2009年10月29日木曜日

ミラノのナヴィーリ

今日はミラノの話。

『ヴィエ・デル・グスト』の解説です。


ミラノに行ったら、どこに行きますか?
まずはドゥオモとガレリアあたりでしょうか。
それと、プラダやグッチといったブランド店も外せない。
スカラ座に行く人もいますよね。
ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』もありましたねえ。
ミケランジェロの遺作があるスフォルツェスコ城やブレラ絵画館も有名。



ドゥオモ, photo by redbanshee


ミラノを訪れる人は毎年800万人以上。
でも、地中海の国イタリアにあって、そのほとんどが目的はビジネス。
ミラノ県のデータによると、中~上ランクホテルの宿泊客の平均滞在日数は、わすが1.8日だそうで。
しかもこの数字、徐々に短くなりつつあります。

ミラノを訪れる人は多いのに、みんなちゃちゃっと仕事をして通り過ぎて行くだけ・・・。

ミラノ県の観光課としては、ミラノにだって魅力的な場所がたくさんあるのに~と、悔しい思いをしている訳ですねえ。

そんなミラノの観光課もお勧めの、知られざる魅力の一つが“ナヴィーリ”です。


ナヴィーリとは運河のこと。
ミラノの左右を流れるアッダ川とティチーノ川から人工的に通した運河です。
12世紀から建設が始まり、レオナルド・ダ・ヴィンチが設計を試みたこともありました。

最も大きな運河はナヴィーリオ・グランデ。
かつては、運河に沿って貴族の別荘が立ち並ぶ瀟洒な地区だったのだそうです。

それが1930年代になって、船より車、という訳で、運河は次々と埋められて姿を消していきました。
今ではナヴィーリは、主にナヴィーリオ・グランデとナヴィーリオ・パヴェーゼを指す言葉となりました。

で、その運河沿いが、なかなか素敵な雰囲気なんですねえ。
レストランもたくさんあります。
一番有名なレストランは、エツィオ・サンティン氏のアンティカ・オステリーア・デル・ポンテですかね。


ちょっと音がうるさいですが、ナヴィーリの雰囲気を味わえる動画。






こちらはナヴィーリの様々な姿を紹介したフォトギャラリーのページ。
ミラノ近郊とは思えないような、静かな田園風景が広がっています。


ナヴィーリはミラノの中心部からは少し離れているので、1.8日の滞在ではちょっときついかも。



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関連誌;『ヴィエ・デル・グスト』2008年3月号
“ミラノのナヴィーリ”の解説は、「総合解説」'07&'08年3月号、P.32に載っています。


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2009年10月26日月曜日

パスタ・フィラータのチーズ

今回もチーズの話。
『ア・ターヴォラ』の記事の解説です。


『ア・ターヴォラ』には、イタリアの個性的なチーズを毎月4種類ずつ紹介する記事が連載されています。
クレアパッソで現在配本中の号で紹介されているのは、“山のパスタ・フィラータ”。

“パスタ・フィラータ”というのは、イタリアではチーズに対してよく使われる名称なんですが、日本ではあまり知られていないような・・・。
そこで今回は、“パスタ・フィラータ”について、ちょっと解説。


パスタ・フィラータ pasta filata”は、直訳すると、「紡いだ生地」という意味。
普通チーズは型に入れるなどして成形しますが、パスタ・フィラータのチーズは糸を紡ぐように成形するところからこの名がつきました。


パスタ・フィラータのチーズの代表格は、モッツァレッラ。
カチョカヴァッロやスカモルツァ、プロヴォローネもパスタ・フィラータです。



モッツァレッラ・ディ・ブファラ, photo by Pabo76



カチョカヴァッロは変形版も多いですねー, photo by 2friends4cooking.com



スカモルツァ, photo by cyclingshepherd


プロヴォローネ



これらのチーズに共通している特徴は、生地が糸状にさけることと、溶けると糸を引くように伸びること。
この特徴が生まれる秘密は、その製法にあります。
牛乳に含まれるカゼインが特定の酸度と温度の元で起こす変化を利用したもので、イタリア独特のものなんだそうですよ。


