イタリア料理ほんやく三昧: 8月 2009

2009年8月31日月曜日

いちじくの前菜

今日はいちじく料理の話。

イタリアンのいちじく料理と言えば、生ハムといちじく。



こんな楽しい生ハムといちじくもいいですねー, photo by PaoloMazzo


他に、味の強いチーズとの組み合わせも前菜の定番。

『ア・ターヴォラ』に、いちじくのゴルゴンゾーラ詰めというのがありました。

いちじくのゴルゴンゾーラ詰め Fichi ripieni di Gorgonzola

材料/4人分
 緑のいちじく・・大8個
 ゴルゴンゾーラ・ドルチェ・・200g
 マスカルポーネ・・30g
 栗の蜂蜜・・大さじ1
 ミント・・2枝
 こしょう

・ゴルゴンゾーラとマスカルポーネを練り、ミントの粗いみじん切りとこしょうを加える。ラップで覆って冷蔵庫で20分冷やす。
・いちじく(皮つき)を縦に半分に切り、チーズのクリームと蜂蜜をはさんで冷蔵庫で冷やす。
・ミントで飾り、室温に5~10分置いてからサービスする。細いグリッシーニを添えてもよい。



『サーレ・エ・ぺぺ』からは、いちじくとスモークサーモンのサンドイッチ。

いちじくとスモークサーモンのサンドイッチ Triangolini al salmone
材料/4人分
 スモークサーモン・・6枚
 黒いいちじく
 バター・・60g
 ロビオーラ・・60g
 プレッツェーモロ
 シリアル入り食パン・・12枚(耳を取る)
 EVオリーブオイル
 レモン汁
 塩、粗挽きミックスペッパー

・バター、ロビオーラ、プレッツェーモロのみじん切り大さじ1/2、塩、ミックスペッパーを練り、パン6枚に塗る。
・スモークサーモンにオリーブオイルとレモン汁をかけてパンにのせる。
・具をのせたパンを2枚ずつ重ね、残りのパンをかぶせる。
・これを4つの三角形に切り、いちじくの輪切りとプレッツェーモロの葉をのせる。



『サーレ・エ・ぺぺ』からもう一つ。
いちじくとスカンピのインサラータ。

スカンピといちじくのインサラティーナ Insalatina di scampi al prezzemolo
材料/4人分
 スカンピ・・600g
 いちじく・・6個
 プリーツレタス・・200g
 プレッツェーモロ
 レモン・・2個
 白ワイン・・400cc
 セロリ・・1本
 葉玉ねぎ・・1本
 EVオリーブオイル
 塩、粒こしょう

・水1リットルに葉玉ねぎ、セロリ、プレッツェーモロ、ワイン、塩、こしょう3~4粒を入れて沸騰させ、5分煮る。ここにスカンピを入れて4分ゆで、取り出して殻をむく。
・オリーブオイル大さじ4、レモン汁大さじ1、レモンの皮のすりおろし、塩、粗挽きこしょうを混ぜてシトロネットにする。
・いちじくは皮をむいて薄く切る。
・スカンピ、いちじく、プリーツレタスを混ぜてシトロネットで調味し、レモンの輪切りで飾ってプレッツェーモロを散らす。



いちじくのフリットは『ア・ターヴォラ』から

いちじくのフリットのインサラータ Fichi fritti in insalata
材料/6人分
 黒いいちじく・・8個
 卵・・3個
 パン粉・・150g
 小麦粉・・150g
 インサラータ・ミスタ(クレソン、ベビーリーフ、ソンチーノ、ミント、ルーコラ、バジリコ、タンポポ)・・500g
 熟成させた辛口の硬質リコッタ・・250g
 EVオリーブオイル
 レモン汁・・小さじ3
 ビネガー・・小さじ3
 蜂蜜・・小さじ1
 白ごま
 塩、こしょう

・丸ごとのいちじくに小麦粉、溶き卵、パン粉をつけ、先端から十文字の切り込みを入れる。これを油で揚げる。
・インサラータ・ミスタ、削ったリコッタ、熱いいちじくのフリットを皿に盛り付ける。
・オリーブオイル大さじ3、レモン汁、ビネガー、蜂蜜、塩、こしょうを混ぜてサラダにかけ、仕上げにごま大さじ1を散らす。



