2009年1月30日金曜日

シチリアの岩塩

イタリアの天日塩の話のついでに、リクエストをいただいたので、イタリアの岩塩についてもちょっと情報を探してみました。

まずは基本的な話。

塩は主に、海水から作るものと、地下から採掘するものがありますよね。
で、地下から採掘するのが岩塩。

財団法人塩事業センターのhpによると、岩塩とは、

大昔、海の一部が大陸の移動や地殻変動で陸地に閉じ込められ海水の湖となったものが干上がって塩分が結晶化し、その上に土砂が堆積してできたと考えられています。

形成時期は5億年から200万年前といわれ、世界にある岩塩の推定埋蔵量は、現在知られているだけでも数千億トンにもなり、岩塩由来の地下かん水も含めると、世界の塩の生産量の約3分の2が岩塩からつくられています。

このように地球上には多くの岩塩が埋蔵されていますが、日本国内には存在しません。

岩塩の採鉱法には「乾式採鉱法」と「溶解採鉱法」の2通りあります。
岩塩は重金属などの異物を含んでいることがあるため、食用にはそのまま供されることは少なく、一旦水に溶かして異物を取り除いてから再び結晶化させる方法がとられています。


岩塩の採掘方法


イタリアには、シチリア、トスカーナ、カラプリアなどに岩塩の鉱山があります。
ただし、イタリアで消費される塩の95%は海水から作られる塩なんだそうで、岩塩の鉱山自体は減りつつあります。

ちなみに、イタリア語で「岩塩」は、“サルジェンマ salgemma ”と言います。
いわゆる「あら塩」は“サーレ・グロッソ sale grosso ”ですが、これは粒のあらい塩全般のことで、海水塩、岩塩のどちらにも使います。


イタリアを代表する岩塩メーカー、Italkaliは、シチリアのペトラリーア、ラカルムート、レアルモンテの鉱山で岩塩を採掘しています。

hpのトップページには、巨大な岩塩の地層の写真が。

ペトラリーアの鉱山はヨーロッパの中でも含有量の多い鉱山で、海抜約1,100mの高さの山の中に埋まっています。
面積は2km2、地層の厚さは250m。
パレルモ県の西の端にあります。

ラカルムートとレアルモンテは島の南側にあり、ラカムートはアグリジェントの東、レアルモンテはアグリジェントの西にあります。

以前はこの他にも鉱山があったのですが、現在、シチリアの鉱山というと、大体この3か所のことのよう。

Italkaliは昨年からカナダに岩塩の輸出を始めたそうで、シチリア産岩塩の市場はどうやら拡大しつつあるようですねえ。


ところで、日本でシチリアの岩塩として販売されている塩の中に、「ペレッリーノ鉱山の塩」というのがあるのですが、このペレッリーノ鉱山というのがいくら探しても見つかりません。
いったいシチリアのどこにあるのか、ご存じの方がいたらぜひ教えてください!


さて、岩塩と海水塩はどう違うのでしょうか。

社団法人日本塩工業会のhpによると、岩塩と海水塩の違いは、「岩塩の方が硬くて溶けにくく、マグネシウムなどのにがり分を含まない」のだそうです。

そしてビックリなのが、食用の岩塩はミネラルをほとんど含まない、という事実!

岩塩て、ミネラルが豊富なんだとばかり思ってましたよー。
しかも、「海水塩になくて岩塩にはある、というような価値のある栄養素はまだ発見されていない」とは・・・。

シチリアの岩塩、メキシコの天日塩、食塩の成分を比べた表もありますねー。
それを見ると確かに、塩化マグネシウムだの塩化カルシウムだの塩化カリウムだのの含有量は、ゼロ!

なんだかますます分からなくなってきたなあ。

まあつまり、にがり成分がないから、刺激が少なくてまろやかに感じる、ということでしょうか。


塩事業センターの調査によると、塩を買う時、“消費者は「原材料」や「製造方法」よりも、「産地」や「成分(塩分以外)」を重視している”のだそうです。

言われてみれば、確かにその通りかも。
“シチリア産の塩”と聞くと、なんとなく日本の塩とはかなり違う塩のようなイメージがあるし・・・。

でも、塩のことを調べれば調べるほど、産地がどこかより、原材料や製造方法の方が重要という気がしてきます。
これらの表示がなくても、産地のイメージを強調するような抽象的な宣伝文句につい釣られてしまっていた自分に気がついた今日この頃です。



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2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

本当に、その通りですね!
岩塩=ミネラルの思い込みってなんなんだろう(笑)。いや笑っている場合でなくて、そんな基本的なものすら長い間誤解していたんですね。イメージって恐ろしい(いや、イメージってそもそもなんだ?一ミリもあってないし)
産地はものすごくざっくりいうとワインみたいなものか。ワインも結局蔵元だしなぁ。

prezzemolo さんのコメント...

くるりさん
塩は生きていく上で絶対必要なものなのに、どこでどうやって作られているのか、ほとんど知らないで口にしていることに初めて気が付きましたよー。
ワインと比較して考えるのも面白いですね。塩のソムリエとか出てきたりして。

バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

(CIR12月号)によると、ヴィチェンツァでは、この料理はCが1つなんだそうです。普通はバッカラはbaccalàでも、ヴィツェンツァでは、Cがひとつのバカラ。んなばかな、と思ったけど、地元のこの料理の専門家たちは、C一つで呼んでました。会の名前の刺繍もC一つ。リチェッタはP.11...