今日は映画に出てきたドルチェの話。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』のグルメ紀行、“ヴァッレ・イサルコ”の解説です。
ヴァッレ・イサルコというのは、イタリアの北の端、オーストリアに接した、トレンティーノ・アルト・アディジェの南チロル地方にある渓谷地帯。
ヴァッレ・イサルコ地方の風景, photo by rachel_thecat
この地方の秋の名物の一つが、栗。
秋になると、この地方のレストランやパスティッチェリーアには、栗を使った自慢の料理やドルチェがあれこれ登場します。
そんな中で、『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の記事でチラッと紹介されているのが、栗を使ったあるドルチェ。
その名も、ヴィーナスの乳房。
1984年の映画、『アマデウス』の中に登場して有名になったドルチェです。
モーツァルトとサリエリという二人の作曲家を巡る、ミステリアスで絢爛豪華なこの映画、アカデミー賞の作品、監督、主演男優など8部門を受賞しています。
ヴィーナスの乳房が登場するのは、モーツァルトの妻コンスタンツェが、皇帝の姪の音楽教師の仕事に夫を推薦してもらおうと、サリエリの元を訪れた時。
この動画の02:20頃に出てきます。
サリエリはイタリア人。
コンスタンツェにお菓子を勧めて、
「これが何か、ご存じかな?
“カペッツォリ・ディ・ヴェーネレ Capezzoli di Venere ”、“ヴィーナスの乳房”です」
それを聞いたコンスタンツェの反応は、サリエリの期待通り。
「あ゛は・・・」
「ローマの栗のブランデー漬けの砂糖がけですよ。
お一つどうぞ」
コンスタンツェがお菓子を食べている間、サリエリはモーツァルトの楽譜を見て、その才能の完璧なまでの天才ぶりに驚愕し、打ちのめされます。
その間、コンスタンツェはひたすら食べ続けてますねー。
よっぽどおいしかったんでしょうねえ。
映画のヴィーナスの乳房はこれ。
↓
www.akakestrel.com
乳房をイメージしたイタリアのドルチェは、他にもあります。
これはカターニアのミニカッサータで、若くして殉教した聖女の乳房の形をしている“ミンヌッツェ minnuzze ”。
ミンヌッツェ, photo by Stefano Mortellaro
カッペッツォリ・ディ・ヴェーネレは、ヴェネトのドルチェのようですね。
リチェッタは次回にご紹介。
-------------------------------------------------------
関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2006年9月号(クレアパッソで定期購読の方へは近日発送)
“グルメ紀行~ヴァッレ・イサルコ”の記事は、「総合解説」'06&'07年9月号、P.2に載っています。
[creapasso.comへ戻る]
=====================================
登録:
コメントの投稿 (Atom)
トンカ豆はバニラの代用品として世に出ましたが、最近の日本のある出来事にそっくりの事実から使用が禁止されました。
きのうはオーストラリアのフィンガーライムとか、聞いたことないフルーツを紹介しましたが、(CIR1月号P.5)の料理で一番謎だったのは、fave tonkaです。 始めて聞いた名前です。いったい何なのか、想像もできません。 ドイツで行われたアイスクリームのワークショップでトンカ豆に...
-
グラナ・パダーノの話、その2です。 イタリアで流通しているハードチーズの50%近くを占めるグラナ・パダーノ(AC Nielsen調べ)。 2008年の生産量は、435万5347個でした。 平均的な販売価格は11.05ユーロ/㎏。 イタリアの硬質チーズの平均価格は12.70ユーロな...
-
(CIR)2月号の“ゆでないパスタ”というのは、たっぷりの沸騰した熱湯にパスタを入れて常に沸騰させながらゆでる、といういわゆる伝統的と呼ばれる昔ながらの方法でパスタをゆでない方法です。 プロの技を駆使しながらゆでないでパスタを加熱する方法を取り上げたのがこの記事です。 その一つが...
-
今日のお題はプリーモピアット。今月の「 総合解説 」P.5の料理です。 スパゲッティなんですが、料理名がやたらカッコイイ。 “アサシンのスパゲッティspaghetti all'asssassina”だって。 初めて聞きました。 聞いたこともない料理だったのに、逆にnetに...
0 件のコメント:
コメントを投稿