チーズの蜂蜜がけといちじく

いちじくとしょうがのサルサとカマンベール

ゴルゴンゾーラといちじくのカラメッラートのカナッペ

いちじく、パンチェッタ、カプリーノのオーブン焼き

いちじくのスキアッチャータ



いちじくのリチェッタ、次回に続きます。


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2009年8月27日木曜日

いちじく

いちじくがおいしい季節になりました。
そこで今日はいちじくの話。

いちじくは、イタリア語で“フィーコ fico ”。
複数形なら“フィーキ fichi ”。

夏が終わりを迎えてビーチリゾートがちょっと寂しい気分になる頃、地中海のいちじくは旬の季節を迎えます。



いちじく, photo by lepiaf.geo


いちじくは小アジア地方の原産ですが、今では地中海を象徴する果物の一つとして定着しています。

いちじくが昔から地中海世界に浸透していたことを示す例を一つ思いつきましたよー。
それは、ローマのバチカン美術館で目にすることができます。
この美術館には、古代彫刻の傑作が数多く展示されていますが、ずらっと並んだ彫刻のある部分が、ことごとくいちじくの葉で覆われているんですねー。
隠すのが目的なのに、かえってそこに目が行ってしまいます。
かなり不自然というか、こっけいです。
こんな記念写真は定番(笑)

あそこを隠すのに、なんでいちじくの葉っぱなんでしょうか。
なんでもそれは、アダムとイブに由来するんだそうです。

アダムとイブが禁断の果実を食べて、楽園から追放された、という話は聞いたことありますよね。
禁断の果実を食べると、どうなるんでしょうか。
禁断の果実とは、知識の木の実のこと。
それを食べたアダムとイブには、それまでなかった「羞恥心」が生まれました。
そして裸の体を恥ずかしく思い、いちじくの葉で体を隠した、というわけ。

つまり、楽園にもいちじくは生えていたんですねー。


それと、ローマの始祖とされる伝説上の双子、ロムルスとレムスは、いちじくの木の下で狼に育てられたと言われています。



カピトリーノの雌狼とロムルスとレムス, photo by Bobby Chorlton


こちらはローマのカピトリーナ絵画館(Pinacoteca Capitolina )にあるルーベンス作の『ロムルスとレムス』。
中央の巨木はいちじくだったんですね。
たしかに、あの葉っぱがついてる。

いちじくの話、次回に続きます。



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2009年8月24日月曜日

リチェッタをイタリア語で読む(4)

ラツィオ料理のスパゲッティ・アッラ・カルボナーラ。

・グアンチャーレをソッフリットにする。
・スパゲッティをゆでてグアンチャーレのソッフリットと混ぜる。
・火から下ろして卵とチーズを加える

ここまで訳しました。
今回は仕上げです。


まずは原文。

Rimestare, affinché le uova si trasformino in una fluida crema gialla.



単純に、単語を一つずつ辞書で調べてみると…

Rimestare(再びかき回す) affinché(…するように) le uova(卵) si trasformino(変わる) in(…に) una(一つの) fluida(滑らかな) crema(クリーム) gialla(黄色).


ちょっと面倒なのは、“si trasformino”ぐらいですね。
これは、“trasformarsi” 「変わる」という動詞の接続法です。

辞書を引く時は、まず“trasformare” という言葉を探します。
すると、「形を変える」という意味が出てきます。
さらに見ていくと、下のほうに“-arsi” という言葉があります。
これが“trasformarsi” のことです。
意味は、「姿が変わる」。


最後に“si” がついているのといないのでは、「変わる」と「変える」で、意味が微妙に違います。
でもまあそれほど重要なことではないので、フィーリングで訳してしまってもOK。


直訳すると
・・・卵が一つの滑らかな黄色いクリームに変わるように再びかき回す。

もう少し自然に訳すと、
・・・卵が滑らかな黄色いクリーム状になるまで混ぜる。



そして最後は・・・

Unire quindi il rimanente formaggio, mescolare e servire in piatti caldi.


Unire(一つにする) quindi(それから) il定冠詞) rimanente(残っている) formaggio(チーズ) mescolare(混ぜる) e(そして) servire(食事を出す) in(…で) piatti(皿) caldi(熱い).