少し長いですが、伝統的なカチョカヴァッロ作りの動画。
06:35あたりが、なるほど糸を紡いでいるみたいです。








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関連誌;『ア・ターヴォラ』2007年3月号
“山のパスタ・フィラータ”の解説は、「総合解説」'07&'08年3月号、P.29に載っています。


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2009年10月23日金曜日

パルミジャーノ・レッジャーノ

今日はパルミジャーノ・レッジャーノの話。

『ヴィエ・デル・グスト』の記事の解説です。

パルミジャーノ・レッジャーノは中世に誕生したチーズなんだそうです。
13世紀頃、乳牛の飼育が盛んだったパダナ平野の修道院で、大勢の巡礼者に食糧を提供するために作りだされた大型で日持ちのするチーズ。
それがパルミジャーノ・レッジャーノの最初の姿でした。

パルミジャーノ・レッジャーノ管理組合のキャッチフレーズは、「今も8世紀前と同じ製法で造られているチーズ」。
つまり、誕生した当初から製法が変わっていない、ということですね。


最初、パルミジャーノ・レッジャーノは8㎏程度だったそうです。
それが、この地域の農業の発展を象徴するように次第に大きくなっていき、15~16世紀頃には18㎏になりました。

21世紀の現在、パルミジャーノ・レッジャーノは何㎏だと思いますか?

平均38㎏です。



パルミジャーノ・レッジャーノ, photo by Claudio Cicali




ところで、パルミジャーノ・レッジャーノは、「パルマの」という意味の“パルミジャーノ”と、「レッジョの」という意味の“レッジャーノ”がくっついてできた名前。
つまり、「パルマのとレッジョの」という意味ですよね。
パルマとレッジョ・エミーリアの生産者組合が合併したのは、1934年のことなんだそうです。

ここでふと疑問が。

合併する前から、パルミジャーノ・レッジャーノという名前だったんでしょうか?
それともその前は、別の名前だった?

パルマ公国は1612年に“パルミジャーノ”の産地を公式に定めています。
これがイタリアで最初のDOPとも呼ばれている法律です。

14世紀に書かれたボッカチオの『デカメロン』にも登場するというこのチーズ。
後年に出版された版のこの本を見てみると、“フォルマッジョ・パルミジャーノ”と書いてあります。
古い料理書でも、“パルミジャーノ”だけの名称が多いようです。

『Grande Enciclopdia Illustrata della Gastronomia』によると、「いつの間にか自然と“パルミジャーノ・レッジャーノ”と呼ばれるようになった」となっていますが、いつ頃かは書いてないですねえ。

“パルミジャーノ”だけでなく“レッジャーノ”もつけたということは、レッジョの生産力がパルマに匹敵していたからなんでしょうね。
すぐ後の1937年には、モデナ、ボローニャ、マントヴァも管理組合に加わりましたが、チーズの名前が“パルミジャーノ・レッジャーノ・モデニアーノ・なんたら”となることはなかった訳です。


“パルマとレッジョの”という意味のチーズですが、世界中でこの名をつけた別の場所で造られたチーズが出回っているのも事実。
管理組合では、“パルメザン”という名称を使われることにも異議を唱えています。



何だこれは!
パッパッパッ、パッパルミジャーノ?






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関連誌;『ヴィエ・デル・グスト』2008年3月号
“パルミジャーノ・レッジャーノ”の記事の解説は「総合解説」'07&'08年3月号、P.27に載っています。


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2009年10月19日月曜日

カルロ・クラッコの卵料理

一流シェフが作るビックリ卵料理の話、その2。
『クチーナ・エ・ヴィーニ』の記事の解説です。


ミラノのアルタ・クチーナを代表するシェフで、マルケージチルドレンの一人、カルロ・クラッコ氏。
この人はいつも超斬新な料理を作りますが、今回の卵料理もやってくれてます。

卵料理というテーマで彼が披露したのは、まずは「マヨネーズのラヴィオリ」。
なんと、ラヴィオリの詰め物がマヨネーズ、という一品です。

これです。

かなりシュールな外見の一品ですねー。

どこからつっ込んだらいいのか迷いますが、まずはパスタから。

この、テニスボールのような黄色いのがラヴィオリです。
パスタは00番の小麦粉がベースで、卵黄をたっぷり加えて鮮やかな黄色を出しています。
この生地を薄く伸ばし、その上に、普通のラヴィオリのようにマヨネーズを絞り出します。
そしてサルサ・ヴェルデと乾燥ケッパーをトッピングし、生地をかぶせて丸く抜きます。
これを熱湯で30秒ゆでてから、オリーブオイルと水少々で炒めます。

