねー。
このブログはきわめてまじめにやってるので、普段押し殺してる素の自分が半分ぐらい爆発しました(笑)
ホントは、ざけんじゃねえ、ぐらい言いたかったどす。

チローとネロ・ダーヴォラの関係ですが、wikiにはこういう説があると書いてありました。
ネロ・ダーヴォラは、シチリアの方言でカラウリージcalaurisi(caleaぶどう+aulisiアーヴォラの)と呼ばれていました。
ブレンド用ワインとしてフランスなどに輸出されていたのですが、その地で「カラブリージ」となまり、さらに19世紀には「カラブレーゼ」となって、この名前で定着したそうです。
その辺りから、カラブリアのワインという誤解が生まれる可能性もありました。
チローもネロ・ダーヴォラも、昔はブレンド用ワインとして造られていたので、そういう意味ではライバルだったんでしょうね。
でも、ネロ・ダーヴォラとカラブリアは特に関係はなさそうですね。
ちなみに、チローのぶどう、ガッリオッポはギリシャから伝わったと言われてるそうです。

まあこれもあくまでネット上の情報で、ひょっとしたらカラプリア本家説の方が正解かもしれませんが。
あーもー何を信じていいのか分からない!

vittorio さんのコメント...

ほんとマルサラって種類がいっぱいありますね、

厨房でエスプレッソにマルサラを入れられて酔っ払ってしまったときがありました(笑)

キノコいいですね、

テレビの間違いはよく目に付きます、私が付くくらいですから、prezzemoloさんはもっと付きますよね。

関西にいたとき、テレビが当たり前だと思っているスタッフに「テレビが間違っている、テレビ局に問い合わせてみたら」と言ったことがあります、間違って覚えちゃうって恐ろしいです、私もそうなんですが(笑)

prezzemolo さんのコメント...

Vittorioさん
マルサラ入りエスプレッソ、いかにも厨房で飲まれていそうな飲み物ですねえ(笑)
そう言えば私がマルサラを飲んだのは遥か昔で、もう味も忘れちゃいました。

テレビでイタリアの話が出ると、条件反射で聞き耳をたててしまいます。
たいていは、ほおー、と思うようなことばかりなんですが、これはちょっといい加減すぎました。
日頃から、テレビやネットの話は簡単に信じないつもりでいるんですが、あらためてその必要性を痛感しましたよー。

バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

(CIR12月号)によると、ヴィチェンツァでは、この料理はCが1つなんだそうです。普通はバッカラはbaccalàでも、ヴィツェンツァでは、Cがひとつのバカラ。んなばかな、と思ったけど、地元のこの料理の専門家たちは、C一つで呼んでました。会の名前の刺繍もC一つ。リチェッタはP.11...