2008年6月26日木曜日

今も現役、アルトゥージの料理

アルトゥージの話、その4。

きのう訳したように、アルトゥージのリチェッタは、ユーモアのあるうんちくとシンプルな内容で、100年以上たった今でも、多くの人がその料理にチャレンジしています。


Arista con patate
豚肉のロースト、じゃがいも添え, photo by Silvio

アリスタ Àrista
 トスカーナでは、豚の背肉のローストやオーブン焼きのことを、“アリスタ”と呼びます。これは冷めてからの方がおいしい料理です。

 使うのは、重さ3~4kgの骨付きロース。
 肉ににんにく、ローズマリー、クローブを少量刺し込み、塩、こしょうをします。
 これを串に刺して焼くか(この方法がお勧めです)、またはオーブンで焼き、その油でじゃがいもや野菜を炒めます。
 冬なら長時間保存できるので、家庭では重宝することでしょう。

 1430年に、フィレンツェで宗教会議が開かれたました。ローマとギリシャの教会の方針の違いを修正するための会議です。この時、司教とその一行に出されたのがこの料理でしたが、当時は別の名前で呼ばれていました。料理を食べたギリシャの一行は、口々に、「アリスタ、アリスタ(おいしい、おいしい)」と言ったそうです。このギリシャ語が、4世紀半たった今も、豚の背肉のローストの名前として使われているのです。



insalata russa
インサラータ・ルッサ, photo by .....antonio.....


インサラータ・ルッサ Insalata russa
 流行の一品、インサラータ・ルッサは、基本を押さえておけば、あとは自由にアレンジすることができる料理です。私のは一番シンプルなタイプです。

インサラータ・・120g
ビーツ・・100g
さやいんげん・・70g
じゃがいも・・50g
にんじん・・20g
酢漬けのケッパー・・20g
酢漬けの小きゅうり・・20g
塩漬けアンチョビー・・3尾
ゆで卵・・2個

インサラータは、ロメインレタス、ラディッキオ、レタスなど2、3種類を千切り。
ビーツ、さやいんげん、じゃがいも、にんじんはゆでてチェーチ大の小角切り。
ゆで卵の白身2個と黄身1個も小角切り。
ケッパーはそのまま、きゅうりは同じくらいの大きさに切ります。
アンチョビーは骨を取って小さく切ります。
これらの材料を混ぜます。
次に、マヨネーズを作ります(No.126参照)。
生の卵黄2個とゆで卵の黄身1個、上質の油200ccをホイップし、レモン汁1個分、塩、こしょうを加えます。
これをインサラータにかけてよく混ぜます。
水少々と、ふやかした板ゼラチン3枚を火にかけて溶かし、一部を型の底に敷きます。
残りをインサラータに加えます。
インサラータを型に入れ、氷に当てて冷やします。
型を熱湯にさっと浸して皿にあけます。
もっとエレガントに飾るには、型にゼラチンを敷いたら、その上にカラフルな野菜やゆで卵を並べてからインサラータを入れます。
材料は8~10人分です。



ラッテ・ブリュレ

ラッテ・ブリュレ Latte brûlé
牛乳・・1リットル
砂糖・・180g
卵黄・・8個
卵白・・2個

牛乳と砂糖100gを火にかけて1時間熱し、火から下ろして冷まします。
砂糖80gを熱して溶かし、一部を型の底に薄く広げます。
残りを再び火にかけて黒くなるまで熱します。ここに水少々を加えます。水がはじける大きな音がしますが熱し続け、かき混ぜながら茶色の濃いシロップにします。
卵をホイップし、煮詰めた牛乳と熱した砂糖を加えて甘味を調えます。
目が細かすぎない牛乳のこし器で漉し、型に入れます。
型を湯煎にかけ、オープンの上火で熱します。
表面に色がつきだしたらバターを塗った紙を挟んで蓋をします。
串を刺してみて、何もつかずに乾いていたら焼き上がりです。
完全に冷まし、細いナイフでふちを切り離してからトレーにあけます。
夏なら型を氷に当てて冷やしてもよいでしょう。
型は、中の液体が沸騰して飛び出さないように、指の幅程度のふちがある楕円形のものがお勧めです。
材料は10人分です。



ポッロ・トンナート

アッロスト・モルト arrosto morto という名前で知られる鍋ロースト

マントヴァーナ・ディ・プラート

アルトゥージのタルト生地のクレーマのクロスタータ

フルーツのクロスタータ


みんな自分なりにアレンジを加えて工夫してますねえ。



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関連誌;『サーレ&ペペ』2006年6月号(クレアパッソで販売中)
“アルトゥージのチェーナ”の日本語訳は「総合解説」'06&'07年6月号、P.2に載っています。


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2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

このインサラータ・ルッサは中部の料理なんですか?なんかどこかで食べた気がするんですが思い出せない

prezzemolo さんのコメント...

くるりさん
その名の通り、ロシア料理です。
今じゃすっかりイタリア料理みたいな顔して、そこら中で見ますよね。
日本だとロシアンサラダかな。

バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

(CIR12月号)によると、ヴィチェンツァでは、この料理はCが1つなんだそうです。普通はバッカラはbaccalàでも、ヴィツェンツァでは、Cがひとつのバカラ。んなばかな、と思ったけど、地元のこの料理の専門家たちは、C一つで呼んでました。会の名前の刺繍もC一つ。リチェッタはP.11...