確かにマヨネーズは卵料理と言うことになるんでしょうが、パスタの詰め物がマヨネーズって、普通はちょっと思いつかないですよねえ。
きっと、マヨネーズに相当自信があるに違いありません。


そしてラヴィオリの周囲を覆う黒い粒々。
これ、バジリコの種なんだそうです。
種を野菜のブロードで煮てソースにしています。

それにしてもすごい数。
これだけたくさん種を食べたら、一つぐらいお腹の中で発芽しそうですねえ。


そして仕上げが、ソースにトッピングされているオレンジ色のもの。
これ、ウニです。

マヨネーズにウニに種ですよ。
いったいどんな味なのか、想像できるような、できないような・・・。
うーん。

なんだかかなり無謀な料理のように見えますが、これ、ミラノのトップクラスのレストランの料理です。
ミシュランでは2つ星、ガンベロ・ロッソでは3フォルケッタですから。

店のhpはこちら

このマヨネーズのラヴィオリは、少し違うバージョンのものが26ユーロ。
もちろん、マヨネーズにこの値段を払っても怒らない人が行く店です。


カルロ・クラッコ氏の料理は、これに限らず、どれもとても骨太な外見をしていて、はっきり言って見た目はそんなに美味しそうじゃないんですねー(言ってしまった~、ゴメンナサイ)。
でも、とにかくその筋の人たちには評価が高い。
実はこの人の料理、見た目は大ぶりなのに、その裏に駆使されている技術は、想像を超えた複雑さなんです。
そして、分かる人には分かる知的な遊び心が、チラチラ隠されているんですねー。


卵料理の特集で彼が披露したもう一つの料理は、「卵黄だけで作った小麦粉の入らないパスタのカッペッレッティ」。

パスタの材料は卵黄です。
卵黄がどうすればパスタになるのか。
そもそも、卵黄だけでパスタを作ろうとなぜ思う!

実は、卵はカルロ・クラッコ氏の料理のシンボルとも言える食材なんだそうです。
卵黄のパスタは卵黄のマリネから作るのですが、これは彼のスペチャリタとして知られています(これがそう)。
逆に、卵黄を加えないタリアテッレというのまで考え出しました。
まったく、とどまるところを知らない発想力の持ち主です。


カルロ・クラッコ氏はこんな人。






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関連誌;『クチーナ・エ・ヴィーニ』2008年3月号
カルロ・クラッコの“マヨネーズのラヴィオリ”と“卵黄だけで作ったパスタ”のリチェッタは、「総合解説」'07&'08年3月号、P.12に載っています。


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2009年10月15日木曜日

イタリアにもこんな卵料理があった

前回は、この20年でイタリアの家庭料理が少しずつ変化していった過程をちらっと紹介しました。
家庭料理でもこんなに新しいものを取り入れているくらいですから、レストランの世界では、もっとすごいことになってます。

今回紹介するのは、『クチーナ・エ・ヴィーニ』の記事から、
「てっきりイタリアにはないと思い込んでいたのに実はある」卵料理
です。
日本ではお馴染みの卵料理も、イタリアの理科系シェフの手にかかるとこうなる!


まず1つめは、「温泉卵」。

日本と同じように温泉の湧くイタリア。
確かに、温泉卵があっても不思議じゃない。
でも、想像もしなかったですねー、イタリアンの温泉卵って。

イタリアでも「この温泉に卵を浸すと1分でゆで卵になる」というような話はあります。
でも、日本のように、温泉に浸して半熟状態にした卵、というのは聞いたことなかったなあ。


このイタリア版温泉卵は、バーニョ・ディ・ロマーニャという温泉の町のシェフ、パオロ・テヴェリーニ氏のスペチャリタ。

バーニョ・ディ・ロマーニャを日本語にすると、ローマ風呂ならぬロマーニャ風呂。
ロマーニャ地方の南の端にある素敵な町です。
イタリア式エステを受けて、温泉に入って、美味しいもの食べて・・・。
そんなひと時を過ごせますよー。






