イタリア料理ほんやく三昧: 12月 2009

2009年12月28日月曜日

2010年の三つ星店は・・・

今日は『クチーナ・エ・ヴィーニ』の記事、「三つ星の料理」の解説です。

ミシュランの三つ星店、日本にはなんだかずいぶんたくさんあるんですね。
2010年版では東京は11軒、京都大阪は7軒だそうで。

さてそれでは、11月24日に発売されたミシュラン・イタリア2010年版では、三つ星店は何軒?

・・・答えは、6軒です。
イタリア中で、わずか6軒。

二つ星は37軒。
ちなみに日本は東京だけで42軒。
京都大阪は11軒。

フランスの人は日本料理に甘いのか、イタリア料理に厳しいのか・・・。

東京の11軒というのはパリの10軒を抜いていて、結果的に「東京が世界一の美食の街」というお墨付きを与えたようなもの。
これにはさすがにフランスでは怒りの声が上がっているようで、フランスのL'EXPRESS誌は「日本市場で儲けようという魂胆」というような記事を載せています。


イタリアでは、「ミシュランが好むのはフレンチスタイルの高級店」という評価が一般的。
でも、毎年その結果が発表される時期には、星が増えた減ったと、話題にはなるようです。

2010年版の3つ星店は、
Dal Pescatore(Canneto sull'Oglio/マントヴァ)
Ristorante Enoteca Pinchiorri(フィレンツェ)
La Pergola(ローマ)
Al Sorriso(Soriso/ノヴァーラ)
Le Calandre(Rubano/パドヴァ)
Da Vittorio(Brusaporto/ベルガモ)


今年は動きがありましたねー。
常連の5軒に、新顔のDa Vittorioが加わりました。


下の動画で最初に登場するのが、出版イベントでのDa Vittorioの面々。
話をしているのはミシュラン・イタリアの編集長。






次の動画は、Da Vittorioのシェフ、エンリコ・チェレーア氏。
2008年のヴィニタリーで披露した、春の食材の料理を説明しています。
「ロワイヤルのズッキーニ風味」
「じゃがいものクレーマ、頬肉の煮込み入り」
「アスパラガスとスクアックエローネのオルゾット」
「ヒラメのフィレットの子牛の頭肉添え」
「クレーム・ブリュレとピスタチオのクリーム」
「自家製ピッコラ・パスティッチェリーア」







Da vittorioのhpはこちら


イタリアの三つ星の話、次回に続きます。



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関連誌;『クチーナ・エ・ヴィーニ』2008年4月号
「三ツ星の料理」のリチェッタは「総合解説」'07&'08年4月号に載っています。

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2009年12月24日木曜日

アッバッキオ・アッラ・カッチャトーラ

クリスマスイブの今日も復活祭の話(笑)。

間があきましたが、子羊料理の話、続けます。

前回は、おいしい子羊料理がたくさんあることで知られるローマでも特においしい一品、「アッバッキオ・アッラ・カッチャトーラ」、別名「アッバッキオのローマ風 abbacchio alla romana」のリチェッタの途中でした。

あらためて材料からどうぞ。
出典は、ローマ料理のバイブル、Livio Jannattoni著『La cucina romana e del Lazio』です。

アッバッキオ・アッラ・カッチャトーラ Abbacchio alla cacciatora

材料/6人分
 アッバッキオ・・1.5~2㎏
 オリーブオイル(またはラード)・・1/2カップ
 ビネガー・・1/2カップ
 塩、こしょう
 小麦粉・・大さじ1/2
 にんにく
 ローズマリー
 セージ・・1枚
 洗って骨を取って崩した塩漬けアンチョビー(好みで)・・2尾

・大きなフライパンに油を熱し、子羊肉(40gに切り分ける)を入れて強火で焼く。塩、こしょうをして木べらで裏返し、全体に均一に焼き色をつける。
・弱火にしてにんにく1片、ローズマリー、セージを加え、再び火を強めて小麦粉大さじ1/2を散らしながら焼く。
・肉を裏返し、ビネガー1/2カップと水1/2カップをかける。鍋肌を軽くこそげ、火を弱めて蓋をする。
・水分が煮詰まったら水を加えながら煮る。
・アンチョビーを肉の煮汁大さじ2で溶かし、肉にかけてさっと煮る。

