2009年2月6日金曜日

フィロ生地

今日はフィロ生地の話。

前回は、オーストリアから伝わったストゥルーデルのそのまたルーツは、トルコのバクラヴァという菓子らしい、という話をしました。
そのバクラヴァに使われているのがフィロ生地
イタリア語では pasta fillo パスタ・フィッロ。

バクラヴァ


フィロ生地は、イタリアでは比較的浸透している食材で、料理書にもよく登場します。



アスパラガスの具のフィロ生地のカンノリッキ、チーズのサルサ
photo by frabattista


フィロ生地のミッレフォーリエ、タイとじゃがいもの詰め物

マンゴーとパイナップルのフィロ生地パイ

鶏肉ときのこ詰めフィロ生地パイ

フィロ生地の挽肉巻き


フィロ生地はトルコ辺りが発祥地のパイ生地の一種。
紙のように薄いのが特徴で、名前の語源もギリシャ語で「葉」や「紙」という意味の言葉。
中東だけでなく、欧米にも広まっています。


冷凍フィロ生地ができるまでの動画、その1(英語)
3:39あたりから始まります。
ちなみに前半は鶏の孵化場の様子。
動物残酷物語系が嫌いな人は見ないように。





この動画の説明によると、材料は、小麦粉60%と水40%。
小麦粉はたんぱく質の量が違う2種類の粉をミックス。
手作りの場合と機械で作る場合の両方を紹介しています。
手作りの場合は手で2.5m四方に伸ばしながらティッシュペーパーの薄さ!に伸ばします。


冷凍フィロ生地ができるまで、その2
1:20まで。






小麦粉と水がベースの中東系の生地で、イタリアでたまに見かけるのが、カダイフ
イタリアではカタイフィ kataifi と呼ぶようです。
小麦粉と水の生地を麺状にした、ビーフンのような食材です。
シュレッデッド・フィロとも呼びます。
これを使ったお菓子もカダイフという名前。

カタイフィ


カダイフ作り




以前、2008年5月15日のブログでも、カダイフを使った料理を紹介したことがあります。
プーリアの、オステリーア・ジャ・ソット・ラルコ Osteria già sotto l'arco という店の一品でした。

「ブッラータのカダイフ包み、トマト、マルティーナ・フランカ産カポコッロ、オリーブのクレーマ、ドライトマト添え」


現在配本中の『V&S』誌にも、カダイフを使った料理が紹介されています。
やはりプーリアの、パンタグルエーレ Pantagruele という店の料理です。



「空豆のピューレ、カタイフとビエトリーネ添え」

空豆のピューレもビエトリーネも、プーリアの典型的な食材。

カダイフとプーリアの関係も、なくはないんですよね。
カダイフは、パレスチナ地方が発祥地なんだそうです。
パレスチナは、かつてヨーロッパから十字軍が渡ってエルサレム王国を築いた地。
その十字軍の中継地となったのがプーリアでした。
プーリアには、今でも十字軍関連の遺跡がたくさん残っています。

この店があるブリンディジは、ギリシャとイタリアとを結ぶ港のある場所。
昔からプーリアは、イタリアより東のギリシャやトルコ、パレスチナと交流があった地方。
そんなことを考えると、この料理に、何か壮大な歴史を感じたりして・・・。


パンタグルエーレ Pantagruele:Salita di Ripalta 1/5, Brindisi
tel.0831.560605
土曜昼と日曜定休



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関連誌:『V&S』'07年11月号
パンタグルエーレが紹介されている記事、“サレント半島の店”の解説は、「総合解説」'06&'07年11月号、P.31に載っています。


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7 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

フィロ生地のことは全然知らないなぁと思っていたら、カタイフって食べたぞ、どっかで。しかし作り方おもしろすぎ。見てみたいなぁ。プーリアでも見られるのかなぁ。あんな大がかりなのはないか。しかし、プーリアの店、良さそうですね。ワインが500種類って、スノッブなのかなぁ…。あとあの野菜、ビエトリーネっていうんですか、おいしそう。

prezzemolo さんのコメント...

くるりさん
カタイフィの作り方、面白いですよねー。世界にはいろんな麺があるもんですよね。多分、プーリアで作ってる人はいないだろうなあ。
ビエトリーネはふだん草の若葉の一種です。エルベッテとも言います。
プーリアのレストランでおもしろそうなのが、ガッリーポリの“ラ・プリターテLa Puritate”。サレント半島の魚料理の店では一番、という声もあるそうですよ。

匿名 さんのコメント...

野菜、この前買ったちぢみほうれん草に似てますが、味はどうかな?ガッリーポリは、去年連れが行きたがっていたのですが、前に行った時にあまりいい思い出がなかったのと、サレント半島は日程的無理だったので却下。でも次回はmustになりそう。なので、いい店教えて頂きました。ありがとうございます。

prezzemolo さんのコメント...

くるりさん
おっしゃる通り、ほうれん草に似てます。

La Puritate : via Sant'Elia 18, Gallipoli, tel.0833.264205

匿名 さんのコメント...

こんばんは

カダイフはウチでも使っています、

ウチで使っているのはフランス産でパッケージにcheveux d'angeと書いてあります、イタリア語だったらcapelli dell'angeloなんですかねぇ~

素敵な名前です、メニューにも使わせてもらっています、

繊細な食感はフィロ·ブリックとは異なって、これもいい感じです。

匿名 さんのコメント...

こんばんは

カダイフはウチでも使っています、

ウチで使っているのはフランス産でパッケージにcheveux d'angeと書いてあります、イタリア語だったらcapelli dell'angeloなんですかねぇ~

素敵な名前です、メニューにも使わせてもらっています、

繊細な食感はフィロ·ブリックとは異なって、これもいい感じです。

prezzemolo さんのコメント...

Vittorioさん
カダイフってフィロを千切りにしたものかと思ってました。
こんな風に作るなんて、今回のために調べるまで知りませんでしたよー。
こういう食材をメニューに取り入れているお店っていいですねえ。食べに行きたい!

バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

(CIR12月号)によると、ヴィチェンツァでは、この料理はCが1つなんだそうです。普通はバッカラはbaccalàでも、ヴィツェンツァでは、Cがひとつのバカラ。んなばかな、と思ったけど、地元のこの料理の専門家たちは、C一つで呼んでました。会の名前の刺繍もC一つ。リチェッタはP.11...