2010年3月26日金曜日

シェフのリチェッタを読む、その2

料理人のリチェッタを読む、その2です。

前回は、料理名を訳す、というか、料理名の中の一つの単語を訳すことに全て費やしてしまいました。
こんな風に、料理人のリチェッタを訳す作業は、辞書に載っていない単語との闘いがその大部分を占めます。

今回の料理名は、
Tartara di tonnina e gamberetto di nassa
  con corallo dello stesso e sale di Mothia


これはかなり簡単な方です。

先日訳したある料理名なぞは、
Passeggiata in Val di Noto
ですよ。

「ヴァル・ディ・ノートの散策」?

上級編のリチェッタになると、辞書に載っている単語でも訳すのに苦労します。



さて、Tartara di tonnina...ですが、料理名の続きを訳していきます。
tonninaは「スマ」という魚の可能性もあるのですが、今回は「マグロの赤身」と解釈。
で、次はgamberetto di nassaです。

gamberetto di nassaは、直訳すれば「筌の小エビ」。
筌は魚を捕るかごのことです。
これで納得してもいいのですが、もう少し詳しく調べてみます。

一番手っ取り早いのは、gamberetto di nassaで検索する方法。
画像を検索すれば、gamberetto di nassaがどんなエピなのか、見ることもできます。
Google Italiaなどイタリアの検索エンジンで調べると、より詳しい情報が見つかります。

実際に検索して見ると・・・。

どうやらこのエビはスローフードのバックアップ食材に選ばれているようで、情報は比較的たくさんありますねえ。

地中海名物の赤いエビ、ガンベロ・ロッソの一種なんですね。
海底の暗い穴の中にいるために網で捕ることができず、かごを使うからこう呼ばれるんだとか。
とても甘く、新鮮なものを生で、レモン汁などを何もかけずに食べるのが一番美味しいんだそうです。

こんなエピ


これで納得してもいいのですが、食材の名前の場合はもう一歩踏み込んだ調査をします。

それは、日本名を調べる、という方法。

今は本当に便利な世の中で、gamberetto di nassaの日本名も、ちょっと検索すれば解ってしまうんです。
すごいですよ、まったく。

では、どうやって日本名を調べるのか、その方法を説明します。

まず、gamberetto di nassaの学名を調べます。

食材を解説するサイトには、その学名を載せているものが結構あるんです。

例えばこちら

Gamberetto di nassaの横に(Plesionika narval)とありますね。
これが学名です。

学名が分かったら、今度は学名で検索。
そうすればあっという間に日本名が判明します。

「オキノスジエビ」だそうです。


ああ、また一つの単語を調べるのに時間を食ってしまいました。
今日はここまでです。
続きは次回に~。



生のガンベロ・ロッソの前菜, photo by stefaniav



ガンベロ・ロッソのカヴァテッリ, photo by googlisti



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関連誌;『クチーナ・エ・ヴィーニ』2008年5月号
ピエトロ・ダゴスティーノシェフのリチェッタは、「総合解説」'07&'08年5月号P.18に載っています。

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6 件のコメント:

noriko さんのコメント...

はじめまして、norikoと申します。
いつも楽しみに拝読していたのですが、
先日マルケージの本のことをブログに書いていて、
こちらの以前の記事をリンクさせて頂きました。
私にはとても解説のようなことはできないので・・・
いつも勉強させて頂いています。

prezzemolo さんのコメント...

norikoさん
コメントありがとうございます!
ブログ拝見しました。
内容も写真も素晴らしいですね。
ローマは大好きな街で、見ているうちに行きたい病が再発しました。
マルケージは、はるか昔にミラノの店に行ったことがあるのですが、店のハイソでアーティスティックな雰囲気が強烈な印象になって残っています。
どこかウディ・アレンの映画のような世界でした。
いまだに現役なのはすごいですよね。

noriko さんのコメント...

prezzemoloさん
すみませんまた私です。
レストラン、私は行ったことないんですよ。
ただ以前働いてたローマのお店の近くに
マルケージがコンサルティングをしてる
オステリア・デル・オルソというレストランがあり、
入ったこと(食事はしてないんです、友達が働いてたので入っただけで・・・)はあるんですがとても雰囲気が良かったです。
個人的にはマルケージがミシュランの審査から降りたのは良かったのかなという気がしました、ゆっくり後輩の指導に力を入れてほしいなとも思うので。

vittorio さんのコメント...

調べぬくとは素晴らしいことです、私もそうなくてはいけないとつくづく思います、

私もとんでもないものを作ってしまうときがあります、成功してもレシピをすててしまったり(笑)複雑しすぎて思い出せないんです(笑)


筌の海老、なるほど深いから筌で採っていたんですね、

そして私は市場でオキノスジエビを捜します(笑)実は市場で見たことがない海老です。

オキノスジエビがなかったら、スカンピ、牡丹海老、ウチワエビ、手頃なら赤海老、甘エビなども考えてました、ニューカレドニアの天使の海老もいいかなぁ~その場合は青いからさっと熱湯にくぐらせたらいいかなぁ~と、でもやっぱりオキノスジを食べてみたいです、

カンベロ・ロッソはよく使っていました、最初はすでにボイルしてあるものだと思いました(笑)

くるりさん面白かったですか(笑)いつもあんなかんじです、ネタを座って選んでいたらターレに乗ったクロマグロが突っ込んできたんです(痛っ)お詫びにターレで駐車場まで送ってもらいました、ひとときのクロマグロ気分でした(笑)

prezzemoloさんとくるりさんのコメントのやりとりを拝見させてもらい勉強しています、

コートダジュールにいたとき最初イタリアの仕事でventimigliaだから近いからOKしちゃったんですが、本当はveneziaだったんです、単語がにてるからと思ったんですが後でスタッフにveしか当たってないでしょうと言われてしまいました、こんな感じです(笑)

そういえばイタリアの荷物を整理していたらトレントの友人からもらったグアルティエロ・マルケージ氏の31年前の本を発見しました。

vittorio さんのコメント...

やっぱり文章を書くのが下手です最初の方のコメントです。

調べぬくとは素晴らしいことです、私もprezzemoloさんのようにそうでなくてはいけないと常々思い勉強している毎日です、です

下手だから「」になってしまいます(笑)

prezzemolo さんのコメント...

norikoさん
デッロルソという名前のローマのレストランと言うと、漫画の『リストランテ・パラディーゾ』の「カゼッタ・デッロルソ」が頭に浮かんでしまします(汗)
イタリアのレストランで日本人がたくさん活躍しているのは知ってましたが、イタリア留学経験のある人が有名マンガ家になって、イタリアが舞台の、イタリア語が散りばめられた漫画がアニメにまでなる時代が来るとは思いませんでした。

Vittorioさん
オキノスジエビって、どんなエピなんでしょうね。
書いといてなんですが、なんだか日本では食用のエビじゃないような・・・。
私はガンベロ・ロッソも食べたことないんですよー(涙)
そもそも、食べたいものが多過ぎます!

ventimigliaとvenezia、どうやったら聞き間違えるのか(笑)
多分、運命の神様の仕業ですよ~。

マリア・ルイジアの小さな街、パルマのバターとグラナの娘、アノリーニ。本物は牛と去勢鶏のブロードでゆでます。

昨日の最後にサラっと登場したアノリーニですが、このパスタ、(CIR12月号P.5)にもリチェッタが載っていました。クルルジョネスの次の料理です。花の形の可愛い詰め物入りパスタ、なんていうのがこのパスタの印象ですが、イタリア人は、こんな風に思ってるんですね。 「マリア・ルイジアの小...