2009年1月14日水曜日

イタリアの塩

まずはクレアパッソからのお知らせ。
次の配本号、'06&'07年11月号は、1月17日(土)に発送予定です。


そして今日は、次の配本号から、「」の話。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の記事の解説です。

この記事では、イタリアにはどんな塩田があって、それぞれどのような特徴があるか、どんな料理に利用すると効果的かを簡潔に説明しています。

イタリアの塩は日本のスーパーでも売られていて、今やなかなか身近な存在。
主に「シチリアの海塩」などのキャッチフレーズで、地中海、というイメージを強く出して売っているようですね。


salina
トラーパニの塩田, photo by mafalda.foto


地中海の真っ青な海、カラッとピーカンのこれまた青い空、照りつける太陽、そして目に刺さるような白さの塩の山・・・。
どこまでもイタリア~ンで地中海~な風景ですねー。

日本にはこういう風景、ないですよねー。
そもそも、太陽と風で水分を蒸発させて作る天日塩は、雨が多い日本では大量生産は不可能なんだとか。
え、じゃあ赤穂の塩は?伯方の塩は?
実はすべて、メキシコやオーストラリアから輸入した天日塩が原料なんですねー。
これを再び海水で溶かし、煮詰めたり乾燥させたりして、「伯方の塩」とか「赤穂の塩」として売っている訳です。
再生自然塩と言うのだそうです。

伯方の塩ができるまで
 ↓
hakatanoshio.co.jp


日本と違ってイタリアは乾燥しているから天日塩がたっぷりできそう。
なんですが・・・。
実際の話、イタリアに塩田がいくつあると思いますか?
今も稼働しているのは、たった4地区だけなんだそうです。

さて、その4か所とはどこでしょう。

一般的にシチリアの塩、と呼ばれているものは、トラーパニの塩のこと。
この他に、チェルヴィアの塩とサルデーニャの塩は名前が知られてますよね。
チェルヴィアは、ロマーニャ地方の、ラヴェンナの少し南にある町。
アドリア海に面しています。
サルデーニャの塩と呼ばれているものは、サルデーニャの左下にある小さな島、サンタンティオコ島の塩のこと。

それでは、残る1つはどこでしょう。

実は、この残りの1つは、イタリアで最大の塩田なんですねー。
地中海全体でも最大規模。
年間の平均製造量は60万トン。
U.S.Geological Survey 「Minerals Yearbook 2003」によると、2003年のイタリアの塩の生産量は360万トンなので、約16%を占めていることになります。
おそらく、イタリアで流通している国産海塩の大部分は、この塩田のものじゃないでしょうか。
地中海の塩の、裏の王様?

それは、プーリアのマルゲリータ・ディ・サヴォイア塩田。
アドリア海に面していて、ブーツの形をしたイタリアの、拍車の下あたりにあります。


Tramonto sule saline
マルゲリータ・ディ・サヴォイア塩田の夕日, photo by Smeerch


長さ20㎞で幅は5㎞。
自然保護区に含まれていて、野鳥の楽園でもあります。
元々は海に接した湖だった場所で、大昔から自然に塩ができ、ローマ時代にはすでに大々的に利用されていました。
中世になると湖は塩田に造り変えられ、人の手によって塩を作るようになります。

この塩田は、一部が赤いことでも知られています。
これは、塩化ナトリウム濃度が高い場所に繁殖する“高度好塩菌”に含まれるベータカロチンのせい。
アメリカのグレートソルトレイクも、この菌のせいで赤くなっている部分があります。
この現象は、塩分濃度の高い湖や塩田にはよく見られるものですが、雨が多い日本には自然には存在しないのだそうです。
この赤い色素を食べて赤くなるのがフラミンゴ。
マルゲリータ・ディ・サヴォイア塩田では、1996年に250羽のフラミンゴが確認され、翌年には180羽のヒナが誕生したのだそうです。

マルゲリータ・ディ・サヴォーナ塩田のスライドショー
 ↓
youtube.com


地中海!というイメージのトラーパニの塩田とは、雰囲気がかなり違いますね。


“AUDIO 2”という2人組の「COME DUE BAMBINI」という曲のPV。
なぜかマルゲリータ・ディ・サヴォイア塩田で撮影してます。






イタリアの塩の話、次回に続きます。



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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2006年11月号(クレアパッソで販売中)
“世界の塩、イタリアの塩”の記事の解説は、総合解説'06&'07年11月号、P.16に載っています。


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5 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

そうなんだー。なんだか●●産あさりを数週間まいて、●●産といっている話やカナダ産を数ヶ月放牧して熊本産馬肉と称しているのと同じですな。うちでは高い塩、安い塩、粗塩という区分けで使っているんで関係ないですが(笑)。
ところで、マルゲリータ・ディ・サヴォイア行きましたよ。例のパスタ目当てで。でも営業時間をすぎていたのか閉まっていたので、それを撒き餌にした連れは半怒り気味。おかげでせっかく車を走らせて行ったのに、全然塩田満喫できず(というのも、塩田まで来ると周辺は何も飲食施設なしなので)。ただ野鳥おたくらしき人がひとり必死で写真を撮っていました。
設備も古めかしいし、なんだかおいしい塩を造っている雰囲気はあまり感じられませんでしたし(汗)

prezzemolo さんのコメント...

くるりさん
そうですよねー。「伯方の塩」が外国の塩を溶かして作ってるものだとは、普通は思わないですよねー。うちで使ってる瀬戸のほんじおは、国産海水100%だそうだけど、こうなってくるとどっちがいいのかもうよく分からない~。
マルゲリータ・ディ・サヴォイアにパスタを食べに行く日本人は、そうはいないですよねー(イタリア人だって行かないし)。おいしい物のためなら、どんなにディープな世界でもためらわないくるり家の行動力はすごいです!
それにしても撒き餌って(爆笑)

匿名 さんのコメント...

大きな声では言えませんが、無理気味な場所(オタク気味の山とか村とか、ひたすらこちらの趣味だけで見たい景色)へ連れてく場合は、効果的に撒き餌を差し挟む必要があります。
こんな人っ子ひとりいないような荒涼とした場所でも、こ〜んな珍しいもんが食べられるんだよ、ほ〜ら。いかない?という感じ(笑)。とにかくおいそうなくいもんと酒さえ与えていれば、文句はいいませんから。
塩田の時は空腹が限界に達した上に私がのんびりと写真を撮っていたので、昼飯のことしか眼中にない連れはもうプリプリでした。YouTubeのスライドショーにあったようにもっと色々と塩田のまわりをめぐりたかったのになぁ。

prezzemolo さんのコメント...

くるりさん
おいしいもんに釣られてしまうのは、食いしん坊の本能ですねー。でも魚も年季が入ってくると、中途半端な餌じゃ食いつかないですよー(笑)

匿名 さんのコメント...

なんでわかるの(笑)。ウブだった頃に比べて急激にハードルが上がりまくりの今日この頃。

バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

(CIR12月号)によると、ヴィチェンツァでは、この料理はCが1つなんだそうです。普通はバッカラはbaccalàでも、ヴィツェンツァでは、Cがひとつのバカラ。んなばかな、と思ったけど、地元のこの料理の専門家たちは、C一つで呼んでました。会の名前の刺繍もC一つ。リチェッタはP.11...