イタリア料理ほんやく三昧: 4月 2008

2008年4月30日水曜日

レモンのデリツィア

今日はカンパーニアのドルチェの話。

『ア・ターヴォラ』のクレアパッソの今月配本号 『ア・ターヴォラ』2006年4月号 P.90に、いちごのデリツィアのリチェッタが載っています。

デリツィアと言えばレモンですが、いちごの季節ということで、いちごをメインにして大幅にアレンジした、ちょっと変わったデリツィアになってますね。


オリジナルのデリツィアは、ソレントやアマルフィを中心としたカンパーニア地方のレモン風味のドルチェ。

ミノーリ(サレルノ)のパスティッチェリーア・サル・デ・リーソ(hp)のデリツィア


この、白くてふわっと軽くておいし~いドルチェを考え出したのは、カルミネ・マルズイッロ Carmine Marzuillo さん。
ソレントの調理師組合の元会長。

1978年に、当時シェフをしていたソレントのパルコ・デイ・プリンチピ・ホテルの厨房で作り出したんだそうです。
これを料理業界の会合で披露したところ大好評。
弟のアルフォンソさんがシェフを務めていたアンティコ・フランチェスキエッロ(hp)というレストランで出すようになり、それがきっかけで世界中に広まったそうな。
特に日本からの反響が大きかったようで、はるばるリチェッタを教わりにきた、と今でも語り継がれていますよー。

イタリア料理を世界に広めた功績で、カルミネさんは2005年に勲章を授与されています。
カルミネさんは、14歳から19歳までマレスカという有名なバールで働き、その後、ローマやナポリの高級ホテルを経て、現在はソレントでパスティッチェリーアを経営(住所はViale Nizza 14)、という生え抜きの職人さん。

カルミネさんはデリツィアのリチェッタを秘密にはしなかったので、あっと言う間にカンパーニア中に広まったようですね。
シンプルなドルチェなので、バリエーションも様々。

たとえば、ナポリ近郊のグロッタミナルダという町のパスティッチェリーア、チーロ・チョートラ(hp)のデリツィアは、こんな配合(原文)。

レモンのデリツィア Delizia al Limone

構成;
1.スポンジ生地
2.レモンクリーム
3.レモンのアイシング
4.リモンチェッロのシロップ

スポンジ生地
材料;
卵黄・・300g
砂糖・・200g
卵白・・300g
小麦粉・・350g

・卵黄と砂糖の半量を混ぜる。
・卵白と残りの砂糖をホイップする。
・これらを混ぜて小麦粉を加える。

レモンクリーム
材料;
水・・300cc
レモン汁・・200cc
砂糖・・200g
卵黄・・200g
米のでんぷん・・50g
レモンの皮・・1/2個分

・全部の材料を混ぜて弱火で20分煮詰める。

レモンのアイシング
材料;
レモンクリーム・・200g
ホイップクリーム・・200g
リモンチェッロ・・150cc

リモンチェッロのシロップ
材料;
レモンの皮をアルコールに浸した液・・200cc
砂糖・・100g
水・・100cc


この他に、スポンジ生地にレモンの皮のすりおろしを加えたり、レモンクリームは水ではなく牛乳で作ったりと、バリエーションは色々。

スポンジ生地を小さな型に入れて焼いたら中央をややくりぬき、シロップをしみこませ、クリームを詰めてアイシングで覆えば出来上がり。

中はこんな感じ


レモンで覆ったデリツィア
キウイー風味
いちごのトッピング
トルタ型デリツィア。グラッサ(アイシング)の厚さが半端じゃない!
デリツィアをババで囲んだ大作


ああなんだか、アマルフィ海岸やカプリに行きたくなってきた~。
海辺のバールでレモンの香りのデリツィアを食べて、冷えたリモンチェッロでも飲みたいなあ。

Positano
ポジタノ, photo by Mithril



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関連誌;『ア・ターヴォラ』2006年4月号(クレアパッソで販売中)
「いちごのデリツィア」のリチェッタは「リチェッタ日本語訳」P.11に載っています。


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2008年4月28日月曜日

パヴィアのドルチェ、トルタ・パラディーゾ

『サーレ&ペペ』の「パスクアのブランチ」という記事の中に、とても可愛いドルチェ発見。

トルタ・パラディーゾのカンパネッラです。

クレアパッソで今月配本号(2006年4月号) 『サーレ&ペペ』2006年4月号 のP.32に載っています。
「総合解説」のP.7にも写真とリチェッタを載せました。

トルタ・パラディーゾを鐘の形に切ったシンプルなドルチェですが、白い粉糖に覆われた姿がとてもピュアな雰囲気。


トルタ・パラディーゾ torta paradiso は、片栗粉とレモンの皮入りのバタースポンジケーキ。
珍しいことに、誰がいつ考え出したかよく知られているドルチェです。

こんなドルチェ


トルタ・パラディーゾは、1878年にパヴィアのエンリコ・ヴィゴーニ Enrico Vigoni という人が考え出したんだそうです。

ヴィゴーニさんは、ミラノで修業した後にパヴィアでパスティッチェリーアを開いて、その年に発表したのがこのトルタ・パラディーゾ。
それ以来、このトルタは店の名物になり、やがてパヴィアの名物になり、そして世界中に伝わっていきました。

パスティッチェリーア・ヴィゴーニは今もあります。

こちらがヴィゴーニのトルタ・パラディーゾ

店のショーウインドーのトルタ・パラディーゾには、粉糖で、「エンリコ・ヴィゴーニが作り出したトルタ・パラディーゾ」と誇らしげに描かれていますねー。

こちらは店の正面


トルタ・パラディーゾは片栗粉入りなので、スポンジ生地よりぽろぽろとした食感の軽いトルタ。
誰が作ったのかは分かっているのに、「パラダイスのケーキ」というその名前の由来には、なぜかいくつか説があります。

その一つは、これを食べたある貴婦人が、その味を「天国」と表現した、という説。

そしてもう一つの説は、有名なパヴィアの僧院が舞台。

Certosa di Pavia: chiostro grande
パヴィアの僧院, photo by alessandro trezzi

この修道院には厳しい戒律があって、修道士たちは外の俗世間と触れてはいけないことになっていました。
ところが、薬草を研究していたある修道士が、薬草の採取のためにこっそりと外に出てしまいます。
そしてお約束通り、若い人妻と出会います。
そしてなぜか、彼女からあるトルタの作り方を教わります。
そしてやはりお約束通り、脱出は修道院長に知られ、彼は僧院の中で厳重に監視されて、もう外には行けなくなってしまいました。
彼は人妻を思って、彼女から教わったトルタを焼きました。
するとなんとそれが他の修道士たちに大好評で、彼らはそれを「天国のトルタ」と名付けたのでした。
そのトルタのリチェッタは、クザーニ・ヴィスコンティという公爵を通してエンリコ・ヴィゴーニに伝わり、彼によって商品化されたのでした・・・。

さーて、どっちが本当でしょうねえ。

トルタ・パラディーゾは1日置くともっとおいしくなるトルタ。
乾いたトルタなので、そのまま食べると喉に詰まる、という人は、ヴィンサントに浸して食べるんだそうですよ。
ちなみに、パスティッチェリーア・ヴィゴーニはパヴィア大学のすぐ前にあるのですが、学生たちに人気の店、という訳でもないようで、落ち着いてお茶が飲める場所のよう。

Pasticceria Vigoni/Strada Nuova 110、パヴィア


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関連誌;『サーレ&ペペ』2006年4月号(クレアパッソにて販売中)
「トルタ・パラディーゾのカンパネッラ」の日本語リチェッタは「総合解説」P.7に載っています。


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2008年4月25日金曜日

アッバッキオのリチェッタ

今日はアッバッキオ abbacchio のリチェッタをいくつか。

『ア・ターヴォラ』 『ア・ターヴォラ』2006年4月号 の記事にもあるように、代表的なのは、

・オーブン焼き
・スコッタディート
・アッラ・カッチャトーラ
・ブロデッタート
・アッバッキオの内臓とカルチョーフィの煮込み
あたり。


食に関する本をたくさん書いているアントニオ・ピッチナルディ氏の本、『ラ・グランデ・クチーナ・ディ・イタリア』のリチェッタは・・・

アッバッキオのオーブン焼き Abbacchio al forno

材料;
アッバッキオ(ブロック)・・1kg
にんにく・・3片
ローズマリー・・2枝(長さ3㎝に切る)
じゃがいも・・300g
白ワイン・・1/2カップ
EVオリーブオイル・・大さじ6
塩、こしょう