・・・次に残りのチーズを加えて混ぜ、温めた皿に盛りつけてサープする。

“formaggio”、“piatti”、“caldi” などは初歩的な言葉なので簡単ですよね。
“rimanente”「残りの」や“mescolare”「混ぜる」も基本の言葉。



リチェッタは、基本の単語を覚えてしまえば、かなり簡単に訳せるようになります。
今回のスパゲッティ・アッラ・カルボナーラのリチェッタに登場した基本の単語は、

[動詞]
・aggiungere/加える
・lessare/ゆでる
・mescolare/混ぜる
・sbattere(battere)/溶く
・soffriggere/(軽く揚げるようにしんなり炒める)
・tagliare/切る
・versale/注ぐ、あける

[名詞]
・acqua/水
・cucchiaiata/大さじ(1)杯
・crema/クリーム
・dadolino(dadino)/小角切り
・fuoco/火
・pentola/鍋
・tegame/浅鍋、オープン鍋、ソテーパン

[食材]
・aglio/にんにく
・guanciale/グアンチャーレ
・strutto/ラード
・uovo(uova=複数)/卵

[形容詞など]
・abbondante/たっぷりの
・grattugiato/おろした
・rimanente/残りの
・rosolato/炒めた
・salata/塩を加えた
・schiacciato/潰した



ガンベロ・ロッソがローマで最高のカルボナーラを作るシェフに選んだのは、アンティコ・フォルノ・ロッショーリ(hpはこちら)のチュニジア人シェフ、Nabil Hadj Hassen氏。

この動画によると、彼のカルボナーラの秘密は、ピサから取り寄せる1個1ユーロ(140円)の卵と、3種類をミックスしたこしょう、そしてチーズの配合にあるのだとか。
店はカンポ・デ・フィオーリのそばにあります。
パンも有名。





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2009年8月21日金曜日

リチェッタをイタリア語で読む(3)

Anna Gosetti della Salda著、『Le Ricette Regionali Italiane』から、
No.1364の「スパゲッティ・アッラ・カルボナーラ」のリチェッタを訳しています。

前回はスパゲッティをゆでるところまででした。
今回はその続きです。

Scolarli un poco al dente e versarli nel tegame dove soffrigge il guanciale, mescolare, levare il recipiente dal fuoco, aggiungere le uova sbattute, un pizzicone di pepe nero, una cucchiaiata di parmigiano e una di pecorino.


長いので2つに分けます。

Scolarli(それらの水を切る) un poco(少し) al dente(アルデンテ) e(そして) versarli(それらをあける) nel(中に) tegame(浅鍋) dove(であるところの) soffrigge(しんなり炒める) il guanciale(グアンチャーレ).

・・・スパゲッティがややアルデンテのうちに水気を切り、グアンチャーレをソッフリットにしたソテーパンに入れる。


この文章のポイントは、原文には“スパゲッティ”という言葉が一度も出てこない、ということでしょうか。
その代わり、動詞の最後に“li”という代名詞がくっついています。
これがスパゲッティのこと。
同じ名詞を繰り返して使わない、というイタリア語の原則ですね。



mescolare(混ぜる) levare(上げる) il recipiente(容器) dal(から) fuoco(火) aggiungere(加える) le uova(卵) sbattute(溶いた) un pizzicone(多めの一つまみ) di(の) pepe nero(黒こしょう) una cucchiaiata(スプーン1杯) di(の) parmigiano(パルミジャーノ) e(そして) una(1) di(の) pecorino(ペコリーノ).

・・・スパゲッティとグアンチャーレを混ぜて火から外し、溶いた卵、多めのこしょう、パルミジャーノ大さじ1杯、ペコリーノ大さじ1杯を加える。


イタリア語は語尾も大切です。
たとえば、“un pizzico” は一つまみですが、“un pizzicone” は、それよりもう少し多め。
“un cucchiaio” なら「大さじ1」で、“un cucchiaino” なら「小さじ1」


最後の“una di pecorino” は、ある言葉が省略されています。
すぐ前にその言葉が使われているので、同じ言葉を繰り返さない法則で、“una”という代名詞にしてしまった訳です。
今回、繰り返して使いたくない言葉は、“cucchiaiata” 。
日本語にする時は省略された言葉を補って、「ペコリーノ大さじ1」となります。


今日はここまで。


今日の動画は、パンチェッタを使ったカルボナーラ。
ラードの代わりにパンチェッタの脂をフライパンにこすりつけています。
皿におろしたペコリーノを散らしてからスパゲッティを盛り付けるのは、前回のシェフと同じですね。






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2009年8月17日月曜日

リチェッタをイタリア語で読む(2)

それでは2つ目の文章。
今回からは、もう少し細かく訳してみます。


Rompere le tre uova intere in un piatto e sbattere bene.