テヴェリーニ氏の店のhpはこちら
ホテル、エステ、レストランが一つになったゴージャスな場所です。
彼はイタリアのエステ系レストランでは有名なシェフ。

レストランのメニューを見ると、前菜に、「温泉卵、アスパラガスとチンタ・セネーゼ豚のパンチェッタ添え」(26ユーロ)というのがありますねー。
お値段もゴージャス。
きっとセレブな温泉卵なんでしょうねえ。
大きな写真がないのが残念ですが、これも彼の温泉卵の1バージョン。
黒トリュフがけです。

彼の温泉卵のリチェッタは、63度の温泉で1時間ゆでるというもの。



次は、「鶏のきんかん」。
果物の金柑のような、殻ができる前の卵ですよね。
鶏のきんかんの煮物

何の根拠もなく、イタリアには鶏のきんかんはないと思い込んでいました。
でも、あったんですねー。
イタリア語では、“ウオヴァ・エンブリオナーリ uova embrionali” と言うらしいです。

鶏のきんかんを使った料理を披露したのは、モデナの有名店、オステリーア・フランチェスカーナのマッシモ・ボットゥーラ氏。

なんと、去勢鶏のブロードでゆでたきんかんの中身を注入器で吸い取って、代わりに生ハムの骨から取ったブロードを注入するという、科学の実験のような方法で、見た目はきんかん、ところが中は豚骨スープ、という驚きの一品を披露しています。

スプーンの上にのせたその姿は、どう見てもきんかんそのもの(写真は「総合解説」に載せました)。
この写真は、ボットゥーラ氏が鶏のきんかんを見せているところ。
これは、そのきんかんを、パルミジャーノの代わりにミモザ状に散らしたインサラータ。
ソースはなんと、イワシのコラトゥーラとバルサミコ酢というフュージョン料理です。


食通たちを引き寄せるオステリーア・フランチェスカーナ(hpはこちら)の料理






卵料理の話、次回に続きます。


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関連誌;『クチーナ・エ・ヴィーニ』2008年3月号
ここに紹介した温泉卵ときんかんのブロード詰めのリチェッタは、「総合解説」'07&'08年3月号、P.11に載っています。


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2009年10月13日火曜日

イタリア料理のトレンド

現在クレアパッソで配本中の『サーレ・エ・ペペ』は、創刊20周年号。
この20年に、イタリアではどんな料理がブームになったのかを振り返っています。

日本のように流行を国民総出で追いかけるのは好きではないように見えるイタリアでも、やっぱり流行ってあるんですねえ。

イタリアでは、過去にどんな料理が流行っていたのか。
あーそうそう、なんて料理があったりして、なかなか面白いですよ。
ちょっと見てみると・・・


★1987年 いちごのリゾットが話題に。

あったあった!
懐かしい~。
この頃、フルーツを甘くない料理に使うというのが流行りました。

日本では国鉄が分割民営化され、安田火災がゴッボの「ひまわり」を53億円で落札した年。
大韓航空機爆破事件もありました。



★1989年 ルーコラが大人気。

イタリアでルーコラがブームになったのは、この頃だったんですねえ。
これ以来、何にでもルーコラを山盛りにのせる人が続出。



ブレザーオラとルーコラのピッツァ, photo by avlxyz


日本は平成元年。
この年を最後にバブルがはじけます。
世界では、ベルリンの壁が崩壊。



★1991年 イタリア料理の帝王、グアルティエロ・マルケージの全盛期。

1986年にイタリアで初のミシュラン3つ星店となったミラノのマルケージ。
ファッショナブルで、それでいて哲学的なメッセージも詰まった彼の料理は、イタリア料理がフランス料理にも匹敵する高級料理になる、ということを、イタリア自身と世界中に認識させたのでした。

代表作の金箔とサフランのリゾット


日本では東京都庁が西新宿に移転。
12月にはソビエト連邦が崩壊。



★1997年 バルサミコ酢がブーム。

料理の仕上げにバルサミコ酢を加えれば、見た目もワンランクアップ。
名前に「all'aceto balsamico」とついた料理が続々登場。



去勢鶏の胸肉、トラディツィオナーレ・ディ・モデナのバルサミコ酢がけ, photo by hotelrealfini


香港が中国に返還され、ダイアナ元皇太子妃がパリで事故死した年。



★1999年 みんな大好き、ダブルバーガー!