・肉ににんにく2片とローズマリー1枝分を刺し、塩、こしょうをすり込んで油を塗る。
・オープン皿(油を塗る)にのせてオーブンに入れ、ワインをかけながら5分焼く。
・長さ3㎝程度に切ったじゃがいも、残りのローズマリーとにんにくを加え、180度のオーブンで30分焼く。時々じゃがいもを裏返す。


塊のままどーんと焼くとこんな感じ。

abbacchio con patate...
アッバッキオのオーブン焼き, photo by Fabiana


アッバッキオのスコッタディート Scottadito di abbacchio
材料;
アッバッキオのコストレッタ・・12本
EVオリーブオイル・・大さじ5
塩、こしょう

・肉に塩、こしょうをすり込んで油を塗る。
・網を炭から13㎝離して置いて熱し、肉をのせて片面2分ずつ焼く。
・プレッツェーモロとレモンの輪切りを添えて熱々をサービスする。


この細いあばら骨が、いかにも乳飲み子羊。


アッバッキオのカッチャトーラは、ローマでも人気の料理。

「コーダ・アッラ・ヴァッチナーラ発祥の店」がキャッチフレーズのローマの老舗レストラン、ケッキーノ・ダル・1887(hp)のリチェッタは

アッバッキオ・アッラ・カッチャトーラ Abbacchio alla cacciatora
・アッバッキオのももと肩を一口大に切り、EVオリーブオイル、アンチョビー、にんにく、白ワインビネガー、赤唐辛子で焼く。


アントニオ・ピッチナルディさんのもう少し詳しいリチェッタは、

材料;
切り分けたアッバッキオ・・1kg
塩漬けアンチョビー・・2尾(塩抜きして切り身にする)
にんにく・・2片
ローズマリー・・2枝
EVオリーブオイル・・大さじ3
白ワインビネガー・・大さじ4
白ワイン・・1/2カップ
塩、黒こしょう

・油、ローズマリー1枝、にんにく1片を熱し、肉を入れて表面を焼く。ワインをかけて火を通す。
・肉を取り出して塩、こしょうをし、保温する。
・アンチョビー、にんにく1片、残りのローズマリーの葉を乳鉢ですり潰し(またはミキサーにかける)、ビネガーでのばす。
・これを焼き汁(スグラッサーレする)に加えて1分煮詰め、肉にかける。



復活祭に欠かせない料理、ブロデッタートのリチェッタは、クレアパッソで今月配本の「総合解説」に載っています。


内臓とカルチョーフィの煮込みはこんな料理。
 ↓
manzotin.blogspot.com

この人(職業は農業だそうで)のリチェッタは

アッバッキオの内臓とカルチョーフィの煮込み Coratella d'abbacchio con i carciofi
・内臓を小さく切って一晩酢水にさらす。
・玉ねぎをオリーブオイルでソッフリットにし、くし切にしたカルチョーフィ(レモン水にさらす)を加えて炒める。
・内臓をオリーブオイルで炒め、焼き色がついたら白ワインをかける。セージとローリエを加えて20分煮る。
・カルチョーフィを加えて15~20分煮る。


カルチョーフィ1個につき内臓150gの割合。



今日のおまけ。
ローマのゲットー地区にあるオステリーア、ソーラ・マルゲリータは、ローマで一番おいしくてリーズナブルな店、という人もいる人気店。
アッパッキオのカッチャトーラはこの店のスペチャリタの一つです。

店の入り口
厨房
カルチョーフィのユダヤ風
パスタ
看板犬!

Sora Margherita/Piazza delle Cinque Scole 30,ローマ
Tel. 06.6874216
平日は昼のみ営業


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関連誌;『ア・ターヴォラ』2006年4月号(クレアパッソで販売中)
「アッバッキオ・ブロデッタート」のリチェッタは「総合解説」P.36に載っています。


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2008年4月24日木曜日

アッバッキオ・ロマーノがIGPに

春の食材の中でも、肉と言えば、イタリアでは子羊
特に復活祭の時期には、子羊肉の消費量が飛躍的に増えます。

クレアパッソで今月配本の『ラ・クチーナ・イタリアーナ』 『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2006年4月号 、『ア・ターヴォラ』 『ア・ターヴォラ』2006年4月号 、『サーレ&ぺぺ』 『サーレ&ペペ』2006年4月号 各誌の4月号でも、こぞって子羊料理特集。


『ア・ターヴォラ』が取り上げたのは、アッバッキオ abbacchio です。

abbacchio
アッバッキオ, photo by Silvio

アッバッキオは、乳飲み子羊(ミルクラム)のローマでの呼び方。

Wikipediaによると、ラテン語で「小さな羊」という意味のovaculaという言葉が語源、という学術的な説と、「棒で殴り殺す」という意味のabbacchiareという言葉が語源、と言う残酷な民間伝承説があるようです。(原文
ちなみに実際には、昔は棒で頭を一撃してから喉を切っていたそうで。

ローマ以外では、一般的には、アニェッロ・ダ・ラッテ agnello da latte と言います。

2008年1月、ラツィオ産のミルクラムが、アッバッキオ・ロマーノ Abbacchio Romano というブランド名のIGP製品になりました。
IGP(Indicazione geografica protetta)とはEU諸国で認定されているブランド制度で、DOP(Denominazione di Origine Protetta)より一段ゆるい規定のもの。
その規定によると、アッバッキオ・ロマーノは、ラツィオ州で飼育されたサルデーニャ種などイタリア国産羊で、生後28~40日、畜殺後の重さが8kg以内のもの。

ラツィオ州で消費されているアッバッキオのうち、地元産のものはたった10%なんだそうです。
ローマで地元産のアッバッキオを食べたいと思ったら、“アッバッキオ”ではなく、“アッバッキオ・ロマーノ”を探すべし!、という訳ですね。
IGP認定によって、アッバッキオ・ロマーノのブランド価値は一段と高まると予想されています。


それにしても、アッバッキオは食べるところが少ないですよねえ。

Abbacchio Pasquale
復活祭のアッバッキオ, photo by Tommaso Passi

このローストは、ひょっとしたら丸ごと1頭分かも。

スコッタディートも、骨についている肉は少ししかないから、1本や2本じゃ足りない。

次回はアッバッキオのリチェッタを探してみます。


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関連誌;『ア・ターヴォラ』2006年4月号(クレアパッソで販売中)
「アッバッキオ」の記事は「総合解説」P.36に載っています。


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2008年4月23日水曜日

イタリアのシラス料理

春の食材と言えば、『サーレ&ペペ』 『サーレ&ペペ』2006年4月号 と『ヴィエ・デル・グスト』 『ヴィエ・デル・グスト』2007年4月号 のクレアパッソの今月配本号に、珍しいものが取り上げられています。

シラスです。

the whitebait
シラス, photo by Joe


シラスは、イタリア語では、ビアンケッティ bianchetti 、ジャンケッティ gianchetti など、地方によって様々な名前で呼ばれています。

イタリアでシラス、つまりイワシなどの青魚の稚魚の漁が解禁されるのは、基本的には12月1日から4月30日まで。
そろそろ今年の漁は終わりですね。
シチリアでは漁期はもっと短くて、1月半ばから3月半ばまで。
逆にナポリのロッゼッティ rossetti 、またはチェチェニエッリ cecenielli と呼ばれるシラスは1年中流通しているそうです。

『サーレ&ペペ』には、シラスのリゾット、シラスのラヴィオリ、シラスに小麦粉をまぶしたフリット、シラスを衣に入れて揚げたフリッテッレのリチェッタが載っています。

一般的なのは、生で、またはさっとゆでて、前菜にする食べ方。
調味はレモン汁とEVオリーブオイル。


イタリア各地で獲れるシラスですが、中でもリグーリアのものは有名。
ジェノヴァ市の公式サイトには、シラスのフリッテッレのリチェッタが紹介されています(原文)。

シラスのフリッテッレ Friscieu de gianchetti (Frittelle di bianchetti)