Rompere(割る) le tre(3個) uova(卵) intere(まるごとの) in(中で) un piatto(1枚の皿) e(そして) sbattere(溶く) bene(よく).

・・・全卵3個を皿に割り入れてよく溶く。

卵を「溶く」は、sbattere
卵を「泡立てる」は、montare
卵を「堅く泡立てる」は、montare a neve

ちなみに、uova は「卵」の複数形。
卵が1個なら、“un uovo”。

リチェッタの場合、“un uovo”は、「卵」、と訳すのではなく、「卵1個」、と訳します。

日本人は、名詞の前に“un” という言葉がついていても、ついつい見落としがちです。
冠詞というのは、日本語にはあまり馴染みがない言葉ですもんね。
でも、リチェッタの場合、材料の前についている“un”は無視しないようにしましょう。



3つ目の文章。

Porre sul fuoco una pentola con abbondante acqua salata e quando alzerà il bollore lessare gli spaghetti.


Porre(置く) sul(上に) fuoco(火) una pentola(鍋) con(…付きの) abbondante(たっぷりの) acqua(水) salata(塩を加えた) e(そして) quando(…の時に) alzerà (上がる) il bollore(沸騰) lessare(ゆでる)gli spahetti(スパゲッティ).

・・・鍋にたっぷりの水と塩を入れて火にかけ、沸騰したらスパゲッティを入れてゆでる。


特に難しい文章ではないですよね。
文字通りに直訳していけば訳せます。



グアンチャーレをソッフリットにして、スパゲッティをゆでるところまで訳しました。
ここでちょっと休憩。

グアンチャーレを
“soffriggere”(軽く炒める)のではなく、
“fare soffriggere”(軽く炒めさせる)、つまり放っておく、ということが分かる動画をどうぞ。

このシェフは、オリーブオイル、グアンチャーレ、黒こしょうをフライパンに入れてから火にかけてソッフリットにしています。

卵は1人分につき1個。
「un uovo」と言っていますね。

卵を溶く時に、こしょう少々、ペコリーノ(熟成の短いもの)、パルミジャーノを加えています。





リチェッタの訳し方、次回に続きます。



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2009年8月14日金曜日

リチェッタをイタリア語で読む(1)

イタリア料理のリチェッタをイタリア語で読む。
今回から実践編です。


それでは、アンナ・ゴゼッティ・デッラ・サルダの『レ・リチェッテ・レジョナーリ・イタリアーネ』から、短くて簡単な「スパゲッティ・アッラ・カルボナーラ」を訳してみましょうか。
P.696に載っています。
リチェッタ番号は1364。



SPAGHETTI ALLA CARBONARA

Ingredienti; dose per 4 persone
spaghetti gr.400
guanciale(ganascia di maiale) gr.150
3 uova
3 cucchiaiate di parmigiano grattugiato
3 cucchiaiate di pecorino grattugiato
pochissimo strutto(o olio d'oliva o burro)
aglio - sale - pepe nero



まずは材料。
単語を出てくる順番に並べてみました。

Ingredienti : 材料
dose : 量
per 4 persone : 4人分
spaghetti : スパゲッティ
guanciale : グアンチャーレ
ganascia : あご
maiala : 豚
uova : 卵
cucchiaiate : 大さじ
parmigiano : パルミジャーノ
grattugiato : おろした 
pecorino : ペコリーノ
pochissimo : ごく少量
strutto : ラード
olio d'oliva : オリーブオイル
burro : バター
aglio : にんにく
sale : 塩
pepe nero : 黒こしょう


グアンチャーレ, photo by scottpartee


特に難しい単語はないですよね。

イタリアの料理書の場合、「大さじ1」とか「1カップ」と書いてあっても、計量スプーンや計量カップで1杯という意味ではありません。
中には大さじ1杯の正確な量を記載している本もありますが、普通は食事に使うスプーンやカップで1杯、という感覚です。


次は作り方。

最初の文章は、

Tagliare a dadolini il guanciale e farlo soffriggere in un largo tegame unto di strutto; unire uno spicchio d'aglio schiacciato e levarlo quando sarà ben rosolato.


