イタリア料理ほんやく三昧: トルテッリーニとヴィーナスのへそ

2009年3月24日火曜日

トルテッリーニとヴィーナスのへそ

今日はトルテッリーニの話。
『ア・ターヴォラ』の記事の解説です。



ボローニャの有名店、カミネット・ドーロのトルテッリーニ・イン・ブロード, photo by adactio


トルテッリーニはエミリア地方の名物料理。
中でもボローニャとモデナがその中心地。

トルテッリーニは、多分、イタリアで一番小さな詰め物入りパスタですよね。
「ヴィーナスのへそ」にたとえられるのは有名な話。

この伝説、よく知られているのが、宿屋の主人がヴィーナスだか貴婦人だかのおへそを覗き見して、その美しさに感動して作った、という話。
宿屋の場所は、ボローニャとモデナのちょうど中間のカステルフランコ・エミーリアで、宿屋の名前は“コローナ”と、なぜかやたら細かいところまで言い伝えられています。

ヴィーナスのへそ説は、なんでも、詩人タッソーニが17世紀に書いた『奪われた手桶』、という詩が出所らしい、とも言われています。

トルテッリーニのことを詳しく説明しているこちらのサイトでは、こう説明しています。

この詩は、13世紀にボローニャとモデナの間で起こった争いの歴史を語ったもの。
なぜかこの二つの町の戦いに、オリンポスの神々が参戦するんです。
でも、この詩の中にはヴィーナスのへその話は出てきません。

とてもややこしいのですが、この詩に感銘を受けた19世紀のジュゼッペ・チェーリという詩人が、この戦いで、ヴィーナス、酒神バッカス、軍神マルスの三人がモデナ側についた、という詩を書いたんだそうです。
その中に、三人がカステルフランコ・エミーリアの宿屋に泊まった、という話が出てきます。
なんで神様が宿屋に泊ったのかなんて、私に聞かないでくださいよー。
そんなこと私だって知りませんから。
そして後はお決まりの、宿屋の主人がヴィーナスのおへそを見て感動して・・・、という訳です。



大英博物館のヴィーナス, photo by xjyxjy



実はこの話、現在も続く永遠のライパル、ボローニャとモデナの争いの一因にもなっているようなんです。
タッソーニはモデナの人でした。
現在のカステルフランコ・エミーリアは、行政的にはモデナ市。
でもチェーリは、「宿屋の主人はボローニャ人だった」、と書いたんですねえ。
つまり、“トルテッリーニの発祥地はポローニャ説”の強力な援護射撃。
そのせいかどうかは知りませんが、やはりボローニャ説の方が有力のようですねー。


このトルテッリーニ、小さければ小さいほどよいと言われますが、ボローニャとモデナではボローニャの方が小さい、という話も聞きます。
成形する時も、モデナでは人差し指に巻きつけて、ポローニャでは小指に巻きつける、なんていう話もあります。



ボローニャの惣菜店のトルテッリーニ, photo by markcbrennan


確かに小さい!

ただし、小粒のトルテッリーニを小指に巻きつけながら大量に作るのはかなり効率が悪く、実際にはほとんどの人が人差し指で作っているもよう。

エミリア・ロマーニャ地方のパスタ職人は“スフォリーナ”と呼ばれる女性たち。
ベテランスフォリーナのトルテッリーニ作りをどうぞ。





この店のパスタの配合は、小麦粉1kgにつき新鮮な卵12個。
生地は麺棒で薄~く伸ばし、3~4cm角にカット。
麺の出来はスフォリーナの腕次第だと言ってますねー。
のせる詰め物の量も何gかは決められておらず、すべてスフォリーナの感覚にまかされているそうで。

麺をこねて伸ばすのは力がいる作業で、詰め物をのせて閉じるのは繊細で細かい作業。
おばちゃんでなければできない仕事ですねえ。


トルテッリーニの話、次回に続きます。



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関連誌;『ア・ターヴォラ』'06年12月号(クレアパッソで販売中)
“トルテッリーニ”の記事の解説は、「総合解説」'06&'07年12月号、P.14に載っています。


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4 件のコメント:

Vittorio さんのコメント...

私が働いた所も、雑用係のシニョーリが4~5人いました、パスタ·野菜の下処理などで…。

私もせっかくイタリアに来たのだから、いろいろやろうと思い、時間があいたらシニョーリの仕事を手伝っていました

一人のシニョーラが自分のヘソにトルテリーニをあてて『ヴィーナスのヘソ』と言ってました。

シニョーリに『ヴィーナスはそんなに太ってないよ』と言われてました(笑)


トルテリーニを包むのもかなり早く最初は私が一個包む間に五個は包んでました、人差し指でした。

単調な仕事ですけど、慣れてくると面白くて、餃子の仕事感覚でした。



休みの日も、仕事仲間に飲みやディスコなどに誘われても、断って、シニョーレの仕事を手伝っていたものでしたから、『Vittorioはおばさんが好きなんだよ』っと…



『ハァ~?何~』って感じです、クールポコのイタリアバージョンですね(笑)、


日本よりは、素敵な出逢いがある確率が多い反面、誤解の確率も多いですね



私もトルテリーニを久しぶりに作りたくなりました、明日メニューに出します。個人的にはブロード系がすきです。

くるり さんのコメント...

私もパルマで食べたトルッテリーニ・イン・ブロードは忘れられないなぁ。パルマは何でもおいしかったし居心地はいいし、人も親切でいい印象しかない。でもボローニャは宿がいつもなくてスリに遭うし(でも結局とられはしなかったけど)ってだけで印象があまりよくない。リベンジしよう(笑)

prezzemolo さんのコメント...

Vittorioさん
シニョーラがおへそにトルテッリーニをあててる所、目に浮かびます。
おやじギャグと同じで、おばちゃんは世界中どこでも、その手のおばちゃんギャグを言わずにはいられないんです(人ごとじゃないからよく分かる~)。
遊びの誘いを断って仕事の手伝い!
ハハ、そりゃあ若者には理解できないかもしれませんね。
そう言えば、トルテッリーニを日本のレストランで食べた記憶がないです。

prezzemolo さんのコメント...

くるりさん
パルマは居心地がいい町ですよね。
スリにあって取られなくてよかったですねー。私もナポリでひったくり未遂とか、ミラノのホテルで盗難とか、ローマで白タクとか、色んな目にあいましたよー。
都会はどこでも危ないから、しょうがないですよね。
今じゃどれも、飲んだ時の昔の武勇伝の定番です。
ボローニャ、ぜひリベンジを!