材料;
小麦粉・・200g
シラス・・400g
オリーブオイル
塩、こしょう

・小麦粉、塩、こしょう、ぬるま湯を混ぜる。
・シラスを加える。
・スプーンですくってたっぷりの油で揚げる。


リグーリアのポルトフィーノ州立自然公園の公式サイトにも、シラスのフリッテッレのリチェッタが載っています(原文はこのページの中ほど)。

こちらでは、シラス300g、小麦粉250g、卵白1個、塩、ぬるま湯が材料。


リグーリア風シラスのフリッテッレ(サフラン入り)
 ↑
作り方の過程の写真です。ポップアップ窓の中の矢印をクリックすると次の写真に進みます。

生のシラスの前菜
コーンチャウダーとシラスのフリット
プーリアのホテルのシラスのフリッテッレ

和風なイメージのシラスも、オリーブオイルとレモン汁で地中海料理になっちゃうんですねえ。


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関連誌;『サーレ&ペペ』2006年4月号(クレアパッソで販売中)
「シラス」のリチェッタは「総合解説」P.14に載っています。

『ヴィエ・デル・グスト』2007年4月号(クレアパッソで販売中)


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2008年4月22日火曜日

5月1日は空豆とペコリーノの日

ローマの話が続いている所で、今日はローマの春の食材、空豆 fave(ファーヴェ)の話。

5月1日は、イタリアでは、なぜか「空豆とペコリーノ祭り」が各地で開催されます。
この日はイタリア中の空豆の消費量がぐーんと増えるんだそうですよ。

イタリアの空豆のさやは長いですねえ。

畑の空豆

収穫したての空豆

Tutti giù per Terra
そのまま皿へ, photo by Rita M.

チーズをカットするナイフだけ添えて、後は手でつまむ

アップでどうぞ


2007年の5月1日、ウンブリアの山の中の町、ノルチャで行われた空豆とペコリーノ祭りのちょっとした動画
さやが長い!


さやに入った生の空豆とペコリーノ・ロマーノ、そして気軽な赤ワイン。
これはこの季節、イタリア中~南部ではどこでも見られる組み合わせ。
でもやはり、空豆とペコリーノと言えばローマの名物。


ペコリーノ・ロマーノはDOPチーズ。
2000年以上前から作られていて、世界で最も長い歴史のあるチーズの一つなんだそうです。
名前はロマーノでも、現在は大部分がサルデーニャ産。

ペコリーノ・ロマーノ管理組合のサイトに、生で食べるのとはちょっと違う空豆とペコリーノのリチェッタがありました(原文)。

空豆とペコリーノ Fave e pecorino

材料;
さや入り空豆・・1kg
チコーリアかルーコラ・・100g
EVオリーブオイル・・大さじ4
塩、粗挽き黒こしょう
削った(または小角切りの)ペコリーノ・ロマーノ・・150g

・空豆をさやから出して熱湯で1分塩ゆでする。氷水に取って薄皮をむく。
・空豆を油大さじ2で炒めて塩、こしょうをする。
・チコーリア(またはルーコラ)を油大さじ2で炒めて塩、こしょうをする。
・チコーリアを皿に盛り付けてペコリーノをのせ、その上を空豆で覆う。



ローマ情報のサイト、ROMA-O-MATICには、空豆のローマ風というリチェッタがありました(原文

空豆のローマ風 Fave alla romana
材料;
グアンチャーレかパンチェッタ・・80g
ブロード・ディ・カルネ・・1カップ
レタス
オリーブオイル
塩、こしょう
白ワイン・・1/2カップ
玉ねぎ・・1個
空豆・・800g

・玉ねぎをオリーブオイルでソッフリットにし、グアンチャーレの小角切り、空豆、塩、こしょうを加えてなじませる。
・ワイン、レタス、ブロードを加えて火を通す。



日本の空豆を生で食べると、イタリアのと同じ味がするんでしょうか。



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関連誌;『サーレ&ペペ』2006年4月号(クレアパッソで発売中)
空豆のリチェッタを含む「春野菜」の記事は「総合解説」P.10に載っています。


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2008年4月21日月曜日

ローマで最高のカルボナーラは?

プンタレッレのリチェッタ探しでローマ料理の情報をあれこれ見ていたら、こんな話を見つけました。

『ガンベロ・ロッソ』誌が、ローマで最高のカルボナーラというのを発表したんだそうです。

そしてその栄冠に輝いたのは、なんとチュニジア人のシェフ。
アンティコ・フォルノ・ロッショーリAntico Forno Roscioliの、Nabil Hadj Hassenさん、43歳。

カルボナーラを持つハッサンシェフ

17歳でイタリアに来て、最初の1年半はひたすら皿洗いをしていたそうで。

店はレストラン兼エノテーカで総菜も売っていて、カンポ・デ・フィオーリのそばにあります。
これはぜひ食べてみたいですねー。

Via dei Giubbonari
ロッショーリ, photo by Stefano

店の写真


この店は、近くでパン屋もやっています。

Gnammy :-)
ロッショーリの甘いパン, phtoto by Daniele Muscetta

スタッフたち
店のショーウインドー
店内
ロッショーリのカットピッツァはローマで一番おいしい、という人もいますよー。
ローマの定番、ピッツァ・ビアンカ


ランチ時はパスタやスップリなども出しているそうです。
詳細はhpで。


そして2位は、ラルカンジェロL’Arcangelo(hp)のインド人シェフ。

このニュースを伝えるニューヨークタイムズのサイトによると、今やローマのレストランは、移民のシェフなしでは成り立たないんだそうです。
最近は、モロッコ、チュニジア、ルーマニア、バングラディシュの人が多いのだとか。
日本にも店がある某老舗は、10人の料理人のうち7人が外国人。
ローマの伝統の味は、今や外国人シェフによって支えられているんですねー。






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2008年4月18日金曜日

プンタレッレのリチェッタ2

プンタレッレ(プンタレッラ)のリチェッタ、あちこち探してみました。

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プンタレッレのインサラータとバッカラのフリット。どちらもローマの定番料理、photo by rebecca f

まずは写真。
空豆とプンタレッレ
ブレザーオラとプンタレッレのフォカッチャ
プンタレッレのトマト煮


そしてリチェッタ。

■モリーゼの農園でプンタレッレを栽培している人のお勧めの食べ方は、トマト入りのオリーブオイル炒め
 ↓
parcodeibuoi.com

・プタンレッレを塩ゆでする。
・オリーブオイルとにんにくを熱し、トマトの小角切りを加える。
・プンタレッレを入れて炒める。
・皿に盛り付けてオリーブオイルをかける。

2006年のプンタレッレの初収穫は、5月31日だったんですね。


■料理人christianさんのブログのプンタレッレとマッシュルームのパスタ
 ↓
www.chefblog.it

プンタレッレは主に細長い葉先の部分を使います。

・オリーブオイルとにんにく(玉ねぎのみじん切りを加えてもよい)をソッフリットにし、マッシュルームとプンタレッレの根元の白い部分の小角切りを加えて炒める。
・塩、こしょうで調味し(唐辛子を加えてもよい)、パスタのゆで汁少々を加えてなじませる。
・プンタレッレの細い葉の部分をさっとゆでる。
・ゆでたパスタを野菜のフライパンに入れておろしたチーズを散らし、パスタのゆで汁少々を加えてマンテカーレする。
・皿に盛りつけてゆでたプンタレッレをのせ、オリーブオイルをかける。

マッシュルームとプンタレッレの組み合わせはオムレツにしてもおいしいんだそうです。
パスタはトルティリオーニを使ってますが、リガトーニにするとぐっとローマ風になりますね。


■イタリアの地方料理を集めたサイトには、こんなプーリア料理がありました。
ムール貝とプンタレッレのパスタ
 ↓
www.italy-recipes.com

材料
コンキリエ(ショートパスタ)・・400g
ムール貝・・600g
プンタレッレ・・400g
EVオリーブオイル・・1/2カップ
玉ねぎ・・1個
白ワイン(ビアンコ・ディ・サン・セヴェーロ)・・1カップ
塩、こしょう