やっぱりイタリア人もファーストフードは好きだった。
1986年にローマのスペイン広場にマクドナルドのイタリア2号店がオープンした当時はさんざん叩いていたイタリア人。
でも今や、イタリア中に340店舗あります。
ちなみに、ダブルバーガーは、イタリア語ではdoppio hamburger。


欧州連合でユーロが導入された年。



★2002年 エスニック料理ブーム。

まずレストランのエスニック料理が注目され、次第に家庭料理にも取り入れられていきました。
今や日本料理は、エスニック料理を代表するものの一つになりましたねえ。


日本では北朝鮮に拉致された5人が帰国。



★2005年 フュージョン料理ブーム。

記事では、パスタの代わりにギリシャのフィロ生地をパッケリに見立てて具を包んだ料理を紹介しています。
イタリア料理とそれ以外の要素の融合ですね。


法王ヨハネ・パウロ二世が死去し、ドイツ人の法王ベネディクト16世が誕生。
北京で反日デモ激化。



こうして見ると、ルーコラやバルサミコ酢など、イタリア料理の定番スタイルと思っていたものが、比較的最近生まれたトレンドだったのだと気が付きます。
この他にも、オールドアメリカスタイルのブーム、ベジタリアンブーム、スペイン料理ブームなど、まだまだあります。
イタリア料理の懐もだいぶ深くなってきているようですねえ。



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関連誌;『サーレ・エ・ペペ』2007年3月号

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2009年10月8日木曜日

ローマのカルボナーラ、ベスト10

今日は、以前に何度か紹介した「ローマのカルボナーラ、ベスト10」の話。

このランキングはガンベロ・ロッソが発表したものなんですが、その詳細が、ちょうど今、クレアパッソで配本中の号に載っています。

それによると、ローマのカルボナーラが美味しい店、ベスト10は、こうなっています。
どれも人気の有名店で、ローマでレストラン選びに迷った時の参考にもなりそうです。
解説文の中に“ジャンナットーニ氏”という名前が出てきますが、この人はローマについて多数の著書があるジャーナリストで、ローマの伝統料理を集めた有名な料理書も書いています。


■1位 ロッショーリ Roscioli
via dei Giubbonari 21, tel/066.875.287(hpはこちら

卵からこしょうに至るまで上質の素材を使用。13ユーロ。

以前にも紹介しましたが、ロッショーリのシェフが語るカルボナーラの動画



近くにパンや総菜を売る店も出していて、こちらも大人気, photo by Pabo76


■2位 ラルカンジェロ L'Arcangelo
via G. G. Belli 59, tel/063.210.992

正統派で完璧なカルボナーラ。グアンチャーレが最高。14ユーロ。


■3位 アル・プレジデンテ Al presidente(hp
via in Arcione 95, tel/066.797.342

ゆで汁を加えてするマンテカーレが絶妙で、パスタの歯ごたえとソースの濃さが完璧。


■4位 グラッポロ・ドーロ Grappolo d'Oro
piazza della Cancelleria 80, tel/066.897.080(hp

パスティフィーチョ・セターロのスパゲッティとノルチャの美味しいグアンチャーレの幸せなマリアージュ。7.50ユーロ。


■5位 フェリーチェ Felice
via Mastro giorgio 29, tel/065.746.800

ショートパスタとクリーミーな卵のソースの本物のローマの伝統のカルボナーラ。8ユーロ。


■6位 ソーラ・レッラ Sora Lella
via di Ponte Quattro Capi 16, tel/066.861.601(hp

軽いのにコクのあるカルボナーラは店の人気の定番料理。16ユーロ。


■7位 クイント・クアルト Quinto Quarto
via della Farnesina 13, tel/063.338.768(hp

フィリッポ・サンタレッリ版カルボナーラは、パスタはリガトーニでグアンチャーレはカリッと炒める。オリーブオイルは使わない。
8ユーロ。


■8位 オスタリーア・ロマーナ Hostaria Romana
via del Boccaccio 1(angolo via Rasella), tel/064.745.284