ジッジ・ファーツィ(ローマの有名シェフ)のカッチャトーラ
・フライパンに油、にんにく、唐辛子を入れてソッフリットにし、切り分けた子羊肉を入れて塩をする。
・強火で焼き、焼き色がついたらワインをかける。しっかり蓋をして火を半分に弱め、15分焼く。
・ローズマリーを加えてビネガーを散らし、再び蓋をする。火をやや強めて10分熱する。

ファーツィのリチェッタはワインの量が多く、小麦粉がなく、こしょうの代わりに唐辛子を加え、セージは加えない(おそらくこれは正解だろう)。

若手のレオポルド・カッチャーニ(フラスカーティのリストランテ・カッチャーニ、ソムリエでもある)のカッチャトーラ
・カッチャトーラの肉は、まだ母乳だけを飲んでいる乳飲み子羊で、肉の重さが7~8㎏のものがよい。
・肉を切り分ける時は小さくなりすぎないようにする。
・上質のオリーブオイルをステンレスではなく鉄のフライパン(火が均一に行きわたる)に入れて熱し、肉を入れて10分焼く。
・薄く焼き色がついたら油の大部分を捨て、にんにく、ケッパー、ローズマリー、唐辛子、塩のペーストを加える。
・さらに焼き、白ワイン(できれば辛口のフラスカーティ)とビネガーを加える。
・蓋をして火を弱め、10~15分煮る。
・蓋を取って水気を飛ばす。熱した皿に盛り付け、フラスカーティを添える。

「新しい」リチェッタだが、伝統を十分に尊重している。



復活祭の子羊の締めくくりは、ペコレッラ。
マジパンで作った子羊です。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の表紙にもなっています。




これはずいぶん整った形をしていますが、パスティッチェリーアに並んでいるペコレッラはこんな感じこんな感じで、もっと素朴。

たいていは、背中に旗をつけています。
今まで、この旗にどんな意味があるのか考えたことがなかったのですが、『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の記事で初めて知りました。
これは復活したキリストが持っているのと同じもので、死への勝利を意味しているんだとか。
そういえば、旗を持ったキリストの絵、ありますねー。


今日のおまけ。
やっぱりクリスマスですから、パンドーロのメーカー、バウリのCMをどうぞ。





メリー・クリスマス!



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関連誌;Livio Jannattoniの『La cucina romana e dal Lazio』はクレアパッソで販売しています。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2007年4月号、「ペコレッラ」のリチェッタは、「総合解説」'07&'08年4月号に載っています。

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2009年12月21日月曜日

パンペパート、おまけ

前回のウンブリアのパンペパートpanpepatoの話を見て、Italiamamaさんがトスカーナはシエナのパンペパートの写真を送ってくれました(Grazie Italiamamaさん!)








Italiamamaさんが住んでいたエミリア・ロマーニャには、これに似たスポンガータというドルチェがありますよー、とも教えてくれました。
スポンガータ


そう言えば、パンペパートはイタリア各地にあります。
パンペパートに似たドルチェもあちこちにあります。

そもそも、パンペパートはどこのドルチェ?

一般的に、パンペパートはイタリア中部、特にウンブリアのテルニ周辺のクリスマスのお菓子として知られています。

ウンブリアのパンペパート

でも、ラツィオやエミリア・ロマーニャにもパンペパートがあります。



下の動画はラツィオのヴィテルボ地方のパンペパート。
ウンブリアのものとほとんど同じですね。
「ペパートとは言っても、今ではこしょうは加えません」と言ってます。







『Grande enciclopedia illustrata della gastronomia』によると、パンペパートとは・・・

ドライフルーツ、蜂蜜、カンディート(フルーツのシロップ煮)、チョコレート、スパイスがベースの歴史の古い焼き菓子。
多くの地方で蜂蜜にこしょうを加える。
こしょうの量は様々。
作り方はどの地方も似ているが、食材は地元ならではのものを加える。
たとえば、エミリア地方では松の実とジビッボ種のぶどうを入れたり、ラツィオではジャムとチョコレートで覆ったりする。
トスカーナのパンフォルテも元々は“パン・ペパート”だった。
他の材料と比べてこしょうの量が多かったため、「パーネ・パッツォ pane pazzo」(狂ったパン)と呼ばれた。