・プンタレッレを掃除して10分塩ゆでする。
・玉ねぎのみじん切りをオリーブオイル大さじ数杯でソッフリットにし、小さく切ったプンタレッレを入れてなじませる。
・フライパンに油とムール貝を入れて熱し、貝が開いたら殻から出してプンタレッレに加える。
・ワイン、塩、こしょうを加えて5分煮る。
・パスタをアルデンテにゆでてムール貝とプンタレッレで和える。

パスタを手打ちのオレッキエッテやカヴァテッリにすれば、もっとおいしくなりそうですね。


■イタリアの食文化を紹介するサイトにあったのは、リードヴォーとプンタレッレのソテー
 ↓
www.italianfoodnet.com

材料
リードヴォー・・700g
EVオリーブオイル・・大さじ2
塩、こしょう
アンチョビーとにんにくで調味したローマ風プンタレッレ(昨日のブログに載せたリチェッタ

・リードヴォーを15分塩ゆでして冷まし、中央部分を厚くスライスする。
・フライパンにオリーブオイルを熱し、リードヴォーを入れて塩、こしょうをする。焼き色がついたらプンタレッレを加えて強火で炒める。



■おまけで、写真だけですが、グルテンフリー料理のサイトのプンタレッレのピッツァ
 ↓
operaalbianco.blogspot.com

右側の黄色いほうです。
トッピングはプンタレッレ、スクランブルエッグ、グリーントマト。


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関連誌;『サーレ&ぺぺ』2006年4月号(販売中)
プンタレッレを含む「春野菜」のリチェッタは総合解説P.10~13に載っています。


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2008年4月17日木曜日

プンタレッレのリチェッタ

プンタレッレpuntarelle(プンタレッラ)の知名度が日本でも上がってきていませんか。
国産品もあるし。

ローマの名物野菜プンタレッレは、カタローニャ菜の若芽。

中にプンタレッレが隠れているカタローニャ

外側の葉を取るとプンタレッレが出てくる

ローマの市場では下ごしらえを全部やって・・・

この状態で販売。

プンタレッレの味は、鮮度だけでなく、水にさらす程度によっても変わるので、レストランで食べると店によってかなり味と歯ごたえが違いますねー。
ちょうど良いほろ苦さと甘みでシャキッとした歯ごたえのものに出会うと、たいていの日本人は癖になる!


春になると、イタリアの料理雑誌にはちらほらとプンタレッレのリチェッタが登場します。
たとえば、先月配本の『ラ・クチーナ・イタリアーナ』ではパスタクロスティーニ
今月配本の『サーレ&ペペ』ではフリットソテー

インサラータ以外にも色々な料理があるもんですねー。

特にプンタレッレのフリットは、たらの芽の天ぷらにも少し似ていて、すごくおいしそうですよー。
写真とリチェッタは「総合解説」P.11に載っています。
このフリットの場合は、細く切る前のプンタレッレを使っていますね。
こういう食べ方もあるのか~と、いたく感心。


プンタレッレの王道な食べ方は、インサラータ。

ローマのトラステーヴェレのリストランテ・パリス(hp)のプンタレッレ。
美味!
 ↓


ローマ情報のサイト、roma-o-matic.com
のインサラータのリチェッタを訳してみると

材料;
プンタレッレ・・400g
アンチョビー・・4枚
にんにく・・1片
白ワインビネガー・・大さじ3
塩、こしょう
オリーブオイル

・アンチョビー、にんにく、塩、こしょう、オイル、ビネガーを乳鉢ですり潰す。
・プンタレッレをこのサルサで和える。

アンチョビーは塩漬けのものを使うリチェッタも多いようです。
唐辛子を入れたり、ワインビネガーではなくバルサミコ酢を入れる人もいます。


プンタレッレが出てくる動画、ようやく1つだけ見つけました。

アンコウのプンタレッレ添え

作っているのは、バッサーノ・デル・グラッパ近郊のリストランテ、イル・ティネッロ(hp)のシェフ、グエリーノ・マクランさん。

リチェッタは

・プンタレッレを細く切って氷水にさらす。
・アンコウを一口大に切ってコーンフラワーと小麦粉をまぶし、オープンで焼く。
・プンタレッレ(水けをふき取る)をオリーブオイルとにんにくで炒めて塩、こしょうをする。
・プンタレッレの上にアンコウを盛り付ける。


動画はこちら。最初にCMが入ります。
 ↓
it.truveo.com


プンタレッレのリチェッタ、明日も続けます。


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関連誌;『サーレ&ぺぺ』2006年4月号
プンタレッレのフリットゥーラとソテーのリチェッタは「総合解説」P.11~12に載っています。


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2008年4月16日水曜日

世界で1つ?羊乳のチーズ、ヴァステッダ

きのうの続きで、今日はシチリアのチーズの話。

カステルヴェトラーノがある地方は、ヴァッレ・デル・ベリチェValle del Beliceと呼ばれています。
町の東側を南北に流れるベリチェ川に由来する名前です。
カステルヴェトラーノのエキストラバージンオイルも、“ヴァッレ・デル・ベリチェDOP”。

このヴァッレ・デル・ベリチェ地方は、羊の放牧も盛んです。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』今月配本号の記事にもあるように、様々な羊乳のチーズが作られています。

シチリアの羊農家の放牧とチーズ作りの動画

この動画でも分かるように、羊のチーズと言えば、ペコリーノとリコッタが代表的。
でも、ヴァッレ・デル・ベリチェの名物は、そのどちらでもありません。
ヴァステッダvasteddaという名前の、パスタ・フィラータ・タイプのチーズなんです。
DOPチーズです。
管理組合のサイト

パスタ・フィラータとは、モッツァレッラにも用いられる製法で、生地を湯の中で伸ばしながらこねて弾力をつけていく方法(フィラータとは糸のように引き伸ばすという意味)。
南イタリアの牛乳のチーズは、このタイプが中心です。
ところが、これは牛乳のチーズに用いられる技術で、羊乳に同じことをするのはとても難しいんだそうです。
ヴァステッダは、おそらく世界でも唯一の、とても珍しい羊乳のパスタ・フィラータチーズなんだそうで。
地元の人たちは、ベリチェ地方の羊のミルクでないと糸引き生地にはならない、と胸を張っています。
スローフードの後援食材にも指定されています。


シチリアには、ヴァステッダという名前のパンもあります。
このパンに形が似ているのでヴァステッダという名前になった、という説もあります。
チーズのヴァステッダとパンのヴァステッダ
 ↓
prodotti-tipici-siciliani.it

じゃあパンのヴァステッダの名前はどこから来たかというと、ネット上では、フランス語でフォカッチャという意味の“ガステル”とか言う言葉が語源で、それが“グアステッダ”になって、さらに“ヴァステッダ”になった、という説をよく見かけますが、真偽の程は定かではありません。
今ではスープ皿の型を“ヴァステッダ”と呼ぶので、この型を使っているものは全部ヴァステッダと呼ばれるようです。
きのう紹介したパーネ・ネロも、形によってはヴァステッダとなります。


スローフードのサイトでは、ヴァステッダとは、「損なった」という意味の“vasta”という言葉が語源と紹介されています。
失敗したペコリーノを使って別のものに作り変えたチーズ、という訳です。
このチーズは、元々は夏に作っていました。
夏は乳の量が少なくなるのですが、その貴重な乳が暑さで傷みやすくなります。
少しでも傷んだものが混ざると、出来上がったペコリーノは売り物にならなくなってしまいます。
そこでそんなペコリーノの再利用法として考え出されたのが、このチーズだったわけです。


ヴァステッダは、直径15~17㎝、高さ3~4㎝の平らなフレッシュチーズ。
作り方は、羊乳にレンネットを加えて固め、細かく砕いたら容器に入れて24~48時間寝かせます。
これを薄くスライスして(下の動画はここから始まります)桶に入れ、リコッタを作った時に出た乳清か湯をかけながらこねてモッツァレッラのような生地にしていきます。
これをちぎって丸め、皿に入れて平らにして冷まします。
仕上げに塩水に漬けて乾かして出来上がり。




ヴァステッダは、かすかに酸味のあるデリケートな味なんだそうです。
テーブルチーズとして食べたり、小角切りにしてインサラータやパスタに入れたりします。
作り立てが一番おいしいく、3日以内に食べるチーズ。
ということは、やっぱり地元に行かないと最高のものは味わえないというわけですね。
どんな味なのか、気になるなあ。
セリヌンテやカステルヴェトラーノ方面に行く人は、ヴァステッダとパーネ・ネロとヴァッレ・デル・ベリチェDOPのエキストラバージンオイルの味見をお忘れなく!