客の前でボールに入れたパスタをマンテカーレする、ジャンナットーニ氏が本物と認めるスタイル。食材に余計なものは加えないが味は折り紙つき。9ユーロ。


■9位 ラ・カルボナーラ La Carbonara
piazza Campo de' Fiori 23, tel/066.864.783(hp

ジャンナットーニ氏によると、“現代版”カルボナーラを作った最初の店。ペンネを使用し、食材の分量も完璧なバランス。11ユーロ。

ラ・カルボナーラのペンネのカルボナーラ


■10位 ダ・ダニーロ Da Danilo
via Petrarca 13, tel/0677.200.111(hp

クラシックバージョンの他に、夏はズッキーニ入りのオリジナルカルボナーラも出す。スパゲッティのマンテカーレ具合が完璧。8ユーロ。




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2009年10月5日月曜日

フィレンツェのマンマ・ジーナ

前々回のリボッリータの話の時、フィレンツェのレストラン、マンマ・ジーナのリチェッタを紹介しました。

その店に、去年の10月に行ってきましたよ~というコメントを写真と一緒にいただきました(Grazie italiamamaさん!)。

どれも美味しそう~。
italiamamaさんのコメントと一緒にどうぞ。

リボッリータ

「昨秋の10月、フィレンツェ近郊の友人宅へオリーブ摘みに出かけ、帰りがけにマンマ・ジーナへ寄りました。
ちょうどリッボリータを食べてきました。
リチェッタにあるようにオーブンに入れてはありませんでしたが。
いかにもトスカーナの家庭料理といった味で、大好きです」



豆のサラダ

「Contornoとして注文したお豆のサラダ(カンネリーニが映っています)」



ポルチーニのフリット

「ポルチーニのフリット。
なぜかミラノ風オッソブーコも頼んでしまいましたが、これもおいしかったです。
雰囲気もアットホームで、日本人の方にも喜ばれるお店です。
すぐ近くに、Cinghiale Bianco などおいしいトラットリアが軒を連ね、食事時にはお薦めの場所です」



おー、このポルチーニのフリット、なんて肉厚!
そしてなんて山盛り!
胃袋を万全に整えてから行かないと。


マンマ・ジーナの場所は、こちら
ポンテ・ヴェッキオを渡って最初の道を右に曲がって少し行った所ですね。

italiamamaさんのコメントにあるオステリーア・デル・チンギアーレ・ビアンコは、そのすぐ先です。
店のhpはこちら
店の名前は「白い猪」という意味。
「猪肉のマレンマ風」という名物料理があります。


あーフィレンツェに行きたくなってきたー。

おまけの動画です。
ポンテ・ヴェッキオ



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2009年10月3日土曜日

パーネ・トスカーノ

リボッリータの話、その3です。

今日は、リボッリータに使われるトスカーナの名物食材の1つ、パーネ・トスカーノの話。



パーネ・トスカーノ, photo by fugzu


形は、ボッツァ(円形)、フィローネ(バゲット形)、チャバッタ(長方形)のタイプがあります。


写真で見ると、まあ典型的な田舎パン、ぐらいにしか見えない。
でも、食べてみればすぐに分かるんですよね、あの味。

塩気がない。

パーネ・トスカーノは、別名、パーネ・ショッコとも呼ばれます。
ショッコとは、「まぬけな」とか「あほな」という意味。
だから、あまりフォーマルな席では、パーネ・ショッコと言うのはやめといたほうが無難ですよ~。
「塩気がないパン」をフォーマル(笑)に言うなら、パーネ・シャーポ pane sciapo ですかね。


まぬけな味のパーネ・トスカーノも、慣れてしまうと、逆にバターたっぷりのパンに抵抗を感じるようになるから不思議なもの。
たとえて言えば白いご飯のようなもので、「ご飯にバターをのせたりするのは邪道だあ」という感じと似てますかね。