ちょっと長いので、短く区切ってみます。

Tagliare(切る) a dadolini(小角切りに) il guanciale(グアンチャーレを)

・・・グアンチャーレを小角切りにする。

「角切り」は、
dado(角切り)>dadolino、またはdadino(小角切り)>brunoise(ブリュノワーズ)
の順で小さくなります。



farlo soffriggere(それをソッフリッジェレさせる) in un largo tegame(広さのある浅鍋で) unto di strutto(ラードを塗った)

・・・ラードを入れたソテーパンでグアンチャーレをソッフリットにする。

「soffriggere(ソッフリッジェレ)」は、油で炒めるというよりも、油に材料を入れて、かき混ぜずに弱火でじっくり熱して、素材の水分を出す調理方法。
イタリア料理の基本中の基本。
「しんなり炒める」というような意味なのですが、詳しく言うと、ちょっと違います。
そのヒントは、「farlo soffriggere」、“lo(それ)”を“fare soffriggere”(ソッフリッジェレさせる)という表現。
つまり、火にかけて放っておけば、あとは勝手にソッフリットになる、という隠れた意味があります。
「あなたが」炒めるのではなく、「グアンチャーレに」ソッフリッジェレさせる、というニュアンス、分かるでしょうか。


「largo tegame(広さのある浅鍋)」は、ソテーパンのこと。
ちなみに、フライパンは「padella(パデッラ)」で、鍋は「pentola(ペントラ)」



unire(加える) uno spicchio d'aglio schiacciato(潰したにんにく1片を)

levarlo(それを取り除く) quando sarà ben rosolato(しっかり焼き色がついたら)

・・・潰したにんにく1片を加え、しっかり焼き色がついたら取り除く。


「levarlo」は“levare”に“lo”がくっついています。
「farlo」もそうですが、イタリア語は同じ言葉を繰り返し使うことを嫌います。
そこで、2度目の時は、こうやって代名詞にしてしまうんですね。
levarlo の lo は“にんにく”、farlo の lo は“グアンチャーレ”のことです。


ここまでをまとめると、

「グアンチャーレを小角切りにしてラードとにんにくでソッフリットにし、にんにくに焼き色がついたら取り除く。」


次回に続きます。



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2009年8月10日月曜日

『レ・リチェッテ・レジョナーリ・イタリアーネ』

今日のテーマは料理のイタリア語。

イタリア料理にかかわる人にはおなじみの本、アンナ・ゴゼッティ・デッラ・サルダ著の『レ・リチェッテ・レジョナーリ・イタリアーネ』
この本のリチェッタを、イタリア語で読んでみましょうか。

LE RICETTE REGIONALI ITALIANE
『LE RICETTE REGIONALI ITALIANE』
Anna Gosetti della Salda


この本が出版されたのは、今から約40年前の1967年。
この頃のイタリアは、日本と同じで「奇跡」とまで呼ばれた戦後の経済復興期です。
古くからの伝統もまだ残っていて、さらに新しいものもどんどん生まれている時代。

そんな時代に、イタリア各地の実践的な家庭料理を大量に集めた本として出版され、大ヒットしたのがこの本です。
現在に至るまで、ずっと読まれ続けています。

1,200ページもある大作。
イタリア料理のバイブルと呼ぶ人もいます。
イタリアでは、この本をプレゼントとして料理好きの人に贈ったりすることもあるようですね。

著者は、『ラ・クチーナ・イタリアーナ』誌のニ代前の編集長。
この本を出版した時はすでに編集長で、その後1981年まで現役でした。
各リチェッタは編集部のキッチンで検証して、配合などを確認しているそうです。

