2009年8月14日金曜日

リチェッタをイタリア語で読む(1)

イタリア料理のリチェッタをイタリア語で読む。
今回から実践編です。


それでは、アンナ・ゴゼッティ・デッラ・サルダの『レ・リチェッテ・レジョナーリ・イタリアーネ』から、短くて簡単な「スパゲッティ・アッラ・カルボナーラ」を訳してみましょうか。
P.696に載っています。
リチェッタ番号は1364。



SPAGHETTI ALLA CARBONARA

Ingredienti; dose per 4 persone
spaghetti gr.400
guanciale(ganascia di maiale) gr.150
3 uova
3 cucchiaiate di parmigiano grattugiato
3 cucchiaiate di pecorino grattugiato
pochissimo strutto(o olio d'oliva o burro)
aglio - sale - pepe nero



まずは材料。
単語を出てくる順番に並べてみました。

Ingredienti : 材料
dose : 量
per 4 persone : 4人分
spaghetti : スパゲッティ
guanciale : グアンチャーレ
ganascia : あご
maiala : 豚
uova : 卵
cucchiaiate : 大さじ
parmigiano : パルミジャーノ
grattugiato : おろした 
pecorino : ペコリーノ
pochissimo : ごく少量
strutto : ラード
olio d'oliva : オリーブオイル
burro : バター
aglio : にんにく
sale : 塩
pepe nero : 黒こしょう


グアンチャーレ, photo by scottpartee


特に難しい単語はないですよね。

イタリアの料理書の場合、「大さじ1」とか「1カップ」と書いてあっても、計量スプーンや計量カップで1杯という意味ではありません。
中には大さじ1杯の正確な量を記載している本もありますが、普通は食事に使うスプーンやカップで1杯、という感覚です。


次は作り方。

最初の文章は、

Tagliare a dadolini il guanciale e farlo soffriggere in un largo tegame unto di strutto; unire uno spicchio d'aglio schiacciato e levarlo quando sarà ben rosolato.


ちょっと長いので、短く区切ってみます。

Tagliare(切る) a dadolini(小角切りに) il guanciale(グアンチャーレを)

・・・グアンチャーレを小角切りにする。

「角切り」は、
dado(角切り)>dadolino、またはdadino(小角切り)>brunoise(ブリュノワーズ)
の順で小さくなります。



farlo soffriggere(それをソッフリッジェレさせる) in un largo tegame(広さのある浅鍋で) unto di strutto(ラードを塗った)

・・・ラードを入れたソテーパンでグアンチャーレをソッフリットにする。

「soffriggere(ソッフリッジェレ)」は、油で炒めるというよりも、油に材料を入れて、かき混ぜずに弱火でじっくり熱して、素材の水分を出す調理方法。
イタリア料理の基本中の基本。
「しんなり炒める」というような意味なのですが、詳しく言うと、ちょっと違います。
そのヒントは、「farlo soffriggere」、“lo(それ)”を“fare soffriggere”(ソッフリッジェレさせる)という表現。
つまり、火にかけて放っておけば、あとは勝手にソッフリットになる、という隠れた意味があります。
「あなたが」炒めるのではなく、「グアンチャーレに」ソッフリッジェレさせる、というニュアンス、分かるでしょうか。


「largo tegame(広さのある浅鍋)」は、ソテーパンのこと。
ちなみに、フライパンは「padella(パデッラ)」で、鍋は「pentola(ペントラ)」



unire(加える) uno spicchio d'aglio schiacciato(潰したにんにく1片を)

levarlo(それを取り除く) quando sarà ben rosolato(しっかり焼き色がついたら)

・・・潰したにんにく1片を加え、しっかり焼き色がついたら取り除く。


「levarlo」は“levare”に“lo”がくっついています。
「farlo」もそうですが、イタリア語は同じ言葉を繰り返し使うことを嫌います。
そこで、2度目の時は、こうやって代名詞にしてしまうんですね。
levarlo の lo は“にんにく”、farlo の lo は“グアンチャーレ”のことです。


ここまでをまとめると、

「グアンチャーレを小角切りにしてラードとにんにくでソッフリットにし、にんにくに焼き色がついたら取り除く。」


次回に続きます。



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3 件のコメント:

くるり さんのコメント...

うーん、この本は自分にはまだ無理そうだなぁと思う今日この頃。カルボナーラといえば、まだ一度もローマで食べたことがないんです、実は。アマトリチャーナばっかりで(アマトリーチェも毎年候補にのぼっては行ってませんが。白いアマトリチャーナも食べてみたい)。ところでローマ通のプレッツェーモロさんにお聞きしたいのですが、ローマでおすすめの本屋さんをご存じありませんか?

prezzemolo さんのコメント...

くるりさん
この本が本棚の飾りになっている家も多いかも(笑)
ローマの庶民的な店のカルボナーラは、濃厚ですよ~。だからパスタも、スパゲッティよりボリュームのあるショートパスタのリガトーニの方がよく合うんです。

ローマの本屋さんは、残念ながらごく普通の店しか知らないなあ。
ジェズ教会のバス通りをはさんで向かい側の店とか、はっきり覚えていないのですが、Rinascenteのそばにも比較的充実している本屋があったはず。

くるり さんのコメント...

リガトーニかぁ。また苦手分野だけど、ローマの前にアブルッツォで食べる可能性大です。微妙に違うかもしれませんが(両方で食べた方が、違いがわかるかもしれませんね)。

書店情報ありがとうございます。前に行ったアルジェンティーナ広場の近くの本屋にでもまた行ってみようと思います。

バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

(CIR12月号)によると、ヴィチェンツァでは、この料理はCが1つなんだそうです。普通はバッカラはbaccalàでも、ヴィツェンツァでは、Cがひとつのバカラ。んなばかな、と思ったけど、地元のこの料理の専門家たちは、C一つで呼んでました。会の名前の刺繍もC一つ。リチェッタはP.11...