でも、塩気のないパーネ・トスカーノは、「塩気があるのは邪道」という考えから誕生したわけではないんですねー。
しょうがなく塩気がなくなってしまったんです。

その原因となったのが、フィレンツェとピサの戦争。

時は12世紀。
フィレンツェのライバルのピサは、海辺の町です。
一方、フィレンツェに海はありません。
そこでピサは、港に入った塩をフィレンツェには流さないという戦略を取ったんですねー。
その結果、フィレンツェでは塩の値段が跳ね上がりました。
あまりに高価になったので、とうとうパンに入れることができなくなってしまったんです。
こうして生まれたのが、塩気のないパン、パーネ・トスカーノでした。

塩が安く手に入るようになっても、パーネ・トスカーノは残りました。
フィレンツェの食生活との相性が相当良かったんでしょうね。
リボッリータだけでなく、パッパ・アル・ポモドーロやパンツァネッラから、クロスティーニや朝食のパンに至るまで、あらゆるものにパーネ・トスカーノが使われています。
それどころか、最近では健康のための減塩を意識する人も増えて、理想的なパン、と言わることもあるようです。


パーネ・トスカーノは、0番の小麦粉、天然酵母、水が材料。
一度発酵させてから、再び小麦粉と水を加えて発酵させます。
このパンのもう一つの特徴は、薪で焼くこと。
塩気がない分、薪の香りが重要なポイントとなるんですね。


パーネ・トスカーノ作りの動画
薪で200度に熱した窯で焼きます。




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関連誌;『サーレ・エ・ペペ』2007年3月号
“リボッリータ”のリチェッタは「総合解説」'07&'08年3月号、P.5に載っています。


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2009年10月1日木曜日

リボッリータの食材

リボッリータの話、その2です。

リボッリータには、トスカーナならではの食材が3つ入っています。

カーヴォロ・ネロ(黒キャベツ)

カンネッリーニ(小粒の白いんげん)、

そしてパーネ・トスカーノ(塩気のないパン)


カーヴォロ・ネロは、結球しないキャベツで、黒ずんだ色をした、縮れた細長い葉。

イタリアでは、キャベツは最初の霜が降りた後に美味しくなると言いますが、この黒キャベツも、旬は冬の時期。
でも、一年中出回っています。
味は普通のキャベツより強く、加熱時間は長め。
カーヴェロ・ネロを使った一番有名な料理が、このリボッリータですかね。


下の動画は「カーヴォロ・ネロ入りファリナータ」
リボッリータと同じく白いんげん(ピアッテッリーノというカンネッリーニより大粒の品種)とカーヴォロ・ネロが入るのですが、チェーチの粉を加えて濃いクリーム状にした一品。
もちろんトスカーナ料理。
ラルドがたっぷり入ってますねえ。
豚皮も入れます。






リボッリータに使う白いんげんは、カンネッリーニという小粒の品種です。
イタリアでは缶詰に使われる最も一般的な白いんげんで、トスカーナ原産。

そもそもいんげん豆は、アメリカが原産地ですよね。
ヨーロッパに伝わったのは16世紀だから、それ以降に造られた品種なんですね。
ちなみに、アメリカからいんげん豆が伝わるまでイタリアで一般的だったのは、アフリカ原産の黒目豆。

カンネッリーニは皮が薄くて小粒なので、加熱時間が短いのが特徴。

トスカーナ人は、昔から豆好きで有名。
イタリアで、豆を食べる人のシンボルになっているのが、この絵
アンニバーレ・カッラッチ作、“マンジャファジョーリ”です。
この絵の農夫が食べているのは黒目豆のようですね。
この絵が描かれたのは1583年だから、まだカンネッリーニはなかったのかも。



黒目豆もあります, photo by pikimota



3つめの食材、パーネ・トスカーノの話は次回に。


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関連誌;『サーレ・エ・ペペ』2007年3月号
“リボッリータ”のリチェッタは、「総合解説」'07&'08年3月号、P.5に載っています。


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マリア・ルイジアの小さな街、パルマのバターとグラナの娘、アノリーニ。本物は牛と去勢鶏のブロードでゆでます。

昨日の最後にサラっと登場したアノリーニですが、このパスタ、(CIR12月号P.5)にもリチェッタが載っていました。クルルジョネスの次の料理です。花の形の可愛い詰め物入りパスタ、なんていうのがこのパスタの印象ですが、イタリア人は、こんな風に思ってるんですね。 「マリア・ルイジアの小...