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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2006年4月号
ヴァステッダ、パーネ・ネロを含む「グルメ紀行~シチリア西部」の解説は「総合解説」P.3に載っています。


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2008年4月15日火曜日

カステルヴェトラーノのパーネ・ネロ

きのうに続いてシチリアの話。
カステルヴェトラーノcastelvetranoは、踊るサテュロスのような観光の目玉はないけれど、セリヌンテの遺跡に行くには必ず通る町。

上のマークがカステルヴェトラーノで下がセリヌンテ。

大きな地図で見る

町のジャコモ・マッテオッティ広場


カステルヴェトラーノの名物は、オリーブオイルパーネ・ネロ

『ラ・クチーナ・イタリアーナ』で「シチリアのオリーブオイルの名門」と紹介されていたメーカーは、アンジェラ・コンシーリオAngela Consiglio。
この造り手のテヌータ・ロッケッタTenuta Rocchettaというエキストラバージンオイルは、イタリアのオリーブオイルコンクールでいつも上位に入っています。
日本にも輸入されていますね。


パーネ・ネロpane neroは、カステルヴェトラーノ周辺で栽培されているトゥンミニアtumminiaという黒ずんだ硬質小麦が20%入っている田舎パン。
ギリシャから伝わった品種のようなので、サテュロスと同じ頃にイタリアにやってきたのかも知れませんね。
この小麦によって、パンに独特の甘みと香ばしさが生まれます。
パンを焼く窯にくべるのはオリーブの枝。

トゥンミニアは栽培量が少ないため、スローフードの後援食材に指定されています。
fondazioneslowfood.it

カステルヴェトラーノのパーネ・ネロを紹介しているサイト
 ↓
ilpanenerodicastelvetrano.it


パーネ・ネロ作りの「予告編」(?)。
残念ながら本編が見つからない!



南イタリアの田舎パンは、本当においしいですよね。
シチリアのごま付きパンも、一度食べたら病みつきになる味。
その中でもこのカステルヴェトラーノのパーネ・ネロは有名なようです。
このパンを味わうためにカステルヴェトラーノに行ってみる、というのもいいかも知れませんねえ。
パンとオリーブオイルだけでなく、この地方には珍しいチーズもありますよー。
次はこのチーズの話です。


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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2006年4月号
記事にはオリーブオイルの代表的なメーカーとパーネ・ネロを販売している店のリストも載っています。


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2008年4月14日月曜日

踊るサテュロスの町

今日は『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の記事、「グルメ紀行~シチリア西部(セリヌンテ周辺)」から。

セリヌンテはギリシャ植民都市時代の遺跡が有名。

Selinunte, Sicilia
セリヌンテの神殿、photo by Gerardo Diego Ontiveros


でも、記事で紹介している主な町、マザーラ・デル・ヴァッロカステルヴェトラーノは、どちらも知名度は今一つ。


まずはマザーラ・デル・ヴァッロですが、場所はこのあたり。


大きな地図で見る

この町には、イタリアだけでなく地中海全体でも重要な港があり、漁業が盛ん。
上空から見るとなかなか立派な港です。


大きな地図で見る

旧市街の景観ドゥオモ海辺の教会


実は、この町には世界的に有名なものがあります。
愛知万博の時にはそれが日本に運ばれて、イタリア館の展示物の目玉となったほど。

それは、「踊るサテュロス」。

1998年に漁船が500mの海底から引き揚げた、紀元前4世紀末のギリシャのブロンズ像です。
enjoytokyo.jpの「踊るサテュロス」のサイト




現在この像は、町のサテュロス博物館Museo del Satiroに展示されています。
この像が発見されたのは10年前。
サテュロス以前と以後では、やってくる観光客の数は随分変わったでしょうねえ。

町の観光協会によると、町の名物は
・修道女が作る“ムックネッティmuccunetti”(マジパンにカボチャのシロップ漬けを詰めたドルチェッティ)
・イワシのパスタ
・魚のクスクス

こちらは町のパスティッチェリーアのドルチェ。
中ほどにムックネッティがあるのですが、包み紙でくるまれているので、中身は想像するしかない!

この写真はムックネッティの元祖、サン・ミケーレ修道院の修道女。
 ↓
ateneonline-aol.it
手に持っているのがムックネッティかも知れません。
それにしても、俗世間の人とは格子越しに会うんですねえ。


イワシのパスタや魚のクスクスは、港のそばの、料理も出す魚屋、のような店で食べてみたいもの。
そんな店の1つがマルモレオ(marmoreo.com)です。
地元産の小型のイセエビがお勧めという情報もあります。
ちなみに、「総合解説」P.3の魚のクスクスの写真は、この店の料理です。

記事で「もう少しエレガントな店」として紹介されていたのが、ラ・ベットラ(ristorantelabettola.it)。

前菜の魚のカルパッチョのレモンマリネ
プリーモの“ラ・ベットラ”(手打ちのスパゲットーニ、ヤリイカ、エビ、カルチョーフィ、ピスタチオ、リコッタ・サラータ)
セコンドのエビのグリルの柑橘サルサがけ
デザートのフルーツのインサラータ

有名な観光ポイントではないけれど、ギリシャの遺跡やバロック建築を見学して、新鮮な海の幸を食べてのんびり過ごすにはもってこいの場所のようですね。

次はカステルヴェトラーノへ。


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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2006年4月号
「グルメ紀行~シチリア西部(セリヌンテ周辺)」の解説は「総合解説」P.2に載っています。


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2008年4月11日金曜日

山猫のティンバッロ(ティンバロ)

庶民料理の傑作が多いイタリアで、ティンバッロtimballoは珍しく貴族の血統のゴージャスな料理。

“ティンバッロ”の語源は「太鼓(ティンパノtimpano)」。
つまり、太鼓の形をした詰め物料理のことで、ナポリのティンバッロ・ディ・マッケローニ、お米のティンバッロ、なすのティンバッロなど、バリエーションは様々。
サルデーニャのパナーダもティンバッロの一種。

クリスマスのティンバッロ
お米のティンバッロ
なすのティンバッロ
生ハムで覆ったリゾットのティンバッロ
皮なしティンバッロ
サルデーニャのパナーダ

貴族料理の象徴となったティンバッロもあります。
『山猫』のティンバッロです。

『山猫』はジュゼッペ・トマージ・ディ・ランペドゥーサのベストセラー小説ですが、ルキノ・ヴィスコンティ監督の映画でも有名。

舞台は19世紀末のシチリア。
ラグーザ郊外のドンナフガータの館で、貴族の絢爛豪華なパーティーが繰り広げられます。




その宴席に登場したのがマッケローニのティンバッロ。




今年2008年は『山猫』が出版されてちょうど50年目にあたります。
3月13日には、ローマの4つ星ホテル、ブラック・ホテル(blackhotel.it)で、山猫の宴会を再現するイベントも開催されました。


ランペドゥーサは小説の中でティンバッロのことをかなり詳しく描写しています。
それによると、金色の生地からはシナモンと砂糖の香りが漂い、具にはマッケローニや鶏のレバーの他にトリュフもたっぷり入っていたそうで。

ランペドゥーサがリチェッタを書いた訳ではないのですが、19世紀末のシチリアの貴族料理を元に、このティンバッロを再現したリチェッタもあります。
mangiarebene.comに載っているものを訳してみました。

6人分
スーゴ・ディ・カルネ・・400cc(グラス・ド・ビヤンでも可)
鶏・・1/2羽
きのこ・・100g
鶏レバー・・100g
ハム・・200g(細く切る)
サルシッチャ・・100g
小粒のグリーンピース・・120g(アルデンテにゆでる)
バター
マッケローニ・・500g
おろしたパルミジャーノ・レッジャーノ
ゆで卵・・3個(輪切り)
塩、こしょう
黒トリュフ・・1個

