2009年1月9日金曜日

グラッパのテイスティング

今日はグラッパの話。
『クチーナ・エ・ヴィーニ』の記事の解説です。

『クチーナ・エ・ヴィーニ』に、グラッパ造りを家業として取り組んでいる造り手を紹介する記事がありました。
イタリア中に、色んなグラッパメーカーがいるものですねえ。
グラッパの種類もたくさんあります。
色だけ見ても、透明のグラッパ、琥珀色のグラッパ、黄金色のグラッパがあり、さらにそれぞれに違うニュアンスがあって、きりがないくらいです。


Botellas de Grappa en el Ristorante Alessandro
グラッパ, photo by Javier Lastras


ワインをテイスティングする時は、独特の表現を使いますよね。
たとえば、なめし革の香りとか。
以前、汗をかいた馬の鞍の香り、なんて訳したこともあります。
グラッパの場合も様々な言葉で表現しますが、その内容が、当然のことながらワインとはちょっと違っていてなかなか面白いんです。

たとえば、ピエモンテのゲンメ地区の造り手、ルイジ・フランコーリの“グラッパ・バリック・デル・リムーザン”ならこんな風。

艶のあるオレンジがかった琥珀色
強く、典型的な香り
甘草、黒こしょう、カカオ、ドライフルーツの香り
レーズン、柑橘果実の皮、蜂蜜の味
コクがあって柔らかく、バランスの取れた味
奥にスパイス、パスティッチェリーア、タバコの香り
さらに奥にフルーツの香り


このグラッパは、ぶどうはピエモンテ産のものを数種類使用。
まず、5000リットル入りのオークの樽で30ヶ月寝かせ、これをもっと小さくて板の厚い樽に移して12ヶ月熟成。
さらに225リットルのリムーザン・オークのバリックで6~12ヶ月精錬しています。
アルコール度は42%。


メッザコローナ地区(トレンティーノ)のベルタニョッリの“コラリス・リゼルヴァ・バリック”は、こんな風味。
このグラッパ

琥珀色がかった美しい黄金色
甘い香り
熟した桃やあんずジャムの香りに、トルタ・マルゲリータやレモンのデリツィアの香りが溶け込んでいる
バニラ、オーク、トーストしたヘーゼルナッツ、アーモンド、蜂蜜、レーズン、ナツメヤシ、マルメロのジャムのアロマ
とてもバランスのよい柔らかな味
余韻にパスティッチェリーアの風味
最後にトースト香、草やドライフルーツの香り


このグラッパ、ぶどうはトレンティーノ地区産のテロルデゴ、シャルドネ、トラミネル。
バリックで最低24ヶ月熟成させています。
アルコール度は40%。

いや~この文を訳している間、レモンのデリツィエとトルタ・マルゲリータが頭の中をぐるぐるしてましたよー。
グラッパの話だということ、危うく忘れそうになりました。
これだけ甘いもんを並べといて、最後に残るのは草の香りって、いったいどんな味のグラッパなのか、強烈に気になるー!


この調子で12本のグラッパのテイスティング結果を訳したら、“グラッパ・バリックが飲みたい病”にかかったみたいです。


グラッパ・バリックのCM






ベルタニョッリのPV。
グラッパだけでも30種類近く作っている大手です。






おまけの動画。
グラハム君が生まれて初めてグラッパを飲みます。
笑えます。

youtube.com



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関連誌;『クチーナ・エ・ヴィーニ』2007年10月号
“グラッパ~ファミリービジネスのグラッパメーカーたち”の解説は、「総合解説」'06&'07年10月号、P.33に載っています。


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