ちなみに、Touring club Italianoの『L'Italia dei dolci』によると、
ウンブリアのパンペパートに合うワインは、「オルヴィエートのアレアティコ」だそうです。
甘口の赤のオルヴィエートということでしょうか?
地元でないと飲めないワインですねえ。



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2009年12月17日木曜日

パンペパート

このところずっと復活祭の話をしていますが、やっぱり今はクリスマス(笑)。
久々にポモドーロさん(クレアパッソのイタリア在住スタッフ)からイタリア便りが届きました。
そこで、復活祭の話はちょっとお休みして、今日はペルージャのクリスマスの様子をどうぞ。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆



キリスト教国のイタリアは、12月8日の聖母の無原罪の御やどりの祝日から1月6日の御公現の祝日まで、クリスマス一色になります。

日本のお正月と同じように、この時期、主婦はとても大変です。

12月8日までにツリーを飾り、家族や友達にプレゼントを用意、クリスマスイブとクリスマスの正餐の準備をします。
クリスマスが過ぎるとすぐに大晦日のパーティー、元日、醜いおばあさんが悪い子には石炭を、よい子にはプレゼントを持って来てくれる1月6日のエピファニアで一連のお祝い事が終わり、やっとツリーをかたずけます。

我が家では、ツリーを飾りクリスマスのお菓子パンペパートを作ると、クリスマス気分がぐっと盛り上がります。

ペルージャの伝統的なクリスマスのドルチェは アーモンドベースのトルチリオーネですが、相棒が近郊のテルニ出身の為、我が家のクリスマスのドルチェはパンペパートです。

パンペパート、ペーペの入ったパンという名のこのドルチェは、その名の通りコショウがたっぷりと入っています。
ここで紹介するレシピは、近所に住んでいたテルニで一番有名なバールのドルチェ職人さんから教えてもらった物です。



材料:下記レシピの3分の2の量です。


材料の分量はすべて殻をとったものです。

 くるみ 1kg
 ヘーゼルナッツ 500g 
 アーモンド 500g 
 松の実 100g 
 種無し干しブドウ 400g 
 シトロンの砂糖漬け 500g 
 ブラックチョコレート 1kg 
 蜂蜜 600g 
 パウダーココア 100g 
 小麦粉 200g 
 凝縮コーヒー(4人分のコーヒーメーカーで3回出ししたもの。一回目に出したコーヒーを水の代わりに入れ、コーヒーを作る。3回目も2回目に作ったコーヒーを水の代わりに入れる。)
 モストコット(ブドウの絞り汁を10分の1程に煮詰めた物) カップ1
 コショウ
 ナツメグ
 お菓子用オスティア(オブラート)

(材料の下ごしらえ)
シトロンの砂糖漬けは荒いみじん切にし、チョコレートと蜂蜜は湯煎にかけて溶かします。
くるみ、ヘーゼルナッツ、アーモンド、松の実、干しブドウは切らずにそのまま使います。

(作り方)
オスティア以外のすべての材料を台の上に山盛りし、たっぷりのコショウとナツメグ3分の1個をおろしたのを入れ、全材料を両手でよく混ぜ合わせます。
最初はドロドロしていますが、チョコレートと蜂蜜がさめてくるとまとまってきます。
コショウの量は好みですが、かすかに感じる程度が良いようです。





ヘラで少量とり、小麦粉を敷いた台の上で、底の直径が8センチ程のパン型に成形します。
手に粉をつけながらすると成形しやすいのですが、つけすぎないように注意します。





成形したパン型をオスティアに乗せ、オーブンの鉄板に並べます。





160度に熱したオーブンで25分焼き、さまします。
日持ちさせる場合は、一日乾燥させてから包装すると2-3ヶ月はもちます。
できたパンペパートは5ミリ程の厚さに切ってサービスします。









我が家では、このドルチェをプレゼントにも使うので、通常より大きめに作ります。
上記の分量で、底の直径10-11センチのパン型に成形した場合、16個程作れます。
見かけはイマイチですが、味は抜群。
ブオン ナターレ!!



