2009年6月11日木曜日

イタリアのレモン

今日はレモンの話。

近頃、シチリア産レモン入り、という製品がずいぶん多くなりましたねえ。
イタリアでレモンの産地と言えば、やはりまずシチリア。
そしてカラブリアやカンパーニア。




シチリアの代表的なレモンの産地の一つ、シラクーザの店先に積まれた大小のレモン。
手前のレモンは1kgで0.5ユーロ、約70円! photo by sharkbait


レモンは年に何度か花が咲く植物です。
イタリアでは、3月から6月にかけて花が咲いたものは、9月半ばから翌年の5月の間に実が熟します。
この実をリモーネと呼びます。
6月から7月末に花が咲いて、翌年2月から5月に実が熟したものはリモーネ・ビアンケット、8月半ばから10月に開花して、翌年4月末から9月の間に実が熟したものはリモーネ・ヴェルデッロと呼ばれます。

イタリアで栽培されるレモンの70%を占めていて、主にシチリアで栽培されているのが、フェンミネッロ・コムーネという品種。
果汁が多いのが特徴です。

こんなレモン


シチリアレモンと言えば、グラニータ。

アイスクリーマーがなくてもできるグラニータの作り方(前置きがちょっと長いですが)。
砂糖と水を熱したシロップに無農薬のレモンの汁と皮を入れて30分置き、漉して凍らせます。
半分固まったらミキサーにかけ、再び冷やして適度な堅さに固めます。






一方、カンパーニアのソッレント(ソレント)などで栽培されているのが、リモンチェッロの原料になるオヴァーレ・ディ・ソッレントという品種。
こちらは、香りのエッセンスを含む油が皮にたくさん含まれています。

こんなレモン

今やソッレントの名物となったレモンとリモンチェッロですが、実は、このレモンと日本は、多少のかかわりがあるんです。
あまりイメージが湧かないかもしれませんが、19世紀のソッレント地方の主な産業は、ぷどう栽培と絹織物でした。
ところが、ぶどうの木がフィロキセラにやられ、絹も中国や日本の製品に押されて、競争力を失ってしまいます。
ソッレントの人々は、短期間でまったく新しい産業を興す必要に迫られました。
そこで取り組んだのが、以前から行われていた柑橘類の栽培です。
それまでたくさんあった桑の木は、あっという間にレモンの木に姿を変えてしまったのだそうです。
日本が国を挙げて絹を造った結果が、私たちが今飲んでいるリモンチェッロと結びついているとは・・・。



今日のおまけ。
リモンチェッロなど、カンパーニア地方の味覚を紹介する動画。
行きたくなります。






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6 件のコメント:

くるり さんのコメント...

レモンに収穫時期でそんな名前の違いがあるなんて知りませんでした。早生とかそんな感覚かなぁ。昨日たまたまナポリ料理がウリの店でレモンケーキ(リモンチェッロ入り)を食べましたが、子供のころに食べた安〜いレモンケーキが高級になった感じ。もちろん格段においしかったけど(笑)。
それより、ぶどうの木もフィロキセラにやられてたなんてびっくり。それが契機で幕末の日本に蚕種を買い付けにやってきたイタリア人がいたんですよ。その人は日本博物館を故郷に建てていました(笑)。

prezzemolo さんのコメント...

くるりさん
レモンの形をしたレモンケーキ、あれは名作ですよねー。イタリアではあんな形のドルチェ、見たことない。
幕末の日本に蚕を買い付けに?それはすごい。映画になりそう・・・、と書いたところで思い出しました。映画の『シルク』って、まさに、幻の蚕の卵を求めて、フランスから世界の果ての日本まで行った人の話でしたねー。あまり評価はよくないけど。

Vittorio さんのコメント...

シチリアに行った時、レモンの果実味が濃くてビックリした記憶があります、他の果実もです。

ヴェルデッロと言うんですか、その言葉今度使かってみたいです。

私は田舎育ちなので、近くの農家の納屋で蚕を飼育していて、夏夜になると桑の葉を食べる音【モソモソ】が聞こえて来ました、都会から遊びに来た親戚が不気味がっていました(笑)、

前の記事のメカジキやサメなども美味しかった、私の最初のシェフがシチリアの方でしたので、よくパレルミターナとよく使っていました、

サプライズでclaudioとラグーサの実家に訪ねて行ったら、ぺぺローネ農家だったみたくビックリしてぺぺローネを全部落としていました(笑)、

シェフが作ったレモンのグラニータをスプマンテで割ったのも美味しいかった、

レモンのエピソード、そういうことだったんですね、

今回も大変勉強になった記事でした、さっそくメモメモ。

今から明日のランチのグリッシーニを伸ばします、

久しぶりにMarco Masiniさんの Le ragazze serieを聞きながらコツコツ仕込みます。

Vittorio さんのコメント...

ラグーザですね、ありがとうございます。

prezzemolo さんのコメント...

Vittorioさん
蚕が葉っぱを食べる音が聞こえてくるなんて、想像したこともなかったです~。
レモンのグラニータをスプマンテで割る!
なんて贅沢なお客さんのもてなし方なんだー。私もシチリアに住んでいたら、一度やってみたいもんです。
レモンの木とオリーブの木を植えてみたいと常々思うのですが、日本じゃ難しいだろうなあ。

あ、ラグーサでいいんですよ。
多分、サとザの中間の発音なんです(笑)

くるり さんのコメント...

ホント、あまりに似た味だったんで、あのエセレモンケーキは実は名作だったんだと思いました(笑)。
蚕種関連の話は日本人側の方が映画になりそうなぐらい面白いんです。そのイタリア人と名刺交換していたりして。ミラノに直接売り込みに行って結果的には大失敗に終わっているんですが。
ところでリモンチェッロに牛乳を入れたリキュールが大好きなんですが、あまりお目にかかったことがありません。あれまた飲みたい・・・。

バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

(CIR12月号)によると、ヴィチェンツァでは、この料理はCが1つなんだそうです。普通はバッカラはbaccalàでも、ヴィツェンツァでは、Cがひとつのバカラ。んなばかな、と思ったけど、地元のこの料理の専門家たちは、C一つで呼んでました。会の名前の刺繍もC一つ。リチェッタはP.11...