2009年9月7日月曜日

生ハム

いちじくの話をしたら、次は生ハムですかね。



いちじくとバジリコの生ハム巻き、オリーブオイルとヴィンコットがけ
photo by avlxyz


生ハムも、イタリアが世界に誇る食材の一つ。

生ハムはイタリア語で prosciutto crudo(プロシュット・クルード)。

prosciuttoとは、俗語ラテン語の“perexuctus”(水分を欠いた)が“presciutto”(プレシュット)になり、そこに“proexsucatus”(乾燥させた)から変化した“prosciugato”(プロシュガート)という言葉が組み合わさって生まれた言葉。

プレシュット+プロシュガート=プロシュット

プロシュットだけでは、まだハムか生ハムか分かりません。
これに crudo(クルード)がついたら生ハム。
cotto(コット)がついたらハム。

でも、リチェッタにはプロシュットとしか書いていないこともあって、生ハムなのかハムなのか、はっきりさせてくれ~と思うこともしばしば。


生ハムは、北から南まで、イタリアのあらゆる地方で作られています。
中でも特に有名なのは、パルマの生ハム。

次に有名なのが、サン・ダニエーレの生ハム。

パルマの生ハムとサン・ダニエーレの生ハムでは、何が違うんでしょうか。

最大の違いは外見。
比べてみてください。

パルマの生ハム

サン・ダニエーレの生ハム

よーく見ると分かります。

そうです、サン・ダニエーレの生ハムには蹄(ひづめ)がついています。

生ハム作りは古くから行われてきましたが、サン・ダニエーレの近くの町で発見された古代ローマの肉屋の墓には、この蹄付きの生ハムの像があったんだそうですよー。

味にも違いがあって、サン・ダニエーレの生ハムは塩分が少ない“甘い”生ハムです。


でも、何はともあれイタリアの生ハムの顔、パルマの生ハムに敬意を表して、パルマの生ハム管理組合作成のPVをどうぞ。

原料となる豚は、イタリア国内の11の州で飼育されたもの。
生産地区は、生ハムの乾燥と熟成に最適な環境で、パルマ県のエミリア街道から南に5km以上離れた地域で、標高は最高900mの丘陵地。
パルマ県の東端を流れるエンツァ川より東と、西の端にあるスティローネ川より西は含みません。
トスカーナのヴェルシリア地方から吹く海風が松の香りを含んで北上し、途中の山に当たって塩気が抜け、栗の香りの中を通ってこの地方まで流れ込み、生ハムを熟成させるのだそうです。





豚は9ヶ月齢以上で、150kg以上。
これを24時間冷やしたあと、ももの形を整えます。
次に、皮の部分には水分を含んだ塩、赤身の部分には乾いた塩をまぶします。
最初の塩漬けは湿度の高い部屋で1週間。
再び塩をまぶしなおして15~18日置きます。
次に塩を落として60~80日休ませ、ぬるま湯で洗ったら自然乾燥させます。
そして、豚の脂、塩、こしょう、場合によっては米の粉を練ったパテを赤身の部分に塗ってから、12ヶ月熟成させます。



生ハムの話、次回に続きます。


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4 件のコメント:

italiamama さんのコメント...

生ハム。昨年パルマで、養豚場、生ハム工場を訪ね、Consorzioでいろいろ話を聞きましたが、数、量とも規模が大きすぎて少しがっかり。日本向けに骨を抜いて用意されている生ハムも見かけました。パルミッジャーノレッジャーノも巨大規模。まあ、この二つでエミリアロマーニャ州は裕福なのですが・・・クラテッロは生産工程も人間サイズで納得しました。

prezzemolo さんのコメント...

italiamamaさん
北イタリアの企業はパワーを感じますよねえ。
生ハム、パルミジャーノ、バルサミコ酢、ワイン・・・。どれも出来上がってお金になるまでに数年かかることを考えると、大規模に作るには、投資のセンスというか、ビジネスの才能がないと無理ですよね。
やり手の人たちが作っているんだろうなあと想像してます。
数年前までクラテッロは、おいしいという噂は広まっても、地元以外では食べたことのある人はほとんどいなかったそうですね。
消えてほしくはないけど、かと言ってあまり大規模になってほしくもないし・・・。

Vittorio さんのコメント...

生ハムスライス担当の時がありました、

オーナーが最新の高速電動スライサーを購入して、それが極薄に切れるのでびっくりしました。

材木をカンナで削っている感覚です。

スケスケに切れるのが、しょっぱくもなく、素材に密着するので、コツだと思いました。

パルマ産でした。

最初の切れ端と最後のモトの所は厚めに切ってズッパかパスタに使いました。

私が生ハムを引っ張り出して来ると必ずカメリエーリが片手にパンを持っていて、それも包丁で切り込みを入れて待機していました(笑)


私が切り始めると切ったそばから持っていかれました(笑)


大量に持っていかれると怒ったこともありました(笑)そして私も時々口に入れてました(笑)

たまたまシェフに見つかり、

シェフ「ヴィト、何やっているんだ?」
私「味見です」

シェフ「味見におかわりはないんだぞぉー、お前のはassaggiareではなくてmangiareだよ」とよく言われてました(笑)

私もよくオーナーからプロシットを食べたいと言われて、切ってなかったので、あらかじめ切ってあったコットを出したらオーナーに「私がプロシットと言ったら、クルードなんだー」と言われちゃいました(笑)

日本に解禁になる前のことでした。

prezzemolo さんのコメント...

Vittorioさん
実は私も20代の頃、3日間、生ハムを切り続けていたことがあります。
仕事で、有楽町のデパ地下で国産の生ハム売りのマネキンをしなさーい、と言われて、ド素人なのに、生ハムをスライスしながら、「生ハムのお味見いかがですか~」と、朝から晩まで、3日間やり続けたんです。
当然、そうとうな量の味見もしました。
残念なことに、3日目が終わっても私がスライスした生ハムはかなり分厚くて、包丁を持つ仕事は私には無理だということを思い知らされましたよ~(笑)
切りながら味見する生ハムって、なかなか美味しいんですよね♪

マリア・ルイジアの小さな街、パルマのバターとグラナの娘、アノリーニ。本物は牛と去勢鶏のブロードでゆでます。

昨日の最後にサラっと登場したアノリーニですが、このパスタ、(CIR12月号P.5)にもリチェッタが載っていました。クルルジョネスの次の料理です。花の形の可愛い詰め物入りパスタ、なんていうのがこのパスタの印象ですが、イタリア人は、こんな風に思ってるんですね。 「マリア・ルイジアの小...