☆ ☆ ☆ ☆ ☆



お疲れ様、ポモドーロさん。
今年もグッジョブ!
ポモドーロさんのパンペパートは、ほんとにおいしいんですよ。



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2009年12月14日月曜日

復活祭の子羊、その2

復活祭の料理の話、今日こそは子羊料理です。
『サーレ・エ・ペペ』の解説です。


復活祭の時期、つまり春は、子羊肉も旬。
という訳で、復活祭には様々な子羊料理が登場します。

最も一般的なのは、ロースト。
他には、スペッツァティーノ、フリット、ブロデッタート、フリカッセ、ポルペッティーネ、フラザート、タリアータなどなど、何でもありです。



下の動画は、定番中の定番、「アッバッキオとじゃがいものロースト、アーティチョーク添え」。





・子羊肉は、後ろ半身1㎏(火が通りやすいように切り込みを入れる)と前半身1㎏(3つに切る)。
・にんにく4片を半分に切って肉にこすりつけ、油をかけてローズマリーを差し込む。
・180度のオーブンで最低1時間30分焼く。
・塩は約30分焼いてから振る。
・1時間たったらじゃがいもを加え、コンベクションオーブンで熱風循環させて30分焼く。
・途中、1、2度裏返す。
・その間にアーティチョーク(棘のないローマ種)を調理する。
・軸をやや残して掃除し、葉の間に塩少々を詰める。
・小鍋に隙間ができないように伏せて並べ、EVオリーブオイル1/2カップ、水1カップ強、にんにく、塩、たっぷりのプレッツェーモロを加える。
・蓋をして弱火で最低30分蒸し煮にする。



『サーレ・エ・ペペ』では、「アッバッキオ・アッラ・ロマーナ Abbacchio alla romana」、つまりローマ風アッバッキオのリチェッタも紹介しています。
これは、ローマでは「アッバッキオ・アッラ・カッチャトーラ Abbacchio alla cacciatora」と呼ばれている一品。
スペッツァティーノ(小さく切った肉の煮込み)の一種の、超おいしい子羊料理です!
ポイントはアンチョビー。
子羊とアンチョビーって相性バッチリなんですねえ。



ローマの料理人のバイブル、リヴィオ・ジャンナットーニの『La cucina romana e del Lazio』では、子羊のカッチャトーラをこんな風に解説しています。


アッバッキオ・アッラ・カッチャトーラ Abbacchio alla cacciatora
材料/6人分
 アッバッキオ・・1.5~2㎏
 オリーブオイル(またはラード)・・1/2カップ
 ビネガー・・1/2カップ
 塩、こしょう
 小麦粉・・大さじ1/2
 にんにく
 ローズマリー
 セージ・・1枚
 洗って骨を取って崩した塩漬けアンチョビー(好みで)・・2尾

風味のあるスペッツァティーノ。
この料理を前にすると、アーダ・ボーニ(イタリアを代表する料理研究家)のようなプロフェッショナルでも興奮を隠せなくなる。
もちろんボーニ女史ともなれば、とても控えめな言葉でそれを表現する。
「ローマのアッバッキオはおいしい。
さらに、ローマ料理にはそのアッバッキオの味を最大限に引き出す個性的なリチェッタがいくつかある。
中でも、アッバッキオ・アッラ・カッチャトーラはその筆頭だ」

アッバッキオは40g程度に切り分ける。
ジッジ・ファーツィ(フェリーニの映画『甘い生活』の舞台にもなった有名店のシェフ)は、店でカットしてもらうとよいと言っている。
最適の部位はももとロース。
“アッラ・カッチャトーラ(猟師風)”というのは、伝統的に、にんにく、ローズマリー、ビネガー風味の料理につけられる名前。
肉の量は以前と比べて少しずつ増えてきているようだ。
アーダ・ボーニは「1㎏あればよく食べる人6人分に十分」、と言っている。
ジッジ・ファーツィは「1.5㎏」。
レストランによっては「牛肉は一人前で最低200gは必要で、アッバッキオは最低300~350g」と言う。



著者のリヴィオ・ジャンナットーニという人は、こんな調子で細かく細かく解説しながらローマ料理を語っています。
具体的なリチェッタの話はここからなんですが、まだまだ続くので、今日はここまで。
続きは次回に。



