イタリア料理ほんやく三昧: ラグザーノ

2008年12月22日月曜日

ラグザーノ

今日もチーズの話。
前回はイタリアの北の端、アルト・アディジェのチーズでしたが、今度は南の端のシチリアのチーズ。
『ア・ターヴォラ』の記事の解説です。

シチリアには、DOPチーズ(産地が法律で定められているチーズ)が2つあります。
ペコリーノ・シチリアーノとラグザーノです。
今回取り上げるのは、ラグザーノ ragusano 。

元々はカチョカヴァッロ・ラグザーノと呼ばれていた歴史の古いチーズで、1996年にDOPになった時に、カチョカヴァッロが取れて、“ラグザーノ”という名前が公式名称となりました。
よく、「シチリアで一番古いチーズ」と言われます。

原料は牛乳で、モッツァレッラなどと同じパスタ・フィラータタイプのセミハードチーズ。
シチリア南東部のイブレイ山地のふもと、ラグーザ県全域とシラクーザ県南部で作られています。


Paesaggio Ragusano
ラグーザの風景, photo by Sebastiano Pitruzzello


前回取り上げたカルブルーは、典型的なチロル地方の風景の中で作られているチーズでしたが、このラグザーノは、いかにもシチリアンな風景の中で作られていますねえ。
出来上がったチーズも、やっぱりシチリア的。
こんな姿をしています。
 ↓
deliziedelpalato.it

1個10~16kgと大型で、形は無骨な長方形。


下の動画には、ラグザーノを作る過程が少しだけ出てきます。
作り方を簡単に説明すると、まず牛乳を固めて柔らかいチーズになったらスライスし、お湯に入れて休ませます。
これを練ってまとめ、大きな長方形に型押し。
仕上げは真ん中をひもで結び、天井に渡した梁から吊るして熟成させます。






司会の人、古代ギリシャ人も知っていた古いチーズで、シチリアの交易品の一つだった、と言っていますね。
かつてラグザーノは、モディカ牛のミルクから作られていました。
モディカ牛のミルクのチーズは、シチリアのチーズの中でも特に美味しいことで知られていたそうです。
ところが、シチリアの農業の不振などから飼育数が減少してしまい、現在のラグザーノは、100%モディカ牛のミルクから作られている訳ではありません。
現在はシチリア州やラグーザ県、スローフードなどもバックアップして、モディカ牛復活の道が模索されている最中。

モディカ牛でなくても、ラグザーノは、イブレオ高原の牧草を食べた牛のミルクから作られます。
しかも古い道具を使った昔ながらの作り方をしているので、北イタリアのチーズとはまた違った、シチリアならではの個性を持ったチーズになります。


中央にひもで縛った後が残っているのがこのチーズの特徴。
天井から大きな塊がいくつもぶら下がっているラグザーノの熟成室は、なかなか壮観です。
こんな様子。
 ↓
cicciapausi.it

熟成期間は3ヶ月から10ヶ月以上。
若いうちは甘さが感じられ、熟成が進むにつれて辛口になります。
『ア・ターヴォラ』には、「最上質のものは最低8ヶ月寝かせる」とあります。


ラグザーノの話、今日はここまて。
次回は、ラグザーノを使った料理の話です。



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関連誌;『ア・ターヴォラ』2006年10月号(クレアパッソで販売中)
“ラグザーノ”の記事の解説は、「総合解説」'06&'07年10月号、P.23に載っています。


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