イタリア料理ほんやく三昧: ミラノのサヴィーニ

2008年12月15日月曜日

ミラノのサヴィーニ

今日は、コトレッタ・アッラ・ミラネーゼにまつわる話。
『ア・ターヴォラ』の記事の解説です。


Cotoletta alla milanese
ザウィーニのコトレッタ・アッラ・ミラネーゼ, Fugu Tabetai


『ア・ターヴォラ』の記事、“コトレッタ・アッラ・ミラネーゼ”は、この料理にまつわる様々な話題を取り上げています。
その中の一つが、ミラノのガッレリーアの中にある有名レストラン、サヴィーニの話。

サヴィーニは、1867年開業の老舗で、一時は一世を風靡した有名店でした。
記事にはこんな風に書いてあります。、

「1950年代から70年代にかけて、ミラノで一番スノッブ、とみなされていたのが、スカラ座でオペラを観て、その後にサヴィーニやピッフィで、コトレッタやリゾット・アッラ・ミラネーゼ(またはリゾット・アル・サルト)を食べることだった・・・」

スカラ座の黄金期も、1950年代から60年代にかけて。
サヴィーニとスカラ座は、切っても切れない関係にあったようですね。


こんな話も・・・。
「サヴィーニは、ふたりの有名ソプラノ歌手、レナータ・テバルディとマリア・カラスの女の戦いの舞台にもなった・・・」

マリア・カラスとレナータ・テバルディは、20世紀後半のイタリアオペラ界を代表する歌手。
カラスは、1950年にテバルディの代役としてスカラ座に立ったことが、一種のメジャーデビューでした。
その後、ルキーノ・ヴィスコンティが演出したオペラによって、歌だけでなく演技にも開眼し、「20世紀最高のソプラノ歌手」として羽ばたいていきます。
これに反発したのが、すでに人気者だったテバルディのファンや一部の批評家。
カラスに対してアンチ活動を行って、その結果世間では、二人はライバル、と言われるようになったのだそうです。


マリア・カラスの才能を開花させたルキーノ・ヴィスコンティは、有名映画監督で、オペラの演出家としても一流で、イタリアの超名門ヴィスコンティ家出身の伯爵で、高貴なルックス(そして誰もが知る美少年好き)。
こんな人なら、女子はみ~んな憧れちゃいますよねえ。
マリア・カラスもヴィスコンティにぞっこんだったとか・・・。
夫(30歳年上!)がいたのに、惚れちゃったらしい。
サヴィーニで、ヴィスコンティと二人で食事なんかしたんでしょうか。
妄想は広がる・・・。


マリア・カラスとヴィスコンティが一緒にインタビューを受けている動画


Morte a Venezia
ヴィスコンティの代表作の一つ、『ヴェニスに死す』の一場面
photo by kairin simo



こんな華やかで退廃的な社交界の舞台だったサヴィーニ。
さぞかし当時は輝いていたんでしょうね。

その後、時と共にサヴィーニの名声は急降下。
華やかなりし日々の記憶も、昔話や伝説の中でしか語られなくなってしまいました。

『ア・ターヴォラ』の記事には、「もうサヴィーニは存在しない」とはっきり書いてあるのですが、実は、まだサヴィーニはガッレリーアにあります。
ただし、記事が書かれた数ヶ月後の2007年の夏に、経営者もシェフも外見も店の方針も、すべて変わりました。

サヴィーニは過去10年間、トゥーリン・ホテルズというグループが所有していました。
トリノのパレス・ホテルを始めとする数々の高級ホテルを所有し、トリノの有名店、カンビオも所有している多国籍企業です。
そのトゥーリン・ホテルズに代わって新しい所有者となったのが、ミラノで3軒のカフェを経営するマルコ・ガット氏。
シチリアのアグリジェント出身で、1974年にミラノにやってきて叩き上げでのし上がった人。
「かつてのサヴィーニの栄光を取り戻したい」と、強い意欲を見せています。

今から1年前に店が再開した日は、スカラ座の初日と同じ12月7日。
新しいシェフは、クリスチャン・マグリ氏。
アイモ・エ・ナディアなどで腕をふるっていた人だそうです。
1年たった今、どんな店になっているのでしょうか・・・。
ガッレリーアという場所だけに、きっとすでに日本人で行ったことのある人も大勢いるんだろうなあ。
ちなみに、一番上のサヴィーニのコトレッタの写真は、2008年5月の撮影です。

サヴィーニのhpはこちら



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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2006年10月号(クレアパッソで販売中)
“コトレッタ・アッラ・ミラネーゼ”の記事は、「総合解説」'06&'07年10月号、P.12に載っています。


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