イタリア料理は家庭ごとにリチェッタが違うと言われるほどですが、その中から1つを選ぶために、著者は4年かけて、各地で本物のリチェッタを知っている、信頼できる人を探しました。
それでも“正しい”リチェッタというものは存在しないので、バリエーションは他にも色々あるということを常に指摘しています。
また、地方ごとに分けた料理書にしたのは、一般化した“イタリア料理”ではなく、貴重な食文化を守りたかったからだ、とも書いています。


次回は、この本の中から、リチェッタを1つ選んで読んでみます。




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アンナ・ゴゼッティ・デッラ・サルダ著『レ・リチェッテ・レジョナーリ・イタリアーネ』はクレアパッソで販売中(お取り寄せになります)。


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2009年8月6日木曜日

マタロッコ

マルサーラの話、その2です。

今日はマルサーラ料理の話。
『クチーナ・エ・ヴィーニ』の記事の解説です。

記事の中で、マルサーラの名物料理として紹介しているものの一つが、“マタロッコ”。
記事によると、「塩田で働く人たちが暑い夏の朝に食べていた一品で、いわばシチリア版のガスパチョ」。

シチリアは、長くスペインの支配を受けていました。
たとえば、ババの話の時にも出てきたスペイン・ブルボン家は、1861年にイタリアが統一されるまでシチリアを支配していました。
そのため、料理にもスペインの影響が見られます。

マルサーラ市にはマタロッコという名前の町があるんですが、この町に縁のある料理なんですかねえ。

マタロッコは、一般的にはトマト入りの“ペースト”として知られています。
スパゲッティのサルサにしたり、田舎パンにのせてクロスティーニにするのが代表的な食べ方。

『Grandi Enciclopedia Illustrata della Gastronomia』(Mondadori)によると、
「“マタロック Mataroccu ”はマルサーラ地方で作られているシチリア風ペーストのこと。
一部の材料はリグーリアのペーストと同じ。
“ファヴィニャーニのペースト”とも呼ばれる」
(ファヴィニャーナはモツィアの西にあるマグロ漁で有名な島)

『Grandi Enciclopedia』で紹介しているリチェッタ(4~6人分)は、

バジリコ1杷、にんにく3片、松の実60g、プレッツェーモロ少々、セロリの葉数枚、刻んだトマト数個分、シチリア産の風味の強いEVオリーブオイル、塩、こしょうを乳鉢ですり潰す。


火を使わない夏向きのサルサですね。
唐辛子入りやペコリーノ入りのリチェッタもあります。
ミキサーを使う時は攪拌し過ぎないのがポイントとか。


これを冷たいスープにしたリチェッタは、こちらのサイトのものを訳してみます。

・にんにく6片、バジリコ、塩少々をすり潰し、皮と種を取った完熟トマト6個、オリーブオイル少々、こしょうを加えてさらにすり潰す。
・別の容器に移し、水で薄めてスープ状にする。
・サラダ用のトマト2個を小さく切って加え、スープ皿に注ぐ。
・乾燥した(またはトーストした)硬質小麦粉のパンを浸しながら食べる。


ガスパチョとはちょっと違うスープですが、真夏に炎天下の塩田で働く人にはピッタリな一品ですねー。
おそらく、海運国だったジェノヴァの人たちがシチリアにペーストを伝えて、そこでスぺインの食文化がミックスされて生まれた料理なんじゃないか、と想像できます。

実はこの料理、トラーパニでは“アッギア・ピスタータ Agghia pistata ”と呼ばれています。
「潰したにんにく」という意味。
にんにくをたっぷり利かせるのもスペインの影響と言われています。
トラーパニ近郊のヌービアは、赤にんにくの産地として有名なんですが、このにんにく、普通のものより香りが強いのが特徴。
そのにんにくをたっぷり使います。


こちらの写真はちょっと分かりにくいですが、
「マタロッコとエビのブジアーテ」。

マタロッコとブジアーテが何か知らない人には、まったく意味不明の料理名ですねー。
でも、もしマルサーラでこんな料理に出会ったら、とりあえず食べておくべきかも。

ブジアーテとは、生地を編み棒(ブーザ)に巻きつけて作ったところからこの名がついたパスタ。
伝統的には硬質小麦粉で作ります。

細く伸ばした生地を棒に巻きつけてカールさせるブジアーテ作りの作業

ブジアーテで一番有名な料理は、「トラーパニ風ペーストのブジアーテ」。
トラーパニ風ペーストはアーモンドが入ります。

スローフード出版の『Ricette di Osterie e Genti di Sicilia』より、
トラーパニのカンティーナ・シチリアーナ(hp)のリチェッタをどうぞ。

