2010年2月24日水曜日

小麦とノーベル平和賞

今日はクレアパッソで先日配本した『ヴィエ・デル・グスト』の記事から。

昨年、オバマ大統領がノーベル平和賞を受賞した時は、なぜ?という声が少なからず上がりましたよね。
平和賞が与えられる基準はそれほど明確ではないようですが、とにかく、政治家だとか、慈善事業に身を捧げた人が選ばれる、というのが通説ではないでしょうか。
だから、『ヴィエ・デル・グスト』のパスタに関する記事の中で、ノーベル平和賞という言葉が出てきた時には驚きましたよー。
料理雑誌でノーベル賞の話題が出るのも珍しいですが、それが化学や生理学の分野ではなく、平和賞なんですから。

パスタに多少なりとも関係があって、ノーベル平和賞を受賞した人物。
世の中にはそういう人がいるんですねえ。

その人は、アメリカの農業学者、ノーマン・ボーローグ博士(1914-2009)。
1970年にノーベル平和賞を受賞しています。

アナン元国連事務総長、ネルソン・マンデラ南アフリカ大統領、ダライ・ラマ14世、マザー・テレサなど、そうそうたる受賞者の中にあって、このノーマン・ボーローグ氏は、いったい何をした人なのでしょうか。

なんと、小麦の品種改良です。
品種改良でノーベル平和賞?
意外ですねえ。


彼は、丈夫で収穫量が多い小麦を開発して、小麦の大幅な増産を可能にしました。
そしてこれを元に新しい農業技術を開発し、国際的な穀物の大幅増産を達成したのです。
ロックフェラー財団が資金を提供した「緑の革命」と呼ばれる事業の成果でした。

こうまとめると、それほど大層なことではないようにも見えます。
ところが実は、これによって食糧危機に瀕した数億の人が救われたのだそうです。
そのことが「歴史上の誰よりも多くの命を救った」として、ノーベル平和賞が与えられたのでした。


いやー、素晴らしいですねえ。
文句なしに平和賞納得です。
農業を勉強している人を見る目が大幅に変わりましたよ。
誰よりも多くの命を救える可能性がある学問だったとは、農業学は!
世界のために、これからもがんばってくださいよー!


ノーマン・ボーローグ博士(英語です)






そしてこのボーローグ博士が小麦の品種改良に取り組むきっかけになったのが、イタリアのある農業学者。
次回はこの人の話です。



-------------------------------------------------------

関連誌;『ヴィエ・デル・グスト』2008年5月号
関連記事「マルケのパスタ」の日本語解説は、「総合解説」'07&'08年5月号、P.27に載っています。

[creapasso.comへ戻る]

=====================================

0 件のコメント:

マリア・ルイジアの小さな街、パルマのバターとグラナの娘、アノリーニ。本物は牛と去勢鶏のブロードでゆでます。

昨日の最後にサラっと登場したアノリーニですが、このパスタ、(CIR12月号P.5)にもリチェッタが載っていました。クルルジョネスの次の料理です。花の形の可愛い詰め物入りパスタ、なんていうのがこのパスタの印象ですが、イタリア人は、こんな風に思ってるんですね。 「マリア・ルイジアの小...