パスタ・フロッラ(タルト生地);
小麦粉・・400g
砂糖・・200g
バター・・200g(室温)

シナモンパウダー
卵黄・・4個

クレーマ・パスティッチェーラ;
砂糖・・大さじ3
卵黄・・3個
小麦粉・・大さじ2

シナモンパウダー
牛乳・・500cc

・パスタ・フロッラの材料を手早くこねて均質の生地にし、布で覆って冷蔵庫で1時間休ませる。
・クレーマ・パスティッチェーラを作る。
・鶏をゆでて200gを挽く。鶏挽肉、卵1個、ハム100g、パルミジャーノ大さじ2、プレッツェーモロのみじん切り、塩を混ぜてヘーゼルナッツ大のポルペッティーネにする。これをたっぷりの油で揚げる。
・フィナンツィエーラ;残りの鶏肉とハムをバター少々で炒める。レパー、サルシッチャ、きのこ、ポルペッティーネ、グリーンピースを加えてさらに炒める。鍋に移し、スーゴ・ディ・カルネ大さじ数杯を加えて数分煮る。
・マッケローニを硬めのアルデンテにゆで、スーゴ・ディ・カルネ、バター、たっぷりのパルミジャーノで和えて冷ます。
・直径30㎝のエンゼル型にバターを塗り、パスタ・フロッラの2/3で内側を覆う。生地が型からはみ出すようにする。
・マッケローニの半量、フィナンツィエーラ、ゆで卵の順で詰めてパルミジャーノとトリュフの剥片を散らし、残りのマッケローニをややドーム形になるようにのせる。その上からクレーマ・パスティッチェーラをかけて吸い込ませる。
・残りのパスタ・フロッラで覆ってふちを閉じ、表面に溶き卵を塗る。
・180度のオーブンで45分焼き、5分休ませて型から出す。すぐにサービスする。


貴族のティンバッロの特徴は、塩味と甘味の組み合わせ。
このリチェッタも、塩味の詰め物を甘い生地で包んでいますね。



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関連誌;『サーレ&ペペ』2006年2月号
「ナポリのマッケローニのティンバッロ」のリチェッタは「総合解説」P.6に載っています。


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2008年4月10日木曜日

カルチョーフィのローマ風とユダヤ風

カルチョーフィ(アーティチョーク)はイタリア料理には欠かせない野菜ですが、日本ではなじみがないだけに、イタリアに行ったら食べておきたい食材。
特に、ローマには有名なカルチョーフィ料理がありますよね。
カルチョーフィ・アッラ・ジュディーアcarciofi alla giudia(ユダヤ風)と、カルチョーフィ・アッラ・ロマーナcarciofi alla romana(ローマ風)。

ローマ料理にはカルチョーフォ・ロマネスコという棘のない品種を使います。

Rome - Ghetto - artichokes
ローマのゲットー(ユダヤ人街)の市場のカルチョーフィ、photo by Marion Cerrato

カルチョーフォ・ロマネスコはIGP製品で、管理組合もあります。
ilcarcioforomanesco.it


“ユダヤ風”はカルチョーフィを花のように広げて揚げたフリット。

Deep Fried Artichoke
ユダヤ風、photo by Stewart Butterfield


カルチョーフォ・ロマネスコ管理組合のサイトのリチェッタ

・カルチョーフィの葉を広げ、中にたっぷり塩、こしょうをする。
・たっぷりの油(カルチョーフィを覆う程度)に軸を上にして入れ、さっと揚げる。
・裏返して反対側も揚げ、再び裏返して元に戻す。
・カルチョーフィを軽く鍋底に押しつける。
・水を散らしてカリッとさせ、さらに軽く揚げて取り出す。



“ローマ風”は葉の間に詰め物をしたオイル煮。

carciofi alla romana
ローマ風、photo by Silvio


カルチョーフォ・ロマネスコ管理組合のサイトのリチェッタ
・プレッツェーモロ、ミント、にんにくをみじん切りにして塩、こしょうを加える。
・カルチョーフィの葉をやや広げ、葉の間にみじん切りにした材料を詰める。
・葉を閉じ、下向きにして鍋に隙間ができないように入れる。
・塩をし、油1/3と水2/3で覆って蓋をする。
・200℃のオーブンで1時間焼く。水分はほぼなくなる。または弱めの火にかけて25分煮る。



こちらはローマ風のバリエーション。
ペコリーノとパルミジャーノをたっぷり詰めています。





ユダヤ風カルチョーフィと言えば、エットレ・スコーラ監督のイタリア映画、『星降る夜のリストランテ』(1998)にこの料理が登場します。
ローマのリストランテが舞台のこの映画、個性的なカメリエーレや客たちがローマ料理についてうんちくを語るシーンも豊富。
映画のストーリーは別として、ローマ料理の話が聞けるという点ではかなり面白い映画です。
その中には、「ローマ風カルチョーフィとユダヤ風カルチョーフィの違いを知ってるかい?」というセリフも。
ローマ人でもよく知らないということなんでしょうか。

こちらは映画のラストシーン。
※ネタバレです。
状況を説明すると、今日も色々な騒動があった店の営業もほぼ終わり。
客が最後の1組だけになった店の片隅で、女店主や常連客がカードをしています。
最後の客は、韓国人の親子。
男の子は、食事の間ずっとゲームに夢中でした。
そして・・・




この映画、原題は『La Cena』ですが、邦題の『星降る夜・・・』というのはこのシーンからつけたんでしょうね。
ほのぼのとして、思わず微笑んでしまうラストです。
そう言えば、マリオ兄弟は確かイタリア系。
世界中の子供たちが知っている、イタリア人も自慢のキャラクターなんですね。


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関連誌;『サーレ&ぺぺ』2006年3月号
「地方料理~カルチョーフィ」のリチェッタは「総合解説」P.14に載っています。


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2008年4月9日水曜日

ランゲ地方が世界遺産に立候補

2008年2月、ピエモンテのワインの里が、ユネスコの世界遺産に立候補しました。
ランゲ、ロエーロ、モンフェッラート、アスティの「ピエモンテ特有のワイン産地の景観」を、世界遺産として残したい、という考え。
ピエモンテ州およびクーネオ、アスティ、アレッサンドリア県のプロジェクトです。



Castello Gancia
アスティ県のガンチャ城 KaliFire (Maroc)



Sfumature
ランゲ地方 Elio



Prendi l'arte e mettila da parte...
バローロ村の礼拝堂 Andrea Demagistris

これはバローロ地区のブルナーテの丘に建つ礼拝堂。
1914年に建てられた小さな教会を、土地を所有するワインメーカー、チェレット(hp)がモダンアートのモニュメントに改装したもの。
デザインしたのはイギリス人とアメリカ人のアーティスト。

チェレットはランゲ地方を文化の発信地にしたい、という構想を抱いていて、バローロ地区にこんなアートも作っています。

地元は盛り上がっているようですが、さて、結果はどうなるか。


ちなみに、ピエモンテにはすでに2つの世界遺産があります。


サヴォイア王家の王宮群

Stupinigi Palazzina di Caccia - 06.03.2006
ストゥピニージ狩猟宮殿  Alessandro


サクリ・モンティ

Sanctuary of Oropa - 1 - 26.01.2006
オローパのサクロ・モンテ Alessandro




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関連誌;『ヴィアッジ&サポーリ』2007年3月号
「ランゲ地方~世界遺産登録を目指すワインの里」の記事は「総合解説」P.38に載っています。

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2008年4月8日火曜日

トスカーナのニョッキ、ニューディ(ラヴィオリ・ヌーディ)

トスカーナに、インパクトのある名前のニョッキがあります。

その名は「ラヴィオリ・ヌーディravioli nudi」。

ニョッキなのに「ラヴィオリ」。

しかも、直訳すると「ヌードのラヴィオリ」
無難な言葉に言いかえれば、「皮なしラヴィオリ」。

さらにこの料理、別名は「ニューディgnudi」。
これはひょっとして、ニョッキとヌードをつなげたダジャレか?