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関連誌;『サーレ・エ・ペペ』2007年4月号
「復活祭の料理」と「アッバッキオ・アッラ・ロマーナ」のリチェッタは、「総合解説」'07&'08年4月号に載っています。

Livio Jannattoniの『La cucina romana e dal Lazio』はクレアパッソで販売しています。


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2009年12月11日金曜日

復活祭の卵

復活祭の話、その4。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』と『サーレ・エ・ペペ』の解説です。


復活祭の主役、卵と子羊。

そのうんちくが分かったところで、今度はどんな料理があるのか見てみましょうか。


まずは卵。

なんと言っても、町のあちこちで売られている大きなチョコレートの卵ですよね。



視線の先にはマンマがいるのか?
「マンマ・ミーア」とか言ってたりして。
photo by muscolinos



そしてこれも一般的なのが、復活祭の朝食のゆで卵。



ゆで卵、サラミ、サルシッチャ、ピッツァ・アル・フォルマッジョ(チーズブレッド)の盛り合わせ。
こちらのお宅では、この後、「子羊のコトレッタ(フリット)のアーティチョークとアスコリ風オリーブ添え」、「子羊のオーブン焼きとインサラータ」、「ストラッチャテッラとアマレットのセミフレッドのカッサータ」を食べるんだそうです。
photo by Flaviakappa




子供用には殻に色をつけたゆで卵


教会ではゆで卵に祝福を与えます。
教会の祭壇にはあちこちの家のゆで卵が・・・



ジェノヴァのトルタ・パスクアリーナは、ゆで卵入りのほうれん草とリコッタのパイ。
伝統的なリチェッタではキリストの歳の数だけパイを重ねる、とも言いますが、こちらはお手軽版。






殻付きゆで卵をのせて焼くトルタ・サラータのイースターブレッドは、イタリア各地にあります。
この動画はカンパーニアのカザティエッロ






『ラ・クチーナ・イタリアーナ』にリチェッタが載っている「スカルチェッレ」は、ゆで卵をのせたプーリアのお菓子。



きょうのおまけ。

卵の中身は・・・。






次回は子羊料理です。


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関連誌;『サーレ・エ・ペペ』、『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2007年4月号
「復活祭の料理」(SP)と「パスクアのドルチェ」(CI)のリチェッタは、「総合解説」'07&'08年4月号に載っています。


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2009年12月8日火曜日

復活祭のコロンバ

季節外れの復活祭の話、その3。
クレアパッソで現在配本中の『サーレ・エ・ペペ』の記事の解説です。


イタリア料理の世界では、復活祭の主役は「卵」と「子羊」。

そして準主役級も色々あります。
まずは、「鳩」。

と言っても、鳩の場合は食べるわけではないですねー。
鳩の形をしたケーキで「平和」を謳っています。



パスクアのコロンバ, photo by distopiandreamgirl



鳩がなぜ平和の象徴かというと、「ノアの箱舟」の物語に由来しているのだそうですね。

洪水が続いた後、ノアは鳩を放ちます。
その鳩がオリーブの小枝をくわえて戻ってきたのを見て、ノアは水が引いたことを知りました。

洪水が引いた、つまり地上に平和が戻った、ということで、それを伝えた鳩が平和のシンボルとされるようになった訳ですね。


イタリアでは、復活祭の時期に「コロンバ」という発酵生地のドルチェが出回ります。
鳩のモチーフが、宗教色の強い復活祭の料理に使われるのは、別に不自然なことではないですよね。
ドルチェのコロンバにしても、その起源は、6世紀のアルボイーノ王にまつわる話だとか、12世紀の皇帝バルバロッサが関係する、などの説が知られています。

でも、『サーレ・エ・ペペ』の記事の一文を見て、ちょっと見方が変わりました。

「イタリアでは、菓子業界のアイデアもあって鳩は復活祭のイメージキャラクターとして定着した」

そういえば、イタリア以外で、復活祭に鳩のお菓子を食べる国って、あったっけ?