ブジアーテ・アル・ペースト・トラパネーゼ Busiate al pesto trapanease
材料:4人分
 生麺のブジアーテ・・600g
 ソース用の完熟トマト・・500g
 バジリコ・・8枚
 にんにく・・6片
 皮むきアーモンド・・40g
 おろしたペコリーノ・・100g
 EVオリーブオイル
 塩、こしょう

・にんにく、バジリコ、アーモンドをすり潰しながらオリーブオイルを加える。ガラスの器に移してペコリーノ少々を加える。
・トマトの皮を湯むきして種を取り、刻んで乳鉢ですり潰す。これをペーストに加え、塩、こしょう、オイルで調味する。
・パスタをアルデンテにゆでてペーストで和える。




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関連誌;『クチーナ・エ・ヴィーニ』2008年2月号
“マルサーラ”の記事の解説は、「総合解説」'07&'08年2月号、P.33に載っています。


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2009年8月3日月曜日

マルサーラ

今日はマルサーラ(マルサラ)の話。
『クチーナ・エ・ヴィーニ』の記事の解説です。

マルサーラは、シチリアの西の端にあるトラーパニ県の町。
wikiによると、シチリアでは、パレルモ、カターニア、メッシーナ、シラクーザに次いで5番目に人口の多い町です。
ということは、トラーパニ県の県都、トラーパニより人口が多い。
つまり、実力で言えば、“トラーパニ県”ではなく“マルサーラ県”が妥当なところなんです。
マルサーラの人たち、こんな悔しい思いを100年間も抱えています。
料理の世界でも、“トラーパニ風”と名のついたものは往々にして“トラーパニ県風”であって、マルサーラでも作られているものがよくあります。
つまり、世が世なら、“マルサーラ風”と呼ばれていたかもしれない訳です。


『クチーナ・エ・ヴィーニ』の記事で、マルサーラの観光ポイントとしてまず紹介しているのは塩田です。
中でも、エットーレ Ettore とインフェルサ Infersa の塩田の風車。


マルサーラの塩田





トラーパニ県の塩田については以前も書きましたが(こちら)、塩をお土産に買う時は、Sale marino artigianale di Trapani を選ぶこと。
そして、安い手作り天然塩というのはあり得ない!ということを忘れずに。


次のお勧め観光ポイントは、塩田の向かい側にあるモツィア。
サン・パンタレオ島 San Pantaleo というのが正式名。


島のウィテカー博物館の目玉は、紀元前に作られた大理石のギリシャ風青年像、ジョヴィネット giovinetto。





マルサーラの街の中心は、レプッブリカ広場。
下の動画は広場から中継のTV番組。
パチェーコのメロン、ヌービアの赤にんにく、カステルヴェトラーノのパーネ・ネロ、チェーチの粉の生地を揚げたパネッレ、揚げ菓子のスフィンジ、羊乳のパスタ・フィラータチーズ、いちご、野いちご、神父さまが造るミサ用のワイン、カッサータなど、トラーパニ県の名産品を紹介しています。





記事の中でマルサーラのパンとして紹介されている“スクアラート squarato ”はこれ


マルサーラ旧市街のお勧めレストランとして紹介されているのは、トラットリーア・ガリバルディ。
ホームページはこちら
メニューを見ると、プリーモ・ピアットになかなか面白そうな料理を揃えてます。
魚のクスクス
マルサラ風ラグーのタリアテッレ
イワシのパスタ
魚のソースのブジアーテ
マグロのラグーのブジアーテ
などがありますねえ。




マルサーラの西にある島、マレッティモのリストランテ・イル・ティモーネの“カンパチとアーモンドのブジアーテ”
photo by The artist previously known as flickrsucks


ブジアーテはトラーパニのパスタとして知られているようですが、これも正確にはトラーパニ“県”のパスタなんでしょうね。
ちょっと不憫なマルサーラ(笑)。




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関連誌;『クチーナ・エ・ヴィーニ』2008年2月号
“マルサーラ”の記事の解説は、「総合解説」'07&'08年2月号、P.33
に載っています。


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