これがその、ラヴィオリ・ヌーディ、またはニューディ。
フィエゾレのトラットリーア・レ・カーヴェ・ディ・マイアーノle cave di maianoの料理。


Ravioli "Gnudi" Burro Salviac Parmigiano
Originally uploaded by trozbo


ややこしいことにまだ別名があって、ニョッキ・デル・カゼンティーノgnocchi del casentinoとも言います。
カゼンティーノはフィレンツェの東からアレッツォにかけての一帯。

また、ストランゴラプレーティstrangolapretiとかストロッツァプレーティstrozzapretiとも呼ばれています。

さらにさらに、ロンバルディアやヴェネトにも同様のニョッキがあって、こちらはマルファッティmalfattiという名前。

名前は色々ありますが、要は、ゆでて刻んだほうれん草、リコッタ、卵、グラナがベースのニョッキ。

こちらの動画、解説が元気がよくてちょっと笑えますが、作り方を丁寧に説明しています。



作り方
ほうれん草・・2kg(ゆでてミキサーにかける)
卵・・3個
羊のリコッタ・・500g
おろしたパルミジャーノ・レッジャーノ・・たっぷり

ナツメグ

・これらをよく混ぜ、冷蔵庫でしばらく休ませる。
・少量ずつ丸めて小麦粉をまぶす。
・たっぷりの熱湯に入れてゆで、浮かび上がったら取り出す。
・溶かしバターをかけてチーズを散らす。


『ラ・クチーナ・イタリアーナ』3月号のニョッキ特集のリチェッタでは、ほうれん草は250gで小麦粉を大さじ6加えています。


こちらは、ピサのオステリーア・イル・ファンタズマ・デッロペラil fantasma dell'opera (hp)という店のリチェッタ。
ほうれん草ではなく、スモークサーモン入り。



スモークサーモン、卵、プレッツェーモロ、グラナをミキサーにかけてリコッタに加え、クネル形にしてゆでたニョッキ。
サルサはブロッコリーのピューレと生クリーム。


ニューディは保存できないニョッキなので、市販品は出回っていません。
ということは、自分で作るかレストランに行かないと食べることができない料理ですね。


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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2006年3月号
リコッタのニョッキ(ニューディ)のリチェッタは「総合解説」P.7に載っています。

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2008年4月7日月曜日

フリーコその2~じゃがいもと玉ねぎのフリーコ

前回に続いて、フリウリ地方のチーズ料理、フリーコfricoの話です。

フリーコとは、チーズをこんがり焼いた料理で、前回のブログで紹介したチップス状の薄焼きクリスピータイプと、フリッタータ状の厚焼きタイプがあります。

今回は、じゃがいもと玉ねぎ入りの厚焼きフリーコのリチェッタを探してみました。


Street food, Cividale, Italy
Originally uploaded by pintxomoruno


これはもう大かた切り取った後のフリーコですね。
これにポレンタを添えるのが伝統的な食べ方。

もっとかた焼きにするとフリッタータそっくり。
 ↓
こんな感じ。

まずは、フリウリの家庭のリチェッタから。
原文は、料理の投稿が充実しているcookaround.comのこちらのサイトから。
調理過程の写真もあります。

材料;
玉ねぎ・・4個
じゃがいも・・6~7個
モンタジオ・フレスコ・・800g
岩塩
黒こしょう


・玉ねぎの薄切りを油でソッフリットにする。
・薄くスライスしたじゃがいも、塩、こしょうを加えてよく炒める。必要なら水少々を加えて焦げ付かないようにする。
・小角切りにしたチーズを加えて30分焼く。
・必要なら油を捨てる。皿を使って裏返し、反対側も30分焼く。

時間はかかるけれど、簡単に作れるんですね。

このリチェッタで使っているモンタジオはフレスコタイプ。

モンタジオには
・フレスコ(2ヶ月)
・メッザーノ(5~10ヶ月)
・スタジョナート(10ヶ月以上)
の3タイプがあります。

こちらは、モンタジオ管理組合のチーズの写真。
左からフレスコ、メッザーノ、スタジョナートの順で並んでいます。


次は、このモンタジオ管理組合のサイトで紹介されているフリーコのリチェッタです。
ウーディネの4つ星ホテル、アストリアのリストランテのもの。
原文と写真はこちら

洋梨入りフリーコfrico con le pere

モンタジオ・メッザーノ(6ヶ月)・・600g
洋梨・・2個
ゆでたじゃがいも・・1個
ベーコン・・2枚
玉ねぎ・・少々
黒こしょう
ルーコラ・・300g

・小さく切ったベーコンを樹脂加工のフライパンで炒める。
・玉ねぎの薄切り(香りづけ程度)、小さく切ったモンタジオ、小さく切ったじゃがいもを加える。
・チーズが溶けたら小さく切った洋梨を加えて混ぜ、弱めの火でフリッタータ状に両面を焼く。
・くし切りにしてルーコラの上に盛り付ける。

さすが4つ星ホテル。
素朴な山の料理も洗練された1品になるんですねえ。

実はウーディネ調理師組合では、世界一のフリーコを作ってギネスブツクに載せよう!と、巨大なフリーコを作ったことがあります。
オーストリア製の直径3mの特注の鍋で、重さ300kgのフリーコを作ったんだそうで。
この記録、多分まだ破られていないだろうなあ。

これは、ウーディネのコックさんたちがオーストリアのどこかの町のイベントで、同じ鍋でフリーコを作っているところ。
動画ではなく、の~んびりしたスライドです。




この鍋、今も時々使用されているようで、2007年10月にウーディネで行われたお祭りでも巨大フリーコ作りのパフォーマンスが披露されたとか。


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2008年4月4日金曜日

フリウリのフリーコ

今日はフリウリ地方の料理、フリーコの話。

フリーコは、フリウリ北部のカルニア地方のチーズ料理で、2つのタイプがあります。
1つは薄焼きチーズ。
英語では、チーズチップスとかフリーコチップスと言います。


cheese frico
Originally uploaded by Tine & Hagen Graf



もう1つは、じゃがいもと玉ねぎ入りの厚焼きタイプ。
黄色いポレンタの右側にあるのがフリーコです。


Street food, Cividale Italy
Originally uploaded by pintxomoruno



どちらも素朴な山の料理ですが、村ごとに違うリチェッタがあるそうで、出来上がりの状態も様々。
チーズはモンタジオが代表的。

Montasio Cheese
ulterior epicure


今日話題にするのは、フリーコチップスの方です。

モンタジオ管理組合のサイトで紹介しているリチェッタは、

・樹脂加工のフライパンを熱し、おろしたモンタジオ・スタジョナート一握りを入れて広げる。
・溶けて焼き色がついたら裏返して反対側も焼く。
・器にかぶせて形をつけながら冷ます。

モンタジオは牛乳のDOPチーズで、熟成の長さが違う3つのタイプがあります。
この薄焼きフリーコに使う“スタジョナート”は一番熟成期間が長く、10ヶ月以上寝かせたタイプ。

リチェッタの原文はこちらのページの一番上の料理。
写真の料理は“フリーコのニョッキ詰め”です。


カルニア地方の料理を紹介しているサイト、cjargne.itにあったリチェッタは、

・フライパンに油を塗って熱し、おろしたチーズ一握りを振り入れて均一に散らす。
・その上にとうもろこしの粉少々を散らす。
・フライパンを軽くゆすりながら熱してチーズを溶かし、固まる前にはがす。
・伏せた器にかぶせて形をつけながら冷ます。
・定番の付け合わせはポレンタ。

リチェッタの原文はこちら
リチェッタの下に、厚焼きと薄焼きのフリーコの写真もあります。


これはフリーコカップのインサラータ詰め。


parmesan frico cup retouch
Originally uploaded by mastermaq



おろしたチーズをフライパンで溶かした薄焼きチーズはよくありますよね。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』で、かなり変わった薄焼きチーズを見つけました。
“赤玉ねぎのフリーコ”です。
赤玉ねぎの輪切りの輪の中におろしたスブリンツを入れて、オープンでさっと焼いてチーズを溶かしたもの。
冷めると、薄焼きチーズが赤玉ねぎで包まれているような状態になります。
なるほど考えた。
このリチェッタは、2006年3月号の「リチェッタ訳~ラ・クチーナ・イタリアーナ」に載っています。