・・・なんとコロンバは、イタリアの菓子業界が造った習慣だったんですねえ。

そもそものきっかけは、モッタ社。
パネットーネで有名ですよね。
このモッタが、20世紀初めに、第二のパネットーネをもくろんで復活祭用に開発した商品が、コロンバだったんですねー。


『サーレ・エ・ペペ』は、こうも言っています。
「鳩のモチーフはドルチェとして定着したが、ケーキ以外にも応用できる」

・・・ごもっとも。
ただし、イタリアの法律では「コロンバ」として販売していいのは焼き菓子のコロンバだけで、製法も法律で定められています。

『サーレ・エ・ペペ』が提案したのは、パン生地を小さな鳩の形に抜いて焼いた「コロンビーネ」。
これにパルミジャーノ、オイル漬けドライトマト、松の実をミキサーにかけたソースをつけて食べます。
なかなか美味しそうだし、小鳩というモチーフも可愛いですよ。



『ラ・クチーナ・イタリアーナ』のリチェッタの自家製コロンバ。
小麦粉は0番の軟質小麦粉(マニトバ)を使っています。







こちらはニーダーを使わない文字通り手作りのコロンバ。
こちらも粉はマニトバ。







復活祭の料理の準主役級は、この他に、「発酵生地」や「リコッタ」などがあります。
発酵生地は、膨らませるところが豊穣のイメージにつながるから。
リコッタは、たくさんの羊の群れ、つまり繁栄を願う食材。
さらにチーズ全般として、滋養を象徴し、生命の復活をイメージさせる食材。



こんなところをふまえて、次回は復活祭の地方料理あれこれ編です。

・・・と、ここまで書いて気がつきました。
今日は子羊の話、その2のはずだったー!
すっかり忘れてたー!
すいません。
子羊の話は、多分次回に出てきます(汗)



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2009年12月3日木曜日

復活祭の子羊、その1

復活祭の話、その2です。


キリスト教の最も重要な典礼の1つ、復活祭。

宗教的なテーマは、キリストの復活を祝う、というもの。
その一方で俗世界では、春の到来を祝い、生命の復活を喜ぶお祭りでもあります。
イタリアの地方料理の世界にとっては、最大級のイベントです。


イタリア料理の復活祭の主役は、「卵」と「子羊」。

どちらにも復活祭のテーマがたっぷりと詰まっています。

卵は、
まずは「生命」の象徴。
そして「再生」、
さらには「希望」の象徴。
殻を破って新たな命が誕生するぞー、という感じですね。



パスクアのチョコレートの卵。力作ですねー。
photo by francesca!!



そして子羊は、
「キリスト」を象徴しています。

このあたりはちょっと分かりにくい。

その昔、人は神に祈る時に、生贄をささげました。
子羊は、西洋では典型的な生贄だったんですねえ。
「生贄」は「犠牲」という意味にも結び付きます。
キリストが十字架にかかったことには、自らを犠牲にする、という意味もありました。
この世の罪を償うために、自ら生贄の子羊となった訳です。

子羊は、「キリストの犠牲」の象徴であり、同時に「けがれなきキリストの体」の象徴でもあります。

でも、その象徴を食べるというのは、かなり分かりにくい発想ですよねえ。

キリスト教の中でもカトリックの教えには「聖体」というものがあります。
ミサの時に、神父さまが何やら信者の口に入れて回っているものがあるじゃないですか。
あれです。






これ、一体何を口に入れてるんでしょう。
イタリア語では「オスティア」と言う物体で、ウエハースの一種です。

「聖体」については、wikiなどを参考にしてください。


初めての聖体拝礼はハプニングの宝庫。






この子もやってくれます。







キリスト教では、「パンとワインはキリストの体と血」と言いますよね。
最後の晩餐で、キリストは「これは私の体、これは私の血」といって弟子たちにパンとワインを与えました。
体であるパンを食べる!
うーん、キリスト教徒でないと、かなり難解な発想ですねー。
きっと深い意味があるのでしょうが、信徒たちの連帯を強めるという意味では効果抜群の儀式です。


でも、「これは私の体」といってこんな料理が出てきたら、難しいことは忘れてありがたーくいただくことは、キリスト教徒じゃなくても分かります。



復活祭のアッバッキオ, photo by masolino



復活祭の子羊の話、次回に続きます。




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