もっとおいしそうだったのは、『ア・ターヴォラ』に載っていた“白ごま入り薄焼きチーズ”。
おろしたグラナ、小麦粉、ローズマリーのみじん切り、白ごまを混ぜて薄く焼いたきつね色のチップスです。
見た目はとてもクリスピーで、どんな味なのか気になります。
こちらのリチェッタは「総合解説」2007&2006年3月号に載っています。

次回は厚焼きのフリーコのリチェッタです。

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2008年4月3日木曜日

ザバイオーネとアル・ビチェリン

今日はザバイオーネの話。

ピエモンテ名物のザバイオーネ、例によってその起源はよく分かっていませんが、一番人気がある伝説は、ある修道士が考え出したという話。

トリノ市の観光課のサイトに、詳しい話が紹介されています。
それによると、主役はトリノに布教にやってきたパスクアーレ・デ・バイロン(1540-1592)という修道士。
彼は、教区民の懺悔を聞いているうちに、「夫に元気がない」と嘆く奥さんが多いことを知ります。
そこで考え出したのが、元気になる食べ物。

それは、
・卵黄1個
・砂糖大さじ2
を白くなるまでホイップし、
・卵の殻で2杯のマルサラ
・卵の殻で1杯の水
を加え、
とろ火か湯煎にかけてかき混ぜながら煮詰めたクレーマ。

修道士は約100年後の1680年に聖人に叙せられ、サント・パスクアーレ・デ・バイロンとなります。
聖人になる、とは、伝説の人になるということ。
彼が作ったクレーマも、彼が起こしたありがたい奇跡として、トリノの女性の間に広まっていきました。
クレーマは、トリノ訛りでサン・バイユンと呼ばれていましたが、それがイタリア語化してザバイオーネ(zabaione、またはzabaglione)となったのでした。

聖バイロンは、1722年に料理人の守護聖人として奉られることになりました(確か菓子職人の守護聖人でもあるはずです)。
トリノのサン・トンマーゾ教会では、毎年5月17日に聖パイロン祭が行われています。

と、なんとも魅力的な話ですが、残念ながら真偽の程は謎。


トリノで本場のザバイオーネを味わうなら、行ってみたいのが老舗の有名カフェ、アル・ビチェリンal Bicerin。

torino al bicerin
アル・ビチェリン, photo by cscan

店のhpはこちら
日本語のhpもありました。

この店の名物は、なんと言ってもビチェリンですが(写真奥)、ザバイオーネも有名。


Al Bicerin cafe
photo by A tea but no e



ビチェリンは、いれたてのエスプレッソ・コーヒー、秘伝の製法のホットチョコレート、ミルクのクレーマを重ねた飲み物。
ザバイオーネはマルサラ入りの他に、モスカート、レモン、パッシート・ディ・カルーソ、ラタフィア(ピエモンテのリキュール)、くるみ酒、カシス、ドゥーカ・ディ・サラパルータのアラ、コーヒー入りの各フレーバーがあります。
そして写真のように、ホイップクリームをのせてビスコッティーニを添えたゴージャスなもの。




こちらはトリノのカフェを紹介した動画。
1分30秒あたりでアル・ビチェリンが出てきます(そのあたり、最初は音声が消えています)。
小さな店なんですねえ。





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関連誌;『ヴィエ・デル・グスト』2007年3月号(2008年4月現在クレアパッソで販売中)
「ザバイオーネ」の記事は「総合解説」に載っています。


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2008年4月2日水曜日

バニョマリーア;湯煎

『ヴィエ・デル・グスト』に、「ザバイオーネ」に関する小さな記事がありました(2007年3月号)。
ザバイオーネと言えば、卵と砂糖とリキュールを湯煎にかけながらホイップしたクレーマですが、今日取り上げるのは、「湯煎」です。

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Fabrizio Comolli


湯煎は、イタリア語ではbagnomaia(バニョマリーア)。
今までこの言葉の語源を気にしたこともなかったのですが、考えてみれば変わった言葉ですよね。

バーニョとマリア。

マリアがお風呂に入る?
ハハ、なにやらお色気系。

記事ではいくつかの説を紹介していましたが、現実的には、マリアがお風呂に入るより、マリア・なんとかという錬金術師が考え出した加熱方法、という説が一番説得力がありそう。

イタリアのWikipediaによると、語源について、これだという有力な説はないけれど、
モーゼの姉のミリアムという錬金術師が考え出した、
マリア・ラ・ジュデアという中世の錬金術師が考え出した(実在した記録はない)、
などの説がある、と紹介されています。

マリア・ラ・ジュデアは混ぜ合わせたさまざまな物質をゆっくり加熱するために「湯煎」を考え出し、この方法で金を作りだしたと言われているそうです。

錬金術師気分でザバイオーネを作るのも楽しそうですね。
ちなみに、「湯煎」はフランス語ではbain marie、スペイン語ではbanõmariaで、やはりマリアのお風呂。
でも英語では、そっけなくdouble boiledなので、どうやらラテン語系の言葉のよう。
日本語の「湯煎」という言葉は、いったいどうしてついたんでしょうね。
「湯」で「煎じる」、ということは、薬でも作る時に使った加熱方法なのかなあ、と勝手に想像。

では次は、ザバイオーネの話でも。



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関連誌;『ヴィエ・デル・グスト』2007年3月号(2008年4月現在クレアパッソで販売中)
「ザバイオーネ」の記事は「総合解説」に載っています。


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2008年4月1日火曜日

フィオレンティーナの復活

きのう書いたモッツァレッラの問題もそうですが、食の分野は、何か事が起こると社会全体を巻き込んだ大きな問題に発展するケースが多いですよねえ。
日本でも、餃子だ、偽装だと次々に事件が起こるのですっかり忘れてしまった感がありますが、ちょっと前までは、世界は鳥インフルエンザ問題に揺れていましたよね。
その前は、どんな問題が世界中を騒がしていたか、覚えていますか。
BSEです。
牛丼が消えると言ってマスコミが大騒ぎしたあの問題は、今はどうなっているのでしょうか。

日本で牛丼を直撃したBSEは、イタリアでも、ある有名な料理をイタリアから消してしまいました。
ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナです。


Bistecca Fiorentina
Originally uploaded by laauuren



背骨付きのTボーンステーキ、フィオレンティーナは、2001年3月31日にイタリアでの販売が禁止されました。
骨が付いていなければOKだったのですが、それでは本物のフィオレンティーナではないと、トスカーナの食品業界は大反発。

以前、このブログにも書いた世界一有名なキアンティの肉屋さん、ダリオ・チェッキーニさんに至っては、フィオレンティーナの消滅を悼む碑まで作ってしまいました。
(以前のチェッキーニの話はこちら


in memoria della bistecca alla fiorentina // panzano
Originally uploaded by dottorpeni



このプレート、よく見るとわかるのですが、下のプレートは、フィオレンティーナの復活を祝う文章です。
そうです。
2006年1月1日に、24ヶ月齢以下の牛のフィオレンティーナが解禁されたのでした。
この時は、あちこちの料理雑誌でフィオレンティーナの特集が組まれていたなあ。
『サーレ&ぺぺ』2006年3月号(クレアパッソの今月配本号)の「骨付き肉」の記事では、そのトップを飾ったのがフィオレンティーナです。

そして2008年2月、EUは30ヶ月齢までの牛のフィオレンティーナも解禁しました。
これでようやく本物のフィオレンティーナが戻った、とイタリアでは報じられています。

BSE問題で消えたフィオレンティーナが完全に復活するまでには7年かかったわけですね。
時間はかかっても、安全が戻ったのだからよかったよかった。
ヨーロッパではこうやって徐々にBSE以前の状態に戻っているようですが、日本はどうなんでしょうかねえ。


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関連誌;『サーレ&ぺぺ』2006年3月号(2008年3月現在クレアパッソで販売中)
「ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ」のリチェッタは「日本語訳/サーレ&ぺぺ」に載っています。


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